2021.09.20 更新 2021.09.14 公開
「壁付きキッチン」とは?向いている人や取り入れ方を解説

壁付きキッチンとはその名のとおり、正面が壁についているタイプのキッチンです。
最近ではアイランドキッチンなどのおしゃれな対面式キッチンにやや押されてはいるものの、空間を効率よく使える壁付きキッチンは、今でも幅広い世代から根強い人気があります。
しかし、壁付きキッチンにも使う人によって向き・不向きやデメリットがあり、必要な対策をとらなければ使い始めてから後悔してしまうかもしれません。
そこでこの記事では、物件の購入やキッチンのリフォーム・リノベーションを検討している方に向けて、
- 壁付きキッチンのメリット・デメリットと対策
- 壁付きキッチンのあるLDKの間取りや取り入れ方
- 壁付きキッチンに向いている人と取り入れる際のポイント
を解説します。
ご自分にぴったりなキッチンのレイアウトを判断するのに、ぜひ役立ててください。
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壁付きキッチンとは?
壁付きキッチンとは、正面が壁についているタイプのキッチンのことです。
リビングやダイニングの一角に壁に向かって設置された壁付きキッチンは、昔から日本の多くの家で採用されているため、「実家の台所がこの間取りだった」となじみのある方もきっと多いでしょう。
調理は壁に向かって行い、調理をしている人の背面はダイニングテーブルやリビングなどのスペースになります。
さらに壁付きキッチンはレイアウトによって、「I字型」「L字型」「独立型」の3種類に分かれています。それぞれの特徴をみていきましょう。
1-1.I字型・壁付きキッチン
「I字型・壁付きキッチン」は、シンプルに壁一面に沿って、アルファベットの「I」の字のように一直線に配置した壁付きキッチンのことです。
壁一面を効率よく使えるレイアウトで、シンク・調理台・コンロを壁に沿って1列に配置し、さらに両サイドに冷蔵庫や食器棚を設置するケースが多いです。
下の写真のように、壁に沿って横に長く動線をとれるのが「I字型・壁付きキッチン」の特徴です。
1-2.L字型・壁付きキッチン
「L字型・壁付きキッチン」は、壁2面に沿って、アルファベットのLの字のように配置した壁付きキッチンのことです。
下の写真のように、壁1面にシンク、対角90度にあたるもう1面の壁にコンロを配置してL字型にするのが一般的なレイアウトです。この配置ならシンクとコンロの動線が短くなり、行き来がしやすくなります。
また壁2面を使うため、作業スペースや収納スペースを多く確保できることも「L字型・壁付きキッチン」の魅力です。
1-3.独立型・壁付きキッチン
「独立型・壁付きキッチン」は、リビング・ダイニングとは独立したスペースに配置した壁付きキッチンのことです。
下の写真のケースではリビング・ダイニングの奥に3畳ほどの独立したキッチンスペースがあり、窓に面した壁側にキッチンを配置し、背面にパントリーや冷蔵庫を置いています。
「独立型・壁付きキッチン」は、リビング・ダイニングと入口でつながっているため、独立した空間でありながらリビングやダイニングの様子はしっかりと感じ取れます。また小さい子やペットがキッチンに入らないよう、入口に突っ張り式のゲートを設置することも可能なレイアウトです。
対面式キッチンとは?壁付きキッチンとの違いは
キッチンのレイアウトには「壁付きキッチン」の他に、「対面式キッチン」もあります。
「対面式キッチン」とは、リビングを向いて作業するタイプのキッチンのことです。開放的な空間を演出できることと、おしゃれなイメージから近年人気が高まっています。対面式キッチンには、シンクやコンロの配置によって数種類のレイアウトがありますが、代表的なものは「ペニンシュラキッチン」と「アイランドキッチン」の2つです。
対面式キッチンと壁付きキッチンとの違いは「どこを向いて料理をするか?」という点にあります。壁付きキッチンが壁や窓に向かって料理をする一方で、対面式キッチンはリビングやダイニングを向いて料理をします。
ご自宅のキッチンのレイアウトを考える際には「壁付きキッチン」と「対面式キッチン」のうち、どちらかを選択することになります。
ご自分に合ったキッチンのレイアウトを選べるよう、それぞれの特徴や違いを理解しておきましょう。 |
壁付きキッチンのメリット
壁付きキッチンにはたくさんのメリットがありますが、「部屋を無駄なく、効率よく使えること」が最大のメリットと言えます。
まず壁付きキッチンは、必要最低限のスペースで設置できます。その名のとおり壁にくっついているので、壁際からシステムキッチンの奥行約70cm分というわずかなスペースを確保できれば、機能的なキッチンが作れます。
残りの空間は住む人のニーズに合わせて、幅広い用途で使うことができます。広々としたスペースを使って、ダイニングテーブルやソファを置くのはもちろんのこと、座卓を置いて冬はコタツ布団をかけるなど季節に合わせた使い方もできるでしょう。
このように壁付きキッチンは必要最低限のスペースですっきりと設置でき、残りのスペースは広々として使い方は自由自在なので、「ここは料理だけ」「ここはくつろぎだけ」といった限られた用途にしか使えないスペースが少なくなります。まさに無駄なく、効率良く使えるキッチンレイアウトと言えるでしょう。
壁付きキッチンのメリットをさらに具体的にみていきましょう。
3-1.リビング・ダイニングを広くとれる
壁付きキッチンを活用することで、リビング・ダイニングを広く取れます。
対面式キッチンと比較すると、その理由がわかります。
以下の図は同じ大きさのLDKに、壁付きキッチンを採用した場合と対面式キッチンを採用した場合で、リビング・ダイニングスペースの広さがどれだけ違うかを示したものです。
対面式キッチンを採用する場合、どんなにコンパクトなキッチンでも3畳ほどのスペースが必要です。
しかもシステムキッチンと食器棚や冷蔵庫で囲まれたその3畳ほどのスペースに、料理以外の目的で入ることはまずありません。対面式キッチンの場合、その3畳は料理にしか使えないスペースとなります。
この料理にしか使えないスペースが3畳分あることにより何が起こるかというと、その分だけリビング・ダイニングスペースが狭くなります。
まずダイニングテーブルが奥へ押しやられ、玉突き式にソファとテレビがさらに奥へ配置されて、リビングスペースはどんどん狭くなってしまいます。
対して壁付けキッチンの場合は、キッチンの背面の空間は料理だけの用途に留まりません。リビングとひと続きの空間として、ダイニングテーブルを置いたり、通路にしたり自由に使えます。
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このように同じ大きさのLDKでも、対面式キッチンではなく壁付きキッチンを採用した方が、背面の空間をリビング・ダイニングと共有できるため広く使えます。
3-2.多彩な間取りに対応できる
壁付きキッチンは多彩な間取りに対応できます。
壁付きキッチンは、壁があれば基本的にはどんな間取りの部屋でも配置が可能です。
一般的には部屋の形は四角形の方が「家具を配置しやすく、使いやすい」とされ、三角形や多角形の部屋は使いにくい部屋として敬遠されがちです。しかし土地の形状や建物の構造上、LDKの形状は四角とは限りません。
多角形のLDKでも、壁付きキッチンなら壁に沿ってシステムキッチンを配置すれば良いので、部屋の形がデメリットになりません。
斜め天井の部屋なども、対面式キッチンを採用したい場合は換気扇のレンジフードを天井からどう持ってきたら良いのか悩むところでしょうが、壁付きキッチンなら換気扇は壁付けされますので問題なく設置できます。
LDKがややコンパクトな場合でも、壁に沿ってキッチンを配置することで空間を有効活用し、機能的なキッチンになります。
このように工夫次第で多彩な間取りに対応できるのが、壁付けキッチンの大きなメリットです。
3-3.料理に集中しながら、家族ともコミュニケーションがとれる
壁付きキッチンは壁や窓に向かっているために、リビングの様子がすぐには視界に入らず、料理に集中できます。
対して、対面式キッチンでは「気が散りやすい」「家族とコミュニケーションがとりにくい」という状況に陥りがちです。
どういうことかと言うと、対面式キッチンの場合は調理中にリビングの様子が視界に入るため、リビングで過ごす他の家族の様子が気になり、気が散ってしまうのです。
それでいてリビングにいる家族から声をかけられても、キッチンに立っていると意外と声が聞き取れず困るケースがあります。
下の写真のように、キッチンの上部に吊戸棚が付いていて、窓ごしにリビングとつながっている形状の対面式キッチンは特にその傾向が強くなります。キッチン内で換気扇や調理の音が大きく反響し、リビングからの声をかき消してしまうためです。
一方、壁付きキッチンならリビングの様子が視界に入らないので、料理に集中できます。
また背面の空間はすぐにリビングダイニングとつながっているので、家族から声をかけられてもきちんと内容を聞き取れます。料理の手をとめて対応もできますし、料理に集中したいときは「ちょっと待っていてね」とひと声かけることもできます。
このように壁付きキッチンは「料理に集中でき、家族ともコミュニケーションがとりやすい」という、一見すると両立の難しい2つの目的を叶えられるキッチンレイアウトなのです。
3-4.窓やタイルの壁で好きな景色を作れる
壁付きキッチンは窓との相性も良いです。
窓に面した壁に壁付きキッチンを配置すれば、窓の外の景色を楽しみながら料理できます。キッチンにいる時間をきっと良い気分で過ごせるでしょう。
また壁付きキッチンには、正面の壁に好みのタイルを貼って彩るという楽しみもあります。好きな色やデザインのタイルに囲まれて料理をすれば、キッチンにいる時間の満足度が高まります。
3-5.配膳の手間を削減できる
壁付きキッチンは、配膳の手間を削減できます。
対面式キッチンの場合、カウンター越しに家族へお皿を手渡すこともできますが、基本的には調理スペースからダイニングテーブル側へ1度回り込まないと配膳できません。
対して、壁付きキッチンは後ろを振り向くだけのワンステップで、完成した料理を配膳できます。
「そんなに大きな違いではないのでは?」と思うかもしれませんが、毎日3食のことですから、長い目で見ると負担が変わってきます。家事の手間を少なくするためには、家事動線は短い方が良いです。
このように配膳の動線が短く手間を削減できることも、壁付きキッチンの大きなメリットです。
壁付きキッチンのデメリット
メリットのたくさんある壁付きキッチンにも、デメリットがあります。
先述のとおり壁付けキッチンは、リビング・ダイニングとひと続きの空間として一体化することにより、たくさんのメリットをもたらします。
しかしリビング・ダイニングと一体化することは、裏を返せば「キッチン専用の空間が少ない」ということでもあります。
キッチン専用の空間が少ないことから、壁付きキッチンにいくつかのデメリットが発生します。壁付きキッチンを選んだあとで後悔することのないよう、デメリットも確認しておきましょう。
4-1.収納スペースが不足しやすい
壁付きキッチンは、収納スペースが不足しやすいです。
対面式キッチンの場合、最低でも3畳ほどがキッチンに特化したスペースとなるため、手前にシンク・作業スペース・コンロ、後ろに電子レンジや食器棚の収納場所を確保できます。
しかし壁付きキッチンの背面はキッチン専用のスペースではないため、対面式キッチンのように背面に食器棚や冷蔵庫を配置できません。
システムキッチンの横に冷蔵庫を置けたとしても、今度は食器棚や電子レンジをどこに置くか悩みます。食器棚はできるだけシステムキッチンの近くに置きたいですが、下の図のように窓と重なって置けないケースもあるでしょう。
このように壁付きキッチンは、冷蔵庫や食器棚を置く場所に困りやすく、収納スペースが不足しやすいというデメリットがあります。
4-2.キッチンが丸見えになる
壁付きキッチンは、シンクの洗い物や調理器具がどうしてもリビングダイニングから丸見えになってしまいます。
「いつも片付けておかなければ」とプレッシャーを感じる方もいるでしょう。特に忙しい朝の時間帯などは、シンクを片付ける時間が取れないこともありますから、洗い物のたまったシンクが支度中に視界に入るとストレスを感じるかもしれません。
また「来客には作業中のキッチンを見せたくない」という方も、何らかの目隠し対策が必要です。
デメリットも工夫次第でカバー可能、5つの対策を紹介
「収納不足」「丸見え」という壁付けキッチンの2大デメリットも、工夫次第でカバーすることが可能です。5つの対策を紹介します。
各対策を1つずつみていきましょう。
5-1.【収納&丸見え対策】収納を備えたカウンターを設置する
1つめの対策は、カウンターの設置です。
壁付きキッチンの近くにカウンターを設置することで、「収納」「目隠し」「作業スペース」の3つの機能が手に入ります。
下の1枚目の写真では、壁付けキッチンの背面に設置したカウンターが作業台として機能しています。
また下の2枚目の写真のように、カウンター内部に棚を作りつければ食器やトースターなどの調理家電を置くことができ、壁付けキッチンのデメリットである収納不足の問題も解消できます。
そして下の写真のように、カウンターは目隠しの役割も果たします。手前にある大きなカウンターのおかげで、リビング側からはキッチンの様子がはっきり見えなくなります。
このように、壁付きキッチンの近くにカウンターを設置することで、「収納」「目隠し」「作業スペース」の3つの機能が手に入り、デメリットを解消できるのです。
5-2.【収納対策】パントリーを設置する
2つめの対策は、パントリーの設置です。壁付けキッチンのそばにパントリーを設置すれば、収納不足の問題を解決できます。
パントリーとは「食品庫」のことで、常温保存のできる食材や食器などをしまっておける収納スペースを指します。
- 人が入れるような奥行のあるタイプと、
- 壁面収納のような小さなスペースを活用するタイプ
があります。
奥行の浅い壁面収納タイプのパントリーでも、壁に沿って複数個設置すると大容量の収納になります。
パントリーは本来「食品庫」ですが、電子レンジや炊飯器など調理家電を置いても構いません。
下の写真では、壁付きキッチンの隣に冷蔵庫を置いて、さらに奥に壁付けのパントリーを設置しています。パントリーに調理家電を収めてしまえば、大きな食器棚を別途置く必要はなくなります。
このように壁付けキッチンのそばにパントリーを設置すれば、収納不足の問題を解決できます。
5-3.【収納対策】可動式の収納ワゴンを活用する
3つめの対策は、可動式の収納ワゴンを活用することです。底面にキャスターのついた収納ワゴンをそばに置いておけば、いつでも好きな場所へ収納スペースを作れます。
可動式の収納ワゴンは、ホームセンターやインテリアショップで購入できます。
例えばニトリの「バタフライワゴン」は2段式のキッチンワゴンで、食材を2つのスペースに収納できます。天板がついているため、調理中の食材やボウルの一時置き場として料理中に近くに置いておくと、さらに便利さを実感するでしょう。
出典:ニトリネット
IKEAの「ロースコグ」はかわいい色味とデザインだけでなく、機能性も申し分のない便利な可動式収納ワゴンです。3段の収納スペースに食材をたっぷり収納できます。
出典:IKEA
可動式の収納ワゴンは、商品にもよりますがだいたい1万円以内で手に入るため、壁付きキッチンのデメリットである収納不足を補う「最も手軽な方法」と言えるでしょう。
5-4.【丸見え対策】食器洗浄機を設置する
4つめの対策は食器洗浄機の設置です。
壁付きキッチンに食器洗浄機を設置すれば、食後のお皿や使い終えた調理道具をシンクに残しておくことがなくなり、便利なだけでなく目隠しの役割も果たしてくれます。
食器洗浄機には
- 卓上に据え置きするタイプと、
- 引き出しのようにキッチンに埋め込むビルトインタイプ
があります。
前者は取付が簡単で、取付前の状態に戻せるので賃貸住宅にも向いています。後者は専門業者による取付工事が必要ですが、キッチンと一体化してスペースをとらない点が魅力です。
ご自分のキッチンに合ったタイプの食器洗浄機を選べば、壁付きキッチンの目隠しに大きな役割を果たしてくれます。
5-5.【丸見え対策】引き戸やロールスクリーンをつけてキッチンを隠す
5つめの対策は引き戸やロールスクリーンで、壁付きキッチンを隠してしまう方法です。
下の写真では、アクリル板を使った引き戸をキッチンとリビングの間に設置しています。やや透けて見えるので、扉の向こうに奥行きを感じさせて部屋を広く見せながら、キッチンの目隠しはきちんと叶っています。
普段は開けておき、来客時やくつろぎの時間には閉めることで、キッチンとリビング・ダイニングの空間を分けることができます。
壁付きキッチン2つの施工事例
壁付きキッチンのメリットやデメリットとその対策がわかり、だいぶ壁付きキッチンのイメージがわいてきたのではないでしょうか。
ここからは、壁付きキッチンの2つの施工事例をご紹介します。
どんな間取りにどんなふうに壁付けキッチンをレイアウトすると使い心地が良いのか、きっとヒントが見つかるはずですので、ご覧ください。
6-1.L字型の壁付きキッチン
壁2面を使って、L字型の壁付きキッチンを設置したLDKです。壁1面にシンク、もう1面にコンロを対角に配置しているレイアウトで、コンパクトな調理動線を備えた機能的なキッチンになっています。
壁付きキッチンの背面に、内部に収納機能を持たせたグレーの大きなカウンターを設置しています。調理の下ごしらえなどの作業はこのカウンターの上でも行えます。
壁付きキッチンの省スペースの特性をうまく活用し、LDKの広さは約13畳とややコンパクトながら、大きな作業台にダイニングテーブル、3人掛けソファまで配置できました。
また、左写真奥にはキッチンと窓の間に小さなワークスペースまで確保しています。このようなスペースがあると、リビングにうまくなじみつつ、読書に仕事に大活躍しますね。
6-3.I字型の壁付きキッチン
壁1面にI字型の壁付きキッチンを配置したLDKです。冷蔵庫と電子レンジなどの調理家電は、壁付きキッチンの両サイドに配置しています。
こちらの壁付きキッチンの背面には広いスペースがあります。この空間は玄関からリビングへ向かう通路も兼ねていますが、十分な広さを確保しているため、料理をしている人と帰宅した人がぶつかることはありません。
壁付きキッチンの採用により空間を効率よく使い、家事動線だけでなく、リビングで過ごす家族の動線も十分確保できる間取りとなっています。
壁付きキッチンに向いている人はこんな人
ここまで壁付きキッチンのメリット・デメリットと対策、施工事例をご紹介しました。
次に、壁付きキッチンに向いている人についてまとめましたので、壁付きキッチンを採用するかどうか判断に役立ててください。
7-1.リビングを広く取りたい人
リビング・ダイニングのスペースを広くとりたい方は、壁付きキッチンに向いています。
先述のとおりキッチン・リビング・ダイニングが一体化した間取りの場合、壁付きキッチンを採用すれば対面式キッチンと比較して、リビングスペースが広くなるからです。
そして「リビングは多少狭くてもOK」という方でも、LDKの大きさが12畳以下の場合は、対面式キッチンではなく、壁付けキッチンを採用することをおすすめします。
対面式キッチンを採用するには最低でも約12畳の広さが必要だと言われているためです。
どんなにコンパクトな対面式キッチンでも、設置するとLDKのうち最低3畳分のスペースはなくなります。残り9畳にダイニングテーブルとソファ、テレビを置くと、もう部屋はいっぱいです。テーブルを4人がけから2人がけに変更したり、ソファは置かずにダイニングテーブルだけ置くなど、何らかの工夫をしなければ厳しいでしょう。
LDKの広さが12畳以下の場合には、壁付けキッチンを採用した方がリビングスペースをしっかり確保でき、快適なライフスタイルが叶う可能性が高いでしょう。
7-2.集中して料理したい人
壁付けキッチンは集中して料理をしたい方にも向いています。
目の前が壁や窓ですので気が散らず、リビングで過ごす家族の様子は感じ取りつつも、集中して料理を仕上げることができます。
壁付きキッチンは、手の込んだ料理を作りたい方にも向いていますし、逆に短時間に集中して料理を仕上げたい方とも相性が良いです。
目の前の壁にタブレットや本を立てかけて、レシピを確認しながら調理を進めることもできます。
7-3.家族と一緒にキッチンに立ちたい人
家族と一緒にキッチンに立ちたい方も、壁付きキッチンに向いています。
壁付きキッチンは壁に沿って横に長くスペースをとれるため、家族で並んで作業をしてもストレスを感じにくいです。週末は子どもと一緒に、または夫婦で料理をする方には、とても快適な環境と言えるでしょう。
壁付きキッチンに向かない人はこんな人
逆に以下のニーズを持っている方は、壁付きキッチンを選ばない方が良いでしょう。また他におすすめしたいキッチンや、判断に迷ったときのポイントもあわせて紹介します。
8-1.キッチンを独立した個人のスペースにしたい人
キッチンを独立したスペースとして1人で使いたい方は、壁付きキッチンを選ばない方が良いでしょう。
壁付きキッチンはどうしてもさまざまな方向から人が入ってこれます。1人で料理をしたいときに、入れ替わり立ち替わり周囲を人がうろうろすると、ストレスを感じてしまいます。
【キッチンを独立した個人のスペースにしたい人におすすめのキッチン】
キッチンを独立した個人のスペースにしたい方には、コンパクトな対面式キッチンをおすすめします。 下の写真のように、手の届く範囲360°に必要な機能が全てうまく配置してある、まるで航空機のコックピットのようなキッチンにすれば、独立したスペースの確保と作業効率の2つの目的が叶い満足できるでしょう。 |
8-2.料理中もリビングを常に視界に入れたい人
料理中にリビングで遊んだり学習している子どもの様子を常に視界に入れておきたい方や、リビングのテレビをみながら料理をしたい方は、壁付きキッチンを選ばない方が良いでしょう。
このようなニーズを持っている方は壁付きキッチンではなく、対面式キッチンがおすすめです。
ただしリビングの様子が直接視界に入らなくても、リビングとの距離が近い壁付きキッチンでも家族の様子を感じ取ることは可能です。
そこで、料理中のリビングとのコミュニケーションについて、ご自分のニーズをもう少し掘り下げて考えてみましょう。そうすれば、自ずと合うキッチンレイアウトが見えてきます。
料理中にリビングの様子を確認したい方も、ご自分がどちらのニーズを持っているか考えてみましょう。
1.リビングを視界に入れながら料理をしたい▸対面式キッチンがおすすめ
2.リビングの様子が感じ取れればOK▸対面式と壁付き、どちらでもOK
前者のニーズを持っている方は対面式キッチンに向いています。後者のニーズを持っている方は、対面式でも壁付きでもどちらにも合う可能性があります。後者の場合はどちらのキッチンが自分に合うのか、他にもいろいろな角度から考えてみましょう。
壁付きキッチンにするならココを押さえよう
ご自宅のキッチンレイアウトに壁付きキッチンを採用する場合、以下のような点に配慮すると作業効率の良い快適なキッチンになります。
ポイントを押さえて、ぜひ満足度の高いキッチンにしてください。
9-1.冷蔵庫→シンク→コンロの順番に設置する
壁付きキッチンでは、調理の手順を意識した配置にすると作業効率がアップします。
調理の手順を意識した配置とは、「冷蔵庫→シンク→コンロ」の順です。
調理では冷蔵庫から材料を取り出し、シンクで洗って、作業スペースで切ったり下ごしらえを行い、コンロで煮たり焼いたりします。
この調理の手順に沿った配置でなければ、下の写真のように、作業のたびにキッチン内を行ったり来たりしなければなりません。
作業効率の良い壁付きキッチンにするためには、調理の手順を意識して「冷蔵庫→シンク→コンロ」の順に配置すると良いでしょう。
9-2.キッチン→ダイニング→リビングの順番に配置する
壁付きキッチンのあるLDKは、生活の流れを意識した配置にすると使いやすくなります。
生活の流れを意識した配置とは、「キッチン→ダイニング→リビング」の順です。
壁付きキッチンのあるLDKには「料理をするキッチン」「食事をするダイニング」「くつろぐためのリビング」と、3つの空間が共存しています。
生活の流れに沿って並べると、キッチンで料理を作ったあと、ダイニングへ配膳して食事をとり、リビングで食後のくつろぎの時間を過ごします。この流れを意識して配置すると使いやすいです。
でき上がった料理をスムーズに配膳するには、キッチンとダイニングが隣接している方が便利です。仮にキッチンとダイニングテーブルの間にソファなど置いて「キッチン→リビング→ダイニング」の順番になれば、くつろぎのスペースを横切って配膳や片付けをしなければならなくなり、気分も落ち着きません。
生活の流れを意識して、「キッチン→ダイニング→リビング」になるように配置しましょう。
9-3.キッチンとダイニングテーブルの間は100cm空ける
壁付きキッチンとダイニングテーブルの椅子背面が並行になるように置くなら、100cm~120cmの間隔をとりましょう。
下の写真のように一定の間隔が空いていると、料理をする人と椅子に座っている人がぶつかりません。
キッチンに対してダイニングテーブルを垂直に置く場合には、80cmほどの間隔でも大丈夫です。この配置なら、椅子に座っている人と料理をする人がぶつかるリスクはほぼないからです。
まとめ
壁付きキッチンのメリット・デメリットと対策、取り入れるときのポイントについてお伝えしました。
ご自分にどんなレイアウトのキッチンが合うのか、イメージがつかめたのではないでしょうか。
最後にこの記事の内容をまとめます。
- 壁付きキッチンはリビングスペースを広く取れる
- 壁付きキッチンのデメリットは、カウンターや引き戸の設置など工夫次第でカバーできる
- 壁付きキッチンを採用する際には、調理や生活の流れに沿って配置すると使いやすくなる
満足できるリフォーム・リノベーションが叶い、快適な空間とライフスタイルを手に入れられるよう願っています。
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