2023.06.09 更新

リフォームとリノベーションの違いは?【デザイン・費用・期間・流れ】を徹底比較

リフォームとリノベーションの違い

「リフォームとリノベーションはどう違うの?」
「リフォームとリノベーションのどちらが向いているのか分からない」

中古住宅の購入や現在住んでいる住居の改修を考えるときに、このように悩む人が多いようです。
リフォームとリノベーションに法的な定義や明確な線引きはありませんが、具体的には工事の目的が異なります。どちらを希望するのかにより相談するリフォーム会社も変わってくるので、両者の違いはきちんと把握しておくことが大切です。

そこで今回の記事では、以下のような内容を紹介します。

  • リフォームとリノベーションの違いと選び方
  • リフォームとリノベーションのメリット・デメリット
  • リノベーションの事例
  • リフォームとリノベーションの用語の違い

これからリフォームやリノベーションを検討する人が必要な基礎知識を得られる内容となっているので、ぜひ参考にしてみてくださいね。

Advisor

一級建築士 アドバイザー 西村 一宏

[監修]一級建築士

西村 一宏

リノベーション・オブ・ザ・イヤーを受賞した設計・施工部門の責任者としてゼロリノベ建築を担う。著者の詳しいプロフィール

Author

“【著者】ゼロリノベ編集部"

[著者]

ゼロリノベ編集部

元銀行員・宅地建物取引士・一級建築士が在籍して「住宅ローンサポート・不動産仲介・リノベーション設計・施工」をワンストップで手がけるゼロリノベ(株式会社groove agent)。著者の詳しいプロフィール

\一級建築士監修のWEBセミナー/

リフォームとは?

リフォームとは、室内や設備を新築当時の機能に戻す、原状回復を目的とした改修の意味合いで使われる言葉です。「マイナスの状態のものをゼロの状態に戻すための機能回復工事」と考えるとよいでしょう。具体的には以下のような工事がリフォームに該当します。

  • キッチン、トイレ、ユニットバスなどの住宅設備の交換
  • 壁紙、床材などの張り替え
  • 壁の一部を撤去
  • 和室から洋室に内装を変更、など

上記のような内装やパーツの交換はすべてリフォームに該当します。つまり、「パーツの機能回復ができればよい」という場合に向いているのがリフォームです。

リノベーションとは?

リノベーションとは、室内全体を好みに合わせてカスタマイズした間取りやデザインにする、デザイン設計工事を目的とした改修の意味合いで使われる言葉です。

とくに住宅のリノベーションは、これから住む人の暮らし方にあった空間にすることを目的におこなわれます。そのため玄関の広さや部屋の間取り、キッチンの位置、洗面台やお風呂のサイズに至るまで、デザイン性を含めて設計担当者と打合せをしながら細かく決めていくのが特徴です。

つまりリフォームが「マイナスをゼロの状態に近づける工事」であるのに対し、リノベーションは以下のような「ゼロの状態に+αを付け加え、新たな価値を生み出す工事」を指します。

  • リノベーションに該当するケース
  • 中古住宅を購入して間取り・内装・設備をすべて刷新し、快適性や住宅性能そのものを向上させる
  • 住んでいる家の家族構成が変わったため、老朽化による設備交換に加えて間取りを変更したい

これらのケースに該当する場合は、設計担当と何度も打ち合わせをしたうえで、理想の住まいにするためにリノベーションをすることをおすすめします。

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リフォームとリノベーションの違いと選び方

リフォームとリノベーションの違いを再度確認したうえで、どちらが適しているのか選び方を解説します。

リフォームとリノベーションの違い

3-1. リフォームに向いている人

リフォームは、修繕するのが部分的であるときや、空間全体のデザイン性などの優先順位が低い場合に向いています。とはいえ築年数が経過している場合と経過していない場合では、工事すべき内容や規模が異なってきます。

3-1-1.築年数が20年前後以降の場合

築20年を過ぎている場合には、水回りの設備の交換を含めてリフォームすることをおすすめします。床下の排水管にも寿命があり、築20年以降は漏水のリスクが高まってくるためです。

なおマンションにおいては、マンション全体の給排水管交換のときに床や壁を壊すことになります。リフォームで水回り設備の交換と給排水管の交換を同時におこなった場合には、全体での工事時にはマンションの管理組合に給排水管の交換が済んでいることを報告しましょう。

詳しくは、中古マンションの配管寿命は?築38年の物件を買っても大丈夫?をご確認ください。

築年数が10年未満の場合

新築時から10年を超えていない物件は、まだ老朽化もしていないため、気になる箇所だけ交換や補修をする部分リフォームが向いています。

3-2.リノベーションに向いている人

リノベーションは、住む人数やライフスタイルが変わったり、生活動線や内装のデザインの不満があったりするときに「どうせやるなら住まいまるごと刷新して住みやすくしよう!」という方に向いています。

例えば、子どもが就学するので個室の子ども部屋をつくってあげたい、子どもが独立して夫婦ふたりだけなので個室を減らしてLDKを広くしたい、共働きで忙しいので家事効率をあげるために動線をよくしたい、など自分たちが暮らしやすくするために、既存の間取りにとらわれず、オーダーメイドで自由なデザイン設計が可能です。

5章で紹介するリノベーション事例でどんな改修工事が可能なのか参考にしてみてくださいね。

リノベーションで後悔しないためには、リノベーションでよくある失敗と上手に回避する方法を紹介しているこちらの記事もご覧ください。

リフォームとリノベーションのメリットデメリット

表層・部分リフォームとリノベーションを比較して、それぞれのメリットデメリットを解説します。なお、すべて解体撤去してつくるフルリフォーム(戸建の場合外装も含む)はリノベーションと同じと考えましょう。

リフォームとリノベーションのメリットデメリット比較表
※1ネット上のリフォーム会社・見積もり比較サイトの平均のためあくまで目安金額であり、設備の金額によってはこの範囲に収まらないためご注意ください。
※2一般社団法人リノベーション協議会からピックアップした61社154事例の費用相場
※3ネット上のリフォーム会社・見積もり比較サイトに掲載されている平均工期のため工事規模によっては必要な日数が上下します。

では、それぞれの項目で比較していきましょう。

4-1.暮らしやすさの違い

リフォームとリノベーションの暮らしやすさ比較表

リフォームは部分的な工事であるため、暮らしやすさへのインパクトは小さくなる傾向があります。

一方リノベーションは、どのように暮らしていきたいかという視点で室内全体を設計するため、暮らしやすさへのインパクトは大きくなります。住宅全体の断熱性や戸建てであれば耐震性を高めるなど住性能の向上も望めるため、大幅に暮らし心地がアップするでしょう。

4-2.デザイン性の違い

リフォームとリノベーションのデザイン性の比較

リフォームではデザイン性の向上はあまり期待できません。なぜなら、リフォームは営業マンが担当することが多く、設計能力やデザインのセンスを伴う提案は難しいからです。既存のデザインのままキレイになればそれでいい、という場合はリフォームが向いているといえます。

対してリノベーションは、設計専門職の担当と、過去の事例や雑誌・ネットの画像を見ながら、間取りとは別に空間の雰囲気をどのようにしていきたいか打ち合わせをおこないます。空間の統一性や素材の特性を考慮した上でプロならではの提案が期待できるため、デザインにこだわり、お気に入りの空間作りを実現したい場合はリノベーションが向いているといえます。

詳しくは、リノベーションでここまで変わる!ビフォーアフター10選をご確認ください。

4-3.費用の違い

リフォームとリノベーションの費用の比較表

※1ネット上のリフォーム会社・見積もり比較サイトの平均のためあくまで目安金額であり、設備の金額によってはこの範囲に収まらないためご注意ください。
※2一般社団法人リノベーション協議会からピックアップした61社154事例の費用相場

リフォームはリノベーションよりも工事の規模が小さいため、交換する設備にもよりますが、比較的安く収まる傾向があります。

一方リノベーションは、床下の給排水管なども含め空間全体をすべて刷新するため、工事費用は高額になりがちです。リノベーションにかかる費用は、面積と採用する設備の種類やグレードによって変わるのが一般的です。

より詳しくは、業界61社154事例まとめ!中古マンションのリノベーション費用のリアル相場とローン解説をご確認ください。

4-4.工事期間や流れの違い

リフォームとリノベーションの工事期間の比較表

※3ネット上のリフォーム会社・見積もり比較サイトに掲載されている平均工期のため工事規模によっては必要な日数が上下します。

リフォームは工事の内容によりますが、見積もりや業者との契約に一週間程度、その後の工事も長くとも10日程度で終わるものがほとんどです。規模や内容にもよりますが、暮らしながら工事ができるため仮住まいを用意する必要もなく、気軽に工事を依頼できます。

リノベーションの流れ

対してリノベーションは、これから住む人の要望をリノベーション会社などの設計担当者がヒアリングして、オリジナルの間取り、デザインでつくり上げます。設計担当との打ち合わせに2.5〜3ヶ月、解体〜工事に2.5~3ヶ月、合計5〜6ヶ月の期間が必要となるのが一般的です。

また、場合によってはトラブルにより工事期間が延びる可能性もあります。工事中は仮住まい(新規物件購入の場合は継続して賃貸暮らし)となるため、工事が延びると出費も増えてしまいがちです。担当者と密にやりとりし、最小限に抑える工夫が必要になるでしょう。

リノベーションを進める詳しい解説は、リノベーションの流れが一目瞭然!4ステップでやるべきことを徹底解説をご確認ください。

ゼロリノベでは、オンラインで参加可能なセミナーを毎週開催しております。ビデオも音声もOFFのまま参加できるので、理想の家を買う出発点として、是非一度詳細をご覧ください。

\一級建築士監修のWEBセミナー/

リノベーションの施工事例!リフォームとは異なる魅力

リノベーションは間取りもデザインも事例ごとにまったく異なります。それは、自分たちのライフスタイルや要望から生まれるオリジナル性を大切にし、理想の住まいを実現するためです。

それでは、お客様の要望がどのように実現するのか、具体例を見てみましょう。

5-1.ホテルライクな暮らしを実現!共働き夫婦のリノベーション事例

リノベーションの事例01

こちらの事例は、共働きなのであまり掃除に時間をかけたくないとの希望をお持ちのご夫婦お二人の住まいをリノベーションした事例です。

まずは3LDKに細かく分かれた空間の間仕切り壁を撤去し、1LDKの広々とした空間に刷新。お掃除ロボットが掃除しやすいようにフルフラットの床にしたため、夜に家に帰ってきたときには髪の毛一本落ちていないホテルライクな生活を実現できました。

奥まった位置にあった狭い浴室や洗面所はバルコニーの景色を楽しめるよう移動を含めてプランニング。窓も取り付け明るい空間に生まれ変わっています。

もとのごく一般的な間取りと比較すると、このご夫婦にとってはとても快適に暮らせる間取りになったことがわかります。インテリアコーディネーターの提案を受け空間のテイストを気にいるものにできたため、愛着や満足感もより増したようです。

共働きにより、掃除に時間をかけられない方や広々とした空間が欲しい方は以下のリンクより参考にしてみてください。

>>この事例の詳しい内容はこちら

5-2.人をもてなせるレストランのようなリノベーション事例

リノベーションの事例02

こちらはご夫婦で中古マンションを購入し「人が集まれるレストランのような空間」を目指してリノベーションした事例です。

友人を招待してもてなすために、壁付ソファをオーダーメイドで造作。映画やスポーツ観戦などを大人数で楽しめるよう、プロジェクターを設置しました。

キッチンには新たに造作カウンターを置き、夫婦で料理を作るのにも十分なスペースを確保。リビング・ダイニングとシームレスに繋がるため、ゲストとコミュニケーションを取りながら料理することができます。たくさんの友人をもてなす空間づくりに成功しました。

多くの友人を自宅に呼んで食事やお酒を楽しみたい方や、コミュニケーションの取りやすい間取りにリノベーションをしたいと考えている方は、以下リンクより詳細を確認して参考にしてみてください。

>>この事例の詳しい内容はこちら

5-3.お気に入り家具をいつでも眺められる間取りのリノベーション事例

リノベーションの事例03

デンマークに暮らしていたときに購入したお気に入りの家具たちを眺めながらの生活がしたいという要望をお持ちのご夫婦とお子様の3人暮らしのリノベーション事例です。

3LDKに分断されていた空間を開放し、広々としたリビングを中心に寝室や子ども部屋などはドアで閉ざすことなく壁だけで緩やかに間仕切り。余白のある空間づくりをすることで、どこからでもお気に入りの家具が見える美術館やアトリエのような雰囲気のテイストに仕上がりました。

お子様を見守りやすいのはもちろん、空間全体の動線が良くなり回遊性も高まっています。

子供の成長を近くで見守ることを可能とする、広々とした空間の家にリノベーションをしたいという方は、以下のリンクより参考にしてみてください。

>>この事例の詳しい内容はこちら

このようにリノベーションはただおしゃれにかっこよくなるだけでなく、自分たちの「こんなふうに暮らしたい!」という要望を設計担当と打ち合わせて決めていけるのが魅力です。既存の間取りにとらわれず、暮らしやすく、満足度の高い生活が送れるようになるのもポイントです。

より多くの事例を見るなら事例一覧よりご確認ください。

リノベーションは室内全部を解体

解体工事

上の写真はマンションのリノベーション工事を行う様子です。室内の内装や間仕切り壁のすべてが撤去され、新しくつくりあげていくことがわかります。

リノベーションは、設備の交換などの部分リフォームやフローリングや壁紙の張り替えなどの表層リフォームと違い、既存の壁や天井、床や床下の排水管やガス管などあらゆるものを解体撤去する大規模な工事となります。

構造や躯体がむき出しとなったコンクリートの箱の状態にしてから、打ち合わせで決めた設計図面に合わせて、今までの間取りとは関係のない位置に壁やキッチンなどを設置していきます。そのため、中古のマンションであっても、室内に関しては新築物件と同様になるのがリノベーションです。(戸建の場合は外装の工事も可能です)

混同しやすいリフォーム・リノベーション用語一覧

リフォームとリノベーションの間違えやすい用語集

リノベーションとリフォームは定義が明確に定められておらず、会社によって使われ方が異なるため、注意が必要です。

リフォーム会社が集客のためにリノベーションと称している場合もあります。

なお、リノベーションにより空間すべてを解体撤去することを「スケルトン工事」と呼び、スケルトンリノベーションやフルリノベーションと呼ばれることもあります。これらは基本的にはリノベーションと同じと考えて問題ありません。

一方部分工事に対して「表層リノベーション」や「部分リノベーション」などの言葉が使われることもあります。これらは「リノベーション」と付されていても、基本的には大幅な間取り変更はなく、表面のデザインがキレイになるリフォームの位置付けです。

このように「リノベーション」は言葉の意味が厳密に決まっておらず、会社によって示す意味が異なるため、依頼に際しては必ずサービス内容や事例を確認しましょう。

\一級建築士監修のWEBセミナー/

まとめ

リフォームは原状回復(マイナスをゼロに近づける)を指す一方、リノベーションはこれからの暮らしに合わせてゼロから間取りやデザインを決めて進める設計・工事(ゼロから+α)を意味します。それぞれメリット・デメリットがあるため、どちらが自分の求めているものなのかを確認して選ぶことが大切です。

なお物件探しからリノベーションまでをワンストップでサポートするゼロリノベでは、ファイナンシャルプランナーが無理のない予算と返済計画を立てるところからお手伝い。
丁寧なヒアリングによってお客様の理想の暮らしとデザイン性の高い住まいを叶えます。

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