2024.04.05 更新

劇的な古民家リノベーション事例!魅力・費用・注意点など完全解説

古民家リノベーションとは

田舎暮らしと古民家リノベーションに憧れてるんだけど実際どうなんだろう?
古民家をリノベーションしてカフェを開くことに興味があるんだけどできるんだろうか?

なかなかイメージがつきにくい古民家のリノベーションですが、実は、古民家の歴史を感じる雰囲気とオリジナリティ溢れる空間や周辺環境に憧れて、古民家リノベーションを検討する方が増えています。

そもそも古民家リノベーションとは、人が住まなくなった古民家などを、住宅、賃貸・宿泊施設、カフェなどの店舗、に再利用する設計・工事を指します。

また、古民家リノベーションの魅力は下記のとおりです。

古民家リノベーションとはただ、古民家リノベーションにも、デメリットや注意点が当然あります。これを知っておかないと、引っ越してからリノベーションできなかったり、お金が足りなくなることもあるので、必ず事前に把握しておきましょう。

この記事では、リノベーションの現場にたつ一級建築士として、どんな人が古民家リノベーションに向いているかわかるように、

・古民家を住宅としてリノベーションしたい
・住宅としてDIYリノベするときのポイント
・カフェなど店舗としてリノベーションしたい
・古民家に暮らせない場合の解決策
・工事期間と注意点
・古民家の探し方
・税金や補助金について

などについて解説しています。

そのため、読み終わるころには、自分たちが古民家リノベーションをすることに向いているかどうかがわかるでしょう。

古民家を自宅にという方は>>1章
カフェや店舗にという方は>>3章

それでは、ぜひこの記事を自分たちの今後のためにお役立てください。

Advisor

一級建築士 アドバイザー 西村 一宏

[監修]一級建築士

西村 一宏

リノベーション・オブ・ザ・イヤーを受賞した設計・施工部門の責任者としてゼロリノベ建築を担う。著者の詳しいプロフィール

Author

“【著者】ゼロリノベ編集部"

[著者]

ゼロリノベ編集部

元銀行員・宅地建物取引士・一級建築士が在籍して「住宅ローンサポート・不動産仲介・リノベーション設計・施工」をワンストップで手がけるゼロリノベ(株式会社groove agent)。著者の詳しいプロフィール

\一級建築士監修のWEBセミナー/

古民家を買って自宅にリノベーション

古民家 自宅用 リノベーション古さと新しさが融合し独特の雰囲気が出る古民家リノベーション。その中でもこの章では、古民家を自宅としてリノベーションする場合について、

・メリットデメリット
・費用相場
・実際にリノベーションした内容の紹介ブログ

の順で解説していきます。

1-1.古民家を自宅にリノベーションするメリット

古民家を自宅にリノベーションするメリットは下記の4つです。

・自然環境が豊かな場合が多い
・歴史の趣を現代の住宅設備で味わえること
・室内空間が広々とし自由な間取りを作りやすい
・税金面が安い

では、それぞれについて詳しく説明します。

1-1-1.古民家の周りの環境が自然豊かな場合が多い

古民家の自然環境古民家が存在している場所は、多くの場合、自然環境が豊かなエリアです。自然や田舎の雰囲気が好きである場合は、古民家が存在している環境自体もメリットと言えるでしょう。

リモートワークが世の中では進んでおり、住環境を自由に選べるのであれば、思い切って都心から離れて暮らすという選択もよいでしょう。

1-1-2.歴史の趣を現代の住宅設備で味わえること

現代の住宅設備で、歴史を感じる木の存在感を味わえることは古民家リノベーションのメリットの1つです。

古民家で使われている木材には、ヒノキやケヤキであり、これらは、強度が落ちるまで800〜1200年とも言われており、今では入手困難な場合も少なくありません。

そんな梁を毎日眺めることができつつ、リノベーションにより、水回り設備など新しい方が便利な場所については最新のものに変更となるため、趣を感じながらも設備など不便のない生活が実現可能です。

1-1-3.室内空間が広々とし自由な間取りを作りやすい

古民家のリノベーションは、多くの場合、壁や水回りなど、室内すべて解体し作り直すため、デザイン性を持った利便性の高い空間や間取りにすることができます。

また、古民家は屋根裏まで見上げることができるケースが多いため、室内空間が実に広々とし、開放感も得られやすいと言えるでしょう。

1-1-4.税金面が安い

古民家は築80年や100年という物件もあり、建物自体の価値は低く見積もられ、固定資産税が安くなっています。それに加えて、不動産取得税も低くなりやすい傾向にあります。物件にもよりますが、購入に関する諸費用や固定資産税を抑えての購入が可能と言えます。

また、補助金(移住促進事業)を出している自治体もあるため、購入費用だけでなく、住み始めてからの費用も抑えることが可能な場合もあります。これらは古民家を選択した場合のメリットと言えるでしょう。

税金や補助金については6章をご確認ください。

古民家とは?古民家の定義は築50年以上?

実は古民家の定義ははっきりと決められているものではありません。しかし、一般社団法人全国古民家再生協会神奈川第一支部では、下記のように書かれています。

古民家というのはどういうものなのか、日本の伝統的な建築工法で建てられた建物というのは何となく想像できると思いますが、具体的な定義というものは実はありません。

国の文化財登録制度というものでは、登録することのできるものは建てられてから50年以上経った建築物が対象になっています。

古民家に使われている古材も、一般的には、築50年以上経った建物から取り出された材とされていますから、そこから推測すると50年以上経った建物を古民家と呼んでいいのではないでしょうか。

1-2.古民家リノベーションのデメリット

古民家を自宅にリノベーションするデメリットは下記の3つです。

・都会に古民家があまりなく引越しのハードルが高い
・近くに対応エリアとなる依頼会社がない
・耐震/寒暖の補強に費用がかかる

では、それぞれに見ていきましょう。

1-2-1.都会に古民家があまりなく引越しのハードルが高い

現在都会に暮らしている人の場合は、引っ越しのハードルが高いという点は大きなデメリットとなります。

古民家と呼ばれる建物は都心や都会には少なく、地方に多く存在します。また、田舎暮らしも含めての古民家リノベーションと認識している方も多く、引っ越しのハードルは、仕事的にも、ライフスタイル的にもなかなかハードルとして高いと認識される方が多いのではないでしょうか。

今後、テレワークやフリーランスなど、働き方の自由度が上がっていくことでハードルが下がることも期待できます。

都会に暮らしながら古民家リノベーションの雰囲気を味わいたいという場合は、8章の古民家風リノベーションをご確認ください。

1-2-2.近くに対応エリアとなる依頼会社がない

古民家がある場所にリフォームやリノベーションの会社がなく、依頼ができないという可能性もデメリットの1つです。物件探しと同時に依頼できる会社があるかどうかも確認しておきましょう。

もし、対応エリア外の場合は、DIYリノベーションという方法もあります。DIYリノベーションについては、2章をご確認ください。

1-2-3.耐震・寒暖の補強に費用がかかる

耐震や寒暖の補強に費用がかかるのも古民家リノベーションのデメリットと言えます。
古民家には、現在の住宅と同じレベルの性能は整っていないと考えておいた方がよいでしょう。

もちろんリノベーション工事によって完備することは可能ですが、その分費用も必要になってきます。

これから新しく古民家を購入する場合も、今所有している古民家をリノベーションする場合も、建物の耐震などを調査してくれるホームインスペクションへの依頼や、リノベーション会社に用途を伝えて何が足りていないかなどを確認してもらってから、購入や、リノベーションの依頼をしましょう。

ホームインスペクションはおよそ10万円程度で調査をしてくれます。購入前の場合は、調査や工事費用概算をリノベーション会社の担当に算出してもらいましょう。

古民家暮らしが向いてるか試したいなら賃貸や宿泊施設を利用

引っ越しのハードルが高いことに加え、田舎暮らしや古民家の特性が自分たちに合っているかどうかも確認したいという方もいるかと思います。

その場合は、自治体が管理している物件を賃貸して田舎で暮らしてみたり、古民家をリノベーションし賃貸として貸し出されている物件に住んでみたり、といったことをして体験することをおすすめします。

また、よりハードルが低いものとしては、宿泊施設なども地域によっては存在します。賃貸などについては、4章をご確認ください。

1-3.古民家を自宅にリノベーションする費用

ここでは、古民家をリノベーション会社に依頼する場合について解説します。

リノベーション会社に依頼をする場合も、目的と工事の規模によって、費用が変わってきます。大きくわけて、

・骨組みだけ残して外装もやりかえるスケルトンリノベーション
外装や屋根もぼろぼろで基礎の補修や耐震補強などをしっかりと行う場合に必要なリノベーション。古民家の場合はスケルトンリノベーションを想定しておくとよい。

・外装や屋根は補修までで中身をがらっと変更するフルリノベーション
今ある外壁や屋根を利用しながら、できる範囲で補修をし、内装をメインに変更するリノベーション。古民家の状態によっては、フルリノベーションで問題ない場合もある。

・内装の一部や表面を変更する部分リノベーション
建物自体に問題がなく、内装にもほぼ不満がない場合に、設備交換や部屋を一部つなぐなどの小規模なリノベーション。古民家の場合は、部分リノベーションだけだと冬に寒さを感じる可能性もある。

それでは、以上の3つに分けて解説していきます。

また、DIYをしたい方は、2章でメリットデメリット・費用についてご確認ください。

1-4-1.スケルトンリノベーションの場合

スケルトンリノベーションの費用古民家を中も外も全体的にしっかりとリノベーションする場合、スケルトンリノベーションという、土台や骨組みだけを残した状態のリノベーションを行います。

住宅性能は非常に高くなるのが特徴です。ただし、古民家の状態によっては、補修費などがより必要になるケースもあるため、あくまで目安となります。

1-4-2.フルリノベーションの場合

フルリノベーションの費用フルリノベーションは、内装を間取りも含めて大幅に変更したり、外装については補修や塗装など今あるものを活かしてリノベーションする方法です。スケルトンリノベーションよりは費用が安く収まる傾向にあります。こちらも平米単価でおおよその費用が算出可能です。

1-4-3.表層リノベーション・部分リノベーションの場合

建物の状態がよく、内装の一部をリノベーションすれば暮らせるような状態の場合、部分的な間取り変更や水回りの設備などを入れ替える部分部分リノベーションの選択も可能です。

この場合は、入れ替える設備や工事範囲により費用は変動しますが、キッチンとお風呂のみならば200万円程度でできたり、リビングやダイニングまわりだけ変更するなども面積によっては100万円以内の予算で実現可能です。

費用に関する注意点
物件の状態によっては、耐震補強などの費用も発生することもあるため、どちらの工事を想定している場合も、事前にリノベーション会社の担当におおまかな費用がどの程度になるか確認をしておきましょう。

1-5.古民家リノベーションの紹介ブログ

ここでは実際に古民家をリノベーションされた方がどのように行なったか書いているブログについてご紹介します。自分たちが実際にリノベーションを進めるときのために、ぜひ参考にしてください。

1-5-1.クロニカ

クロニカ

 

古民家の選び方や周りの環境、そしてリノベーションがどのように進んでいくのかについて非常に詳しくまとめられており、80記事以上書かれているブログです。

おすすめ記事

僕が古民家を選ぶまで その3(新築から古民家に価値観が変わったきっかけが書かれています)

古民家の選び方1 土地編その4(古民家と災害の関係性について書かれています)

古民家をDIYでリノベーションする場合のポイント

古民家をDIYでリノベーション古民家を購入して自分たちでリノベーションをしたいという方もいるかと思います。

この章では、

メリット
デメリット
必要な費用
やってはいけない工事
DIYリノベーションに役に立つ本やブログの紹介

の順にご紹介します。

2-1.DIYリノベーションのメリット

古民家をDIYでリノベーションするメリットは大きく2つです。

費用が安く抑えられる
知識を得ながらマイペースにできる

それぞれについて詳しく見ていきましょう。

2-1-1.費用が安く抑えられる

DIYリノベーションのメリットとして、まずは費用の安さがあがります。自分たちで行えば、工事にかかる人件費や設計費用などの部分が必要なくなるため、大幅な費用削減につながります。

住まい全体に必要なリノベーション費用が1,700万円程度だった場合、あくまで目安ですが、材料や産廃、設備などもろもろで700〜800万円程度の金額で完成に持っていくことが可能となります。

費用の捻出が厳しいという方にとっては大きなメリットと言えるでしょう。

2-1-2.知識を得ながらマイペースにできる

もうひとつのメリットとしては、知識を得ながらマイペースにできる点です。自分たちで、どんな家にするか考え、材料や間取りについて調べたり、アイデアを出したりしながら、趣味も兼ねて自分たちのペースで住まいづくりを進めることができます。

状態によっては住みながらリノベーションをしていくこともできるため、「次はここをこうしてみよう」といったことをたえず考えていられるため、没頭できる満足度の高い趣味とも言えるでしょう。

2-2.DIYリノベーションのデメリット

古民家をDIYでリノベーションするデメリットは大きく3つです。

・クオリティとセンスが問われる
・根気と体力が必要
・完成まで期間がかかる

2-2-1.クオリティとセンスが問われる

ひとつ目のデメリットは、クオリティとセンスが問われるという点です。しっかり施工したつもりでも、壁が傾いていたり、床が斜めになっていたりと基礎部分でも失敗は起こりえます。

また、材料や色などを選ぶセンスも問われることになり、ある程度完成イメージを思い浮かべながら取り組むことがポイントとなります。

2-2-2.根気と体力が必要

根気と体力が必要というのもデメリットの1つです。

工事の規模にもよりますが、ひとつひとつの作業は地道なものが多く、目に見える成果が出るまでに諦めてしまったり、投げ出して途中から会社に依頼をして余計な出費が必要になったりする可能性もあります。単純作業なども楽しめるかどうかが重要となってきます。

2-2-3.完成まで期間がかかる

完成まで期間が必要な点もデメリットと言えます。通常であれば、設計〜工事完了までは6ヶ月程度ですが、自分たちだけで古民家をすべてリノベーションしようと思うと一年半以上は期間を設けておくことをお勧めします。

古民家に暮らせていない間は賃貸費用と住宅ローンの二重支払いになる可能性もあるため、資金的にも余裕をもった計画をしておきましょう。

2-3.DIYのリノベーション費用

 

セルフリノベーション費用古民家1つをまるまるDIYリノベーションしようとすると、おおよそですが費用は700万円程度必要となります。しかし、期間としては一年以上を想定しておきましょう。
内訳は、

・材料費
・ゴミ処理
・設備
(かわら、サッシ、外壁は含まず)

また、電気ガス水道に関する工事は、資格が必要です。資格なしで行うことは違法となります。コンセントの増設やキッチン設備の交換工事は専門家に依頼しましょう。

セルフリノベーション について詳しくは、セルフリノベーション初心者必見!場所難易度・費用・日数表をご確認ください。

DIYの注意点

DIYの方が安くすることも可能ですが、建物の状態などを事前に確認することをおすすめします。というのも、状態によっては地震に対して十分な能力を備えていない可能性があるからです。

そういった場合は耐震補強などが必要となるため、リノベーション会社やリフォーム会社に建物全体の解体から行うスケルトン工事を依頼し、自分たちが行える工事部分のみをDIYにしましょう。

2-4.古民家をDIYリノベーションするときにおすすめのブログ・書籍

ここでは、古民家をDIYリノベーションするのに役立つ書籍をご紹介します。

2-4-1.伊那谷の古民家再生

伊那谷の古民家再生3年以上をかけて古民家をセルフリノベーション した内容が細かく書かれています。暮らしているその後の様子もブログで更新されているので、リノベーション後の生活のイメージ入ってきます。セルフリノベーション のイメージをつかみたい方におすすめです。

おすすめ記事

ビフォーアフターカテゴリ(変化をダイジェストで確認できます)

なぜ古民家なのか(考え方や取り組む上での課題などが語られています)

2-4-2.住まいの解剖図鑑

住まいの解剖図鑑

古民家などだけでなく、住まいのそれぞれの場所をどのように考えていけばいいのかについて書かれた書籍です。

そのため、自分で住まいを設計する場合にも、どこかの会社に依頼する場合でも、なぜこのような間取りや寸法になっているのかなど、納得感を得られるようになるでしょう。住まいの間取りのあり方に関して知りたい方におすすめです。

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2-4-3.笑って! 古民家再生 失敗したけど、どうにかなった! ?

笑って! 古民家再生 失敗したけど、どうにかなった! ?

セルフリノベーション やDIYに興味がある方におすすめの本です。非常にたのしく内容がまとめられているため、DIYやセルフリノベーション のハードルが下がるかもしれません。また、失敗からのリカバリー方法などについても書かれている書籍です。

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古民家を買ってカフェにリノベーション

古民家を買ってカフェにリノベーション古民家をカフェとしてリノベーションしたいという方も多いかと思います。実際に地方でもカフェとして運営しているところもあり、人気となっています。

ここでは、古民家をカフェにリノベーションすることに関して、

・メリット
・デメリット
・事例
・費用相場

という順番でご紹介します。

3-1.古民家をカフェにリノベーションするメリット

古民家をカフェにリノベーションする場合のメリットは下記の通りです。

・非日常感が他のカフェとの差別化に
・購入費用と固定資産税が安い傾向に

それぞれ見ていきましょう。

3-1-1.古民家のもつ非日常感が他のカフェとの差別化に

古民家カフェの魅力は、建物全体が放つ味わい深い雰囲気です。新築の建物でレトロな雰囲気を出そうとしても、古民家が持つ年代物の趣までは再現できず、作り物の域を超えることはできません。

歴史を感じる梁や柱、昭和の暮らしを彷彿とさせる広い玄関土間、ゆったり取られた縁側スペース、白しっくいの間仕切り壁など、建物の造りだけでも、カフェに訪れる人を楽しませることができます。

3-1-2.購入費用と固定資産税が安い傾向に

ほとんどの古民家は、土地・建物ともに割安な価格で販売されていることが多く、新たに建物を新築したり、中古のテナントを探すよりも、物件購入費用をはるかに安く抑えられることがあります。

ただし、古民家の中でも、保存状態が良いものや敷地面積が広いものなどは、通常の中古物件と同等の価格で販売されていることもあるため、注意が必要です。

また、約百年近く築年数が経過している古民家は、固定資産税の評価額も自ずと少額になるため、新築物件や築20年前後の中古物件を購入したときよりも、固定資産税を節約することができます。

ただし、リノベーションをした場合、固定資産税の評価額は多少上昇すると想定しておきましょう。

3-2.古民家をカフェにリノベーションするデメリット

古民家をカフェにリノベーションする場合のメリットは下記の通りです。

・よい立地を探すのが大変
・保健所の許可が得にくい
・害虫・害獣が出やすい

それぞれ見ていきましょう。

3-2-1.よい立地を探すのが大変

古民家カフェとして成立するよい立地にある古民家を探すのはなかなか大変だと言えます。

東京でも、駅から徒歩で向かうことができる古民家カフェは非日常感を手軽に味わえるため繁盛するかと思いますが、交通関係が不便な立地だと、お店としてはマイナスとなる傾向にあります。

こういったことから、ちょうどよいと思える立地にある古民家を探すのが大変である点は、デメリットと言えるでしょう。

3-2-2.保健所の許可が得にくい可能性がある

保健所からの食品衛生許可を得にくい可能性があるというのもデメリットと言えます。

都道府県によって保健所のルールは異なるため、一概には言えませんが、たとえば、構造物がむきだしでほこりがたまりやすいのはNGとされた場合、厨房は天井を作って、梁を隠す必要などが出てきます。

事前に保健所に相談することで、どういった条件が必要かを確認しておきましょう。

3-2-3.害虫・害獣が出やすい

古民家はどうしても隙間もできやすいため、害虫・害獣が出やすい点はデメリットと言えます。なるべく工事のタイミングで、建てつけや隙間などの補修を行うべきでしょう。飲食店としてしっかり営業するためにも設置型の駆除薬なども多めに置いておきましょう。

3-3.古民家をカフェにリノベーションした事例

ここでは、実際に古民家をカフェにリノベーションした2つの事例

3-3-1.古民家カフェこぐま

古民家カフェこぐま

 

出典:古民家カフェ こぐま

こぐまは昭和二年築の薬局をリノベーションした古民家カフェです。店内の作り付けの棚は昔のままの薬棚。薬の引き出しや柱時計、ミシン、タイプライターなども、 この家に古くからあったモノたちです。

>>古民家カフェ こぐま

3-3-2.古民家カフェ 蓮月

古民家カフェ 蓮月

 

出典:古民家カフェ 蓮月

昭和初期に建てられ近年まで、そば屋「蓮月庵」として営業しており、地域の人々に愛されました。

ところが2014年、蓮月庵のご主人が高齢のため引退。惜しまれつつも閉店。蓮月の維持を願う人々が集い、最終的に、蓮月をカフェにすることが決定し、2015年秋。「古民家カフェ 蓮月」として復活を遂げました。

>>古民家カフェ 蓮月

3-4.古民家をカフェにリノベーションする費用

古民家をカフェにリノベーションする費用は、リノベーション会社に全て依頼する場合と、DIYを行う場合で変わってきます。それぞれの場合について解説します。

3-4-1.リノベーション会社に依頼する場合

広さによって費用は変わってきますが、家具などの備品の購入まで含めて1000万円程度までに収めることが多いようです。

古民家カフェを運営する場合、当時の雰囲気が魅力となるため、なるべく雰囲気を残したリノベーションとなります。そのため、大幅な変更は厨房まわりとなり、他は補修などとなることが多く、居住用の古民家リノベーションと比べると、かなり費用は安くなる傾向にあります。

3-4-2.DIYでリノベーションにチャレンジする場合

DIYで行う場合、費用は500万円以下で行うことが多いようです。その多くは、

・ゴミ処理
・材料
・設備

などです。人件費がかからない分、作業時間が大幅にかかり、計画通りに進まないこともあるため、数ヶ月程度遅れても問題ないくらいの準備はしておきましょう。

また、電気ガス水道に関する工事は、資格が必要です。資格なしで行うことは違法となります。コンセントの増設やキッチン設備の交換工事は専門家に依頼しましょう。

セルフリノベーション について詳しくは、セルフリノベーション初心者必見!場所難易度・費用・日数表をご確認ください。

古民家を自宅用にリノベーションするハードルが高い場合

魅力のある古民家リノベーションですが、挑戦するハードルが高く、なかなか動けないという方もいるかと思います。多くの場合は、以下の2つではないでしょうか。

・いきなりの移住や古民家生活が不安
・仕事や家族の関係で移住できない

この2つに対して、どのような対処法があるかご紹介します。

4-1.いきなりの移住や古民家生活が不安なら賃貸からも可能

田舎で古民家に住んでみたいと魅力的に感じつつも、環境も含め、古民家での生活は一般的なマンションや一戸建てとは異なることもあるため、初めから購入に踏み切るのはハードルが高いと感じる方もいるでしょう。

そういった場合、行政や、一般的な不動産屋が管理する賃貸物件の古民家なら、月々の家賃を支払って住めるので、購入するよりも気軽に古民家生活を体験できます。

古民家は、売買物件だけでなく賃貸物件もばしょによっては取り扱っているため、ネットでそのエリアの賃貸情報をチェックしてみましょう。

賃貸より手軽な宿泊施設

地域によっては、町おこしなどの目的で、古民家をつかった宿泊施設で田舎暮らし体験ができるところもあります。

宮崎県日南市飫肥(おび)地区では、江戸時代に武士が住んでいた古民家をリノベーションした宿泊施設「季楽 飫肥 合屋邸(きらく おび おうやてい)」があります。

宿は1日1グループ限定の貸切タイプで、囲炉裏や土間などが当時のまま残された空間で、昔の文化体験を堪能できるようになっています。

詳しくは、Nazuna 飫肥 ‐合屋別邸-をご確認ください。

4-2.移住できない場合は古民家風リノベという方法も

仕事や家族の関係で移住が難しいという方もいるかと思います。その場合は、リノベーションによって古民家風のデザインにして中古戸建てや中古マンションに暮らすという方法もあります。

もちろん歴史を経た立派な梁などはなかなか実現は難しいかもしれませんが、吹き抜けや、土間、漆喰壁など日本家屋を感じる雰囲気にすることは可能です。

例えばマンションの場合でも、大正ロマン風にリノベーションした例もあります。

古民家リノベーション

 

>>この事例を詳しく見る

利便性のよい立地ながら、材料やデザインで古民家や日本家屋に寄せるというのもメリットのある選択肢と言えるのではないでしょうか。

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古民家をリノベーションする流れと必要期間

古民家をリノベーションする流れと必要期間古民家の場合も、通常の住宅を購入してリノベーションをする流れは同じです。

古民家の購入からスタートする場合は、購入後、リノベーション設計の打合せや工事を行うという流れになります。また、リノベーションして工事が完了するまでは、規模に応じて3ヶ月〜6ヶ月程度かかります。

打合せ期間はこだわり方にもよりますが、1ヶ月〜2.5ヶ月程度を想定しておきましょう。また、工事期間についても2.5〜3ヶ月程度を想定しておきましょう。ただし、工事面積によってはもっと工事期間がかかる場合もあります。事前にリノベーション会社の担当に確認しておきましょう。

また、DIYなどのセルフリノベーション を行う場合は、古民家丸ごとを行うとすると一年半程度を完成までの目安としておきましょう。

古民家の探し方

古民家をどう探せばいいのかわからないという方も多いかと思います。基本的な探し方は、4つとなります。

それぞれ特徴はありますが、時間が許すならば、いくつかの方法を平行して使ってみましょう。その分、物件に出会える確率は上がるでしょう。

・不動産屋から探す
・行政から探す
・NPOなど民間から探す
・自分の足で探す

それぞれ特徴はありますが、時間が許すならば、いくつかの方法を平行して使ってみましょう。その分、物件に出会える確率は上がるでしょう。それでは、それぞれについて見ていきましょう。

6-1.不動産屋から探す

一つ目の探し方は、不動産屋経由で探す方法です。一般的な物件を扱っている大手や地元の不動産屋も情報は持っており、このほか、古民家専門の不動産屋というものも存在します。

ネットでも販売物件を調べることができます。仲介を依頼することで、相手側との揉め事なども発生しにくく、交渉や手続きもスムーズであることが特徴です。

6-2.行政から探す

行政経由で物件をみつけることもあります。各自治体も移住定住の施策に力を入れています。移住先が絞れている場合は、そのエリアの役場などを活用しましょう。

また、空き家バンクから物件を探してみましょう。ただし、行政は仲介を行うのではなく紹介のみで、購入後に問題が見つからないようしっかりと物件の状態などをチェックしておきましょう。

仲介手数料がかからないのが特徴です。(行政によっては、不動産屋に依頼する場合もあるため移住先で確認をしましょう。)

各都道府県の移住情報については、自治体クリップからご確認ください。

6-3.NPOなど民間から探す

NPOから物件の紹介をしてもらうという方法もあります。必ずしも移住先に物件情報を持つNPOがあるわけではありませんが、県名と移住NPOの組みあわせで調べてみましょう。

物件情報だけでなく、移住全般についての相談も可能であることが多いため、いずれにせよ調べて見つかったならば問い合わせてみる価値があるでしょう。仲介費用についてはNPOにより異なるため確認が必要になります。

6-4.自分の足で探す

自分で歩いて探すという方法もあります。

希望のエリアが決まっているのであれば、そのエリアを歩いて、空き家をひたすら探し、魅力的な物件をみつけたならば、近所の方に自分の状況などを開示して、物件の状況や持ち主について教えてもらえるよう努めましょう。

可能性が高いわけではありませんが、魅力的な物件に出会えたのであれば、動いてみる価値はあるでしょう。そのエリアにNPO法人などがあれば、交渉などで協力してくれる場合もあります。

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古民家リノベーションの税金・補助金について

この章では補助金と減税などの税金面についてお伝えしていきます。

7-1.補助金について

対象となるリノベーションやリフォームを行えば、国や市町村の補助金制度を活用できます。バリアフリー工事や、省エネ、耐震改修工事などが条件となり、代表的なものは以下の通りです。

・高性能建材による住宅の断熱リフォーム支援事業:戸建は最大120万円
・次世代省エネ建材支援事業:戸建は最大200万円
・長期優良住宅化リフォーム推進事業:100万円〜250万円
・ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス支援事業:60万円の定額

それぞれに補助金の対象となる条件があるため、詳しくは各自治体のホームページよりご確認ください。また、いずれの制度も、予算が上限に達し次第、予定期限日よりも前に締め切られる可能性があるため、ご注意ください。

奨励金がある都道府県も
過疎化の影響を危惧している都道府県によっては、移住者や住宅を建てた人に対して奨励金を出しているところもあるため、各自治体のホームページなどから確認をしてみましょう。

7-2.減税制度

リノベーションやリフォーム工事のローンや、住宅購入のローンに対しても減税制度が用意されています。住宅取得の場合とリノベーションやリフォーム工事についてそれぞれ解説します。

7-2-1.住宅取得について

住宅取得に対する減税制度には、住宅ローン控除というものがあり、年末のローン残高の1%を所得税から控除されます。(10年間または、平成31年10月1日から32年12月31日までの間に、消費税率10%が適用される住宅を取得等して居住用に供した場合の住宅ローン減税の場合13年間)

ただし、住宅ローンの場合、条件として築20年以内であることや、そうでない場合、一定の耐震基準をクリアしていることが求められます。

古民家の場合は、そのままでは基準を満たしていないことが多いため、耐震改修工事を行う必要があります。また、申請については、購入後引き渡しまでの間に行い、工事完了後にもう一度手続きがあるため、覚えておきましょう。

詳しくは、国土交通省の中古住宅取得後に耐震改修工事を行う場合における住宅ローン減税等の適用について①をご確認ください。

7-2-2.リノベーション工事について

リノベーションやリフォームの減税制度については、

・耐震改修に関する特例措置【所得税、固定資産税】:上限25万円
・省エネ改修に関する特例措置【所得税、固定資産税】:上限25万円
・バリアフリー改修に関する特例措置【所得税、固定資産税】:上限20万円
・長期優良住宅化リフォームに関する特例措置【所得税、固定資産税】:上限25万円

それぞれの工事内容や条件によっても控除金額が変わるため、詳しい内容については、国土交通省のホームページをご確認ください。

まとめ

古民家リノベーションとは様々な魅力をもつ古民家リノベーションですが、下記のようなデメリットがあることもわかりました。

・都会に古民家があまりなく引越しのハードルが高い
・近くに対応エリアとなる依頼会社がない
・耐震/寒暖の補強に費用がかかる

また、費用についても、スケルトンリノベーション、フルリノベーション、表層リノベーションと工事によって費用が異なるため、どの程度の工事が必要になるか、ホームインスペクションや、リノベーション会社の設計担当に確認してもらうことをおすすめします。

 

古民家をDIYでリノベーション古民家をDIYリノベーションする場合は、電気、ガス、水道など免許が必要な工事もあるため、自分が行なってよい部分だけ行いましょう。

また、住まい全体を大人2名で工事すると、一年半程度の期間が必要になるため、お金や住む場所などについて事前に計画をしっかりたてましょう。

古民家を買ってカフェにリノベーション古民家カフェにも魅力はたっぷりありますが、デメリットもそれなりです。

・よい立地を探すのが大変
・保健所の許可が得にくい
・害虫・害獣が出やすい

これらを含めても古民家カフェを行いたいかどうかで判断していきましょう。

古民家物件の探し方は、

不動産屋から探す
行政から探す
NPOなど民間から探す
自分の足で探す

以上の4つでした。余力があれば、いくつかの方法を使っていくことをおすすめします。その方が、よい物件に出会える可能性もあがるはずです。

古民家の補助金は、下記の通りです。

・高性能建材による住宅の断熱リフォーム支援事業:戸建は最大120万円
・次世代省エネ建材支援事業:戸建は最大200万円
・長期優良住宅化リフォーム推進事業:100万円〜250万円
・ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス支援事業:60万円の定額

それぞれに補助金の対象となる条件があるため、詳しくは各自治体のホームページよりご確認ください。また、いずれの制度も、予算が上限に達し次第、予定期限日よりも前に締め切られる可能性があるため、ご注意ください。

減税制度については、住宅取得の場合は、そのままでは対象とならないため、耐震改修工事を行い、申請をする必要があります。

リノベーション工事については、以下があがります。

・耐震改修に関する特例措置【所得税、固定資産税】:上限25万円
・省エネ改修に関する特例措置【所得税、固定資産税】:上限25万円
・バリアフリー改修に関する特例措置【所得税、固定資産税】:上限20万円
・長期優良住宅化リフォームに関する特例措置【所得税、固定資産税】:上限25万円

それぞれの工事内容や条件によっても控除金額が変わるため、詳しい内容については、国土交通省のホームページをご確認ください。

自分たちだけの素敵な古民家リノベーションを賢く実現していきましょう。

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