2021.07.02 更新

リノベーションとは?そもそもの意味やリフォームとの違いを事例でわかりやすく解説

リノベーションとは

おしゃれなイメージで最近広まっているリノベーション。しかし、どんなものなのか具体的にイメージしにくいと思っていませんか。

そもそも海外でのリノベーションとは、日本のリフォーム的意味も含めた建物の改修全般を指します。そしてreform(リフォーム)は改宗、心を入れ替えるという意味をもつため、建物の改修の意味には使われません。つまり、

海外:建物の改修全般=renovation(リノベーション)

となります。

そして日本でのリノベーションはというと、今までの建物に”新しい価値”を与えるために、その建物の中身全体を作り変えるプロジェクトのことを指します。ここがリフォームとの違いとなります。

日本:今までの建物に”新しい価値”を与える=リノベーション

日本:設備交換や現状回復=リフォーム

といった使われ方をしています。

ではリノベーションの「新しい価値」の事例について見てみましょう。

リノベーションとは

上の写真の物件は、設備交換だけでは到達できない”家に帰ったら掃除が終わっている生活が可能な住まい”という価値がリノベーションによって生まれている物件です。どうでしょうか、少しイメージしやすくなってきたでしょうか。

新しい価値とは、例えば、これから中古の住まいに暮らしたい家族が、より暮らしやすくなるように、設計専門職が新たに図面を起こし、家族に合わせて大幅に間取りを変え、ライフスタイルにあったデザインに空間全体のテイストを調和させるといったものです。

もちろん、リノベーションは住まいだけでなく、商店などでも使われる言葉です。飲食店だったものを美容室にしたり、一戸建ての住まいを味わいのあるカフェにしたりといった場合もリノベーションです。古びた商店街の活性化のためにリノベーションのプロジェクトが採用されることもあります。

今までの使われ方とは全く異なる使い方をするために大幅に作り変える=新しい価値の付加

となるため、これらもリノベーションと呼べます。ここまでが、リノベーションの大枠の意味です。

そして、住まいに限るとリノベーションは2種類に分かれます。

リノベーションする流れ

リノベーション済み物件

これから住む人の要望を聞いて設計・工事をするリノベーションと、設計職が暮らしを想像して設計し売り出すもの(リノベーション済み物件)の2つです。この2つではメリットデメリットが大きく違います。

これら一見分かりにくいリノベーションですが、一級建築士として1,000物件以上に携わってきた経験から、リフォームとの違いや費用、リノベーションのメリットデメリット、流れ、注意点、会社の選び方まで全体像をまとめています。

この記事を読めば、リノベーションの全体像をぱっと把握し、自分に向いているかどうかがわかるかと思います。

ぜひ今後の住まいのために、この記事を保存してご活用ください。

Author

“【著者】ゼロリノベ編集部"

[著者]

ゼロリノベ編集部

「住宅ローンサポート・不動産仲介・リノベーション設計・施工」をワンストップで手がけるゼロリノベ(株式会社groove agent)。著者の詳しいプロフィール

\一級建築士監修のWEBセミナー/

 

【知識1】リフォームとリノベーションの違い

リノベーションとリフォームの違いリフォームとリノベーションの大きな違いは、「現状回復」か「新しい価値のためにつくり変えるのか」といった点です。リフォームの場合、設備の交換や壁を壊すといったものなので、営業職が担当します。一方リノベーションは設計専門職が担当し、どんな暮らしを目指すのかという視点からスタートします。

1-1.事例解説!リノベーションにおける”新しい価値”とは

リノベーションの価値

リノベーションとは、住宅に限った意味で言うならば、今までの住まいに新しい価値を与えるために、その住まい全体を作り変えるプロジェクトです。価値というと、イメージしにくいかもしれませんが、画像の通り、住む人たちのこれからの暮らしの要望を叶えるような間取りやデザインに住まい全体を設計し直すということです。

リノベーション協議会では、「中古住宅に対して、機能・価値の再生のための改修、その家での暮らし全体に対処した、包括的な改修を行うこと。」と言われいます。

*解体工事後の写真

現場の解体写真

住まい全体を設計し直すため、天井、フローリングや壁、床下の配管や電気ガス設備も含め、全て撤去してマンションの場合はコンクリートの箱の状態に戻してから、新たに壁や床を作り直します。そのため、通常リノベーションを行うと、全ての設備が新品となります。

1-1-1.リノベーションとリフォームは名称が多いので注意

リノベーションとリフォームは名称が多く、会社によって使われ方も異なるため、注意が必要です。
リフォーム会社が集客のためにリノベーションと言っている場合もあります。デザイン性を重視するなら事例を見て確認をしましょう。

また、リノベーションにより空間全てを解体撤去することをスケルトン工事と呼び、スケルトンリノベーションやフルリノベーションと呼ばれることもあります。リノベーションは、言葉の意味も厳密に決まっておらず、会社によって示す意味が異なるため、依頼する場合は何をしてくれるのか、サービス内容を確認しましょう。

1-1-2.リノベーションの費用相場

リノベーション費用相場

リノベーションの費用相場を一般社団法人リノベーション協議会からピックアップした61社154事例でまとめました。表層のみのリノベーションと全体を作り変えるリノベーションで費用が大きく異なるので注意が必要です。相場よりも大幅に安い場合は、実は設備交換だけのリフォームである可能性もあります。費用が大幅にずれている場合はサービス内容を確認しましょう。

より詳しくは、業界61社154事例まとめ!中古マンションのリノベーション費用のリアル相場とローン解説をご確認ください。

1-2. 大きく分かれる2種類のリノベーション

上記の言葉の意味とは別に、リノベーションには2つの種類があります。

1.中古物件の購入or今の家を、リノベーション”する”もの
2.リノベーション済み物件の購入

物件の完成、引渡しまでのプロセスが全く異なり、メリットデメリットも異なります。
それぞれ見ていきましょう。

リノベーションする流れ

今までの説明のものが中古物件の購入or今の家をリノベーション”する”場合です。これから住む人の要望をリノベーション会社などの設計担当者がヒアリングして、オリジナルの間取り、デザインで作り上げます。オーダーメイドのため、自分たちの好きな設備、デザイン、間取りで暮らしたいという方に向いています。

リノベーション済み物件

リノベーション済み物件は、住む人は設計に関与しません。また、「リノベーションマンション」や「リノベ済み物件」などと呼ばれ、不動産会社やリノベーション会社が中古物件を購入し、社内の設計担当者が「こんな間取りがいいはずだ」と設計・工事を行い売り出している物件です。不動産の検索サイトには「リフォーム・リノベーション済み」などのカテゴリで掲載されていることが多いです。オーダーメイドではないため、ある程度キレイであればこだわりは少ないという方に向いています。

1-3.リノベーションが注目されてる3理由

リノベーションが注目される3つの理由

多くの人の住まい購入の選択肢としてリノベーションが注目されている理由は、価格と自分に合った間取りやデザインが手に入ることです。新築マンションや新築戸建と比較すると中古物件を購入してリノベーションしたとしても、半額程度から住まいを手に入れることができるのはかなり魅力的です。

なおかつ、家の中は新品状態なので、気持ちよく暮らすことができるでしょう。また、どんどん新しい建物をつくり、空き家が増加している問題や、デザイン性を活かして商店街の活性化を図るなど、リノベーションは社会問題の糸口としても注目されています。

次章ではリノベーションを”する”メリットデメリットについてお伝えします。リノベーション済み物件のメリットデメリットについては3章をご確認ください。

新築市場と中古市場の逆転

首都圏マンション新築と中古の成約件数推移

実は2006年〜2016年の10年間で新築マンションの販売件数は約半分になり、中古マンションの成約件数は増加しています。平成28年においては、中古マンション成約件数が新築マンションを抜きました。新築価格が非常に高いことや、人口が減っているのに中古物件が増えているため問題になっていること、リノベーションという手法が世の中に広まりつつあることなどが要因として考えられるのではないでしょうか。

リノベーションをするメリットデメリット

リノベーションのメリットデメリット

リノベーションをするメリットは、間取りやデザインを自分たちのライフスタイルに合わせて自由にできることです。また、床下などの設備まで全て新品になります。デメリットとしては、ヒアリングやプランニング、設備見学と設計にも工事にも様々な工程があるため、ある程度の期間が必要になることがまず上がります。また、解体工事後に初めてわかることもあり、そこで追加の費用が発生するなどといったことです。

次に、中古物件を買ってリノベーションする場合の注意点についてです。

2-1.中古物件を買ってリノベーションする注意点

中古物件購入のリノベーションの注意点

物件を購入してリノベーションをする場合、5〜6ヶ月の間、賃貸生活の場合は、家賃と住宅ローンの二重支払いとなります。部分リフォームなどに比べると、住むまでの工事期間が長いためです。不動産仲介の会社によっては、設計と工事の期間の住宅ローン支払いを金利分のみになるよう銀行と交渉してくれるところもあります。金利分だけになると、およそ2~3万円程度の支払いになるため不安も軽減されます。一定期間、二重支払いになることを覚えておきましょう。

2-2.持っている家をリノベーションする注意点

持ち家リノベーションの注意点

工事が始まると住むことができなくなるため、仮住まいを探す必要があります。工事期間はおよそ3ヶ月程度となるため、マンスリー賃貸やUR(4ヶ月〜)が選択肢としてあがってきます。中には家具付きのサービスもあります。設計期間中に仮住まいと荷物を置いておけるトランクルームも探しておきましょう。

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リノベーション済み物件のメリットデメリット

リノベーション済み物件のメリットデメリット

3-1.リノベーション済み物件のメリット

主なメリットとしてはすぐ住めることが挙げられます。通常3週間〜1ヶ月程度で契約が完了します。そのため、家賃更新や入園、入学のタイミングが迫っているなどの場合はリノベーション済み物件は間に合わせることが容易です。費用も物件金額のままで現地で設備も確認できるため、デザインや間取りへのこだわりがそこまではないけど、リフォームよりは雰囲気がいいほうが良いという方に向いていると言えます。

3-2.リノベーション済み物件のデメリット

リノベーション済み物件

*リノベーション済み物件の写真

主なデメリットとしては、テイストや間取りで自分好みの物件を見つけることが難しいという点です。コスト削減目的により、同じようなデザインや間取りが流通していることと、リノベーション済み物件の数が中古市場全体から見るとそれほど多くないため*です。また、配管が交換されておらず住み始めてから漏水する可能性のある物件もあるため、注意が必要です。

より詳しくは、リノベーション全4種のメリットデメリットを価格など7軸で徹底診断の6章をご確認ください。

*2019/11/15日現在東京の中古マンションの物件数は27,265件、その内リフォーム済み・リノベーション済み物件は9,022件、およそ1/3がリノベーション・リフォーム済み物件

リノベーションの流れ

リノベーションの流れ

中古物件を買ってからリノベーションする場合はSTEP1からのスタートです。また、今持っている家を
リノベーションする場合いはステップ3からのスタートとなります。

細かく分かれていて一見難しそうに見えますが、手順通り進めればそんなに難しいことはありません。詳しい流れについては、リノベーションの流れが一目瞭然!4ステップでやるべきことを徹底解説をご確認ください。また、リノベーション会社の中には中古物件探しからサポートしてくれて手間を省いてくれる会社もあります。詳しくは7章でお伝えします。

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リノベーションで注意するべきこと

リノベーションの注意点実際にリノベーションを行うタイミングで注意すべきことがいくつかあります。

注意点は上の画像の通りですが、中でも最初に予算を明確にすることが非常に重要です。

というのも、リノベーションは、会社にもよりますが最後まで費用が確定しにくい側面を持っているからです。特に、中古物件を購入してリノベーションをする場合、予算が不明確なまま進めることは大きなリスクです。想定以上の高い買い物になると、月々のローン支払いが苦しくなり、最悪の場合自己破産もありえます。必ず最初に予算を明確にしておきましょう。

具体的なリスクや注意点の対処方法については、1000件リノベした一級建築士が必ず事前に伝える中古マンションリノベの注意点をご確認ください。

また、中古物件の購入とリノベーションを検討している場合は、元銀行員が教える!住宅ローンの年収別目安と返済額を抑えるコツ5選【チェックリスト付】から、使っていい費用の目安をご確認ください。

リノベーションを請け負う会社の種類と選び方

リノベーション会社の種類

(✳︎1)外部に委託しない内部完結型(オールワンストップ型)の場合は費用が割安であることが多い
(✳︎2)外部委託型(パーシャルワンストップ型)と内部完結型(オールワンストップ型)によって施工品質は異なる。内部完結型(オールワンストップ型)が施工品質は比較的安定している
(✳︎3)設計と施工会社が異なるため連携が取りづらく品質管理が難しい。また品質は依頼する工務店に依存するため一定しない。

リノベーションという業務を請け負う会社は大きく5つに分けられます。
不動産仲介の有無や、リノベーションに求めるものによって選ぶべき会社は異なります。デザイン性を求めるなら、リノベーション会社や設計事務所カテゴリから選ぶことをおすすめします。

逆に、デザイン性よりも、安心性や新築テイストが好みであるならサポート体制も整っている大手へ依頼することをおすすめします。

また、物件を探すところから1社で済ませたい場合は、不動産仲介業を行なっているリノベーション会社(ワンストップ)に依頼することでローンなど書類手続きの手間を省くことができます。リノベーションに関わらずすぐに物件に住み始めたい場合は、再販会社が扱うリノベーション済み物件から選びましょう。

ワンストップリノベーション会社の詳しい解説は、1000件リノベした一級建築士が必ず事前に伝える中古マンションリノベの注意点の、6章2のワンストップリノベーション会社が割高と言われる理由をご確認ください。

>定額制のリノベーション事例一覧はこちら

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まとめ

リノベーションの価値リノベーションは、今までの住まいに新しい価値を与えるために、その住まい全体を作り変えるプロジェクトです。リフォームと違い設計専門職が担当します。

リノベーションでどんなことができるのかをもっと知りたい場合は、リノベーションの事例一覧をご確認ください。

また、リノベーションの費用について詳しく知りたい場合は、業界61社154事例まとめ!中古マンションのリノベーション費用のリアル相場とローン解説をご確認ください。

リノベーションを通して、自分たちだけの住まいを手に入れましょう。

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