2022.12.28 更新 2020.11.05 公開
築50年マンションはいつまで住める?購入時の注意点と優良物件の見極め方

「築50年マンション」と聞くと、どのようなイメージを思い浮かべるでしょうか。
一般的には、築50年のマンションはかなり「築古」のマンションに分類されますが、管理状態がしっかりしていれば築50年のマンションは安価に手に入りやすいリノベーション向きの物件と言えます。
とはいえ、
- これから築50年マンションを買っても大丈夫か?
- マンションが築50年になった時にまだ住み続けてもいいのか?
- 築50年マンションって売却できるの?
など、さまざまな疑問や不安を抱えている方が多いはず。
そこでこの記事では、「築50年マンションって実際どうなの?」という観点から、以下のような内容を解説します。
▼この記事を読むと分かること
築50年マンションには3つの特徴がある
- 値段が安く手を出しやすい価格で購入できる
- ただし、売却する立場だと売りにくいことも事実
- 立地が優れているマンションが多い
築50年マンションはいつまで住めるのか?
- 管理や修繕の状況で老朽度合いが変わるため、個別に見極める必要がある
築50年マンションのメリット
- 値段が安く、手を出しやすい価格で購入できる
- 価格が安い分、安く買ってリノベーションにお金をかけられる
- 立地が優れている物件が多い
築50年マンションのでデメリット
- 築年数が古いと売却する時に成約しにくい
- そのままだと内装や設備が古い
- 管理・修繕が適切でないと老朽化が進んでいる可能性がある
- 耐震工事が済んでいない場合がある
- 金融機関によっては住宅ローンの審査が厳しい
築50年マンションが向いている人はこんな人
- 終の住処としてマンションを考えている人
- 物件価格を抑えたい人
- 立地が優れているマンションが良い人
- 全面リノベーションして好きな間取りにしたい人
- 築古でも管理状態が良いマンションを探す意欲がある人
- 壊れても直しながら生活していける人
さらに、売却・購入・住み続ける場合のケース別に、築50年マンションの注意点についても解説します。ぜひ最後までお読みください。
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>>中古購入の注意点網羅「小さいリスクで家を買う方法」はこちら
築50年のマンションってどうなの?3つの特徴を解説
築50年のマンションには、以下のような特徴があります。
- 値段が安く手を出しやすい価格で購入できる
- 売却する立場だと売りにくいことも事実
- 立地が優れているマンションが多い
それぞれの特徴について、詳しく解説していきます。
1-1. 値段が安く手を出しやすい価格で購入できる
マンションは新築が一番高く、その後は築年数が古ければ古いほど価格が安くなっていきます。
築50年のマンションは、現在市場に出回っているマンションの中でもかなり築年数が古いため、築年数が浅いマンションよりも値段が安く、手を出しやすい価格といえるでしょう。
以下は、中古マンションの成約状況を示した表です。
価格 | ㎡単価 | |
築0~5年 | 5,619万円 | 84.39万円 |
築6~10年 | 4,885万円 | 73.38万円 |
築11~15年 | 4,391万円 | 62.53万円 |
築16~20年 | 3,941万円 | 55.04万円 |
築21~25年 | 2,846万円 | 42.70万円 |
築26~30年 | 1,787万円 | 30.71万円 |
築31年~ | 1,835万円 | 32.42万円 |
参考:東日本不動産流通機構「築年数から見た首都圏の不動産流通市場(2019年)」
築26年を超えると、マンションの成約価格の平均は2,000万円を下回り、新しいマンションよりも半額以下で購入できることが分かります。
1-2. 売却する立場だと売りにくいことも事実
先ほどは築50年マンションを購入する側の立場から解説しましたが、逆に売却する立場に立ってみると、築50年マンションは価格が大きく下がり、売りにくいのも事実です。
前述した通り、マンションは築26年を超えると新しいマンションと比べて半値以下の売却価格となります。また、「築21年を超えるマンションは成約率がガクンと下がる」ことも分かっています。
以下は、中古マンションの成約率を築年数ごとに表したグラフです。築21年を超えたところで、成約率が20%以下に下がることが分かります。
築年数 | 対新規登録成約率(%) |
築0~5年 | 23.3 |
築6~10年 | 31.9 |
築11~15年 | 26.1 |
築16~20年 | 25.8 |
築21~25年 | 18.6 |
築26~30年 | 13.5 |
築31年~ | 12.6 |
参考:東日本不動産流通機構「築年数から見た首都圏の不動産流通市場(2019年)」
こうした事情を考えると、築50年など築年数が古いマンションを購入または所有する場合は、売却時には売りにくくなることを念頭に置いておく必要があることが分かります。
1-3. 立地が優れているマンションが多い
築50年マンションは、築浅マンションに比べて立地が優れているマンションが多い特徴があります。
築50年マンションが建てられたのはちょうど高度経済成長期の頃で、この時期には先を競うように良い立地にマンションが建てられました。
マンションデベロッパーはできるだけ売りやすい好立地にマンションを順番に建ててきました。そのため、古い物件ほど、駅から近く便利な場所に建てられていることが多いのです。
築50年マンションっていつまで住めるの?
「築50年マンションって、もう住めないぐらい老朽しているのではないか?」と不安に思う方もいるかもしれませんが、意外にマンションの寿命は長く、中古マンションの寿命は117年以上といわれています。
これは、国土交通省の「RC造(コンクリート造)の寿命に係る既往の研究例」で示されている寿命で、鉄筋コンクリート造建物の消耗度と実際の使用年数との関係から推定された年数です。
一方、給排水管など配管設備の寿命は25~30年といわれていますが、大規模修繕で設備のメンテナンスが定期的に行われていれば問題ありません。
つまり、適切に管理・修繕されていれば、築50年を超えているマンションでも快適に住み続けることができるでしょう。
ただし、管理・修繕がされていない場合は老朽化が進んでいる可能性があるため、購入検討または住み続けようとしているマンションがどちらに該当するのか、しっかり見極める必要があります。
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築50年マンションのメリット・デメリット
築50年マンションの3つの特徴を解説したところで、具体的にメリット・デメリットをまとめていきます。
3-1. 築50年マンションのメリット
築50年のマンションには、以下のような3つのメリットがあります。
1.値段が安く、手を出しやすい価格で購入できる
「1-1. 値段が安く手を出しやすい価格で購入できる」でも解説した通り、築50年マンションの最大のメリットは価格の安さです。
2019年の築年数ごとの不動産成約価格を見ると、築0~5年では5,000万円台の価格が、築31年以上だと1,000万円台とかなり価格に差があることが分かります。
2.価格が安い分、安く買ってリノベーションにお金をかけられる
物件価格が安い分、浮いた分のお金でリノベーションしやすいメリットがあります。
例えば新築や築浅マンションより2,000万円安く購入できたとすると、リノベーションに850万円かけたとしてもお釣りが来る計算です。
3.立地が優れている物件が多い
築50年が経過するマンションが建てられたのは高度経済成長期で、先を競うように良い立地に建てられているため、駅から近く便利な場所に建てられていることが多いといえます。立地が優れているのに価格が安いことは、大きなメリットとなります。
3-2. 築50年マンションのデメリット
一方、築50年のマンションのデメリットには、以下のようなものがあります。
1.築年数が古いと売却する時に成約しにくい
前述したように、築年数が古くなればなるほど価格は下がりますし、買い手の需要が少なくなるため、成約率が下がります。買うときに安く買えるメリットの裏返しとして、売る時にも価格が下がり成約しにくいデメリットがあります。
2.そのままだと内装や設備が古い
リノベーションせずにそのまま住む場合は、内装や設備が古いというデメリットもあります。50年前に流行したデザインは現在のスタイルと比べると古臭さを感じさせるかもしれません。また、室内の設備も劣化している可能性があります。
3.管理・修繕の状態によっては老朽化が進んでいる可能性がある
2章で解説した通り、コンクリート造の中古マンションの寿命は117年以上といわれていますが、適切な管理・修繕が行われていなければ老朽化が進んでいる可能性もあります。
適切な大規模修繕が行われているか、今後も行われる予定があるか良くチェックする必要があります。
4.耐震工事が済んでいない場合がある
1981年以前に建てられたマンションの場合、基準が古い「旧耐震基準」で建てられています。
旧耐震基準であることが危険とは断定できないものの、贈与税の非課税制度が利用できなかったり、不動産取得税などの優遇が利用できなかったりというデメリットがあります。耐震補強工事や耐震診断が行われているか、事前にチェックしておくと良いでしょう。
5.金融機関によっては住宅ローンの審査が厳しい
銀行によりますが、築年数が古いと住宅ローンが組めない、または組めても期間が短くなる可能性があります。住宅ローンの利用を考えている方は、事前に銀行に確認を取っておくと良いでしょう。
築50年マンションが向いている人・向いていない人
前章で見たように、築50年マンションには多くのデメリットも存在します。中古マンションのリノベーションを提案している当サイトでも、おすすめの築年数は築20年程度としています。
参考:実は築年数20年の中古マンションがオススメな2つの大きな理由
「築50年マンションでも大丈夫ですよ!」とは言い切れない築古マンションですが、メリットがデメリットを超える場合や、自分の住みたい理想の物件が見つかった場合など、築50年マンションが向いているケースもあるでしょう。
ここまで解説したメリット・デメリットをもとに、築50年マンションが向いている人、向いていない人をまとめました。
4-1. 築50年マンションが向いている人
築50年マンションが向いている人は、以下のような考えを持っている人といえるでしょう。
<向いている人>
- 終の住処としてマンションを考えている人
- 物件価格を抑えたい人
- 立地が優れているマンションが良い人
- 全面リノベーションして好きな間取りにしたい人
- 築古でも管理状態が良いマンションを探す意欲がある人
- 壊れても直しながら生活していける人
- 共用部の設備(宅配ボックスなど)が最新でないと嫌な人
- マンションの行く末などのリスクを考えると不安な人
築50年マンションは「終の住処としてマンションを捉えている人」に向いています。築古になればなるほど資産価値は下がるため、よっぽど立地が良くない限りは、将来高く売りたいという人には向いていません。
また、管理や修繕の状態が良いマンションでなければならないため、そういったマンションを自分で探し出せる人に向いているといえます。マンションの内覧時にチェックすべきポイントについては、「中古マンションの内覧は変えられない部分を確認すべき!66チェックリスト付き」の記事もぜひご覧ください。
4-2. 築50年マンションが向いていない人
しばらく住んで別の場所に移ろうと考えている人や、購入価格よりも高く売りたいと思っている人には、築50年マンションはあまり向いていないといえるでしょう。
<向いていない人>
- 将来マンションを売ることを考えている人
- 共用部の設備(宅配ボックスなど)が最新でないと嫌な人
- マンションの行く末などのリスクを考えると不安な人
また、買って良いマンションかそうでないか自分で決められない方も向いていないでしょう。「そこまで自分でリスクを負えない…」という消極的な方には、築浅~築20年程度のマンションがおすすめです。
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【ケース別】築50年マンションの注意すべきポイント
ここからは、築50年のマンションについての注意すべきポイントを、【1】購入を考えている場合、【2】住み続ける場合、【3】売却する場合の3つの立場ごとに解説します。
5-1. 購入を考えている場合
築50年のマンションの購入を考えている場合は、以下のことに注意すべきです。
- 大規模修繕の履歴と修繕計画の有無を必ずチェックしよう
- 管理費や修繕積立金の滞納の有無、金額も確認しよう
- 耐震性能のチェックも必須(住宅ローンの基準になることもあり)
- 建て替えの実施予定を確認しておこう
- 売却を考えているなら、立地の良いマンションを選ぼう
「2. 築50年マンションっていつまで住めるの?」でも解説した通り、築50年のマンションにも、老朽化が進んでいるマンションとそうでないマンションがあります。
その違いは、大規模修繕が適切に行われているかどうかです。修繕計画がしっかりと組まれており、計画通りにスケジュールが進められているマンションが理想です。内見時に、必ず大規模修繕の履歴や今後の計画について質問してみましょう。
また、管理費や修繕積立金の滞納額が大きくないかも確認しておきましょう。
滞納している住人の割合が大きかったり、滞納額があまりに大きかったりする場合は、将来的に適切な修繕が実施できない可能性があります。金額が相場と比べて適切かどうかも確認しておきましょう。
建て替えの実施予定についても確認しておきましょう。中古マンションが建て替えられる場合、その負担額は住人で分け合うこととなります。
建て替え費用の相場は、一戸あたり1,000万円程度といわれています。築50年マンションに引っ越したばかりの時期にその負担を迫られる可能性について、しっかり考慮しておく必要があるでしょう。
最後に、将来売却を考えているならば、立地条件が特に優れているマンションを選びましょう。
都心に近い駅近物件であれば、築年数が古くても、賃貸ニーズもあり資産価値が下がりにくいからです。
逆に立地がそれほど良くないマンションの場合、築年数が古くなればなるほど価値が下がるため注意が必要です。
5-2.住み続けることを考えている場合
築古(これから築50年を迎える)マンションに住み続ける場合は、以下のことに注意すべきです。
- 資産価値が落ちにくいマンションか、再確認しておこう
- 管理費や修繕積立金の滞納の有無、住人の退去状況は常に確認しておこう
- 早めに売却する選択肢も考えておくと良い
築年数が古くても住み続けていいマンションとは、資産価値が落ちにくいマンションです。
例えば、駅から徒歩5分圏内など立地が良いマンションは、築年数が古くても資産価値が高いため値崩れしにくいといえます。さらに、都心部へのアクセスの良さなども重要な要素です。
資産価値がどのくらいあるか把握するため、定期的に不動産の簡易査定しておくのも良いでしょう。
また、管理費や修繕積立金の滞納額が大きくなっていないかも常に確認しておきましょう。滞納額が大きければ、今後適切に管理や修繕が行われない可能性があるからです。
資産価値や滞納状況の有無などに不安がある場合は、早めに売却する選択肢も考えておくと良いでしょう。
5-3. 売却する場合
築50年のマンションを売却する場合は、以下のことに注意すべきです
- 購入者が見つかりにくい可能性がある
- 事前にリノベーションしても高値で売れるとは限らない
まだまだ不動産市場に築50年マンションが多くは出回っていないため、売却活動をスタートさせても、買い手が見つかりにくい可能性があります。売却を考えている場合は、ある程度長期戦を考えておくと良いかもしれません。
また、物件の価値を上げるために、売却前にリノベーションしたいと考える方もいますが、必ずしもリフォームしたからといって高く売れたり成約率が上がったりするとは限りません。
むしろ、築古マンションを探している買い手は、物件価格を抑えて購入して自分好みにリノベーションしたいと考えている方も多いものです。
下手に事前にリノベーションするよりも、そのままの方が売れやすい場合もあることに注意しましょう。
リノベーションすれば築50年マンションでも快適に住める
ここまで解説したように、中古マンションの寿命は117年以上ともいわれており、築50年マンションも適切に管理・修繕されているならば、快適に住むことができます。
ただし、部屋の内装や設備が建設当時のままだと、さすがにデザインの古さや劣化を感じざるを得ないでしょう。そこでおすすめなのが、フルリノベーションです。
中古マンションを全面的にリノベーションすることで、不自由な間取りを取っ払い、新築さながらの快適さや自分好みのおしゃれな空間を手に入れることができます。
参考:中古マンションリノベーション!賢い住宅予算でオシャレに暮らす
6-1.築古物件のリノベーション事例
[事例1]東京都港区「外苑前」リノベーション事例
築48年の物件を改装し、実際の住まいを再現したオフィスにフルリノベーション。
▶︎この事例の詳細はこちら
[事例2]東京都豊島区Y邸 リノベーション事例
1967年築のマンションを、バーカウンターのようなキッチンが映える空間にリノベーション。畳の小上がりを設け、和モダンのテイストに上がりました。
▶︎この事例の詳細はこちら
[事例3]東京都品川区N邸 リノベーション事例
1973年築のマンションをフルリノベーションした事例。あえて接着剤の跡を残した躯体現しの壁面に、グレー塗装を組み合わせることでラフすぎす、グッとおしゃれ度が増した空間となりました。
▶︎この事例の詳細はこちら
さらに、都内で1979年築のマンションをリノベしたAさんの経験者インタビューも参考にしてみてください。
ゼロリノベでは、中古物件の購入からリノベーション設計施工までを一貫して行っています。リノベーション向き物件の目利きを得意としているため、マンションごとの管理状況やコンクリートの状態の良し悪しまでプロの目線でご提案できます。
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まとめ
築50年のマンションっていつまで住めるの?
中古マンションの寿命は理論上117年と言われています。そのため約60年は快適に住み続けられるでしょう。ただし管理・修繕がしっかりしていないと老朽化が進んでいる恐れがあります。詳しくは「築50年マンションっていつまで住めるの?」をご覧ください。
築50年のマンションは売れないの?
中古マンションは築26年を超えると半値以下の売却価格、築21年を超えると成約率が20%以下になります。築古物件を購入する場合は売却しにくいことも念頭に入れておきましょう。詳しくは「築50年のマンションってどうなの?3つの特徴を解説」をご覧ください。
築50年マンションの注意点ってなに?
①購入を考えている場合、②住み続ける場合、③売却する場合のケースごとに注意点が変わってきます。特に①と②のケースでは、修繕積立金の滞納がないかどうかを確認するようにしましょう。詳しくは「【ケース別】築50年マンションの注意すべきポイント」をご覧ください。
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