2024.02.26 更新

住宅ローンはいくらまで借りてOK?年収別(300-900万円)表と夫婦合算の注意点

住宅ローンはいくらまで借りてOK?年収別(300-900万円)表と夫婦合算の注意点

「住宅ローンは年収の●倍まで借りられる」

住宅ローンに関してネットで調べると、このように借入可能限度額を教えてくれる情報がたくさんヒットします。

しかし、年収倍率から住宅ローンの借りられる額を計算するのはとても危険です。なぜなら、同じ年収でも家庭によって貯蓄や収支事情は異なるため「借りられる額」=「返せる額」とは限らないからです。

例えば、同じ年収でも独身と違って子供がいる家庭では、家族の人数が多ければ人数分の食費が必要ですし、子供には学費もかかります。また、個人の趣味一つ取っても、車好きと読書好きでは、趣味にかける金額も大きく異なります。

ですから、考えるべきは住宅ローンの支払える金額なのです。

住宅ローンの支払える金額は以下のプロセスで計算すべきだと考えています。

①自分の月収と毎月の貯蓄、支出額を調べて書き出す。

②「月収-貯蓄額-支出額」を計算する。
この計算結果の金額が住宅にかけられる1ヶ月あたりの金額です。

1ヶ月の支払額をもとに住宅ローンを計算する。

③で計算した結果が、あなたの「適正な」住宅ローン借入額となります。
※月々のローン支払額から住宅ローンの借入額を求める際は、ローンシミュレーションサイトなどが便利です。

重要かつ難しいステップは、間違いなく①の「自分の貯蓄、支出額を調べて書き出す」です。逆に言えば、①さえできれば、②と③の結果は自動的に決まります。(本記事では触れていませんが、もちろん③で金利や返済期間をどうするのかはとても重要です。)

そこで本記事では、住宅ローンについて調べ始めた方が自分の適正な住宅ローン借入額を自分で計算できるようになるための方法をお伝えします。

そのために、住宅ローンで失敗したA郎さんと、住宅ローンで成功したB助さんの事例を紹介し、住宅ローンをいくらまで借りられるか計算する際に大切なことを確認します。

適正な住宅ローンの借入額を知るとともに、自分が購入できる住宅の相場を調べる方法も紹介していますので、ぜひ参考にしてみてください。

最後まで読めば、住宅ローンで失敗しないための十分な予備知識が身に付くはずです!では早速、解説していきましょう。

Advisor

元銀行員 アドバイザー 鰭沼悟

[監修]宅地建物取引士/元銀行員

鰭沼 悟

宅地建物取引士、不動産投資家歴15年、元銀行員。不動産仲介からリノベーション設計・施工をワンストップで提供する株式会社grooveagent(ゼロリノベ)代表取締役。

Author

“【著者】ゼロリノベ編集部"

[著者]

ゼロリノベ編集部

元銀行員・宅地建物取引士・一級建築士が在籍して「住宅ローンサポート・不動産仲介・リノベーション設計・施工」をワンストップで手がけるゼロリノベ(株式会社groove agent)。著者の詳しいプロフィール

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(悲しい)住宅ローンシミュレーション!~32歳子供あり家庭のサラリーマンA郎さんの場合~

<スペック>
性別:男性
年齢:32
職業:サラリーマン(一般社員)
所得:400
世帯規模:既婚、子1

A郎さんは結婚して子供も生まれ、これまで住んでいた賃貸では手狭になってきたため、物件購入を検討しました。

A郎さん「東京に勤めているからエリアは都内で、できれば新築がいいな。都心は物件価格が高いけど、郊外なら3,000万円台もあるのか。住宅ローンはいくらまで組めるんだろう?」

疑問を持ったA郎さんはネットで調べ、最初にヒットしたサイトで「住宅ローンは年収の78倍まで組める」という情報を発見。他のサイトにも、年収400万円なら3,500万円が上限と書いてありました。

A郎さん「よーし、少し会社から距離はあるけど、3,500万円のローンを組んで、郊外の新築マンションを購入しよう!」

無事住宅を購入したA郎さんでしたが、月々のローンの支払いは10万円、マンションの管理費・共益費を含めると12万円でした。

A郎さん「給与の手取りが31万円で、生活費と子供の学費に20万かかっていたから、残りは11万円…。いまのままでは住宅に12万円支払うことができないから、生活費を切り詰めないとな…」

結果として、住宅購入によって貯蓄もできない、旅行するのも難しい暮らしになってしまいました。

借りられる額と無理なく返せる額は違う!適正な住宅ローン借入額の考え方

A郎さんのような事例は、住宅ローンを借りている方の多くの割合を占めています。なお、A郎さんの毎月の生活費などの支出額も、年収350400万円の家庭としては平均的な金額です。

人生において、住宅がすべてだ!という方なら良いのですが、この事例では気軽に外食や家族旅行ができないばかりか、病気や怪我など万が一への備えもしづらいのが現実です。

どのくらいの金額であれば適正だったのかを知るには、まず「返済比率」という考え方を知る必要があります。

返済比率とは、年収に対して占める住宅ローンの返済の割合のことです。
一般的に銀行の住宅ローン審査では、返済比率年3035%が借りられる額の限度です。

年収別に見てみましょう。

年収 返済比率35%
300万円 2,725万円
400万円 3,633万円
500万円 4,541万円
600万円 5,450万円
700万円 6,358万円
800万円 7,266万円
900万円 8,175万円

(借入期間35年、金利1.8%で計算)

年収400万円のA郎さんは3,600万円程度ですから、借りられる額の範囲内ではあります。

ですが、これでは生活が厳しくなってしまうのは先程ご紹介したとおりです。

大切なのは、いくらなら自分たちが余裕を持って返せるのかです。

最初にご紹介したとおり月々の支出・貯蓄を計算し、住宅にかけられる月々の金額を求めることから始めなければならないのですが、ざっくり言えば返済比率20%が「無理なく払える額」の目安になります。

年収 返済比率35% 返済比率20%
300万円 2,725万円 1,557万円
400万円 3,633万円 2,076万円
500万円 4,541万円 2,595万円
600万円 5,450万円 3,114万円
700万円 6,358万円 3,633万円
800万円 7,266万円 4,152万円
900万円 8,175万円 4,671万円

もちろん返済比率20%よりやや多く払える人もいれば、20%以下にすべき人もいます。20%を目安として自分に適切な返済額を計算できればOKということです。

ただし、自分たちの考えがまとまった段階で、信頼できるファイナンシャルプランナーに相談することをおすすめします。自分たちだけでは現在の支出はわかっても、将来の支出まで見込むことは難しいからです。子供が増えるかもしれませんし、学費も私立か公立かで大幅に変わります。万が一の病気や事故にいくら備えておけばいいのかも知っておくべきでしょう。

ファイナンシャルプランナーの方は、自分たちの経験や統計データから、試算に必要な数字を算出してくれます。自分たちだけでは気づけなかった将来的な支出を見込んだ住宅ローンなら、より安心できるはずです。相談無料のファイナンシャルプランナーも大勢いますから、ぜひ利用してください。

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(楽しい)住宅ローンシミュレーション!~32歳子供あり家庭のサラリーマンB助さんの場合~

<スペック>
性別:男性
年齢:32
職業:サラリーマン(一般社員)
所得:400
世帯規模:既婚、子1

A郎さんと同じスペックのB助さんを見てみます。B助さんも東京勤務で当初は都内の新築物件を検討していましたが、まずは家計の支払額をもとに、収入のどの程度を住宅ローンに回せるか計算しました。

B助さん「年収の20%くらいだな。少し住宅にかけるお金は少なくなるけれど、これなら毎年旅行に行く程度には余裕があるし、子供の習い事も無理なくさせてあげられそうだ。」

予算が決まったB助さんが物件を調べると、新築にこだわらなければ2,000万前後で中古マンションが購入できることがわかりました。

B助さん「多少古くても立地がいいし、リノベーションやリフォームをすれば新築と変わらない住まいで暮らせそうだ。月々のローン返済額は7万円で、管理費・共益費を含めると9万円ほどか。月々2万円は余裕ができるな。」

B助さんは毎年家族で温泉旅行をして、将来に備えて十分な貯蓄もできる、お金に縛られない自由な生活を手に入れました。

収入が足りなくてペアローン や収入合算するのは大丈夫?

自分にとっての適正なローン金額をどう導き出すのかはご理解いただけたでしょうか。

予想していたよりも低い予算額になってしまう、という方も多いかもしれません。収入が足りず希望の物件に手が届かないという場合は、「収入合算」や「ペアローン」という方法もあります。

<収入合算とは>

住宅ローンを組む際に、夫婦や親子など近親者がお互いの収入を合算した金額でローンを組むこと。その際、名義人はローンを借り入れる契約者1名のみとなります。

<ペアローンとは>

夫婦それぞれに収入がある場合などに、同じ物件に対して個別に独立したローンを組むこと。その際、ローンを借り入れた人それぞれが名義人となります。

どちらの手法も、ローンの借入額を増やすことができるのがメリットです。

ただし、この方法はおすすめしません。

例えばご夫婦の場合なら、妻が妊娠・出産で休職し収入がなくなるなど、なんらかの理由でどちらかの収入が途絶えると、一人では到底借りられない額のローンを背負うことになってしまうからです。

それでもどうしても借入額を増やしたいという場合は、自分たちだけで「返せるだろう」と楽観的に判断せず、やはりお金の専門家であるファイナンシャルプランナーなどに事前相談し、よく返済計画を練ってから決めるようにしてください。

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まとめ

B助さんは理想の住まいに対して多少の妥協はしましたが、幸せな生活を手に入れることができました。

住宅は一生に一度の買い物だから一切妥協はしたくないという考えであれば、A郎さんのように理想を求めて住宅ローンを組むのも一手ではあります。ただ、その先に待っているのは35年という長期間のローンに縛られた不自由な生活です。

人生には病気や事故などによる金銭状況の変化だけでなく、転職や転勤など、生活環境の変化もあります。現時点では予想できない事態に備えて十分な金銭的余裕を持った生活を送ることをおすすめします。

返済比率20%前後で無理なく住宅購入をする場合にどんな物件を選べるのかを知りたい方は、中古マンション相場について説明しているこちらの記事をご覧ください。

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