2023.05.13 更新 2020.05.03 公開
リノベーションの見積もりが曖昧で出にくい理由と解決の3ステップ

リノベーションの見積もりの取り方や準備などがわからず悩んでいませんか。
実はリノベーションの見積もりはリフォームとは異なり、自分がある程度納得できる費用感にすり合わせるには下の3つのステップが必要になります。リノベーションはオーダーメイドのため会社ややりたい工事内容よって費用が大幅に変わってしまうからです。
1.会社のピックアップ
2.自分たちの叶えたいことのリストアップ
3.見積もりの依頼
このステップを踏むことで、安さだけで会社を決めて、その後の打合せで費用が数百万円規模でオーバーしてしまうといったことを防ぐ効果もあります。
リノベーションの現場にたつ一級建築士として、お客さまに後悔がないよう、リノベーションの検討段階では同じようにご案内をしています。
この記事では、
・リフォームとリノベーションの工事の違いと向き不向き
・2種類あるリノベーションの見積もりの特徴
・リノベーションの見積もりをしっかりとる3ステップ
・相見積もりで見るべきポイントと注意点
・相見積もりをする会社の真実
などについて解説しているため、最後まで読み進めることで、費用について後悔なくリノベーションの見積もりをとることができるかと思います。
自分たちの住まいのために、ぜひこの記事を有効活用してください。
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Author

[著者]
ゼロリノベ編集部
元銀行員・宅地建物取引士・一級建築士が在籍して「住宅ローンサポート・不動産仲介・リノベーション設計・施工」をワンストップで手がけるゼロリノベ(株式会社groove agent)。著者の詳しいプロフィール
目次
リフォームとリノベーションの工事規模や内容の違い
実は、自分が求めてる工事をリフォームとリノベーションで間違って認識している方も一定数います。
ここではまず、リフォームとリノベーションではそれぞれ目指す方向性が異なることや、工事内容、費用、期間の違いについてお伝えします。
リフォーム
リフォームは通常、原状回復であったり、設備や材料などのパーツ交換を意味します。そのため、キッチンの交換やフローリングの張り替えなどはリフォームの部類に入ります。
空間全体のデザイン性などは優先順位としてあまり高くありません。費用は10万円程度の小規模工事から、住まいの大部分を変更する数百万円規模のものまで様々です。
期間についても1日〜2ヶ月程度かかるものまで様々です。あまり費用をかけず気になる箇所だけ新品にしたいといった場合は、部分リフォームが向いていると言えます。
リフォームの見積もりサンプルや特徴については、7章をご確認ください。
>>リフォーム費用比較
リノベーション
リノベーションはこれから住むかたの要望をヒアリングしながら、住まいの間取り全体をより暮らしやすいようにデザイン性を加えながら作り変えます。
一部屋だけ、設備だけといった部分的なものではなく全体のデザイン的な統一感や暮らしやすさを意識して設計を行います。リノベーションは通常、数百万円〜一千万円程度の金額になることが多いです。
また期間については設計・工事を合わせて5〜6ヶ月程度が必要です。住まい全体を暮らしやすく、全て新品にし、なおかつデザインの統一感やおしゃれさといったものを重視するのであれば、リノベーションが向いていると言えます。
関連:リフォームとリノベーションの違いについて詳しく解説した記事
それでは次にリノベーションの見積もりの意味と特徴について解説します。
リノベーションの見積もりの意味と特徴
リノベーションの見積もりは実は2種類あります。
概算用と最終用の2つで、役割も異なり、依頼前の見積もりは概算用の見積もりになります。
概算用の見積もり
概算用の見積もりの役割は、お客様のやりたいことのイメージを聞いて、おおよその費用を出すことです。口頭で「おおよそ900万円〜1,000万円程度」と伝える会社と、一度物件を見てヒアリングし設計プランと見積書を提出する会社に分かれます。
あくまでも、お客様のやりたいことをベースに費用が算出されるため、最終的な金額との差が生まれやすいのが特徴です。
概算費用で金額が大幅に変わらないようにする方法は3章で詳しくお伝えします。
最終用の見積もり
最終用の見積もりの役割は、設計プランと金額の確定です。実際に支払う金額になります。この見積書は、リノベーションを依頼し、打ち合わせを行なったあとでなければ作成はできません。
リノベーションは間取りやデザイン、各種設備など、決定すべき項目や、工事内用が非常に多岐に渡るためです。
リノベーションの見積もりの明細については6章をご確認ください。
2-1.リノベーションで最初は概算費用しか出ない理由
リノベーションの見積もりで概算費用しか最初に出ない理由は、決めるべき項目が多いというのもありますが、お客様側もやりたいことが最初は明確になっていなかったり、打ち合わせをしていくなかで変化、徐々に明確化していくからです。
例えば、1ヶ月の食事内用と食費を決めるということについて考えてみましょう。
30日分の食事90食を全て決めきるというのはなかなか大変ですが、リノベーションも決めるべきことや、使える材料などが無数にあります。
また、「健康でおいしい食事」といったなんとなくのイメージでは、1ヶ月の食費を計算することは難しいでしょう。しかし、朝はパンとサラダがメイン、昼は麺類や丼物の一品料理、夜は主食と副菜で健康を意識といったように具体的になると少しだけ費用のイメージもざっくりと出てくるのではないでしょうか。
当然、考えていく内におやつが欲しくなったり、高級な食材を使ってみたくなったりすれば、1ヶ月の食費は増えていき、どこかでバランスを取らなくてはいけなくなるかもしれません。
リノベーションでも同じようなことが言えます。なんとなくかっこよく、おしゃれに、というオーダーでは概算費用もふわっとしたものになりがちです。また、自分たちが叶えたいものはなんなのかを打ち合わせを通して明確にしていかなかれば、なかなか正確な金額を出すことは難しいと言えます。
そのため、リノベーション会社も、お客様の今現時点での要望を聞いてざっくりとした費用を伝えたり、聞いた範囲での仮プランで見積もりを出したりするのが限界となります。
とはいえ、概算費用でもなるべく正確な費用が知りたいという気持ちもあるかと思います。
次章では、リノベーションの見積もりをとるステップについて解説します。
リノベーションの見積もりをしっかりとる3ステップ
概算費用も、なるべく信頼の置ける会社で費用のイメージもつかみたいかと思います。それには、下記のようなステップを進むことをおすすめします。
1会社のピックアップ
2自分たちの叶えたいことのリストアップ
3.見積もりの依頼
中でも、ステップ2の叶えたいことのリストアップは非常に重要です。ここをどれだけやれるかによって、概算費用の正確性が変わります。
それでは、それぞれのステップについて解説します。
3-1.リノベーション会社のピックアップ
リノベーション会社を数社ピックアップするのが最初のステップです。
ネットでリノベーション会社と入力し検索し、5ページほど眺めるように見て見ましょう。その中から気になるサイトをピックアップします。
その後、各社サイトの特徴やサービス、コンセプトなどが書かれたページを確認し、なんとなく合いそうといった感覚で選んでいきましょう。
事例ページを見たいと思いますが、どの会社も作って欲しいテイストの画像などをいくつか見せればそれに似せてデザインや設計を行なってくれるため、事例よりも各社の特徴が表れているページで判断しましょう。
会社を調べていくなかで、安さのみをウリにしているような会社には注意しましょう。工事費用があまりにも他社とかけ離れている場合、想定している工事が行われなかったり、手抜き工事を行っている可能性があります。
リノベーションは設計・工事で5〜6ヶ月程度かかります。その後の暮らしにも大幅な影響が出るため、費用だけでなく、会社の雰囲気や特徴なども踏まえてピックアップしましょう。
3-2.自分たちの叶えたいことのリストアップ
次に自分たちが叶えたいことをリストアップしましょう。このリストアップが具体的であればあるほど、金額の大幅な上下を緩和することができます。特に、リノベーションの費用を大幅に左右するのは、下記の6点です。
平米数
間取り
壁・床の素材
キッチン
お風呂
特注・造作
この中でも、キッチンやお風呂、特注造作は大幅に金額が変わるポイントです。キッチンやお風呂はグレードによっては、300万円のものもあります。
そのため、可能であれば、先にある程度メーカーのサイトを見て金額を覚えておきましょう。
また造作は、ゼロからキッチンをつくったり、カウンターやロフト、防音室、床下収納などを指します。これらが必要と思っている場合は事例から画像を保存しておき、要望を伝えられるようにしておきましょう。
また、その他実現したいことは、ネットの画像などをスマートフォンに保存しておきましょう。
自分たちの要望などイメージがまだつかないという場合は、パッケージ料金や定額制のリノベーション会社に依頼をするというのも選択肢の1つです。どのプランでどの程度のリノベーションができそうかイメージがつきやすく、費用が青天井にならないため安心感もあります。
>>ゼロリノベの定額制プラン
3-3.見積もりをとる
やりたいことがリストアップできたら、見積もりを依頼しましょう。すぐにWEB上から見積もり依頼ができる会社や個別相談などでヒアリングをする会社など、会社によって異なります。
もし、どんなステップを踏めばいいのかわからない場合は各社お問い合わせフォームや、電話窓口から連絡をしましょう。
依頼をすれば事前に必要な情報や今後の流れなどは担当者から伝えてもらえます。また、物件をこれから購入するという方は購入予定の物件の間取り図などを不動産屋さんにコピーしてもらい、渡せるようにしておきましょう。
なお、物件購入とリノベーションを行う場合はワンストップリノベーションサービスを提供している会社に依頼することをおすすめします。
関連:物件探しとワンストップリノベーション会社について詳しく解説した記事
いずれにしろ一度直接会って話す機会は得られますので、そのタイミングでリストアップしたやりたいことを担当者に伝えましょう。
その場でおおよその金額を口頭で伝えるタイプの会社や、おおまかなプランと一緒に金額を出してくれる会社もあり、プラン提出もする会社の場合は1週間〜2週間の間で見積もりをしてくれます。
「相見積もりをする予定なので細かい金額までだしてもらいたい」という場合は費用以外の比較方法を4章、割増料金についての注意点を5章にまとめていますので依頼前にそれぞれご確認ください。
自分たちのやりたいことが明確になっていない場合、セミナーや個別相談などに出かけ、担当者に過去の事例の具体的な費用について聞き、いくつか事例費用を教えてもらいましょう。
多くの場合、お施主様への配慮により正確な費用はサイトに上がっていません。そのため、担当者に直接の費用感を確認することが必要になります。
ここでおおまかに、何をすればどの程度の金額になるのかという費用感が少しずつわかってきます。全て決まっていなくてもいいので、自分の中で優先順位の高いものが、どの程度の費用感になるか担当者に聞いてみましょう。
3-4.最終見積もりへの流れ
ここまでで概算見積もりは出てきたかと思います。
この後、最終的な見積もりが出てくるのは、実際に会社に依頼をして打合せを終えてからになります。そのため2〜3ヶ月後となります。
打ち合わせを進める中で、最終見積もり金額が概算費用をオーバーしてしまうことがあります。ただし、見積もりが出た後に改めて金額を下げるために材料を変更したりプランを変更したりといった調整は可能です。
注意点として、打ち合わせ中にどんどんやりたいことが出てきてしまい、数百万円規模で当初の費用をオーバーしてしまうケースがあります。大幅な予算オーバーは、金額を下げるときにプラン自体も極端に変わってしまう可能性があります。
そうなると打ち合わせの期間も伸びてしまいます。そのため、当初のやりたかったことから大幅に逸脱しないよう心がけましょう。また、設計担当にも、大幅に金額が上がってしまいそうな場合はアナウンスをしてもらえるよう伝えておきましょう。
リノベーションの相見積もりはここを見るべき
相見積もりをしてなるべく費用を抑えたいという方もいるのではないでしょうか。
実はリノベーションの相見積もりは費用ではなく、設計プランを見るべきです。なぜなら、費用は各社のプランが全く同じでなければ比較することができず、各社の考えや特徴が出るのは設計プランだからです。
では、それぞれについて詳しく見ていきましょう。
4-1.費用だけの比較は大きな意味を持たない理由
費用だけの比較が大きな意味を持たない理由は、各社それぞれで間取りやデザイン、設備も異なるからです。
例えばテレビを購入する場合などは完成品のため、ネットや店舗で費用を比較する意味はありますが、リノベーションなどのオーダーメイドの場合、費用だけ比較をしても決定的な差はみつけられないでしょう。
同じ「カレー」でもお店によって金額が違いますし、金額だけで良し悪しは比較できないことに似ているかもしれません。
また仮に一番安い金額のリノベーション会社に依頼をしたとしても、設備のグレードや種類を少し変更するだけで50万円程度の費用変動が起きてしまいます。そのため、費用だけで決めるのはよい選択とは言えないでしょう。
4-2.設計プランはどのように要望が叶っているかを見る
設計プランは各社の個性がはっきり分かれるポイントのため、自分たちの要望がどの程度叶っているのか、また、どのようなアイデアで叶えているのかについて注目しましょう。
特に、どうしてこのような間取りになっているのか、という説明で設計担当の考え方を知ることができるためしっかりと確認をしておきましょう。
その説明を受けて納得感や安心感、あるいはこれから仲良く打合せをやっていけそうかなどもわかってくるため、プランに加えて担当者の雰囲気がどうであるかについても注目しておきましょう。
実際に会社の人間と話すことで、会社の雰囲気を感じ取ることができます。リノベーションは5〜6ヶ月の長期計画です。費用や技術ももちろん重要ですが、相性というのもまた重要なポイントです。プランと一緒に会社の雰囲気も確認しておきましょう。
ポイントとしては、会話がスムーズに進む、セールス感がない、ノリが合う、担当者の受け答えが明確、など基本的には誠実性や自分たちの趣味趣向も受け入れてもらえそうかどうかといった観点で確認しましょう。
相見積もりを行う会社が割高になりがちな理由
実は相見積もりを実施している会社はリノベーション費用が割高になりがちです。
というのも、相見積もりの勝率は3〜5割と言われており、「仕事にならない仕事」にかかった人件費は相見積もりに勝ち獲得したリノベーションの請求に上乗せしなければ会社が成り立たないからです。
つまり、相見積もりの中からリノベーション会社を選んだ場合、最終的な金額にはリノベーション費用以外の人件費も含まれており、どの会社を選んでも割高になる確率が高いということです。
ただし、色々な設計プランを見て見たいという気持ちもあるかと思います。もちろん最初から一社に絞るのが怖いという方もいるため、相見積もりは絶対にNGとは言えません。ただ、割高な可能性があるということは覚えておきましょう。
提出された設計プランをコピーして別のリノベーション会社に見せて見積もりを依頼すれば費用の比較ができるのではないか?とも考えられますが、実はこれもあまりあてにはなりません。
例えばカレーを作る場合であっても、具の肉がアメリカ産なのか国産なのかで費用が変わります。
また作り方も、1−2時間で仕上げるものなのか、同じ食材を使ったとしても1日コトコト煮て肉を柔らかくしたものなのか?など、料理と同じく、一見設計図が同じに見えても、その背景にある製造工程や仕上げにかかる手間や品質は違うのです。よって見積もりでは測りきれない部分もあるためです。
費用ももちろん重要ですが、3-3で触れた通り、リノベーションは長期計画です。会社との相性なども含めて検討してみましょう。
リノベーションの最終見積もり明細
リノベーションの見積もりは上の画像のように工事内容でまとめられています。しかしこれだけでは、どんな内容の工事なのかがわかりません。そのため、各工事内容の内訳が別紙で明記されています。
それが、下の画像の内訳例です。ここでは木工事についてが書かれています。
こういった詳細内訳が書かれているページが項目ごとに計9〜10ページほどあります。ここまで詳細に工事の内用を決めるためには、しっかりとしたヒアリングを通して設計プランを決めていく必要があるため、最終用の見積書ができるのは、およそ打ち合わせが完了する2~3ヶ月後となります。
リフォームの見積もりの意味と特徴
リフォームの見積もりは、最終的に支払う予定の金額をほぼ知ることができます。
リフォームは部分的な工事が多く、見積もり内容が把握しやすいためです。見積書の項目も小さな工事であれば数項目程度のため、何にいくらかかっているかが明確です。
例えば、お風呂をまるまる変更するだけの場合、お風呂のメーカー、ブランド、オプションなどの内容を全て指定すれば、既製品の購入とほとんど同じような状況になります。突発的なことがない限り、契約後に工事内容の変更も少ないため、金額は把握しやすく、会社同士を比較する相見積もりにも効果があると言えるでしょう。
ただし、リフォームでも全体改装などを行うフルリフォームの場合は各社で使用する設備や工事内容が異なり、比較すべき要素も非常に多くなるため、リノベーションと同じく費用比較が難しくなると言えるでしょう。この場合は、リノベーションの見積もりステップをご参考ください。
まとめ
この記事では、リノベーションの見積もりが2つあり、それぞれの意味や役割について解説しました。
概算用と最終用の2つで、役割も異なり、依頼前の見積もりは概算用の見積もりになります。これは、決めるべき項目がとても多く、最初はお客様側もあまりやりたいことが明確になっておらず、おおまかな費用しか出せないため、おおよその費用を伝えることが目的です。ただし、その後の打ち合わせで費用が上下する可能性があるため注意が必要です。
また、最終見積もりはリノベーションを依頼し、打ち合わせが終わったあとなどの2ヶ月〜3ヶ月後に作成され、プランや金額の決定のための見積もりになります。
概算見積もりをなるべく正確に把握するためのステップは、
1会社のピックアップ
2自分たちの叶えたいことのリストアップ
3過去事例の費用ヒアリング
以上の3ステップです。中でも2の「自分たちの叶えたいことのリストアップ」は費用を大幅に左右するポイントのためしっかりと行いましょう。
そして、費用を知るためにも、まずはリノベーション会社のピックアップが一番最初のステップです。ピンとくるリノベーション会社をいくつかピックアップし、実際にその会社の人に質問や要望をぶつけてみましょう。
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