中古物件 2021.04.03 更新 | 2019.10.06 公開
【投資家監修】新築では得られない中古マンション独自メリット3つ

今回、中古マンションのメリットを新築マンションと比較して表にまとめました。
結論としては、共有部の設備グレードやステータスを気にするという方、絶対に新品でなければ我慢できない方以外は、中古マンションをおすすめします。理由は本文にゆずりますが、後半では中古マンションを選ぶ際の注意点についてもまとめています。
中古マンションを購入するか、それとも新築マンションの方がいいのかと迷っている方は、中古マンションのメリットがわかる本記事の内容を参考になさってください。
「小さいリスクで家を買う方法」はこちら新築vs中古マンションのメリット比較表
新築マンション | 中古マンション | |
価格 | △ | ○ |
エリア自由度 | △ | ○ |
流通数 | △ | ○ |
耐震性 | まだわからない | 良い悪い分かれる |
管理状態 | まだわからない | 良い悪い分かれる |
専有部の設備 | ○ | 変更は可能 |
資産性 | 販売時より下がる | 良い悪い分かれる |
共有設備 | ○ | 良い悪い分かれる |
新築マンションの優位性としては設備の新しさやグレードの高さなどのステータス面が挙げられます。
それに対し、中古マンションの優位なところは価格の安さ、エリア自由度の高さ、流通数の多さなどです。また耐震性に関して中古マンションは劣ると思われがちですが、実は中古の方が安全性が高い可能性があります。以下、ポイントごとに説明していきます。
1-1.新築マンションに比べ中古マンションは価格が安く資産になりやすい傾向にある理由
マンションエンジンによると、2019年10/7現在の東京23区の新築マンションの平均価格は6,027万円です。返済負担率を甘めの25%で住宅ローンを組むとしても、固定金利1.5%の35年ローンとして計算すると、年収885万円以上が必要になります。
年収ごとの住宅ローンの借入目安金額についてはこちらの記事をご確認ください。
一方、上のグラフにあるように、マンションの価格は築年数が20年を超える頃まで下がり続けます。エリアや物件の価値にもよりますが、築20年の時点で新築時の半額ほどになるケースも見られます。それを過ぎると不動産の相場による上下動があるのみで、下がり幅はゆるやかになります。東京などの都市部ではむしろ値上がりすることすらあります。
この事実が示しているのは、中古マンションは築20年に近い物件を購入するほどコストパフォーマンスが高いということです。中古マンションが新築マンションよりも安いのは当たり前ですが、築20年前後の物件を選べば底値に近い価格で購入可能です。しかもそれ以降は価格が下がりにくいので、資産価値を考える上でも悪くない選択となります。
逆に新築マンションが高いのはなぜなのかを考えてみましょう。理由はいくつかありますが、中でも本来の不動産価値という「原価」に、営業マンの人件費や広告費といったコストが上乗せされているという点を見逃すことはできません。少し年数が経てばこれらのコストは不要になりますから、本来の不動産価値に近い価格へと近づいていきます。これが、新築が中古になった瞬間にどんどん値下がりしていくからくりです。
ただし、価格の下がり方には物件による違いがあります。立地条件や管理状況などに問題があれば、物件の価格は下がりやすくなります。
ということは、ある程度年数が経った段階で価格が急落せず、ゆっくりと落ち着いてきた中古マンションは、それだけ安心できる物件と言えます。このように物件の良し悪しを見分けやすいのも中古マンションの特徴の一つです。
1-2.中古マンションはエリアの自由度、流通数の多さが魅力
人気エリアに住みたい、できれば駅から近い方がいい…などの条件を考えるとき、圧倒的に選択肢が多いのは中古マンションです。
今、ある程度立地条件の良い新築マンションを探すのはかなり大変です。実際に駅前の様子を見てみればすぐにその理由を実感できるはずです。また、物件サイトで新築マンションと中古マンションの流通数を比較すると、数は圧倒的に中古マンションが多いことがわかります。
駅周辺にはすでに多くのマンションが建っており、少し離れた住宅地は一軒家や賃貸向け集合住宅が中心です。マンション用地そのものが希少化していて、再開発や老朽化したマンション・ビルの建て替えなどがない限り、新築マンションは建設されません。当然、建設予定がなければ新築マンションを購入することはできません。
上のグラフは首都圏の新築マンションと中古マンションの成約件数の移り変わりを示したものです。これを見ると2017年時点で中古の成約件数が新築のそれを上回り、逆転しています。市場でも中古マンションの方がメインになりつつあるのです。
住みたい街ランキング上位の街や通勤が楽になる駅を選びたい、都心隣接エリアの少しお手頃な価格のマンションを探したいなど、様々な条件にマッチする物件が見つかりやすいのが中古マンションのいいところです。新築よりも流通数自体が多いので、細かくエリアや駅、価格帯などを選ぶことができます。
1-3.マンションの耐震性、管理状態は実は中古の方が安心である可能性
中古マンションに対し、耐震性に不安があるという印象を抱いている人もいるかもしれません。新築マンションの方が新しい分、地震に強いと思いがちです。しかし、これは正確な認識とは言えません。
マンションの強度を考えたとき、最も重要なのは鉄筋コンクリートの状態です。地盤そのものの安定性を脇に置くとすれば、マンションが古くなり、鉄筋コンクリートが劣化していくほど確かに建物の耐震性能は低下していきます。
では、鉄筋コンクリートの劣化はどのように進むのでしょうか。簡単に言えば、もともとアルカリ性のコンクリートが、酸性を帯びた風雨の影響を受けて中性化し、それによって中心にある鉄筋が錆びて膨らんで弱くなるというのが劣化のプロセスです。
多くのマンションの外壁がタイルで覆われているのは、鉄筋コンクリートを風雨から守るためです。そして外壁を中心とした補修や防水処理を施すために、ほとんどのマンションでは12~20年のスパンで大規模修繕工事を行います。
この大規模修繕が非常に重要です。国土交通省の発表より100年以上と言われる鉄筋コンクリート造建物の寿命は、大規模修繕によるしっかりとした維持管理を行えば150年に延命できると言われています。ただし、全てのマンションがしっかりとした管理や修繕工事をしているわけではありません。
そのため、新築マンションの場合、今後どういう維持管理が行われていくのか未知数です。新築だって10年20年経てば中古マンションです。
対して中古マンションは、過去の大規模修繕工事の修繕履歴や将来に向けた長期修繕計画、修繕積立金がどれくらい貯まっているかが確認可能です。つまり、過去の実績から未来を予測しやすく、耐震性についても見当がつきやすいと言えます。
このことも中古マンションの大きなメリットです。
「小さいリスクで家を買う方法」はこちらメリットと比較した中古マンションの注意点
多くのメリットがある中古マンションですが、購入を検討するときは注意すべき点もあります。
まず上でも述べたとおり、大規模修繕工事を核とした建物の維持管理がしっかりと行われているマンションを選ぶことが重要です。
また、エントランスホールや通路・階段、駐車場、ごみ置き場など共有部分の日常的な管理がしっかりとしているかどうかも要チェックです。
管理は普通でも、住人の民度が低いマンションというのも存在します。集合ポストにチラシが溜まって溢れていたり、ごみ置き場に分別されていないごみが捨てられていたりする中古マンションを選んでしまって後悔するということのないようにしてください。
賃貸物件を借りる場合と違って、マンションを購入するときは長く快適に住み続けることができるかどうかをしつこいくらいに確認すべきです。そして新築マンションと違って、中古マンションは現在の管理状況や住人の様子も調査できます。
また、マンションの建て替えには区分所有者の5分の4の賛成を得る必要があるため、途中で住みにくいと感じたとしても、将来建て替えが起きる可能性はかなり低いということも知っておきましょう。
中古マンションのメリットがわかっていても、なおかつ建物自体の新しさ、エントランスなど共有部分のきれいさ、グレードの高さなどにこだわるのであれば、分があるのは新築マンションです。住むなら新しいところでなくては嫌だという人は一定数いるので、それを否定するわけではありません。
しかし、もしも自分が所有する専有部分、生活空間が古いことを気にするのなら、リノベーションやリフォームで解決できます。スケルトンリノベーションと呼ばれる、躯体のみを残して全てを交換して間取りも変えられる改修を行えば、真新しい部屋を手に入れることができます。
しかも、そのリノベーション費用を中古物件購入費用にプラスしたとしても、新築マンションを購入するより予算を抑えることが可能です。
まとめ
新居を探すとき、新築マンションだけではなく中古マンションも選択肢に入れるというのは、今ではごく当たり前の考え方です。
価格が安く、流通数が多くてエリア自由度が高く、耐震性も問題ない物件を探すことが可能だとすれば、その理由も明らかでしょう。全てにおいて新品であるという点にさえこだわらなければ、中古マンションにほとんど弱点はないと言えます。
ぜひ中古マンションを選ぶメリットについてしっかりと理解を深め、そのメリットを最大限に活かすことができるような物件探しを心がけてください。