2023.03.02 更新 2018.01.09 公開
【住宅ローン】年収別の借入額目安表とは?無理なく返せる予算の考え方

「自分の年収だと一体いくらの住宅ローンを組むことができるのだろう」
住宅購入を検討している方にとっては、予算は一番気になるところですよね。
例えば、年収800万円の人の場合、借りられる限度額の目安は約6900万円です。しかし、この金額は「借りられる額」であって、「返せる額」ではありません。将来の想定外に備えて、「余白のある予算」を組むことが大切です。
また、夫婦共働きの場合に世帯年収で借入額を考えてしまうと、片方が働けなくなった際に住宅ローンが大きな負担となってしまいます。そのため、基本的に借入額は個人年収を元に考えていくことを推奨しています。
この記事では、あなたが借りられる住宅ローンの金額を解説していきます。
- 住宅ローンを組む際の適切な年収倍率
- 借入額が分かる簡単シミュレーション
に加えて、無理なく返せるローン予算で「どのエリアに住めるのか」の参考例や、ローンを組む際にかかってくる諸費用についても紹介していきます。
この記事を読めば、自分たちの住宅ローン目安が分かり、夢の住宅購入に一歩前進することができるでしょう。
Advisor

[監修]宅地建物取引士/元銀行員
鰭沼 悟
宅地建物取引士、不動産投資家歴15年、元銀行員。不動産仲介からリノベーション設計・施工をワンストップで提供する株式会社grooveagent(ゼロリノベ)代表取締役。
Author

[著者]
ゼロリノベ編集部
元銀行員・宅地建物取引士・一級建築士が在籍して「住宅ローンサポート・不動産仲介・リノベーション設計・施工」をワンストップで手がけるゼロリノベ(株式会社groove agent)。著者の詳しいプロフィール
目次
住宅ローンの借入額は年収の約5倍が安心!
まずは、年収別の住宅ローン借入額目安一覧と、適正な借入額の考え方について紹介していきます。
1-1.住宅ローンはいくらが適正?
住宅ローン借入額の適正はずばり年収の約5倍です。インターネット検索すると、年収の8-9倍や10倍まで、など情報が錯綜していますよね。これは回答する業界ができるだけ予算を上げたいなど様々な思惑があるためです。では、なぜ約5倍なのでしょうか?ポイントは返済比率です。
返済比率とは、収入に対する返済額の割合です。住宅ローンを借りる場合、長期に渡って無理のない返済計画となるように、金融機関ではこの割合を一定の範囲内に定め、返済比率による審査が行われます。
無理したローンを組んでしまうと、家計がギリギリになって返済を続けられなくなります。銀行からすると、これは避けたいところ。そこで、家計をやりくりして何とか支払っていけるライン(返済比率)を設定しているのです。⇒フラット35の返済比率基準(返済比率30-35%)
ただし、同じ年収でも、世帯によって必要な生活費は様々です。この返済比率をどのくらいで設定するかによって、無理なく返済していける「安心予算」が変わってくるのです。
1-2.温泉旅行も海外旅行も趣味もつづけたいなら…
家は買って終わりではありません。住宅購入後、固定資産税・管理費・修繕積立金・火災保険料などかかります。そのほか、お子様のいる世帯では教育費も支出が大きくなるでしょう。
これらのランニングコストや将来資金を踏まえると、返済比率は「20%以内」に収めることをおすすめします。
実際に住宅ローン利用者の80%以上が「返済比率25%」未満です。⇒2016 フラット35利用者調査(7-1 総返済負担率)
家を買うことがゴールではなく、家は家族が幸せになるための手段にすぎません。家を買ったあとも、温泉旅行や海外旅行もしたいし、趣味も続けたいですよね。よって、ゆとりを持って人生を豊かにするためには、無理をした借入額でローンを組むことは避けた方が良いのです。
1-3.安心して返せる住宅ローンの借入額目安一覧
下図は「年収別:住宅ローン借入額の目安一覧」です。表中の「返せる額」が無理なく安心して返せる金額になります。
「返せる額」の計算方法
- 返済比率:20%
- 金利:1.81%(フラット35)
- 借入期間:35年

借りられる額→返済率30-35%、返せる額→返済率20%、借入期間35年、金利1.81%で計算
それぞれの年収ごとの住宅ローン借入額とポイントは以下の通りです。
年収300万円の借入額
無理なく返せる額は、1,554万円(月返済5.0万円)です。都心寄りのエリアでは物件はかなり限られてきます。都心寄りから離れたエリアで物件を探すか、コツコツ貯金をして頭金をつくるか…など検討する必要があるかもしれません。
年収400〜500万円の借入額
借入可能額が4000万円前後になるので、住まいの選択肢が広がるような錯覚に陥ります。しかし、現実の返せる額は、2,072万円〜2,591万円。いかに「借りられる額=返せる額」ではないことがわかります。
年収600万円の借入額
東京都の平均年収は600万円(全世代平均)と言われています。無理なく返せる額は、3,109万円です。もしファミリータイプ物件を探すなら「都心から少し離れる・広さを変える」などエリアと広さのバランスを、現実に沿って再検討する必要があるかもしれません。
年収700〜800万円の借入額
借りられる額は6,348万円〜7,255万円。返せる額は3,627万円〜4,145万円です。各家庭によって異なる、無理なく返せる額を見極めることが重要になります。この年収ゾーンから「月々返済額」が11.7万円〜13.3万円と大きくなるので意識するとよいでしょう。
年収900〜1000万円の借入額
一般的に大きな住宅ローンを組んでも大丈夫そうと思われる年収ゾーンですが、消費が多いゾーンとも言われています。実際の無理なく返せる額は、4,664万円〜5,182万円。しっかりとしたライフプランと必要な費用を見極めながら、住宅予算を決めましょう。
1-3.個人年収と世帯年収、どちらで考える?
共働き世帯でもベースは個人年収を基準にすると安心ですね。なぜなら、将来なにが起きるか分からないからです。
しかし、個人年収(返せる額)だけでは希望通りの物件が見つからないこともあります。その場合、もし夫婦共働きなら合算して検討するケースもあります。ただし、すべて合算せず「年収の何割かを合算する」など少し余裕を持って計算した方がよいでしょう。一方が働けなくなったり、収入が減ることも「100%ない」とはいえないからです。
例えば、住宅ローン契約者の個人年収が500万円の場合、借りられる額は「4,534万円」、返せる額は「2,591万円」です。もし希望物件が見つからない場合、無理のない範囲で世帯年収をベースに検討してみます。
世帯年収が「900万円(500万円+400万円)」の場合、すべて合算するのはリスクがあるので、仮に合算割合を半分にして「700万円(500万円+200万円)」で計算してみましょう。すると返せる額は「3,627万円」になります。
「住宅ローンは年収の約7倍~9倍!」の落とし穴
では逆に、なぜ年収の7〜9倍で借りるべきではないのでしょうか。より詳しく説明していきます。
2-1.「借りられる額」と「返せる額」で人生は変わる
上表「住宅ローン目安表」の「借りられる額」をご覧ください。およそ年収の7〜9倍なのがわかります。
「借りられる額」の計算条件
- 審査金利:1.81%
- 返済比率:
年収400万円未満・30%
年収400万円以上・35% - 借入期間:35年
返済比率は「住宅金融支援機構フラット35の基準」を採用
先ほどお話した通り、重要なのは「借りられる額」と「返せる額」は違うということ。住宅ローンを借入限度まで借りれば、住宅購入予算を増やせます。
しかしその分、返済比率も増え、生活がギリギリになってしまう場合も少なくありません。
暮らしがギリギリで何もできなくなっては、それこそ何のためにマイホームを購入したのかわかりませんよね。まるで返済のためにだけ働いているようなもの。それでは本末転倒です。
2-2.ローン返済が家計を圧迫するとどうなる?
2-2-1.リスク対策できない
家計ギリギリで返済しているので貯蓄はなかなかできません。そうなると老後資金をつくれず将来への漠然とした不安を抱えてしまいます。また、リストラや長期入院などのリスク対策もできません。無理のない借入額で予算設定しましょう。
2-2-2.家族旅行を楽しむ余裕がない
家計ギリギリで返済しているので家族旅行もなかなか行けなくなります。海外旅行なら、なおさらのこと。「年収別ローン借入額目安表」の年収600万円をご覧ください。借りられる額と返せる額の差は2000万円強あります。2000万円強あれば、20〜30年連続、家族でハワイ旅行にいけます。こちらの方が人生としては魅力的ではないでしょうか?
家は豊かな人生を送るためのひとつのツール。家を買うことがゴールではありません。見栄を張らず、豊かな人生を送るため、ライフプランに合った無理のない借入額を設定しましょう。
あなたの借入額がわかる簡単シミュレーション
もっと細かい設定で借入可能額の目安を知りたい!そんな場合は「住宅保証機構」の住宅ローンシミュレーションがおすすめ。
「借入可能額の試算」の「年収より計算する」をクリック。入力した数字に従って自動計算されるので、目安となる住宅ローン借入額が一目瞭然です。
繰り返しですが、返済比率は必ず20%以下に設定しましょう。
どこに住める?「沿線別の相場比較表」
物件購入を検討している際には、予算・エリア・広さのバランスをどうとるか?が重要になってきます。
4-1.相場価格と予算は合っていますか?
物件探しのポイントは「予算・エリア・広さ」です。この中でも「予算」は最重要。今まで話してきた通り、予算設定を間違えると人生に大きな影響を及ぼします。よって、親族等から援助がない限り、予算アップはできません。
そうなると、動かせる条件は「エリア」か「広さ」になります。そこで「中古マンション相場価格表」を沿線別につくりました。「自分の予算で現実的なエリア(駅)はどこなのか?」の目安としてお使いください。
物件の諸条件
・駅徒歩10分圏内
・築25年〜マンション
・HOME’S PRICE MAPを参考に独自に集計
※2018年1月時点 自社調べ
築年数が心配な方は築30年のマンションはあと何年住める?後悔しない物件選びの注意点6つをご覧ください。
さて、物件条件の中でも「エリア」は変えにくいですよね。その街が好きだったり、子供の学区だったり、友人が多かったり…理由は様々だと思います。子供の学区が理由ならエリア変更は難しいです。しかし、その街が好きだったり、友人が多いなどの理由なら代替案も考えられます。
たとえば「なぜ、その街が好きか?」を掘り下げてみて、本質的な理由を探してみましょう。同じような雰囲気をもつ街が候補に入るかもしれません。そして実際に訪れてみて空気感を味わってみてください。頑なだったエリアの選択肢が広がり、見ていた世界も広がるかもしれません。休日の街散歩が楽しくなるのでおすすめです。
広さは?リノベで10㎡程度カバーできる
予算もエリアも変えられない場合は「広さ」を再検討するしかありません。では、どのくらいの広さにすれば良いのでしょうか?そもそも何を基準に広さを決めればよいのでしょう?家族構成と広さの例がありますので参考にしてみてください。
家族構成と広さ
- 一人暮らし:35-45㎡
- 二人暮らし:45-55㎡
- 三人暮らし:55-65㎡
- 四人暮らし:65-75㎡
ゆとりをもった資金計画(返せる額)の場合、リノベーションをする人も多いです。なぜなら、20年、30年、40年…と毎日そこで暮らすのですから、日々を愉しめる空間にしたいわけです。
そして実はリノベーションで、広さも「10㎡程度」はカバーできます。三人暮らしなら通常「65㎡」くらいですが、設計アイデアで「55㎡」まで検討することができます。
たとえば、ロフトを活用して立体的な空間にしたり、秘密基地のような小さな子供部屋にしたり、意識がない睡眠中に大きな部屋はもったいないので寝るだけのスペースにしたり、兼用の空間をつくったり…などなど工夫することで、家族が集まるリビングを広くすることができます。

空間を立体的に使えるロフト

将来的に上段に壁をつくれば2つの秘密基地になる(小さな子供部屋)

大きなロフトをつくれば子供部屋になる(上右は姉・上左は弟・下段は物置)

2-3畳の秘密基地のような子供部屋

寝室は最小スペースにしてリビングを広く

廊下とキッチン・キッチンと作業台など空間兼用で広くなる
このほかにも、壁という壁を収納にしたり、床下収納をつくったり、空間効率をよくするため水回りを一箇所に集めたり…可能性は無限大です。
中古マンション購入に必要な「諸費用」とは?
見落としがちな大きな費用が、中古マンション購入にかかる諸費用。物件価格以外に必要となるお金です。通常、現金で用意します。
諸費用の相場
- 中古マンション:物件価格の6%~10%(2018年6月 自社調べ)
たとえば、2,500万円の中古マンションを購入した場合、諸費用は「150〜250万円」になります。
なお、諸費用もローンに組み込める場合もあります。しかし、審査が厳しくなる傾向があり、金利も高くなります。つまり総支払額が増えます。よって諸費用も借りるかどうかは、慎重に判断しましょう。
住宅ローン借入条件の1つは「健康」です
年収別におおよその借入額がわかったと思います。しかし、住宅ローンを利用できるかどうかは「経済状況」だけではありません。もう1つ重要な条件があります。
それは「健康かどうか」です。
実際、この加入条件があるため、収入面ではまったく問題ないのに「1年前に手術した」「こんな持病がある」…など、健康面に問題があって住宅ローンを借りられない人も多いです。
つまり、家の買い時は「健康なうち」と言い換えることもできます。
まとめ
ここまでの内容をおさらいしておきましょう。
- 借りられる額と返せる額は違う
- 住宅ローン借入額は返せる額にする
- 予算に沿ってエリア条件を整理する
- 広さはリノベで10㎡程度ならカバーできる
- 諸費用は物件価格の6%~10%が目安
- 住宅ローンの買い時は健康なうち
いかがでしたでしょうか?この記事で最も伝えたかったことは「家は買って終わりではない」ということです。
無理な予算で暮らしがギリギリになり、苦しくなったら本末転倒です。家を購入したあとも、自由で楽しい人生が送れるように、無理のないゆとりを持った予算にしましょう。
なお、ゼロリノベでは予算立てから物件探し、リノベーションまでをワンストップでお手伝いしています。毎週開催している無料セミナーに参加していただくと、FPによる無料相談をご案内できます。オンラインなので自宅からOK。顔出しも不要でしつこいセールスもありません!ぜひ、気になる方はお気軽にお申し込みください。
住宅ローンは年収の何%で組んだらいい?
無理なく返せる借入額は返済比率20%で計算しましょう。借入目安額=年収の5倍を考えるとわかりやすいです。理由について詳しくは「1.住宅ローン借入額は年収の約5倍!」で解説しています。
世帯年収600万円の場合住宅ローンの借入目安額は?
世帯年収が600万円の場合、無理なく返せるのは月10万円程度、総額は約3,109万円です。(借入期間35年、金利1.81%で計算でした場合)理由について詳しくは「1.住宅ローン借入額は年収の約5倍!」で解説しています。
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