2023.08.08 更新

鉄筋コンクリートはリノベーション可能!費用や注意点まで徹底解説

鉄筋コンクリートはリノベーション可能!費用や注意点まで徹底解説

「相続した家をリノベーションしたい。でもだいぶ築年数が経っている上に鉄筋コンクリートだから、リノベーションは難しいのかな?」
「鉄筋コンクリートの家が段々古くなってきて不便を感じている。間取りも変えたいしリノベーションをしてみたいけれど、そもそも鉄筋コンクリートの家ってリノベーションできるのかな?」

鉄筋コンクリート(RC)住宅について、このようにお悩みではありませんか。

鉄筋コンクリート住宅は一見リフォームやリノベーションがしづらそうに見えるので、工事は無理なのではと不安を感じた方も多いかもしれません。

結論から言えば、鉄筋コンクリート住宅はリノベーション可能です。

ただし鉄筋コンクリート住宅には大きく2種類が存在し、その構造によってリノベーションの自由度が変化します。

鉄筋コンクリート住宅の構造

また築40年以上など築年数が経ちすぎている場合は、リノベーションが適さないケースもあるほか、場合によっては耐震工事などの補強工事をあわせて行う必要があります。

よって鉄筋コンクリート住宅のリノベーションを理想通り行うためには、事前の基礎情報の把握が欠かせません。

そこでこの記事では、リノベーション前に知っておきたい以下のような項目について詳しく解説します。

<この記事でわかること>

  • 鉄筋コンクリート住宅の特徴
  • 鉄筋コンクリート住宅の2つの構造とその違い
  • リノベーションを任せる会社選びのポイント
  • リノベーションをする際の注意点

この記事を最後までお読みいただくと、自宅をリノベーションできる範囲や、リノベーション時の注意点まで確認できます。

鉄筋コンクリート住宅のリノベーションを考えている場合は、ぜひ最後まで読み進めてみてくださいね。

Advisor

一級建築士 アドバイザー 西村 一宏

[監修]一級建築士

西村 一宏

リノベーション・オブ・ザ・イヤーを受賞した設計・施工部門の責任者としてゼロリノベ建築を担う。著者の詳しいプロフィール

Author

“【著者】ゼロリノベ編集部"

[著者]

ゼロリノベ編集部

元銀行員・宅地建物取引士・一級建築士が在籍して「住宅ローンサポート・不動産仲介・リノベーション設計・施工」をワンストップで手がけるゼロリノベ(株式会社groove agent)。著者の詳しいプロフィール

\一級建築士監修のWEBセミナー/

鉄筋コンクリート住宅はリノベーションできる

先程も少し説明した通り、鉄筋コンクリート住宅は戸建て・マンションに関わらずリノベーションが可能です。

鉄筋コンクリート造(RC造)は、木造等と比較すると耐久性や耐震性に優れているため、定期的なメンテナンスを行えば100年以上持つと言われています。

そのため、もし建て替えとリノベーションで迷っている場合は、その家の状況にもよるものの、リノベーションをして住み続けることがおすすめです。

ただそうは言っても、「鉄筋コンクリートの家って他と何がそんなに違うの?」と感じるかもしれません。鉄筋コンクリート住宅には、そのほかにも以下のような特徴が揃っています。

鉄筋コンクリート住宅の特徴

また鉄筋コンクリート住宅の特徴として、間取りや内装の自由度が高いことも挙げられます。

鉄筋コンクリート造は、柔軟性のある鉄筋と成形しやすいコンクリートで構造をつくるため、

  • 壁を取り払って広い空間をつくる
  • 水まわりを移動する

などの大掛かりなリノベーションも可能です。

よってリノベーションを実施すれば、現在生活の中で感じている不便な点を解消でき、より快適な家として住み続けられるでしょう。

ただし鉄筋コンクリート住宅のリノベーションは、家の構造によってその自由度が異なります。

次項では、リノベーションを実施する際に欠かせない鉄筋コンクリート住宅の2つの構造について解説します。

鉄筋コンクリート住宅のリノベーションの自由度は構造によって異なる

先程も少し説明した通り、鉄筋コンクリート住宅は間取りや内装の自由度が高く、間取りを大きく変更するなどの大掛かりなリノベーションも可能です。

ただしリノベーションをする家の構造によっては、間取りの変更などを希望通りに行えないケースも存在します。

鉄筋コンクリート住宅の構造は大きく以下の2種類あり、その構造によって自由度が異なります。

鉄筋コンクリート住宅の構造

ここでは、それぞれの違いと見分け方について解説します。

2-1.ラーメン構造

ラーメン構造とは、柱と梁で建物を支える構造のことです。

間取りをガラッと変えるなど、大規模なリノベーションを行いやすいつくりです。

ちなみにラーメン構造の「ラーメン」とは、食べ物ではなく、ドイツ語で「枠・額縁」を指す言葉に由来があります。

枠(柱や梁)がしっかりしている構造と考えると、わかりやすいかもしれません。

柱と柱の間隔を広くできるため、間取りの制約が少ないことが特徴です。

もし自宅がラーメン構造の場合は、以下のようなリノベーションができます。

ラーメン構造の場合にできること

ラーメン構造であれば、制限が少ないため、基本的には理想通りのリノベーションができるケースが多いです。

ただし家の構造によっては、一部間取りの変更が難しいケースもありますので、詳しくは工務店などのリノベーションを依頼する会社に確認してみてください。

2-2.壁式構造

一方壁式構造とは、鉄筋コンクリートの壁が建物の骨格となった構造です。

柱や梁の出っ張りが少ないため、ラーメン構造と比べて室内がすっきりとしていることが特徴です。

ただし壁で家を支えている分、壁の撤去や移動がほとんどできません。

そのためラーメン構造のように壁をこわしたり、窓や出入り口を大きくしたりするリノベーションは難しいケースが多いです。

基本的に、大きな間取りの変更は難しいと考えてください。以下は、壁式構造の場合にできることの一例です。

壁式構造の場合にできること

ちなみに「どの壁を移動するか」については、自分で判断することは難しいです。

そのため、移動したり壊したりできる壁については、プロが構造を見た上で判断する必要があります。

自分の理想を伝えた上で、リノベーション会社に相談してみてください。

2-3.ラーメン構造と壁式構造の見分け方

ここで気になる点が、ラーメン構造と壁式構造の見分け方ですよね。

自分の家がどちらの構造に当てはまるのかは、以下のような方法で確認できます。

<ラーメン構造と壁式構造の見分け方>

  • 室内に柱の出っ張りがあるか確認する
  • 間取り図を見て、天井や壁が出ているか確認する

先程も少し説明した通り、ラーメン構造は柱や梁で建物を支えているため、室内にも柱の出っ張りが見られます。

よって家の中を見渡したり、間取り図を見たりした際に柱や壁の隅などが出っ張っていた場合は、ラーメン構造の可能性が高いと言えます。

  • 室内や間取り図に柱の出っ張りがある:ラーメン構造の可能性が高い
  • 室内や間取り図に柱の出っ張りがない:壁式構造の可能性が高い

ただしこの見分け方はあくまで簡易的なもので、実際にどちらの構造なのかは、リノベーション会社などのプロに見てもらった方が安心です。

見積もり依頼時など、家の中を見てもらった際に、どちらの構造なのか確認してみることをおすすめします。

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鉄筋コンクリート住宅のリノベーション費用

リノベーションの大まかなイメージが掴めたところで、気になるのが費用ではないでしょうか。

鉄筋コンクリート住宅のリノベーション費用は、家の広さや工事範囲にもよるものの、1,000万円〜のケースが多いです。

 

また作業内容としては、主に以下のようなものが挙げられます。

<鉄筋コンクリートのリノベーション時に行われる作業例>

  • 解体工事
  • 補強工事(耐震や断熱)
  • 各種設備の工事
  • 外壁や屋根の工事
  • 給排水の工事
  • 電気配線工事

「少し高いな」と感じるかもしれませんが、鉄筋コンクリート造のリノベーションは、これだけ大規模な工事をしても建て替えの半額程度で行えます。

リノベーションの費用が安く住む理由は、仮に建て替えて新築を建てる場合の大規模な解体工事が不要なためです。

コンクリートの解体費用は木造と比較すると高額になりがちで、以下のように約2倍も金額が異なります。

  • 木造:3〜4万円/坪
  • 鉄筋コンクリート造:6〜8万円

もし40坪の鉄筋コンクリート住宅を壊すのであれば、240万円〜320万円もの解体費用を支払うことになります。

鉄筋コンクリート住宅は耐久性に優れているため、リノベーションを行えば、まだまだ住み続けられるケースが多いです。

建て替えの半分の値段で家をより快適にできると考えれば、とてもお得ですよね。

上記のような高額な解体費用の支払いを防ぐためにも、鉄筋コンクリート住宅はできればリノベーションをして住み続けることがおすすめです。

鉄筋コンクリート住宅のリノベーションを任せる会社選びのポイント

ここで紹介したように、鉄筋コンクリート住宅は木造等ほかの構造とは異なる特徴を持っています。

そのため、鉄筋コンクリート住宅のリノベーションを依頼する際には、その特徴を把握しており工事に慣れている会社を選ぶ必要があります。

ここでは、会社選びの際に必ずチェックしておきたいポイントを紹介します。

  • 鉄筋コンクリート住宅のリノベーション事例がある
  • 得意分野が依頼したい内容と合っている
  • 施工事例が希望のイメージと合っている
  • 保証期間や保証内容が明確
  • 保証やアフターサービスの適用範囲や連絡先がわかる

もし依頼したい会社が決まった場合は、上記の内容を満たしているか確認してみてくださいね。

4-1. 鉄筋コンクリート住宅のリノベーション事例がある

会社選びの際に最も重要なポイントは、鉄筋コンクリート住宅のリノベーション事例がある会社を選ぶことです。

鉄筋コンクリート住宅のリノベーション時には、大規模な間取りの変更が伴うケースが多いです。

2.鉄筋コンクリート住宅のリノベーションの自由度は構造によって異なる」でも説明した通り、鉄筋コンクリート住宅では、構造によって壊せる壁の場所が異なります。

つまり「どの壁を残してどれを壊すか」「補強は必要なのか」を事前に調べてから間取りを考える必要があり、そのためには専門知識が欠かせません。

リノベーション会社によっては、コンクリート造について専門知識が少ない会社もあります。

もし専門知識がない会社に依頼すると、

  • 工事の段取りが悪く、余計な工期がかかったり追加費用が発生したりする
  • 補強をすべきところを見落とし、そのまま工事を進めてしまう
  • 配管の劣化などに気が付かず、雨漏りが発生する

などのトラブルを招く恐れもあります。

せっかくリノベーションをして住みやすい家にしようとしているのに、トラブルや無駄な料金の支払いはなるべく避けたいですよね。

施工会社の過去の事例は、ホームページなどでも確認できます。

リノベーションを依頼する際は、鉄筋コンクリートのリノベーションに慣れており、施工事例が豊富な会社への依頼がおすすめです。

4-2. 会社の強みや傾向が自身の希望とあっている

依頼したい会社の強みが自身の希望とあっているかどうかも、会社選びの際には重要なポイントの1つです。

施工会社はどこも同じノベーションを行っているように見えても、それぞれ得意分野や特徴が存在します。

  • トイレやお風呂などの部分的なリフォームを手掛けているのか
  • それともスケルトンなどの大規模なリノベーション事例が多いのか

など、各施工会社によって手掛けている工事や得意分野が異なります。

そのため、もし自分の希望と施工事例があわない会社に依頼すると、想像していたイメージ通りの仕上がりにならない可能性も高くなります。

たとえば水回りなどの部分的なリフォームをメインで行っている会社に、大規模なリノベーションを依頼してしまった場合は、仕上がりに不満を覚えることになってしまうかもしれません。

依頼を検討する際は、過去の事例をいくつか確認して、自分の想像している完成イメージに近いかどうかを確認しましょう。

もし「どの写真を見てもよくわからない」と感じた場合は、複数社の事例を見比べて、自分の好みに最も合うと感じた会社を選びましょう。

4-3. 保証やアフターサービスが充実している

会社を選ぶ際には、保証内容やアフターサービスの充実度も確認することをおすすめします。

リノベーション会社では、工事が終わった後のトラブルに対する保証やアフターサービスを用意しているケースがほとんどです。

具体的な内容としては、

  • ◯ヶ月に一度定期点検を行う
  • 水漏れが起きた際に一次対応や修理を行う
  • 家に不具合が発生した際に最長◯年間サポートを行う

などが多いです。

電化製品と同じように、一定期間内に不具合が発生した際に直してくれるサービスだと考えるとわかりやすいでしょう。

ここで注意すべき点は、「保証やアフターサービスあり」との記載があるだけで安心しないことです。

「保証があるから安心ね」と思っていると、責任者の所在が不明確でサービスを受けられなかったり、余分な費用を請求されたりするケースも多いです。

上記のような事態を防ぐには、保証やアフターサービスの内容を事前に確認しておく必要があります。

たとえば

  • 保証期間はいつまでなのか
  • 連絡先は明確になっているのか
  • 保証の範囲はどこまでか

などの項目について、チェックしておきましょう。

ホームページ等には詳しく記載されていないケースもあるため、工事を申し込む前に担当者に聞いてみることをおすすめします。

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鉄筋コンクリート住宅のリノベーションをする際の注意点

ここまで、鉄筋コンクリート住宅のリノベーション事例や会社の選び方などについて紹介しました。

鉄筋コンクリート住宅のリノベーションは基本的にはおすすめですが、築年数が経ちすぎている場合など、場合によってはリノベーションが適さないケースもあります。

最後に、鉄筋コンクリート住宅のリノベーションを行う際の注意点を紹介します。

鉄筋コンクリート リノベーション時の注意点

どれも重要なポイントですので、事前に目を通してみてください。

5-1.築年数が古い場合はリノベーションが適さないケースもある

築50年以上など、築年数がかなり経過している戸建ての場合は、リノベーションよりも建て替えを検討した方がよいケースもあります。

コンクリートは劣化しづらい素材とは言え、以下のような問題が生じている可能性もあります。

  • メンテナンスが不十分で、内部の鉄筋が錆びている
  • 断熱性能が低い
  • 気密性などに問題がある

特に断熱性や気密性など家自体の性能に問題がある場合は、リノベーションをすると費用が非常に高額になってしまう場合もあります。

築年数が経過している場合は、その分修繕すべき箇所も多くなるため、費用が高額になりがちです。

リノベーションの費用は各家の状況や工事の内容によっても異なりますので、リノベーションをすべきか、それとも建て替えた方がお得なのか、担当者とよく相談して決めることをおすすめします。

5-2.築年数が古い場合は配線や配管の工事も行うべき

リノベーションの際には、間取りの変更や内装など家の見た目の部分にのみ注目が行きがちですが、配線や配管の工事も行った方がよいケースも多いです。

あわせて配線や配管の工事を行うべきなのか、一度会社に確認してみてください。

配線や配管とは、電気のための線や下水管などの管を指します。

当然ですが築年数が経つほど、配線や配管も傷んだり劣化したりしています。

傷んだ配線や配管をそのまま放置すると、水漏れや漏電などの被害が生じ、リノベーション後に再度工事をすることになるかもしれません。

せっかく一度きれいな状態にしたのに、またお金をかけて工事をすることはできれば防ぎたいですよね。

鉄筋コンクリート住宅のリノベーションをする際は、一緒に配線や配管の工事も行ってしまいましょう。

ちなみに下水管などの配管の状態は、リノベーション会社によっては、中の状態をファイバースコープで確認してもらうことも可能です。

配管は使用されている素材にもよるものの、耐用年数は20年〜30年程度であることが多いです。

せっかくリノベーションを行って家の中をきれいな状態にするのであれば、配線や配管の工事も一度に行ってしまいましょう。

5-3.リノベーションの前に耐震診断を行っておく

鉄筋コンクリート住宅のリノベーションは、耐震診断を行ってから工事の内容を決めることがポイントです。

鉄筋コンクリート住宅は耐震性に優れているため、1981年の耐震基準の改正以前に建てられている場合も多いです。

よって現在の耐震基準を満たしていない建物も多く、まだ劣化や損傷は見られない場合でも、耐震面の補強が必要な場合もあります。

せっかくリノベーションをするのであれば、耐震面の性能向上の行い、より安心して住めるように環境を整えることをおすすめします。

耐震性に問題がないかどうかは、専門家に耐震診断を依頼することで判断できます。

専門家による診断を受けて、リノベーションの際に必要な補強工事を行っておきましょう。

なお日本耐震診断協会によれば、耐震診断料金の目安は以下の通りです。

  • 延床面積が1,000㎡〜3,000㎡:約1,000円/㎡〜約2,500円/㎡が一般的
  • 延床面積が1,000㎡以下:概ね2,000円/㎡以上

たとえば延床面積が100㎡(30坪)であれば、費用は20万円程度と予想されます。

耐震診断を頼みたい場合は、日本耐震診断協会のこちらのページから見積もりを依頼してみてください。

まとめ

この記事では、鉄筋コンクリート住宅のリノベーションについて解説しました。

鉄筋コンクリート住宅のリノベーションは、戸建てやマンションなど家の形態に関わらず実施できます。

ただし住宅の構造によっては、以下のようにリノベーションの自由度が異なる傾向にあります。

  • ラーメン構造:壁を壊したり、窓を広げたりする大掛かりな工事も可能
  • 壁式構造:壁を壊すなどの大きな間取りの変更は難しい

構造はリノベーションの際に非常に重要なポイントですので、必ず事前に確認してから間取りを検討することをおすすめします。

また鉄筋コンクリートのリノベーション費用は、1,000万円〜と、一見高そうに感じるかもしれませんが、建て替える場合と比較すると約半額で工事を済ませることが可能です。

鉄筋コンクリートは耐震性に優れているため、素材の劣化や損傷などがなければ、リノベーションをして住み続けることも可能です。

ここで紹介した事例を参考にして、ぜひ鉄筋コンクリート住宅のリノベーションを検討してみてください。

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