2023.08.07 更新

自由と多様性を説き続けた「世界一貧しい大統領」ホセ・ムヒカさんの書籍をゼロリノベが監修。出版へ

鰭沼社長インタビューカット

「私たちは発展するために生まれてきているわけではありません。幸せになるためにこの地球へやってきたのです」。2012年、リオ地球サミットのスピーチで消費社会の危機を指摘し、一躍時の人となったのは、元ウルグアイ大統領のホセ・ムヒカさん。

彼の半生を描いた『ホセ・ムヒカ 自由への挑戦』をこの春、リノベーション会社である弊社「ゼロリノベ」監修のもと、出版することとなりました。世界のみならず、日本でも数多くムヒカさんの書籍はありますが、この本は一般的な彼のイメージにとどまらず、活動の本質を解き明かす内容となります。

コロナ禍、環境問題、物価高騰……。さまざまな要因から生活に制約が生まれ、「自由の価値を見直すようになった今だからこそ、日本にムヒカさんの言葉を伝えたい」。監修を行なった社長の鰭沼悟はそう話します。そもそもなぜ日本のリノベーション会社が、元ウルグアイ大統領の書籍を? 立場も文化も国も違う両者に通底する思いとは? 鰭沼にインタビューしました。

「世界一貧しい大統領」の愛称で世界的に知られるように

ホセ・ムヒカさん第40代元ウルグアイ大統領、ホセ・ムヒカ氏(写真:アフロ)

社長にとってムヒカさんはどんな人?

考え方に共感するところが非常に多く、中でも「個人の自由」を一貫して大切にされてきたという点に強く引かれました。一般的には “世界一貧しい大統領” と呼ばれているように、生きる上で本当に必要な物だけを選び取り、質素に暮らしている好々爺というイメージでしょう。

でも、それだけじゃない。ゲリラ戦士だった彼を、今なお許さないウルグアイ国民もいます。武力闘争や獄中生活を経て民主的な活動へ転換し、大統領時代には革新的な政策によって国内で賛否を呼びました。また、世界の舞台では、消費社会への批判を通して共感を呼び、ノーベル平和賞候補にまでなった人です。ひと言では語れない壮絶な人生の中で、人にとっての幸せとは、自由とは、を説き続けてきたのだと思います。

「自由」はゼロリノベの企業理念にもある言葉ですね

楽しいことを創造したい、そのために世の中の大人をもっと自由にしたい。それが起業の出発点です。では、多くの人にとって何が不自由か。そう考えた時に、必要以上に高額な住宅ローンを背負うことが経済的な負担になっていると気づきました。空間的にも暮らしに合わなければストレスが生まれます。そうした不自由さをなくし、住まいを通して大人をサポートしようと立ち上げたのがゼロリノベです。

家を買うことはゴールではなく、人生を豊かにするためのもの。その定義に反する提案は一切しない、というのが弊社の唯一のルールです。より経済的な自由、時間的な自由、自分らしく生きる自由をつくるお手伝いをしたい、自分たちも自由でいたい、そんな共通の思いをもった集団がゼロリノベ。個性派ぞろいですが、その一点でみんながつながっています。

 

ゼロリノベの青山事務所ワクワクするのが大好きな仲間たちの声が響くゼロリノベ青山事務所

自由な時間は、どんな持ち物よりも価値がある

ムヒカさんは自由をどう考えているのでしょう

彼の言葉に「自由とは、好きなことをするための時間があること」というものがあります。 “富める者が自由な時間を得て、貧しい者が時間に追われる”という不平等を指摘し、自由に過ごせる時間こそ平等に与えられるべき、と訴えました。

その思いに深く共感すると同時に、多くの日本人は自分らしい自由な時間を過ごすことの大切さ、時間の価値に気づき始めているようにも感じます。だからこそ今、ムヒカさんの「自由な時間は、どんな持ち物よりも価値がある」という言葉の真意を、多くの人に届けたいと思いました。

「とことん向き合う」を、とことん貫く

なぜムヒカさんの本を出すことに?

自由を届ける会社であるために、私たちはさまざまな角度から物事を見て、どんなことにもとことん真摯に向き合うのが最大の強みです。住宅購入は人生で最も大きな買い物なので、お客様から預かる大事な資産をどう活かすのがベストなのか、シビアな問題も客観的な視点で検証し、「買えたとしても経済的な余裕がなくなる」なら正直に伝えます。

全てにおいてとことん向き合い、とことん寄り添う。そこにこだわるからこそ、ずっと尊敬しているムヒカさんの思想についても裏側まで見つめたかった。投獄から政治家まで、聖人君子のイメージとは違う側面も含めて人生を丸ごと伝えたかったんです。著者のジャーナリストが彼の二面性に迫ったこの書籍は、心を揺さぶる言葉が詰まっています。

鰭沼社長インタビューカット2

地球の裏側まで会いに行く

ウルグアイまで行きましたね

「会いたい」と願っても、元大統領との対面は簡単ではありません。歴史も文化も言葉も異なり、地球を半周するほどの距離もあります。しかも私は、政治的なつながりのない、遠い国の民間企業経営者。それなのにムヒカさんが「自宅へおいで」と応じてくださったのは、奇跡のようなことでした。

そんな機会を得られたのは、ゼロリノベの自由への考え方に多くの仲間が賛同し、助けてくれたからこそです。言葉の通じないウルグアイにも協力してくださる方が現れて、われわれの思いをムヒカさんに伝えてくれたのでした。

ご自宅はどんなところでしたか

地球の裏側までようやくたどり着いて目にしたご自宅は、広大な農場に佇む小さな平屋でした。ムヒカさんは国のトップになっても給与の9割近くを寄付して、国民の平均所得と同じ収入で生活していることが話題になりましたが、そのスタイルは今も変わらないのだと実感しました。

しかし、心待ちにしていた対談当日、ムヒカさんは体調を崩されてしまいました。数日間、ご自宅へ通いながら回復を待ちましたが、願いは叶わずお会いすることはできませんでした。それでも彼の哲学を多くの日本人へ届けたいという思いは諦めきれない。すると縁あって、ムヒカさんを最もよく知り、今回の書籍の著者でもあるジャーナリストに我々の思いが届きました。

ウルグアイで出版されているこの本を日本で出せることになったのも、監修を任せていただいたのも、さらに多くの方の協力を得られたから。いくつもの思いが重なって実現したことでした。

 

ムヒカさんが設立した農学校農学校の給食回復への期待を胸に、ホセ・ムヒカ邸やムヒカさんが設立した農学校(写真上)に通って待機。農学校ではムヒカさんも食べるという給食をごちそうに(下)

個性や多様性こそ、今の日本に必要なもの

この本を出す意義について教えてください

今の日本は、本当に価値あるものは何かということを考え始め、個性や多様性に寛容になりつつあります。それを先駆けて訴えたムヒカさんの哲学は、変わろうとしている今の日本にこそ必要なものではないでしょうか。

ムヒカさんは、インフラ事業よりも個人の権利を拡大する法律を優先させて、ウルグアイの政界に革命をもたらしました。同性婚や、女性の意思のみによる妊娠中絶などを実現し、 “自分の生き方を自分で選ぶ豊かさ” を世界に示したのです。

それにより賛否両論巻き起こりました。しかし、彼を最もよく知るジャーナリストから「ムヒカにとって、人生においても政治においても、個人の自由を尊重することは何よりも優先される」と評されていることに胸を打たれます。

 

壁にメッセージを残す壁に残したメッセージ農学校の校長に促され、壁にメッセージを残す

 

私はずっと、飾らず、惑わされず、 “自らに由る”自然な生き方ができたらいいなと思ってきました。ムヒカさんのように、自分にとって真に必要な物と自由な時間をもつことができれば、一人ひとりがもっと自分らしく生きられる。一人ひとりが個性を発揮し、お互いに尊重できれば、多様性のある豊かな社会へつながっていく。そう思います。

私たちも一個人、一企業として互いを尊重しながら、何が本当に大切かを社内外で常に問い掛けているし、たゆまず問い続けていきたい。暮らしのベースとなる住まいにこそ、個性や多様性を反映させて、自由を感じてもらいたい。古い建物を再利用するリノベーションは、マイホームの費用を抑えられ、地球にも優しい選択。自分に合った間取りやデザインで、機能性や自分らしさも生まれます。

ムヒカさんの本には自由な時間を得るため、生き方の本質に気づくための、手がかりが詰まっています。”自由への挑戦”をし続けた彼の軌跡に学びながら、多くの人の自由や個性を支えるサポートをしたいと思っています。

<書籍内容>

“世界で最も貧しい大統領”と世界中の人々から親しまれている元ウルグアイ大統領、ホセ・ムヒカ氏。柔和な好々爺の印象が強いが、彼に長年密着したウルグアイのジャーナリストが栄光だけでなく、その裏にある影も丹念に描いたルポルタージュ。ゲリラ活動から14年に渡る獄中生活、大統領時代、そして国会議員を辞した今もなお訴え続ける「自由の尊さ」とは? ムヒカ氏が体現する “世界で最も心豊かな生き方” とは? 自分にとって、本当に大切なものは何かを考えさせられる一冊

タイトル:ホセ・ムヒカ 自由への挑戦
著者:マウリシオ・ラブフェッティ
監修:鰭沼 悟
発行:株式会社プレジデント社
発売日:2023年4月28日
予価:1800円+税
購入URL:https://amzn.asia/d/5HOEWIg

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