2023.07.21 更新

築年数が古い物件のメリット・デメリット|選ぶ際の重要2ポイント

築年数が古い物件のメリット・デメリット|選ぶ際の重要2ポイント

「築年数の古い物件を購入するメリットってあるの?」
「築古物件を選ぶときのポイントを知りたい」

このように考えてはいませんか?

結論からお伝えすると、築古物件の購入は、「なるべく費用を抑えつつ、沢山の選択肢の中から希望の条件に合致する物件を探したい」という人に向いています。

ただし、築古物件にはメリット・デメリットのどちらもあるため、それらをきちんと把握したうえで自分にあうかを判断しましょう。

今回は、築古物件の購入を検討している方、迷っている方に向けて、不動産のプロ目線から見た築古物件を選ぶときに押さえておきたいポイントをお伝えします。ぜひ参考にしてみてください。

Advisor

一級建築士 アドバイザー 西村 一宏

[監修]一級建築士

西村 一宏

リノベーション・オブ・ザ・イヤーを受賞した設計・施工部門の責任者としてゼロリノベ建築を担う。著者の詳しいプロフィール

Author

“【著者】ゼロリノベ編集部"

[著者]

ゼロリノベ編集部

元銀行員・宅地建物取引士・一級建築士が在籍して「住宅ローンサポート・不動産仲介・リノベーション設計・施工」をワンストップで手がけるゼロリノベ(株式会社groove agent)。著者の詳しいプロフィール

\一級建築士監修のWEBセミナー/

築年数が古い住宅のメリット

新築や築浅の中古物件ではなく、築年数が古い住宅を購入するのにはどのようなメリットがあるのでしょうか?

1-1.新築や築浅の中古物件に比べてコストを抑えられる

築年数が古い中古物件を購入するもっとも大きなメリットは、購入費用を抑えられることです。「予算的に手が届かない」とあきらめていたような人気のエリアであっても、築年数が古い物件なら、手が届く範囲で購入できるかもしれません。

傷んでいる箇所がある場合、「リフォームするので費用を下げてもらえませんか?」と価格交渉することで、さらに値引きしてもらえる可能性もあります。

ただし売り出し価格3,500万円の物件を3,000万円にしてほしいと過度な値引きを希望したり、重箱の隅をつつくように欠点をあげつらったりしてしまうと、売主が不快に感じて商談を断られることも。

売りに出されているのは売主にとっては愛着や思い入れのある家であることを念頭に、節度ある態度を心掛けて交渉しましょう。

売主状況を確認して値引き可能かどうかを判断する
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1-2探しやすく、たくさんの物件に出合える

築年数が古い物件は、新築や築浅物件に比べると数が多く、探しやすいのもメリットです。

新築物件の戸数は近年減少傾向にあり、そのぶん築浅物件は数が少ないことから、築年数を限定しないほうが多くの物件から選べるようになります。

2020年に東日本不動産流通機構に新規登録された中古マンション・中古戸建て住宅の、築年数帯別構成比率を確認してみましょう。

中古マンションと中古戸建て住宅の築年数帯別構成比率【参考】「築年数から見た首都圏の不動産流通市場(2020年)4頁」東日本不動産流通機構

たとえば築0〜10年の築浅物件を購入したい場合、中古マンションなら全体の14.8%、中古戸建てでは21.1%からしか選べません。築年数を限定してしまうと、選べる物件数が少なくなってしまうのです。

また住宅は、駅や商業施設の近くなど利便性の高い場所から建て始められることから、希望の立地に家を新築したり、あるいは築浅の物件を見つけたりするのは難しくなります。

しかし築年数にこだわらなければ、そのエリアが開発され始めたころに建てられた物件など、立地の良い物件を見つけられる可能性があるでしょう。

築年数が古い住宅のデメリット

ここからは、築年数が古い住宅を購入するデメリットを紹介します。

2-1.老朽化の問題がある

築年数が古くなればなるほど、外観・内装ともに古びていることが多いのが最初に考えられるデメリットです。

定期的に塗装されていたり、内装リフォームがされていたり、メンテナンス状況によっては見た目的には問題なく見える場合もありますが、目に見えない部分の老朽化は慎重に見極めなくてはなりません。

戸建てとマンションで、どのような劣化が考えられるのか見てみましょう。

2-1-1.【戸建ての場合】

戸建ての場合、屋根や外壁から雨漏りし、構造部分の劣化が進行している可能性があります。

室内への雨漏りは、天井のシミなど目視で確認できます。一方で注意が必要なのは、外壁からの雨漏りです。外壁からの雨漏りは壁を伝って流れていくため気づきにくいのが特徴です。同様に白アリ被害も床下で発生するため、内見しただけではわかりません。

また経年により地盤が下がり、柱や壁に歪みが発生していても、軽微なものであれば気がつかないことがあります。

2-1-2.【マンションの場合】

マンションは、築年数が古いと水回りの給排水管が劣化している場合があります。また外壁や内壁が、劣化によって欠けたりひび割れたりしている可能性も。マンションの場合、戸建てと違って建物全体など共用部分にあたる箇所の修繕は、個人ではできない点には注意が必要です。

2-1-3.【共通すること】

建物は、建築年によって耐震性が以下のように異なります。

耐震基準の一覧表旧耐震基準で建てられた物件は、建物の強度が不足している可能性があります。一方、1981年の6月1日以降に建築確認を終え、新耐震基準に沿って建築された物件であれば、震度7程度でも倒壊しないことが想定されています。

ただし、新耐震基準で建てられていれば必ずしも安心とは限りません。たとえば建築後に地震を経験していれば、なんらかの影響を受けている可能性があるためです。同様に、旧耐震の物件であっても、耐震補強がしっかりされているものもあります。

築年数が古い物件の購入を検討するときには、築年数だけにとらわれず、実際に建物の状態や管理状況を、仲介会社と確認することが大切です。

ただし、全ての不動産仲介の会社が建物の専門知識を備えているわけではありません。

リノベーションを前提に考えている人は、自社で不動産仲介、設計施工を行うオールワンストップのリノベーション会社に物件探しから依頼をすると、建物状況も確認できスムーズに物件を決めることができます。

2-2.設備が現在の暮らしと合っていない

築年数が古い物件は、設備が古かったり、機能性が低かったりするケースも少なくありません。

たとえば近年はユニットバスが主流ですが、築年数が古い物件は昔ながらのタイル貼りの在来浴室が多く見られます。

在来浴室は気密性と断熱性が低く、冬には冷え込みヒートショックを引き起こす可能性も。扱いづらいバランス釜が設置されていることもあるでしょう。

ほかにもお部屋に和室が多かったり、壁付けキッチンだったり、現在のライフスタイルにあわずに快適に使えない造りになっている場合もあります。

すべてを撤去しフルリノベーションするのであれば多くの問題は解消できますが、部分リノベーションを検討しているなら設備や機能性は細かにチェックが必要です。

2-3.管理状態によっては長く住めない場合がある

国土交通省の調べでは、鉄筋コンクリート造(RC造)のマンションの寿命は100年超、木造住宅は65年といわれています。

「そんなに長いの?」と思われた方も多いのではないでしょうか。それは多くの方が、税法上の法定耐用年数を寿命と勘違いしているためです。

法定耐用年数は、鉄筋コンクリート造(RC造)は47年、木造は22年であるため、多くの方が「住宅の寿命は短い」と思っているようです。法定耐用年数は、減価償却資産としての税法上の耐用年数を指すものであり、物理的な寿命を指すものではありません。

【参考】「耐用年数(建物/建物附属設備)」(国税庁)

ただし、それは適切な管理がされていることが前提です。適切なメンテナンス体制が取られておらず、管理状態が悪ければ、建物の寿命は短くなり長く住めない可能性があります。

長持ちする物件を見極めるためには、木造住宅であれば専門家によるホームインスペクションを受け、劣化状況を確認するのがおすすめです。

ホームインスペクションとは
住宅に精通したホームインスペクター(住宅診断士)が、第三者的な立場から、住宅の劣化状況などを見極め、アドバイスなどを行うこと

 

マンションであれば仲介会社を通じて長期修繕計画を入手し、これまでの修繕状況や今後の修繕計画を確認し、問題なければ安心できるでしょう。

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2-4.リセールバリューに注意

かなりの築年数が経過した物件は、老朽化などの観点から敬遠する人も出てきます。そのためいずれ売ることを前提として物件を購入する場合には、築年数の古さがデメリットになる可能性がある点には注意が必要です。

将来のリセールを検討するのであれば、立地を重視した物件選びをおすすめします。立地が良ければ、多少築年数が古くても、購入したいと考える人はいるためです。

また中古住宅は、法定耐用年数近くで価格が下げ止まるのが特徴です。そのため一般的には築20年を過ぎると価格の減少が緩やかになります。

そういった理由から、立地が良く、資産価値が下げ止まりした築20年を超えた築古物件を購入すれば、売却時に価格を大きく下げることなく売れる可能性があるのでおすすめです。

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築年数が古い物件を選ぶ際のポイント

ここからは、築年数が古い物件を選ぶ際のポイントを解説します。

3-1.メンテナンス面で判断する

築年数が古い物件を選ぶときには、築年数よりもメンテナンス状況から物件の善し悪しを判断しましょう。

前章でご説明したように、建物の物理的な耐用年数は法定耐用年数より長いとされています。

しかし建物は定期的な、そして適切なメンテナンスがされているかによって、劣化速度が異なるのが特徴です。戸建てとマンションのそれぞれで、どのようにメンテナンスされてきたかのチェック方法を紹介します。

3-1-1.【戸建て】

戸建ては以下のようにチェックします。

<自分たちで確認できない箇所のチェック方法>

  • 物件状況報告書
  • 売主へのメンテナンス状況の聞き取り
  • ホームインスペクション

戸建て住宅の状態は、不動産会社から交付される物件状況報告書を見て精査しましょう。

物件状況報告書には、雨漏りや白アリ被害の有無、また修理や駆除をしたのであればその時期などが記載されています。さらに建物の傾きや、増改築の詳細、配管の状況などさまざまな情報を得られます。

ただし、物件状況報告書は交付が義務づけられていないため、告知すべき重要な事項以外は詳細がわからないこともあります。その場合、売主にメンテナンス状況を確認したり、ホームインスペクションを受けて物件の状態をチェックしたりすることが大切です。

<内見時に自分でチェックできること>

  • 屋根や外壁、軒裏、基礎のヒビ割れの発生具合
  • 室内ドアの開閉のしやすさ
  • 雨漏りによるシミの発生の有無

内見時には、屋根や外壁、軒裏、基礎の4箇所を目視します。目安として、幅が0.5mm以上、または1メートル以上の長さがあるヒビ割れがあると要注意です。

とくに基礎にヒビ割れがある場合は、家が傾いている恐れがあります。家の傾きは、室内ドアがスムーズに開閉できるかでも確認が可能です。室内では、雨漏りによるシミがないかもチェックしましょう。

3-1-2.【マンション】

マンションは、以下のような点をチェックしましょう。

<自分たちで確認できないもの>

  • 長期修繕計画や修繕積立金の状況
  • 空室率
  • 外壁や配管の劣化度合い

これまで大規模修繕を含めどのようなメンテナンスがされてきたのか、今後どのような修繕が予定されているのかは、長期修繕計画を確認しましょう。さらに長期修繕計画に見合う十分な資金が集められているか、修繕積立金の状況をチェックしておくことも大切です。

空室率や外壁・配管の劣化度合いなども、あわせて確認しておくと判断しやすくなります。これらは自身では調べられないので、仲介会社に依頼し資料を入手してもらいます。

<内見時に確認するもの>

  • 共有設備の整頓状況
  • エントランスの張り紙

内覧時には、共用設備の整頓状況や掲示板の張り紙の内容をチェックすると、住民の管理意識がわかります。マンションは多くの住人と共有するため、管理意識が高い住人が多いと思われる物件を選ぶことが大切です。

以下の記事では、内覧時の確認ポイントをチェックリストにまとめています。内覧時の参考にご覧ください。

中古マンション購入の注意点 宅建士監修のチェックリスト
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3-2.リノベーションやリフォームも視野に入れる

リノベーションした住宅のbefore&afterの写真築年数が古い物件の古ぼけた見た目が気になる場合は、リノベーションやリフォームで改善することを検討しましょう。

たとえばデメリットのうち、戸建ての場合は設備や内装・外装の劣化など、構造部分以外はスケルトンリノベーションにより刷新できます。

マンションの場合、室内設備などの専有部分の問題はリノベーションで解消できます。建物の外観や共用部分については、管理組合や入居者の意識に働きかけることで改善へのアプローチが可能です。

また現代の暮らしに合わないという点も、戸建て・マンションのいずれでも、フルリノベーションで間取り変更することにより、自分たちのライフスタイルに合わせて自由に作り変えられます。

すでに間取りが決まっている建売住宅や新築マンションより、ライフスタイルに合った設備や間取りにできる可能性もあるでしょう。

また設備や内外装が比較的新しい築浅物件だと「もったいないからそのまま使おう」との選択になりがちです。一方、築古物件だと、手頃な価格で物件を購入できる分、設備や機能面など、こだわりたいところに効率的にお金をかけられます。物件が古いため「もったいない」と感じることなく、大胆なリノベーションができるでしょう。

まとめ

この記事では、築古物件のメリット・デメリットと物件選びで押さえておくべきポイントをご紹介しました。

<築古物件のメリット>

  • 新築や築浅の中古物件よりコストを抑えられる
  • 探しやすく、たくさんの物件に出合える

<築古物件のデメリット>

  • 老朽化の問題がある
  • 設備が現在の暮らしとあっていない
  • 管理状況によっては長く住めない可能性がある
  • リセールバリューに注意

築古物件にはデメリットが多くあるように思えますが、設備や現在の暮らしとあっていない点は、リフォームやリノベーションで改善できます。

また築古物件であっても、これまでの管理状況が良ければ長く住むことも可能です。立地の良い物件を選ぶことで、資産価値を保つこともできるでしょう。

「自分で物件の目利きができるか不安」という方は、リノベーションまでワンストップでサポートしてくれるリノベーション会社に相談するのがおすすめです。物件探しの段階で、希望のリノベーションを実現できる物件なのか判断してもらえます。

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