2020.11.23 更新 2019.08.19 公開
【一級建築士監修】リノベーションの設計事務所を選ぶ3つのコツ

住まいのリノベーションを考えたとき、施工の依頼先として選択肢の一つに上がるのが設計事務所です。
腕利きの建築士がいて、オシャレで斬新なデザインの家にしてくれる。そんなイメージを抱いている方も多いかもしれません。
実際、設計事務所の強みとしてデザイン力やアイデアの豊富さは大きな要素で、選ぶ価値が十分にあります。ですが、依頼するとなればデメリットもよく知っておかなければなりません。
本記事ではそんな設計事務所にまつわるメリットとデメリット、さらに選び方のコツまでご紹介します。
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[著者]
ゼロリノベ編集部
元銀行員・宅地建物取引士・一級建築士が在籍して「住宅ローンサポート・不動産仲介・リノベーション設計・施工」をワンストップで手がけるゼロリノベ(株式会社groove agent)。著者の詳しいプロフィール
設計事務所にリノベーションを依頼するメリット
1-1.斬新なアイデアから生まれるリノベーション
設計事務所の一番のメリットは、やはりその自由度とデザイン力です。
例えばハウスメーカーにリノベーションを依頼すると、建材が規格化されていて選択肢がなかったり、規定のプラン内でしか設計できないといったことがあります。工務店は設計の自由度が高く施工技術は優れていても、依頼主の要望以上の提案はしてくれないかもしれません。
一方で設計事務所は、依頼主の要望に応えるために間取りや導線の可能性を柔軟に模索して、創意工夫した斬新な設計をすることが可能です。
また、住まい手のライフスタイルや趣味嗜好にマッチした新しいアイデアも提案してくれでしょう。自分たちの想像以上のオンリーワンな空間を求めるのなら、設計事務所はうってつけです。
1-2.テイストや好みが偏っているので選びやすい
さまざまな設計事務所の施工事例を見てみると、ある程度デザインテイストが偏っていることに気づくかもしれません。
設計事務所に所属しているのは設計やデザインのスペシャリストですが、それぞれ自分たちの経験や技術に応じた得意分野を持っていることもが多いのです。わかりやすく「ナチュラルテイストが得意」「モダンなデザインに特化している」「木を使った住まいにこだわっている」とアピールしている事務所もあります。
つまり、設計事務所は実際にどんな設計をしてくれるのか非常にイメージしやすいのが利点なのです。
自分の好みにマッチしたテイストの住まいを手掛けている事務所であれば、依頼したときのミスマッチが起こりにくくなりますし、完成時の満足度も高くなるはずです。
設計事務所にリノベーションを依頼するデメリット
2-1.コスト面でゆとりがない場合はメーカーや工務店の方が良いことも
自分好みのデザインで快適な住まいづくりをしてくれるのなら、設計事務所を選ぶのが一番良いのではないかと思うかもしれませんが、実際はそうではありません。
自由度が高い分、要望を最大限叶えようとするとそれだけ設計費が割高になりますし、プランに応じて建材などにもこだわろうとすれば、費用はさらに高額になっていきます。
オシャレな住まいには憧れるけれど、エリアを優先してこわだわったために予算にそこまで余裕がなかったり、実際のところ住まいの間取りやデザインにそこまで強いこだわりは無い、決められた材料の中から選べれば満足であるといった場合は、むしろハウスメーカーや工務店の方が向いていることもあります。
2-2.仕事の依頼を受けてもらえるまで時間が必要な場合もある
ハウスメーカーのような規模の大きい会社であれば、基本的に依頼すればすぐに人員が手配され、プランニングに進むことができます。
一方で住宅を設計するいわゆる「アトリエ系」の設計事務所は、基本的に1~20人の小規模であることがほとんどです。依頼主も、自分のこだわりの住まいを実現したいという方が多いため、プランニングや工事にも時間がかかりがちです。
そのため、打診をしてから実際に依頼を受けてもらうまでには、順番待ちをしたり日数がかかったりと、スピード感に欠ける場合があります。
前述したように予算に余裕があり、なおかつ住まいづくりのための期間もある程度猶予を確保できる人の方が、設計事務所は向いていると言えるでしょう。
設計事務所の選び方のコツ
ここまで設計事務所のメリット・デメリットをお伝えしてきました。これらを踏まえた上で、設計事務所に依頼したい場合は何を基準に事務所を選べばいいのか、3つご紹介します。
3-1.設計の考え方の相性や能力
施工事例を見て自分好みの設計をしてくれそうかということはもちろん大切ですが、どんなコンセプトで設計をする事務所なのか、そして実際の技術力やデザイン力が高いかどうかも重視してください。
特に設計に対する考え方が合わないと、プランニング段階でミスマッチを起こしてしまう可能性もあります。ホームページや資料には、コンセプトや設計への想い、サービス概要などが記載されているはずですから、しっかり見ておきましょう。
また、実際の経験値はどうなのかという点も必ず判断基準に入れてください。住まいの建築や設計は、実地経験が物を言う部分が多いにあります。施工事例は豊富かどうか、そして担当者が実際に設計したものかどうかなどもチェックしましょう。
3-2.予算管理をしっかりやってくれる
デメリット部分ではコストが高くなってしまうことについて触れましたが、設計事務所に依頼すると必ずコストが割高になるという意味ではありません。
優れた設計事務所であれば、限られた予算の中で最大限依頼主の要望を叶えるための設計をしてくれます。
費用を抑えるための工夫をしてくれるのかどうか、コストマネジメントについての考えを実際に担当者に確認してみるのがおすすめです。
3-3.人としての相性
最終的な判断は、直接会話をして相性が良いと感じられたかどうかで決めることをおすすめします。良好なコミュニケーションを取れるということは、その後のプランニングの打ち合わせや工事にまつわる細かなやり取りなどをスムーズに行えるということだからです。
設計事務所は依頼主のこだわりを叶える分、プランニングや工期が長くなりがちだということも説明しましたが、それは担当者ともそれだけ長い付き合いになるということです。「この人に任せたい」と思えるかどうかは、感覚的な要素のようでいて、実は非常に重要なのです。
特にきちんと自分たちの話を聞いてくれるか、わからないことがあれば丁寧に説明してくれるかといった点は必ず確認しましょう。
まとめ
設計事務所のメリットは、自分の住まいへのこだわりや要望を自由に叶えられる点です。一方でその分コストがかさんでしまったり、依頼までに時間がかかるかもしれないといったデメリットは否めません。
ハウスメーカーなのか、工務店なのか、設計事務所なのか、どの業者が向いているのかは自分たちの住まいへの考え方や希望に左右されます。「なんとなく設計事務所は良さそう」といった漠然とした理由ではなく、自分たちがどんな住まいづくりをしたいのか、しっかり軸を持って選ぶことが重要です。
実際に設計事務所に依頼する場合は、設計の考え方や能力、予算管理を行ってくれるかといった点を重視しましょう。そして、最終的には担当者との相性によって判断しましょう。どんなに優れた設計事務所でも、相性の悪い担当者とでは、理想の住まいづくりはできません。
ぜひ、上記の点を踏まえて、自分に合った業者選びと住まいづくりを進めてください。
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