2023.04.12 更新 2019.08.21 公開
奨学金は住宅ローン審査でバレる?返還中の影響と注意点。

奨学金の借り入れは住宅ローン審査に影響する可能性があります。
ところが、奨学金は半ば公的な借り入れのため、うっかりローン審査書類への記入漏れがあったり、「言わなくてもいいのでは」と申告隠しを行ってしまうケースも少なくありません。
しかし、結論から言えばこれは大きなリスクです。
後々申告漏れが発覚すると、金融機関によってはローンの一括返済を求められてしまうこともあります。
懸念点は、「奨学金を返還中だとローンを借り入れできないのでは」ということかもしれません。これについて、ゼロリノベとしての見解は以下のとおりです。
・奨学金がローンに与える影響はさほど大きくない
その上で、
・奨学金の返還中であれば、審査時は正直に申告すること
そして、
・奨学金返済を考慮した予算設計を行うこと
を推奨します。
以上を踏まえて、本記事では、奨学金が具体的に住宅ローン審査にどのような影響を与えるのかをご説明します。また、奨学金を返還中の場合はどのように無理のない住宅予算を立てればいいのか、目安をご紹介しているので確認してみてください。
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住宅ローン審査時に、奨学金は申告すべきか
冒頭で述べたとおり、まず奨学金についてはローン審査時に正直に申告すべきです。
奨学金は日本学生支援機構(JASSO)などによる多くの学生が利用している制度であるため、借金という意識が薄くなりがちですが、返済が必要である以上立派な借り入れです。審査時に申告しなければなりません。
過去に延滞をしていた場合も同様です。これは「ルール違反だから」ということはもちろんですが、申告しなくても金融機関側は奨学金の返還状況をすぐに知ることができるので、そもそも隠しても意味がないという要素も大きくなります。
というのも、2008年以降、日本学生支援機構は全国銀行個人信用情報センターに加盟していて、延滞者の情報を提供しています。そして金融機関は、この延滞情報を簡単に照会できるのです。また、奨学金支払口座(リレー口座)で支払状況を確認する方法もあります。
つまり、申告漏れや申告隠しがあっても、後から簡単にバレてしまうのです。
そうなると、審査を打ち切られてしまう可能性すらあります。「申告すべきものを申告していなかったのだから怪しい、信頼できない人かもしれない」ということです。
また、仮に奨学金を申告せずに無事通過したとしても、「いつかバレるかもしれない」と気にしながら生活することになってしまいます。
後述しますが、奨学金は車のローンなど他の借り入れに比べると、住宅ローン審査への影響は小さく済むことが多いものです。しっかり申告するのが一番賢いと言えるでしょう。
住宅ローンが奨学金に与える影響
さて、奨学金について正直に申告はすべきですが、気になるのは審査に与える影響です。
影響が出るのは以下の2パターンです。
2-1.延滞がある場合(信用情報に問題がある)
前述の通り、日本学生支援機構が個人信用情報機関に加盟したのは2008年のことです。つまり、2019年現在で33歳以下の登録者が延滞している場合は、個人信用情報機関に延滞履歴が記録されているはずです。
具体的には、返還開始から6ヶ月が経過した時点から、3ヶ月以上の延滞がある場合に記録が残ります。この記録は、返還完了の5年後に削除されることになっています。
延滞があっても3ヶ月未満であったり、返還完了から5年以上経過していれば、「そういえば過去に延滞があった」というケースでも、延滞履歴には残っていないということです。そうなれば、住宅ローン審査への影響も無いと考えて良いでしょう。
また、奨学金には「返還期限猶予」があり、返還が困難な状況の場合は延滞となる前に申し出ることで、返還期限を猶予してもらえます。
不測の事態に陥っても、他の借り入れのように即座に延滞履歴として信用情報に傷がつく可能性は比較的低いものであると言えるでしょう。
2-2.年収に対して適正な返済負担率でない
奨学金がもう一つ影響を与えるのが返済負担率です。他の借り入れと同様、奨学金の返済も含めた額を実際の返済負担率として計算しなければなりません。
住宅ローン審査における年間の返済負担率の目安は、およそ30~35%とされています。年収にも左右されますが、一般的にはこの数値を超えると審査に通りにくくなります。奨学金込みで返済負担率が基準を超えてしまうとすれば、借入額を見直さなければならないということです。
ただ、労働福祉中央協議会の「奨学金や教育負担に関するアンケート調査」によれば、奨学金の月々の返済額は平均すると16,880円と金額としてはそこまで大きいものではありません。延滞履歴がなく、最初から無理のない借入金額を設定していれば、さほど審査に影響することはないでしょう。
ここで注意点が一つあります。それは、上記の30~35%というのは、あくまで金融機関側が基準とする目安だということです。実際に日々の生活の中でローンを無理なく返済していくには、返済負担率20%前後に収めておくことが重要です。
住宅ローン返済比率20%の理由と考え方【年収別の借入額の目安表】
実際に奨学金を借りている状態で住宅ローンを組むとどうなる?
具体的に、奨学金の有無によってどれくらい借入額が変わる可能性があるのか、ローンミュレーターを使用してシミュレートしてみましょう。
例えば年収520万円で返済負担率を20%とするなら、年間の返済額は520万円×20%で、104万円です。
これを35年ローン、金利1.5%で借り入れるとします。
- 奨学金が無い場合の返済負担率20%の借入金額→2,841万円
※住宅ローンのみで月々8.7万円の返済として計算
- 奨学金がある場合返済負担率20%の借入金額(奨学金月15,000円(年180,000円返還))→2,352万円
※奨学金の返済を含めて月々8.7万円の返済として計算
上記の計算だと、奨学金がある場合は無い場合に比べて借入額が約490万円減額になります。
自分の住まいの理想を考えるともう少し借入額を増やしたいという方もいるかもしれませんが、返済負担率を20%以上にするのはあまりおすすめできません。なぜなら、ローンの負担が増えれば増えるだけ、普段の生活が圧迫されていくからです。旅行やレジャーを楽しむといった娯楽を我慢しなければならなくなったり、事故や病気といった万が一のリスクに備えられなくなる可能性があります。
そんな無理をしてまで住まいを購入するメリットは、非常に薄いと言えるでしょう。
まとめ
一般的に奨学金は金利も返済額も低いものですから、滞納さえしていなければ住宅ローン審査に与える影響も最小限で済みます。申告漏れが発覚すると金融機関に対する心象が悪くなり審査が不利になりますし、それが借り入れ後であれば、最悪の場合ローンを一括返済しなければならない事態に陥るため非常にリスキーです。
また、奨学金を含まずにローンの借り入れをした場合は、ローンの返済そのものが大きな負担になる可能性があります。ローンの返済負担率は、奨学金をはじめとする他の借り入れも含めて20%前後に収めるのが、無理のない返済をするための第一条件です。
申告をしないことによるメリットは皆無と言ってもいいので、迷わず正直に申告するようにしましょう。
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