2023.05.15 更新 2021.08.15 公開
マンションの間取りをリノベーション!人気の施工、費用相場など解説

「マンションをリノベーションしたいけれど、間取りの変更はできるの?」
「マンションの間取りを変えるなら、どんな工事ができて、費用はどれくらい?」
そんな疑問を持っている方も多いでしょう。
この記事では、マンションのリノベーションでの間取り変更について、知っておくべきことをまとめました。
まず、
◎マンションのリノベーションで人気の間取り変更
を実際の工事事例とあわせて紹介します。
その上で、
◎マンションのリノベーションで間取りを変更する際の費用相場
◎マンションのリノベーションで間取り変更できない例
◎マンションの間取り変更のポイントと注意点
を解説していきます。
最後まで読めば、マンションのリノベーションについてよく理解できるはずです。
この記事で、あなたがマンションを満足いく間取りにリノベーションできるよう願っています!
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[著者]
ゼロリノベ編集部
元銀行員・宅地建物取引士・一級建築士が在籍して「住宅ローンサポート・不動産仲介・リノベーション設計・施工」をワンストップで手がけるゼロリノベ(株式会社groove agent)。著者の詳しいプロフィール
マンションのリノベーションで人気の間取り変更
中古マンションをリノベーションする際に、間取り変更を希望する人も多くいます。
ですが、ひと口に間取り変更といってもさまざまなパターンがあり、実際に計画する際には迷ってしまいますよね。
そこでまず最初に、どのような間取り変更が人気なのか、人気の理由とともに紹介していきましょう。
人気の間取り変更例
1-1. LDKを広くする 1-2. キッチンを対面型にする 1-3. 家事動線をスムーズにする 1-4. 収納を増やす 1-5. 和室を洋室にする 1-6. 書斎や趣味部屋をつくる 1-7. スケルトン天井にする |
1-1.LDKを広くする
古いマンションには、リビングとキッチンが壁で仕切られていたり、リビングに面して小さな和室がついているなど、間取りが細かいものがあります。
が、今は開放感のある広いリビングが好まれる傾向があるため、部屋数をひとつ減らしてでもLDKを広くするリフォームが人気を集めています。
たとえば、以下のような事例です。
【ベッドルームとリビングをつなげる】
<リノベーション前>
<リノベーション後>
【和室をフローリングにしてLDKとつなげ、キッチンを対面式に移動】
<リノベーション前>
<リノベーション後>
1-2.キッチンを対面型にする
また、古いマンションの中には、キッチンが壁付けになっている物件も多くあります。
ですが、そのレイアウトだと、料理をしている人がダイニングやリビングに背中を向けて孤立する形になるため、今は対面式キッチンが主流になっています。
そこで、壁付けキッチンや、間仕切り壁で区切られた独立型キッチンを移動して、対面式キッチンにリノベーションします。
ただ、キッチンをはじめ水回りを移動する際には、配管やコンセントなどの工事も必要になるため、単にシステムキッチンを入れ替えるだけのリフォームよりも費用がかかります。
また、マンションの構造や配管の位置などによっては、移動に制限が出る場合もあるので、施工会社に事前に現場調査してもらって相談しましょう。
対面キッチンには、主に以下の4タイプがあります。
【二の字キッチン】
壁際にコンロ、リビング向きの対面にシンク台を設置するのが「二の字キッチン」です。
調理スペースが広く取れるため、料理好きの方に好まれます。
シンク台側にスペースを広くとれば、カウンターや作業台を兼ねることもできて、自由度の高いキッチンだといえるでしょう。
【ペニンシュラキッチン】
片側が壁に接している対面式キッチンを「ペニンシュラ(=半島)キッチン」と呼びます。
オープンキッチンの中ではもっともポピュラーなもので、リビングダイニングとの一体感が魅力です。
特に小さな子どもがいるご家庭などは、調理中も子どもから目を離さずにいられるため安心感が高く、家族間のコミュニケーションもとりやすいキッチンだといえるでしょう。
キッチンの後ろ側に、収納スペースを大きく取れるのも便利です。
【L字キッチン】
キッチンをL字型に造作し、一面にコンロ、もう一面にシンクを配置するタイプです。
調理スペースが広くとれる上に、コンロとシンクを行き来する際に、二の字型のように後ろを振り返る必要がなく、スムーズに移動できます。
オーブンや食洗器などをカウンター下に設置すれば、リビングダイニングから目隠しになるので、生活感を消すことができるのもメリットといえるでしょう。
【アイランドキッチン】
キッチンのどの面も壁と接していない、独立型の対面キッチンです。
LDKのどの方向からでもキッチンにアクセスしやすい「回遊性」が特徴で、料理中はもちろん配膳時にもスムーズな動線で移動できます。
レイアウト的にもインパクトが強く、デザイン性の高いLDKになるでしょう。
ただ、ある程度のスペースが必要なため、狭いマンションでは実現しづらい難点もあります。
1-3.家事動線をスムーズにする
マンションの間取りを変更する際には、広さやデザイン性と同時に、日々の暮らしやすさにもポイントをおいてプランを考える必要があります。
特に、家事がしやすいようスムーズな動線を確保することを忘れてはいけません。
どんなにおしゃれな内装にしても、「洗濯機から物干し台のあるベランダに行くまでに、ドアを何枚も開け閉めしなければならない」とか、「キッチン、洗濯機のある浴室、パントリーなどの行き来と、子どもたちの出入りが廊下でかち合ってしまい移動しづらい」といった問題があると、家事効率が悪い上にストレスも溜まってしまいます。
そこで、
- 家事をすることが多いキッチン、洗面所、浴室など水回りをまとめる
- 人とぶつからないよう回遊性をもたせる
- 買い物から帰ったら重い荷物をすぐ収納できるよう、玄関からパントリー、キッチンに動線をつくる
といったことを意識したリノベーションを行う方も増えています。
家事動線を考える際には、以下の3点を意識しましょう。
◆キッチンの動線:調理中にどう動くか
冷蔵庫から食材を出す→調理台で食材を切る→コンロで調理する→シンクで洗い物をする→ゴミをゴミ箱に捨てる→食器棚から食器を出す→テーブルに配膳する、という一連の動きを想定して、動きやすいようにレイアウトします。
◆洗濯動線:洗濯の際にどう動くか
洗濯機で洗う→ベランダなどの物干しスペースで干す→乾いたものをアイロンがけする→たたむ→クローゼットにしまう、と、洗って干すだけでなく収納するまでの動きをイメージしましょう。
◆収納動線:買い物帰りにどう動くか
買い物から帰宅する→食品や日用雑貨をしまう→食品を取り出してキッチンで調理する、という流れがスムーズにできるのがベストです。
パントリーをつくる場合は、玄関から重い荷物をすぐ下せるように、またキッチンからすぐものを取りに行けるように、その両方からのアクセスしやすさが重要になります。
【水回りをまとめる】
キッチン、浴室、トイレが近くにまとまっていて、コンパクトな動きで家事ができます。
1-4.収納を増やす
古いマンションの難点としては、収納が少ないことも挙げられるでしょう。
そのためリノベーション時に、収納を増やす工夫をするケースもよくあります。
ただ、「狭いので収納を増設するスペースがない」、または「収納をつくることはできるけれど、その分リビングや寝室が狭くなるのはイヤ」という場合もあるでしょう。
そんなケースでも、工夫次第で収納スペースを生み出すことはできるので、諦めないでください。
具体的な事例としては、以下のようなものがあります。
【ベッド下のスペースを立体的に活かす】
間取りを平面でとらえると収納スペースがとれなくても、立体的に考えると新しい空間が生まれます。
たとえばベッドの高さを上げて、その下に収納をつくるプランはどうでしょう?
もしくは、低めの位置にロフトをつくって、ロフト上にベッド、下を収納にすることもできます。
これなら圧迫感もあまりなく、子ども部屋に採用すれば秘密基地感もあって、楽しいリノベーションになるでしょう。
【床の一部を上げて床下収納をつくる】
リビングなどの一角に、床を30~40cm上げた「小上がり」をつくり、その下を収納にするプランです。
収納部分は引き出しにすることもできますし、畳敷きにすれば、畳を外して上から出し入れする形にもできます。
客用布団などの普段は使わないものや、スキー道具などの季節用品、レジャー用品などの収納場所に最適です。
床下が引き出しになっています。
畳を外して上から出し入れするタイプです。
1-5.和室を洋室にする
現代のライフスタイルでは、和室を使うシーンは少なくなりました。
そのため最近のマンションには、和室がないものが増えています。
が、古いマンションには和室があるものも多いため、これを洋室にリノベーションするのも人気です。
和室を洋室にするリノベーションでは、
- 畳の床はずしてフローリング(またはクッションフロアやカーペットなど)を張る
- 柱や壁を露出させた「真壁」の上に石膏ボードを張り、その上にクロスを張る
- 板目の天井の上にベニヤを張り、その上にクロスを張る
- 襖や障子を洋室向けの建具(ドアなど)に交換する
- 押入れをクローゼットに変更する、または押入れを撤去して部屋を広げる
といった工事が必要になります。
【和室をフローリングにしてリビングとつなげる】
和室2室の間仕切り壁を撤去してとなりのリビングとつなげ、フローリングを張りました。
<リフォーム前>
<リフォーム後>
1-6.書斎や趣味部屋をつくる
リノベーションを機に、「書斎や趣味の部屋をつくりたい」という夢を叶える方もいます。
何をしたいかによって、リノベーションのプランはさまざまです。
ここではいくつかの事例を紹介しておきましょう。
【ギターが弾ける防音室】
音楽が趣味の方なら、思いっきり楽器を演奏したり、ご近所に気兼ねなくオーディオを楽しみたいと考えたことがあるはずです。
防音室があれば、マンションでもその夢がかないます。
既成の防音室をはめ込む方法もありますが、こちらの事例では家の中心に防音室をつくりました。
<リノベーション前>
<リノベーション後>
【モノづくりを堪能する土間のアトリエ】
ハンドクラフトやDIYなどモノづくりが趣味だと、道具や材料がたくさん必要で、意外に場所をとりますよね。
そんな方には、必要なものを1か所にまとめて置けて作業もできるアトリエスペースがあると便利です。
このリノベーション事例では、汚れてもいいように床を土間にして、バルコニー側にスペースをとりました。
これなら明るい光の中で、細かい作業もしやすそうです。
<リノベーション前>
<リノベーション後>
【書道を楽しむ和の空間】
茶道、華道など「和」の趣味を持っている方には、リノベーション後も和室かそれに準ずるスペースが必要です。
この事例の場合は、書道が趣味の方なので、家の一角に畳敷きのスペースをつくりました。
バルコニーに面していて掃き出し窓があるので、昼間は自然光があふれ、筆を持つ手元を明るく照らしてくれます。
<リノベーション前>
<リノベーション後>
1-7.スケルトン天井にする
古いマンションは、物件によっては天井が低いものもあります。
昔の床座りの生活向けだったのでしょうが、現代のイスとテーブル中心の生活だと圧迫感をおぼえる方も多いでしょう。
そのためか、天井材をはがしてコンクリートの躯体をむき出しにする「あらわし天井」、通称スケルトン天井にするリノベーションもよく行われます。
ダクトの配管や配線などもむき出しになりますが、独特の雰囲気を出すことができますし、少し天井が高くなれば開放感も生まれます。
<リノベーション前>
<リノベーション後>
マンションのリノベーションで間取り変更する際の費用相場
間取りを変更するリノベーションには、いろいろなプランがあることがわかりました。
となると、気になるのはこれらのリノベーションにかかる費用です。
そこでこの章では、間取り変更の費用相場を見ていきましょう。
2-1.一般的な費用相場
マンションのリノベーションは、工事の内容、マンションの広さ、使う材料などさまざまな要素で決まります。
そのため、一概に費用はいくらと言い切れません。
が、それでは実際に施工業者に見積もりを出してもらう際に、相場より高いのか安いのか判断がつきませんよね。
そこで、一般的な間取り変更の費用相場を挙げておきましょう。
表にまとめましたので、以下を参考にしてください。
もっとも高額なのはスケルトンリノベーションです。工事内容によりますが600〜1,200万円が目安になります。
スケルトンリノベーションとは、マンションの内装や設備などをすべて解体、コンクリートの「箱」のような状態に戻し、一から部屋をつくり直す方法です。
間仕切り壁や床材、天井材もすべて撤去されるため、間取りはほぼ自由に組むことができるのが利点です。
「大幅に間取りを変更したい」「他にはないオリジナルのレイアウトにしたい」といった希望がある方は、スケルトンリノベーションも検討してみてください。
2-2.工事内容別の費用相場
前項に挙げた以外にも、間取りの変更にはさまざまなプランが考えられます。
部屋をつなげて広くするのはもちろん、逆に間仕切りをして部屋を増やしたり、壁やドアの位置を移動して生活動線をスムーズにしたり、パターンは無限です。
そこで、おおよその費用目安になるように、工事内容別の費用相場もお知らせしておきましょう。
主な工事の費用相場は以下の通りです。
上記の費用を目安に、間取り変更の予算を考えてください。
マンションのリノベーションで間取り変更できない例
さて、前章ではスケルトンリノベーションであれば、「間取りはほぼ自由に組むことができる」と言いました。
が、「ほぼ」に当てはまらない、つまり自由に間取り変更できないケースもあるのです。
それは、以下の3つの場合です。
3-1.間仕切り壁を撤去できないケース
マンションの構造には、「ラーメン構造」と「壁式構造」の2タイプがあります。
実はこの「壁式構造」の場合、間仕切り壁を撤去できないケースがあるのです。
簡単に説明しましょう。
ラーメン構造は、柱と梁を中心に建物を支える工法です。
そのため、間仕切り壁を取り払っても構造上の影響はないため、すべて取り払ったスケルトンリノベーションもしやすいと言えます。
一方の壁式構造は、柱や梁ではなく「構造壁」と呼ばれる「壁」で建物を支えています。
外壁だけでなく、マンション各戸の室内にある間仕切り壁もまた、マンションを支える構造壁として機能している場合があるのです。
となると、その間仕切壁は構造上撤去できません。
ですから、もしこれから中古マンションを買って間取りの変更リノベーションを考えているなら、ぜひラーメン構造の物件を選びましょう。
特に低層マンションの場合は、壁式構造になっている可能性がありますので、事前に確認が必要です。
3-2.水回りを移動できないケース
キッチンや浴室、トイレなど、水回りの位置を移動したいと希望する方も多いでしょう。
ただ、水回りの移動が思うようにできない場合があるのです。
それは以下の3つのケースです。
- PS(パイプスペース)が室内にある
- 排水管に十分な勾配がとれない
- マンションの管理規約で禁止されている
では、それぞれどういうことか説明しましょう。
3-2-1.PS(パイプスペース)が室内にあるケース
マンションの間取り図を見ていると、「PS」と書かれた小さなスペースがある場合があります。
これは「パイプスペース」といって、マンションの縦方向に通っている給水管や排水管がまとめられているスペースです。
PS(パイプスペース)の内部
この配管は、縦に通っているために、スケルトンリノベーションの際にも移動させることはできません。
ただ、このPSに影響しない場所になら、水回りの移動も可能です。
また、マンションによってはPSが室外にあったり、玄関横にあったりする物件もあるので、それなら問題ないでしょう。
3-2-2.排水管に十分な勾配がとれないケース
マンション内には、PSの縦方向の給排水管だけでなく、もちろん横方向の給排水管も通っています。
このうち、水回りの移動で問題になるのは、排水管の勾配です。
というのも、排水管には汚れた水をスムーズに下に流すため、一定の角度の勾配がつけられています。
リノベーションで水回りを移動する際には、場合によってはこの排水管を横方向に長く伸ばす必要が出てきますが、あまり長く伸ばすと勾配がゆるくなってしまい、うまく排水できなくなってしまう恐れがあるのです。
ですから、水回りをあまり長い距離移動しようとすると、施工業者に「できない」と言われる可能性が出てきます。
ただし、その場合も可能性はあります。
床の高さを上げることで、床下の排水管に十分な勾配をつけられるかもしれませんので、施工業者とよく相談しましょう。
3-2-3.マンションの管理規約で禁止されているケース
また、マンションによっては管理規約の中に、水回りの移動や配管の移動を禁止する一文が入っている場合もあります。
そうなると、どんな形でも移動はできません。
いずれの場合も、事前に確認しておかないと、マンション購入後に「希望の間取り変更ができない」ということが発覚してがっかり……という結果になりかねません。
購入前に、十分に確認しましょう。
3-3.その他、管理規約で禁止されているケース
「3-2-3.マンションの管理規約で禁止されているケース」でも触れましたが、マンションの管理規約には、リノベーションやリフォームについての規定がある場合もあります。
たとえば、
▼フローリング材の材質制限、またはフローリングの禁止
→階下に音や振動が伝わりやすいものはNGです。
▼躯体に穴をあける、打ち込みをすることを禁止
→マンションを支える構造である躯体に手を加えることができません。
▼指定業者以外の出入り禁止
→管理組合などで指定した業者以外に工事してもらうことができません。
などの条項を定めたマンションがあるそうです。
規約の内容によっては、希望通りのリノベーションができなくなってしまいますので、こちらもマンション購入前にかならず確認しましょう。
マンションの間取り変更のポイント
では、前章の条件をすべてクリアして、希望のリノベーションができそうとなった場合、何か気をつけるポイントはないでしょうか?
間取りの変更で失敗しないためには、以下の3点は特に重視してください。
4-1.生活動線を確保する
「1-3.家事動線をスムーズにする」で、洗濯や買い物などの動線を考えたリノベーションが人気だと説明しました。
が、それだけでなく、家事動線も含めた生活全般の動線についても、よく考えてほしいのです。
たとえば、朝の時間帯はトイレや洗面所を利用する家族が多く、廊下が混雑したりかち合ったりしがちですよね。
また、夕方は母親が家事で忙しく行き来しているのに、帰宅した子どもたちも部屋を出たり入ったりして、お母さんのじゃまになることもしばしばでしょう。
いずれも小さなことですが、長く生活していくうちにストレスは蓄積されていくものです。
それを避けるためにも、リノベーションではスムーズな生活動線を確保することが重要です。
誰がいつ、どこで何をするか、どう動くかを整理して、家族全員のタイムスケジュールを間取り図の上に書き出していきましょう。
その上で、なるべくかち合わないように、スムーズに動ける間取りを考えてください。
4-2.冷蔵庫の位置を決めておく
キッチンや水回り、リビングの間取りを変更する際に、冷蔵庫の位置はとても重要です。
不便な場所に配置してしまうと、生活動線や家事動線が混乱してしまいます。
そこで、間取りを決める際にはあらかじめ冷蔵庫の位置も決めてしまいましょう。
実は冷蔵庫には、使いやすい理想的な位置を示した「キッチン・トライアングル」というフォーマットがあります。
それは、冷蔵庫とシンクとコンロが以下のような三角形を描いていれば、作業がしやすいというものです。
このような配置になるよう、冷蔵庫の位置と間取りを考えましょう。
4-3.寝室は水回りから離す
3つ目のポイントは、寝室と水回りをできるだけ離して配置することです。
というのも、水回りには夜中や早朝に稼動したり、モーター音が聞こえる家電があるからです。
たとえばキッチンでは、就寝前に食洗器をセットしたり、早朝のお弁当作りに間に合うよう、炊飯器をタイマーで仕掛けたりしますよね。
冷蔵庫のモーター音も、地味ですがずっと鳴っています。
また、洗濯機を朝早くに回したり、夜中に乾燥機をかける場合もあるでしょう。
そんなとき、寝室が水回りと近いと、家電が稼働する音や振動が聞こえてきて睡眠の妨げになってしまうかもしれません。
安眠を確保するためには、寝室と水回りは遠いほどいいのです。
マンションの間取り変更の注意点
ここまで、マンションの間取り変更リノベーションについて、知っておくべきことを解説してきました。
が、最後にもうひとつ、説明しておかなければならないことがあります。
それは、以下の3つの注意点です。
間取り変更に失敗しないためにも、忘れず気をつけてください。
5-1.間取り変更可能な物件を選ぶ
まず第一に、希望の間取り変更ができる物件を選ぶことが最優先です。
「3.マンションのリノベーションで間取り変更できない例」で挙げたようなマンションを避けるためには、事前によくよく確認する必要があります。
ただ、配管の位置や、管理規約で指定されたフローリング材など、素人ではわからないこと、判断できないことも多いでしょう。
そこで、建築家やリフォーム会社の担当者などにリノベーションの希望を伝えた上で、購入前に現地調査に同行してもらい、間取り変更の可否を判断してもらう必要があります。
または、物件選びから設計、施工までワンストップで請け負ってくれるリノベーション会社に依頼すると、こちらの要望をよく理解して動いてもらえるでしょう。
5-2.リノベーション済み物件の例をたくさん見る
マンションのリノベーションは、一生のうちにそう何回も繰り返すものではありません。
1回だけという人が多いでしょう。
そんな人にとってははじめての経験で、理想は高く夢が広がって、さまざまな希望を盛り込んだリノベーションプランを思い描いているはずです。
が、はじめてゆえに、「実際に希望通りにリノベーションしてみたら、思わぬところで使いづらかった」「生活してみると、もっとこうすればよかったということに気がついた」ということもままあるのです。
そんな残念な結果をできるだけ避けるには、たくさんのリノベーション物件を自分の目で見ることです。
リフォーム会社によっては、完成した物件の見学会を開いているところもあるので、積極的に参加しましょう。
また、各社のパンフレットを取り寄せたり、インターネットでリノベーション事例と体験談を調べる必要もあるでしょう。
それらの中から、気に入った部分、使いやすいアイディアなどは取り入れ、プランをブラッシュアップしていってください。
5-3.耐震性能を確認する
最近では、築30年、築45年といった古いマンションでも、おしゃれに使いやすくリノベーションできるため、気にせず購入する人も多いようです。
もしそういう物件の購入を考えているのなら、かならず耐震性能を確認してください。
というのも、実は1981年に建築法の改正があり、建築物の耐震基準が新しくなったためです。
1981年6月以前に建築確認された物件は「旧耐震基準」にのっとったものとして、それ以降の物件よりも耐震性能が低い可能性があります。
旧耐震基準、新耐震基準、そして2000年にさらに改正された現行の耐震基準は以下の通りです。
旧耐震基準のマンションの場合、耐震性能が劣ることも気になりますが、もうひとつ大きなデメリットがあります。
それは、住宅ローン控除を受けられないことです。
「住宅ローン控除(住宅ローン減税)」とは、リノベーションの際に住宅ローンを組むと、10年間にわたって毎年最大40万円までの控除を受けられる制度です。
非常にお得な制度なのですが、旧耐震基準の物件は、原則的にはこの対象外なのです。
ローンを組んでリノベーションをするのであれば、住宅ローン控除が受けられるかどうか、マンション購入前に耐震性能を確認するようにしてください。
まとめ
マンションの間取りリノベーションについて、知りたいことがわかったかと思います。
では、最後にもう一度記事の内容を振り返ってみましょう。
◎マンションのリノベーションで人気の間取り変更は、
- LDKを広くする
- キッチンを対面型にする
- 家事動線をスムーズにする
- 収納を増やす
- 和室を洋室にする
- 書斎や趣味部屋をつくる
- スケルトン天井にする など
◎マンションのリノベーションで間取り変更する際の費用相場は、
◎マンションのリノベーションで間取り変更できないのは、
- 壁式構造の場合、間仕切り壁を撤去できないケースがある
- 配管によって、水回りを移動できないケースがある
- 管理規約でリノベーションが禁止されているケースもある
◎マンションの間取り変更のポイント
- 生活動線を確保する
- 冷蔵庫の位置を決めておく
- 寝室は水回りから離す
◎マンションの間取り変更の注意点
- 間取り変更可能な物件を選ぶ
- リノベーション済み物件の例をたくさん見る
- 耐震性能を確認する
以上を踏まえて、あなたがマンションの間取りを満足いくリノベーションできるよう願っています!
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