お金を把握 2020.07.06 更新 | 2019.04.14 公開
【住宅ローン】転職は「借りてから」が安全圏!退職する人の対処法も解説

住宅ローンを組む場合、転職のタイミングは融資が実行されてからにしないと問題が起きます。
この記事では、住宅ローンを考えている人の適切な転職タイミングと審査中に転職した場合のリスクや転職後に年収が下がる場合の対処法、転職したてでも審査に通るケースについてまとめました。
目次
転職はいつから?「融資実行後」が安全圏
転職を考えているけれど、家を購入するために住宅ローンを組む予定があるという人は、どのタイミングなら転職をしても安全か知っておくことが重要です。住宅ローンは一般的に以下のような流れで行われます。
①事前審査(3~7日程度)
②本審査(1~2週間程度)
③住宅ローン契約(金銭消費貸借契約)
④融資実行
もし転職をこの流れの中で行うとしたら、融資実行後が安心です。住宅ローンの契約の前に転職をしてしまうと、本審査の内容と相違があるため、契約することができなくなります。
融資が実行された後なら、支払いが滞ることなどがない限り、金融機関が何か言ってくることはありません。
というのも、ローン契約は「要物契約」と呼ばれるものだからです。
要物契約は、契約に必要なものを相手に引き渡した時点で成立します。住宅ローンの場合も、融資の実行をもって契約締結が完了したことになります。
つまり、本審査が通ったあとや住宅ローン契約後に状況が変わり、「やはり貸せない」ということになっても融資前=厳密には契約が結ばれる前のことなので、破棄することができるのです。
本審査に通ったから、住宅ローン契約を結んだから、と転職するのは極力避けましょう。
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住宅ローン審査中の転職はなぜバレてしまうのか
「黙っておけば転職したことはバレないのでは?」と思う人もいると思いますが、実はある必要書類によってあっさりバレてしまいます。
それが健康保険証。
事前審査と本審査の際に必要な書類に健康保険証が含まれるのは、「資格取得年月日」を確認するためです。この日付によって、入社した日がわかるようになっています。
金融機関は申し込みの際に提出した書類の勤続年数と健康保険証上の日付に違いがないかを確かめます。転職をすると保険証が変わりますし、もちろん「資格取得年月日」も新しい会社に入社した以降の日付です。他のものでごまかせたとしても、健康保険証によって転職が判明してしまうということです。
「小さいリスクで家を買う方法」はこちら住宅ローン審査中の転職2つのリスク
では、実際に転職をした場合住宅ローン審査ではどんなリスクが発生するのでしょうか。大きくは2つです。
3-1.再審査になり勤続年数が足りず住宅ローン審査が通らない
転職直後の場合、当然ながら勤続年数は1年未満です。銀行の住宅ローン審査には、最低勤続1年は必要とされており、最初の段階でつまずく可能性があります。
また、転職したてのときは年収が確定していない状態です。ローンの審査時は毎月の給料に12ヶ月分掛けた金額で年収を算出しますが、ボーナスを含めることができません。そのため、年収が低く見積もられ、借り入れたい金額から減額される可能性も出てくるのです。
3-2.売主に違約金を支払うリスク
住宅購入の流れとして、ローンの本審査まで進んでいる段階であれば、売主との売買契約締結も既に行われています。転職を理由にしてローンの本審査が通らず融資が受けられないとなれば、売買契約は不成立になります。
「そんなときはローン特約によって契約を解約すれば済むだろう」。そう考えているのであれば要注意です。
実はローン特約は、転職や会社を辞めることを理由とした解約はできません。転職によって住宅ローンの審査に通らず、資金を用意できない場合は違約と判断されます。そのため、契約書に従って違約金を支払わない限り、解約することができなくなってしまうのです。
金融機関への住宅ローン返済中の転職申告について
住宅ローンの返済中に転職をしたら、住宅ローンを組んだ金融機関に報告する必要があります。この旨は、住宅ローンの契約約款に記載されているはずです。
もちろん、特に返済に滞りがないのであれば問題ありませんし、勤務先が変わったからといって住宅ローンの返済中に融資額が減るといったことはありません。銀行側が何か言及してくることは無いでしょう。
ただし、転職によって年収が減少し、返済が苦しくなってしまう可能性はゼロではありません。もしも返済に不安が生じてしまったとすれば、早めに銀行側に相談し、返済プランの見直しが必要です。
「小さいリスクで家を買う方法」はこちら住宅ローンが通る転職理由はあるのか
転職直後だからといって必ずしも住宅ローンが通らない訳ではありません。一般的には1~3年の勤続年数が必要と言われていますが、勤続半年の人でも住宅ローン審査に通るケースがあります。
銀行側は、ローンを借り入れようとしている人がどのような転職をしてきたのかを判断するため、「転職歴」をチェックします。そしてその際には、以下のようないくつかのポイントに着目しています。
スキルアップ
転職がスキルアップのためであれば、転職先に継続的に勤める可能性が高く、年収アップも十分に考えられます。今後転職するとしても、スキルアップのための可能性が高く、安定した収入を得やすいとみられるため印象が良くなります。
一貫性と将来性
以前の仕事と転職後の仕事の業界や業種に一貫性があるかどうかも重要です。同じ業界の転職なら、スキルやノウハウを活かしてスキルアップできる可能性が高いので、安定した収入を得やすいと判断されることが多いでしょう。全く違う業界への転職は基本的に悪印象です。特に転職のスパンが短かったり、年収が大きく下がっていたとしたら、銀行側も融資に不安を覚えます。
グループ会社や関連会社への転職
会社の規模にも左右されますが、以前の勤め先のグループ会社や関連会社への転職は、そもそも転職ではないと判断されるケースがあります。
士業への転職
弁護士や公認会計士などの士業への転職の場合は、一定の収入が見込まれるため悪印象とはならない可能性が高いでしょう。ただし同じ士業でも独立する場合は、年収の面での不確定要素が多くなるため注意が必要です。
年収の推移
転職後も安定的な年収で推移していることが大切です。たとえスキルアップのための転職だったとしても、実際の年収が大幅に下がっていたり、転職スパンそのものが短ければ銀行の審査は厳しくなります。
転職で年収が下がる場合の対処方法
ローン審査を終え、実際に融資実行も完了すれば転職しても問題はありません。ですが、転職したことによって、返済中に収入が減少してしまった時は当然返済が苦しくなりますから、なんらかの対応が必要です。
いくつか方法はありますが、預貯金など手元資金に余裕があるなら繰上げ返済を行うことも一つの方法です。繰上げ返済をして毎月の返済額を減らせば、年収が減ったとしても負担を凌ぐことができるでしょう。
また、返済期間を延長するという方法もあります。借り入れた当初と状況が変わった場合、金融機関で返済額の変更に応じてもらえる可能性もあります。ただ、返済期間を延長すると利息が上がり、総返済額も増えてしまうので注意が必要です。また、35年でローンを組んでいる場合は延長できないことが多いので、まずは契約を結んでいる金融機関に相談してみましょう。
まとめ
近々住宅ローンを組んで家を購入しようとしている人で、転職も考えている人は、以上のことを頭に入れてから最適なタイミングで転職しましょう。特に、融資が実行されていない段階での転職は注意が必要です。家の購入も転職も大事なことなので、後悔しないようになるべく計画的に行いたいですね。
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