2023.01.10 更新

そのマンション管理費、あなたにとって適正価格?判断方法を徹底解説!

マンション 管理費画像

管理人の人件費や清掃費用、共用部分の光熱費など「マンションの日常的な維持管理をするための費用」を指す「マンション管理費」。1戸あたりのマンション管理費の平均月額は15,956円(国土交通省/平成30年度マンション総合調査結果)とされ、マンション購入者にとっては毎月の家計負担となります。そのためマンション購入に際しては、「できるだけ管理費が安い物件がいい」と思う人が多いようです。

しかしマンション管理費は、安ければ良いというわけでもありません。なぜなら、マンションは「管理を買え」と言われるほど建物の状態や管理状態が大切であり、管理費は物件の資産価値を左右する重要な要素であるからです。

マンション購入に際しては、管理費が、マンション、そして自分にとって適切かどうかで判断するべきです。この記事では、管理費の適正価格の見極め方を詳しく解説していきます。

最後まで読めば、管理費についての正しい知識が身につき、納得のいく物件購入ができるでしょう。

Advisor

元銀行員 アドバイザー 鰭沼悟

[監修]宅地建物取引士/元銀行員

鰭沼 悟

宅地建物取引士、不動産投資家歴15年、元銀行員。不動産仲介からリノベーション設計・施工をワンストップで提供する株式会社grooveagent(ゼロリノベ)代表取締役。

Author

“【著者】ゼロリノベ編集部"

[著者]

ゼロリノベ編集部

元銀行員・宅地建物取引士・一級建築士が在籍して「住宅ローンサポート・不動産仲介・リノベーション設計・施工」をワンストップで手がけるゼロリノベ(株式会社groove agent)。著者の詳しいプロフィール

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マンションの管理費とは?修繕積立金との違い

そもそもマンションの管理費とは何なのでしょうか。ここでは主に分譲マンションにおける管理費について解説します。

1-1. 管理費とはマンションの日常的な維持管理費用

管理費とは、一言で言うと「マンションの(主に共有部)日常的な維持管理をするための費用」のことです。

分譲マンションの日常管理にかかる費用には、具体的に以下のようなものがあります。

  • 常駐している管理人がマンションを清掃・管理・保全するための費用
  • 共用部分(廊下や駐車場、庭、エレベーターなど)の電気代や水道料金
  • 共用部分の電球を交換するための費用
  • ゴミを処分するための費用
  • 常駐している管理人の人件費
  • エレベーターや貯水槽、給排水設備などの保守点検費用
  • 共用部分の火災保険やその他の損害保険の保険料

マンションの管理費は、これらの管理の対価として、マンションの部屋の持ち主が修繕積立金などと一緒に口座振替などで支払うのが一般的です。お金の管理は不動産管理会社に一任されるケースが多く、そこから委託された管理会社が日常の管理業務をおこないます。

1-2. マンション管理費と修繕積立金の違い

管理費は修繕積立金と合わせて支払うケースが多いため、両者の違いがあいまいな方もいるでしょう。ここでは両者の違いを解説します。

管理費が日常的な維持管理の費用なのに対して、修繕積立金は「長期的な積立金」と考えるとわかりやすいでしょう。毎月支出はせず、修繕が必要になった場合や10~15年ごとにおこなう大規模修繕のために積み立てておくものです。大規模修繕には数百万円単位の費用がかかるため、一度の負担が大きくならないよう、少しずつ資金を積み立てておきます。

毎月積み立てた修繕費は、以下のような場面で使われます。

  • 10〜15年ごとに行われる大規模修繕の費用
  • 外壁の改修工事
  • 屋根、屋上の防水改修工事
  • 外装、内装、階段の手すりなどのペンキ塗り替え
  • 敷地内駐車場や駐輪場の補修、増設費など
  • 給排水管の取り替え工事費
  • 受水槽の取り替え工事費
  • 台風、地震など自然災害による損傷の修繕工事費
  • 集合ポストの取り換え
  • その他、共用部分の変更や共用設備の更新、改修工事

マンションの修繕費や大規模修繕についてもっと詳しく知りたい方は、マンションの修繕費について書かれたこちらの記事をご覧ください。

1-3. マンション管理費を払うメリット

マンション管理費を払うと、マンションが適切に管理されるのはもちろん、実は住民にとって大きなメリットがあります。それは、管理費によりマンションの共用部分や外観がきれいなまま適切に保たれ、マンションの資産価値を維持できるようになることです。

管理費がかからない自主管理のマンションでは、共用部分を清潔に保つことや適切な補修が難しく、老朽化が想像以上のスピードで進んでしまいかねません。いつか分譲マンションを売却する日が来るかもしれないことを考えると、管理費によって適切に管理され、資産価値が下がりにくいマンションを選ぶほうが良いでしょう。

1-4. マンション管理費の金額の決め方

マンション管理費がいくらになるかはケースバイケースですが、家賃の5%程度に設定されるのが一般的とされています。管理費の6〜7割は管理会社に支払われる委託業務費に、残りが共用廊下やエントランス、エレベーター、自動ドア、駐車場などの光熱費や水道代、保守点検費用などに充当されることが多いようです。

そのためコンシェルジュサービスなど24時間管理人が複数常駐しているマンションや、共用部分が充実しているマンションだと管理費は高くなる傾向があります。

また専有面積(それぞれが所有する生活スペース)の広さによって共有部分の持分が配分されるため、同じマンション内でも区分所有者によって管理費は異なります

例えば同じマンションで広さが30㎡の部屋と60㎡の部屋の管理費を比べると、後者は管理費も倍になるのが一般的です。

マンション管理費の相場

国土交通省が発表した「平成30年度マンション総合調査結果」によると、1戸あたりのマンション管理費の全体平均は、月額15,956円です。(なお同調査では、いわゆる管理費の他に専用庭や駐車場の使用料も含む)

全体平均に対して「タワーマンションの管理費は高い」「戸数が少ないマンションは高い」などいくつか特徴があるため、エリア別や戸数別、階数別に詳しく紹介します。購入を検討しているマンションの管理費が、相場よりも高いのか低いのかを見極めるための参考にすると良いでしょう。

2-1. エリア別のマンション管理費平均

下表はマンション管理費の平均相場を地域別にまとめたものです。

【エリア別】マンション管理費平均

参考:国土交通省「平成30年度マンション総合調査結果」管理組合向け調査の結果 p.176

北陸・中部地方が16,947円で最も高く、中国・四国地方は14,590円と全国で唯一15,000円を下回っています。全国的に見ても、おおむね15,000円〜16,000円程度と、エリア別の差異は小さいことがわかります。

2-2. 【完成年次別】マンション管理費平均

続いてマンションが完成した年ごとに管理費を見ていくと、新しく建てられたマンションのほうが管理費は高いことがわかります。

【完成年次別】マンション管理費平均
参考:国土交通省「平成30年度マンション総合調査結果」管理組合向け調査の結果 p.177

マンションの管理費平均は、昭和44年以前に建てられた築50年以上のマンションでは1万円程度ですが、平成6年以降築のマンションについては約1.5万円程度となり、平成27年以降に建てられたマンションになると2万円程度と、およそ2倍の差が付いていることがわかります。

築年数が新しいほど管理費の平均相場が高い理由としては、電気代や水道代、火災保険料などが年々上がっていること、管理人などに支払う人件費が増加していることなどが考えられます。

また、設備が充実した大規模マンションや住民へのサービスが手厚いマンションが増えたことにより、管理費が高額なマンションが増え、全体の管理費平均を押し上げている側面もありそうです。

2-3. 【総戸数別】マンション管理費平均

次に、総戸数別に見たマンション管理費の平均相場を見てみましょう。

【総戸数別】マンション管理費平均参考:国土交通省「平成30年度マンション総合調査結果」管理組合向け調査の結果 p.175

これを見ると、管理費1.5万円~1.7万円程度が多いなか、20戸以下の規模のみ約1.9万円と高くなっていることがわかります。

総戸数が20戸以下など小規模なマンションは、管理費を少ない戸数でまかなわなければならないため、どうしても管理費の相場が高くなりがちです。一方、大規模マンションは、母数が大きくなるため管理費は低くなる傾向があります。

ただしタワーマンション型の物件は、低層マンションと違った設備が必要となるため管理費も高くなりがちです。また機械式駐車場があるマンションも、そのメンテナンスに費用がかかることから管理費が高くなる傾向があります。

2-4. 【階数別】マンション管理費平均

最後に、階数別の管理費を比較しましょう。

【階数別】マンション管理費平均参考:国土交通省「平成30年度マンション総合調査結果」管理組合向け調査の結果 p.176

単棟型の平均の管理費は約1.6万円ですが、20階建以上だけ約2.5万円と突出しています。この結果からも、いわゆるタワーマンション型の物件は管理費平均が高いことがわかります。

ただし上階であればあるほど管理費も高くなるというわけでもありません。4〜5階建が16,892円であるのに対し、6〜10階建は15,307円と上階の方が管理費が安くなっています。

20階以下の場合には、階数によって管理費にどれくらい違いがあるのかは管理会社や不動産会社に問い合わせてみると確実でしょう。

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購入前に知っておこう!管理費が高いマンションの特徴

ここからは、管理費が高いマンションにはどんな特徴があるのかを紹介します。

3-1. 総戸数が20戸以下などの小規模マンション

総戸数が20戸以下など、戸数が少ないマンションは管理費が高くなる傾向があります。

2-3. 総戸数別のマンション管理費平均(戸数が20戸以下は高い)」で紹介した調査結果でも、戸数別に見た管理費平均は1.5万円~1.7万円程度が多い中、20戸以下の規模のみ約1.9万円と高くなっていました。

戸数が少ないマンションの管理費が高いのは、維持管理費用を少ない戸数で負担しなければならない事情があるからです。

例えば40戸のマンションと20戸のマンションがあり、どちらもエレベーターが1基設置されているとします。その管理費用を40戸で負担するのと20戸で負担するのでは、負担額に差が出るのは分かりますよね。

同様に、管理人の人件費や、設備の清掃代、警備料金など、マンションの大きさで費用があまり変わらないものが他にもあるため、戸数が少ないマンションは必然的に管理費が高めになってしまうのです。

3-2. タワーマンション(20階建て以上)

20階建て以上のタワーマンションは、それ以下の高さのマンションと比べると管理費が高くなりがちです。

2-4. 階数別のマンション管理費平均(20階以上は高い)」で紹介した調査結果でも、19階建て以下の管理費平均は1.4万~1.7万円程度なのに対し、20階建て以上のマンションでは約2.5万円と出ています。

なぜタワーマンションの管理費が高くなるかというと、高層建築物ならではの設備があるからです。

消防法により、高さ31m以上の建築物(15階建て以上など)には非常用エレベーターの設置が、そして高さ100m以上の建築物(30階建て以上など)にはヘリポートの設置が義務付けられています。こうした設備を保全・整備するための維持費がかかるため、高層マンションの管理費は高くなるのです。

さらにタワーマンションは、入居者向けの設備やサービスが充実していることが多く、それらを運営する維持費もかかります。

例えば受付にコンシェルジュが常駐していたり、24時間利用できるフィットネスクラブがあったり、居住者向けのパーティールームが完備されていたりと、タワーマンションの住人はさまざまな恩恵を受けられるので、管理費が高くなるのもうなずけますよね。

安すぎても危険!マンション管理費が適正価格か判断しよう

ここまで読むと「管理費が高いマンションは敬遠した方が良いのかな…」と考える方もいるのではないでしょうか。

しかし重要なのは、管理費が、マンションに対して適正価格となっているかどうかです。これから分譲マンションを購入しようとしている方は、ぜひ購入前にマンション管理費が適正かどうか、以下の方法でチェックしてみてください。

4-1. 管理費の平均相場と比べてみよう

まずは「2. マンション管理費の相場」で紹介した、エリア別・完成年次別・総戸数別・階数別のマンション管理費相場で、該当する項目と比較してみましょう。

平均相場よりも管理費があまりに高い場合は、なにか理由があるはずなので、不動産会社に確認する必要があります。なお、管理費の平均相場(月額15,956円)は分譲マンションの平均的な間取りである3LDK、広さにして60~70㎡を想定した金額です。

また、あまりに管理費が安い場合も注意が必要です。日々の維持管理がマンションの資産価値を保全することにつながるため、管理費が安い場合は長期的な目で見るとデメリットになるかもしれません。

自分で見極めるのが不安だという方は、プロの手を借りるのも一つの選択肢です。ゼロリノベでは、適正な管理費でしっかり管理されている分譲マンションを紹介していますので、ぜひ気軽にお問い合わせください。

4-2. マンション管理の内容を確認してみよう

マンション管理費が適正であるかを判断するには、維持管理の内容確認も必要です。

管理費が高額なマンションは、管理人が24時間常駐していたり、共有部分の設備が充実していたり、居住者向けサービスが手厚い傾向があります。平均相場と比べて管理費が高くても、納得する理由が見つけられるなら受け入れることができるでしょう。

管理費が高い理由が見つからない場合は不動産会社の担当者に訊ねてみてください。不当に費用が高い場合は購入を見送ることも考えたほうが良いかもしれません。

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大事なのは自分にとって適正価格かどうか

マンションに見合った適正価格かどうかだけでなく、そもそも自分や一緒に暮らす家族にとって適正価格かどうかも大事です。ここでは自分たちにとって適正かを見極める方法を紹介します。

5-1. そのマンション管理費で賄われているサービスを求めているか

まずは、マンション管理費で賄われているサービスが、自分たちに必要なものかを考えましょう。

例えばタワーマンションに付いているフィットネスジムやプールなどの豪華な施設を使わない、コンシェルジュに頼む用事が思い当たらないのであれば、使わない施設やサービスの利用料を毎月払うことになるため、あなたにとってそのマンション管理費は適正価格ではありません。

不要な施設がないマンションを探したほうが、購入費も管理費も抑えられるでしょう。

5-2. ローン返済+管理費+修繕積立金の合計で判断しよう

マンション購入後には、管理費だけでなくローン返済と修繕積立金も毎月支払う必要があります。場合によっては、駐車場代や町内会費なども発生するかもしれません。

マンション選びに際しては、管理費が高いか低いかだけではなく、これらの合計額を算出し、毎月払っていくことで家計を圧迫しないかどうかを冷静に判断することが必要です。

マンション管理費についてのよくある質問

ここからは、マンション管理費についてよくある質問にお答えします。

6-1.マンション管理費は値上がりすることもある?

【回答】あります。

具体的には、以下のようなケースで管理費の値上がりが考えられます。

宅配ボックスを新設するなど、管理する設備が増えた
日常的に補修が必要なものの補修費用が値上がりした
マンションが加入している保険料が値上がりした

マンション管理を委託している管理会社が変更になったときにも、管理費が値上がりする可能性があります。

6-2.マンション管理費の値上げは拒否できる?

【回答】原則として拒否することはできません。

ただし、管理費の変更や委託管理会社の変更について通常総会で議題に上がった場合に、反対することはできます。その場合、賛成が過半数(場合によっては4分の3以上)を超えなければ否決され値上げを回避できますが、決議で値上げが確定した場合は払わなければなりません。

また値上げ案は、適切な管理に必要な金額を理事会で算出したうえで、総会の議題に出されているはずです。反対せずに受け入れたほうが、長期的に考えるとメリットとなるでしょう。

6-3.マンション管理費の滞納者がいるマンションは危険?

【回答】危険とは言い切れませんが、注意が必要です。

実はマンション管理費の滞納は珍しいことではなく、国土交通省が発表した「平成30年度マンション総合調査結果」によると、実に24.6%のマンションで管理費滞納者がいることがわかっています。

基本的に、滞納者の割合が多いマンションは避けるのが無難です。何人も滞納者がいると「私も払わなくていいや」という人が増えて滞納額がふくらみ、維持管理に必要な費用が足りなくなる恐れがあるためです。

マンションを内覧する際に、管理費の滞納状況を確認しておくと安心でしょう。

6-4.マンション管理費を滞納するとどうなる?

管理組合から電話や内容証明で督促される。それでも支払わないと悪質滞納者扱い

【回答】マンション管理組合から電話や内容証明で督促されることになります。

マンション管理費を滞納している入居者住人に対してはがいる場合、管理組合が滞納者に電話で督促をおこな行い、それでも滞納が続く場合は内容証明で支払いを請求するのが一般的でします。

その後もそれでも支払われない場合は、悪質な滞納者として、口座の差し押さえや競売によって滞納分を回収されすることもあります。

6-5.マンション管理費が高いと売却しづらいの?

【回答】管理費が高いと売却しづらい可能性があります。

マンション管理費は、月々の家計の負担となるものです。さらに、ローン返済額や修繕積立金もかかるので、あまりに管理費が高いとマンションの購入を敬遠されてしまう可能性があります。

管理費の高さに見合った維持管理やサービスがおこなわれているかなど、納得感を得られるかどうかが大切です。

6-6.マンション管理費は老後も払い続けないといけない?

【回答】住んでいる限り、払い続ける必要があります。

住宅ローンを返済し終わっても、マンションに住んでいる限り管理費はかかります。その理由としては、ここまで説明した通り、マンションを維持管理するために必要なコストだからです。

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まとめ

管理費はマンションの維持管理に欠かせない費用です。管理がずさんなマンションは物件価値を損ない、将来マンションを売却する際に価格が大幅に下がる危険性があります。適正な管理費を徴収して維持管理しているマンションを選ぶことが、結果的に自分のためになることを覚えておきましょう。

とはいえ、マンションの購入後には管理費以外に修繕費、そして住宅ローンも支払わなければなりません。自分たちの今の収入でいくらまでなら月々負担できるのかを考えることが大切です。

物件購入からリノベーションまでをワンストップでサポートするゼロリノベでは、ファイナンシャルプランナーが現在の状況だけでなく、将来的なライフプランも考慮した資金計画を立てるお手伝いをしています。

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