リノベ設計・工事 2020.11.23 更新 | 2017.11.30 公開
リフォームとリノベーションの違い【デザイン・費用・期間・流れ】を比較

おしゃれなイメージのリノベーション、でもリフォームと何が違うの?と疑問に思っていませんか?
どちらも住まい(一戸建て・マンション)に対しての工事ではありますが、実は下の画像のような違いがあります。
リフォームとは?
リフォームとは、室内や設備を新築当時の機能に戻す、原状回復の意味合いで使われる言葉です。「マイナスの状態のものをゼロの状態に戻すための機能回復工事」という意味合いとして使われます。
リフォームに該当する工事
- キッチン、トイレ、お風呂の交換
- 壁紙、床のはりかえ
- 一部壁の撤去
- 和室から洋室に、など
上記のように住まいのパーツ交換はすべてリフォームに該当します。つまり、「パーツの機能回復ができればよい」という場合に向いているのがリフォームです。
リノベーションとは?
リノベーションとは、室内全体をカスタマイズした間取りやデザインにする、デザイン設計工事の意味合いで使われる言葉です。
特に住宅のリノベーションの目的は、これからその空間を使う人が暮らしやすいようにすることです。なので、玄関の広さ、個室の数、キッチンの位置やお風呂のサイズに至るまで、デザイン性を含めて設計担当者と打合せをしながら細かく決めていくことになります。
リフォームが、マイナスをゼロの状態に近づける工事であることに対し、リノベーションは、ゼロの状態に+αを付け加えて新たな価値を生み出すものとして使われます。
リノベーションに該当するケース
- これから中古物件を購入して中身を全て新品にしたい
- 住んでる家の家族構成が変わり老朽化もあるのでもろもろ全て変更したい
これらのケースの場合は、設計担当のもとリノベーションをすることをおすすめします。暮らしやすさの向上のためにはしっかりとした打合せを何度も行う必要があります。
この記事では、リフォームとリノベーションの違いを、事例なども使って解説し、それぞれの工事規模やメリットデメリットで比較することで、どちらが求めている工事内容なのかがわかることを目指して書きました。
ぜひこの記事を参考にして、これからの住まいを検討するのにご活用ください。
目次
リフォーム・リノベーションの違いと選び方
リフォームに向いている人
リフォームは、部分的だったり、空間全体のデザイン性などを重視しない場合に向いています。中でも築年数が経過している場合と経過していない場合で、工事すべき規模が異なってきます。
築年数が20年前後以降の場合
床下の排水管にも寿命があり、築20年程度になってくると漏水のリスクが高まってくるため水回りの設備と一緒に交換することをおすすめします。
また、マンションの場合、お風呂やキッチンのみ交換して、給排水交換をしない場合、マンション全体の給排水管交換のときに、リフォームで新しく作った床や壁を壊すことになるため、設備の交換と給排水管の交換は同時に行い、全体での工事時にはマンションの管理組合に給排水管を交換していることを報告しましょう。
詳しくは、中古マンションの配管寿命は?築38年の物件を買っても大丈夫?をご確認ください。
築年数が10年未満の場合
まだ老朽化もしていないため、気になる箇所だけ交換や補修をする部分リフォームが向いていると言えます。
リノベーションに向いている人
リノベーションは、住む人数やライフスタイルが変わったり、生活導線やデザインの不満があるならば、「どうせやるなら住まいまるごと変えて住みやすくしよう!」という方に向いていると言えます。
自分たちが暮らしやすくなるために、既存の間取りではなくオーダーメイドでデザイン設計を行います。2章のリノベーション事例でどんなことが可能なのか参考にしてください。
では次に、リフォームとリノベーションのメリットデメリットを比較していきたいと思います。
リフォームとリノベーションのメリットデメリット
表層・部分リフォームとリノベーションを比較して、それぞれのメリットデメリットを解説します。なお、全て解体撤去してつくるフルリフォーム(戸建の場合外装も含む)はリノベーションの項目に含まれます。
※1ネット上のリフォーム会社・見積もり比較サイトの平均のためあくまで目安金額であり、設備の金額によってはこの範囲に収まらないためご注意ください。
※2一般社団法人リノベーション協議会からピックアップした61社154事例の費用相場
※3ネット上のリフォーム会社・見積もり比較サイトに掲載されている平均工期のため工事規模によっては必要な日数が上下します。
では、それぞれの項目で比較していきましょう。
2-1.暮らしやすさのインパクトの違い
リフォーム→デメリット
リフォームは暮らしやすさへのインパクトは小さくなりやすいです。なぜなら、部分的な工事だからです。
リノベーション→メリット
リノベーションは暮らしやすさへのインパクトは大きくなりやすいです。なぜなら、どのように暮らしていきたいかという点から室内全体設計する自分たちだけのオーダーメイドの空間になるからです。
では実際の事例で、どういったことがリノベーションで可能なのかみていきましょう。
2-2.デザイン性の違い
リフォーム→デメリット
リフォームはデザイン性はあまり期待でません。なぜなら、リフォームは営業マンが担当することもあり、設計能力やデザインのセンスを持った提案は難しいからです。キレイになればそれでいい、という場合はリフォームが向いているといえます。
リノベーション→メリット
リノベーションは期待できると言えます。なぜなら、設計専門職の担当と、雑誌やネットの画像から、間取りとは別に空間の雰囲気をどのようにしていきたいか打ち合わせを行うからです。おしゃれに気持ちよくという場合はリノベーションが向いているといえます。
詳しくは、リノベーションでここまで変わる!ビフォーアフター10選をご確認ください。
2-3.費用の違い
※1ネット上のリフォーム会社・見積もり比較サイトの平均のためあくまで目安金額であり、設備の金額によってはこの範囲に収まらないためご注意ください。
※2一般社団法人リノベーション協議会からピックアップした61社154事例の費用相場
リフォーム→メリット
リフォームの場合は、交換する設備や規模にもよりますが、比較的安く収まると言えます。
リノベーション→デメリット
リノベーションは、空間全体を床下の給排水管なども含め全て新品にするため、費用がかかります。リノベーションの費用は基本的に面積と採用する設備によって変わります。
より詳しくは、業界61社154事例まとめ!中古マンションのリノベーション費用のリアル相場とローン解説をご確認ください。
2-4.工事期間や流れの違い
※3ネット上のリフォーム会社・見積もり比較サイトに掲載されている平均工期のため工事規模によっては必要な日数が上下します。
リフォーム→メリット
リフォームは工事の内容によりますが、見積もりや契約に一週間程度、その後の工事も長くとも10日程度で終わるものが多いです。規模や内容にもよりますが、仮住まいを用意する必要などがなく、工事中も暮らせるため気軽に工事の依頼ができます。
リノベーション→デメリット
リノベーションは、これから住む人の要望をリノベーション会社などの設計担当者がヒアリングして、オリジナルの間取り、デザインで作り上げます。設計担当との打ち合わせが2.5〜3ヶ月、解体〜工事が2.5~3ヶ月の合計5〜6ヶ月の期間が必要となります。
リノベーションを進める詳しい解説は、リノベーションの流れが一目瞭然!4ステップでやるべきことを徹底解説をご確認ください。
また、工事期間は場合によってはトラブルにより伸びる可能性もあります。
工事中は仮住まい(新規物件購入の場合は継続して賃貸暮らし)となるため、工事が伸びると出費も増えますが、担当者と密にやりとりをすることで最小限に抑えることも可能です。
工事が始まったあとも、進捗の遅れや問題がないか、担当者とやりとりを継続し確認しましょう。
施工事例3つで解説!リノベーションは何が実現可能?
リノベーションは1つ1つの事例が間取りもデザインも全く異なります。それは、自分たちのライフスタイルや要望から生まれるオリジナルを実現するためです。
それでは、お客様の要望がどう実現するか、具体例を見て見ましょう。
共働き夫婦のホテルライクな暮らしを実現した事例
こちらの事例は、ご夫婦お二人の住まいをリノベーションした事例です。
共働きで、あまり掃除に時間をかけたくないことや、細かく分かれた空間の使い道もないため、お掃除ロボットが室内全てを掃除できるようにフルフラットの床にして、夜に家に帰ってきたときには掃除が終わっているホテルライクな生活を目指しました。
また、もともとのお風呂や洗面所はせまく、奥まった位置にあったためバルコニーの景色を楽しめるよう移動させ、お風呂に窓も取り付けました。
もとの一般的な間取りと比較すると、このご夫婦にとってはとても快適に暮らせる間取りになったことがわかります。また空間のテイストも気にいるものになったため愛着や満足感も既存のものより増したことでしょう。
人をもてなせるレストランのようなリノベーション事例
ご夫婦で中古マンションを購入しリノベーションをした事例。
友人を招待してもてなすのが趣味ということで、壁付ソファをオーダーメイドで作成し、オリンピックやワールドカップも大人数で見られるようにプロジェクターを設置しました。
また、キッチンには新たに造作カウンターを置き、夫婦で料理を作るのにも十分なスペースを確保することができるようになりました。
お気に入り家具をいつでも眺められる間取りのリノベーション事例
お子様とご夫婦の3人暮らしの生活。デンマークに暮らしていたときに購入したお気に入りの家具たちを眺めながらの生活がしたいという要望から美術館やアトリエのような雰囲気のテイストに仕上がりました。
また、空間を隔てるドアなどを極力なくし、お子様を見守りやすい設計にもなっています。
このように、ただおしゃれにかっこよくなるだけでなく、自分たちの「こんなふうに暮らしたい!」という要望を設計担当と打ち合わせて決めていくことで、既存の間取りと比べ、とても暮らしやすく、満足度の高い生活が送れるのがリノベーションの魅力といえます。
より多くの事例を見るなら事例一覧よりご確認ください。
リノベーションは室内全部を解体
上の写真はマンションのリノベーション工事を行う様子です。室内全てが撤去され新品になることがわかります。
リノベーションは、部分的なリフォームや、フローリングを重ね貼りする表層リフォームと違い、今までの壁や天井、床や床下の排水管やガス管などあらゆるものが解体撤去される大規模な工事となります。
コンクリートの箱の状態にしてから、打ち合わせで決めた設計図面に合わせて、今までの間取りとは関係のない位置に壁やキッチンなどが設置されていきます。そのため、中古のマンションであっても、室内に関しては全てが新品となるのがリノベーションです。(戸建の場合は外装の工事も可能です)
混同しやすいリフォーム・リノベーション用語一覧
間違えやすい用語に注意
リノベーションとリフォームは名称が多く、会社によって使われ方も異なるため、注意が必要です。
リフォーム会社が集客のためにリノベーションと言っている場合もあります。デザイン性を重視するなら事例を見て確認をしましょう。
リノベーションにより空間全てを解体撤去することをスケルトン工事と呼び、スケルトンリノベーションやフルリノベーションと呼ばれることもありますが、工事内容はリノベーションと同じです。
部分工事として表層リノベーションや部分リノベーションなどの言葉が使われることもありますが、リフォームとほぼ同じです。大幅な間取り変更はなく、表面のデザインがキレイになるリフォームという位置付けです。
リノベーションは、言葉の意味も厳密に決まっておらず、会社によって示す意味が異なるため、依頼する場合は何をしてくれるのか、サービス内容を確認しましょう。
まとめ
リフォームは原状回復(マイナスをゼロに近づける)の工事です。一方リノベーションは、これから暮らす人のためにオーダーメイドでゼロから間取りやデザインを決めて進める設計・工事(ゼロから+α)です。
それぞれメリットデメリットはありますが、どちらが自分の住まいに求めているものなのかを確認して、今後の生活にぜひ役立てましょう。
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