2020.09.02 更新

【取材企画】木材を人の暮らしに取り入れて、豊かな生活シーンを創造したい

ゼロリノベにご協力くださっている会社様を取材させていただき、ものづくりへの思いや理念をお聞きする企画。今回取材させていただいたのは株式会社佐藤木材です。

創業以来、地元の家具メーカーや建具屋さんを中心に木材販売をしてきた株式会社佐藤木材。森林管理協議会が認定するFSC®CoC認証を取得し、環境保全に配慮した適切な森林管理のもとに出荷された木材を取り扱っています。

今回は代表取締役である佐藤元昭さんに、木材を取り入れた暮らしについて伺いました。

480年もの木工業の歴史が、高い技術を生み出した町、大川

はじめに、会社の成り立ちと現在の業態を教えてください。

佐藤 創業は1969年、福岡県大川市で木材販売業として私の父が立ち上げた会社を、2004年に引き継ぎました。大川は日本一の家具産地として有名で、家具メーカー、木工所や建具の業者さんが集まっている場所です。

創業以来、地元の家具メーカーや建具屋さんを中心に木材販売をしてきました。国内での木材販売というと、スギやヒノキといった針葉樹を扱うイメージですが、当社は広葉樹も扱います。

やがて仕入れ先を海外にも広げ、ネットワークを構築しながら、建築資材など取り扱う商品の幅も広げつつ現在に至ります。仕入れ国はカナダ、アメリカ、イタリア、フィンランド、クロアチア、中国、ベトナム、インドネシアなど世界各国。

お客様にリーズナブルで良い商品を提供したいという思いで商いを続けています。

佐藤社長も世界各地を飛び回って来られたのですか。

佐藤 今はインターネットの普及で、海外との取引も楽になりましたが、やはり仕入先には足を運んでいますね。一口に木材といっても、特に広葉樹は多種多彩です。

その国にしか生えていない木もありますので、現地に出向くことで新しい商品の開発やヒントを得てきました。現在は新型コロナの関係で海外渡航は叶いませんが、現地との情報交換は絶えず進めています。

佐藤木材さんが目指していること、手がけている事業について、具体的に教えてください。

佐藤 何より、木材の製品を通じて、皆さんの明るく豊かな生活シーンの創造に貢献したいという思いがあります。事業内容としては、木材の輸入・仕入れ販売、特に大事な資源を無駄にしないという点にも着目し、集成材の取り扱いもしています。

集成材は、木を継いで大きな板に加工した製品です。また、フローリングなど建材の取り扱い、さらにストックしている材料を使って、お客様の要望に合わせた二次加工品、三次加工品の出荷も手掛けています。世界各国から仕入れた木材は弊社の5つの倉庫に保管します。

木は生き物ですから、海外の気候で育った木材を日本の気候・風土に合わせるために寝かせておく時間が必要なんです。大川の木工業には480年ほどの歴史があり、加工の匠も大勢いて、技術が結集している地域です。

仕入れた木材を大切に扱いながら、協力工場の皆さんとともに、より良いものづくりをめざしています。

リノベーション物件で人気のハイブリット商品が誕生

当社とは2019年からお取り引きをさせていただいています。

佐藤 はい。ゼロリノベさんとの出会いは、これまで素材を扱う材木屋として商売を続けてきた当社にとって、新しい商品の開発につながる貴重な機会となりました。木材の床は、使い込むうちに反りが出たり、膨張したりもします。

そこで木の良さを残したまま、木の欠点を取り除いた商品を開発し、ゼロリノベさんでお使いいただいています。木材に積層をかさね、そこに2~3ミリの板を貼り合わせることで、木の温かみはそのまま感じられる厚さ12ミリのフローリング材としてご提供できるように仕上げました。

我々はこれを木の良いところを生かしたハイブリッド商品と呼んでいます。また、ゼロリノベさんでは、無垢の木材フローリングもお取り扱いいただき、お客様にご提案いただいています。

リノベーションにはどんな印象をお持ちでしたか?

佐藤 実を申せば、リノベーションやリフォームと聞くと、どうしてもイミテーションの商材を使うのが一般的というイメージを勝手に抱いていたんです。

ですから、木材製品を使っていただけるというのがまず驚きでしたし、材木人として、使っていただけるからには木の良さを多くの方に感じていただきたいという思いが湧きあがりました。

御社との出会いにとても前向きな気持ちを抱き、お取り引きを始めさせていただきました。

近年の木材のトレンド、需要が高まっている木材・商材はなんですか。

佐藤 我々は広葉樹を広く扱っていますが、トレンドはヨーロッパ、特にイタリアなど、家具やインテリアの市場から始まります。家具や床材のトレンドでいうと、オークの床材や、ウォールナットの木材を使った家具は引き続き人気があります。

また最近は北欧の流れを汲んだ明るい色の床材、家具も人気ですね。

佐藤木材さんはFSC®COC認証を取得されていますが、このお取組みへの思いについてお聞かせください。

佐藤 この会社を継ぐ前、私が木材の商社に勤めていた当時、日本は大量の木材消費国でした。仕入れ先は東南アジアが多かったと記憶しています。

その影響を受けて、世間では森林破壊への警鐘が鳴らされました。よく、木を切ること=森林破壊、環境破壊と思われて誤解されている方が多いんですが、問題なのは違法伐採など、乱伐をすることなんです。大切なのは計画的に伐採すること。それが森林を守ることにつながります。

30年程前の大量消費による無計画な伐採のせいで刷り込まれてしまったイメージを、確かな情報と共に伝えていく責任と、きちんと計画的に伐採された木材を扱うために、森林管理協議会が認定するFSC®CoC認証を取得し、環境保全に配慮した適切な森林管理のもとに出荷された木材を取り扱っています。

計画的に伐採し、それを活用していくことは、持続可能な社会づくりの取り組みの一環であると考えています。

木に囲まれた暮らしはリラックス度合いが違う

これからリノベーションを検討される方、新たな住まいを探される方に向けてメッセージをお願いいたします。

佐藤 木の良さを感じていただくには、何より体感していただくのが一番だと思います。木に囲まれた暮らしはリラックス度合いが違います。夏は涼しく、冬は暖かいと言われるのは、木が呼吸をしているから、湿調効果を持っているからです。

もちろん、木のデメリット部分も全くないわけではありません。それもしっかりお伝えした上で、それでも暮らしの中で木のぬくもりに囲まれた心地よい生活を選んでいただけたら嬉しいですね。

欠点も味になるという例でいえば、昔は木の節は木材業界では欠点でしかなかったんです。でも今はそれを特徴、個性と捉えられるようになってきました。木材を住まいづくりに取り入れて、ぜひ心地いい暮らしを手に入れてください。

最後に改めて、佐藤社長が思い描いている夢をお聞かせください。

佐藤 やはり、木材を少しでも人の暮らしの空間の中に入れたい。危惧しているのは、長い木造建築の歴史の中で、構造物は木造でも暮らしを取り巻く環境には木材が少ないケースが多いことです。

コスト面の要因もあると思いますが、本当の木材を使っていただける環境をもっと増やしていき、木材の更なる可能性を追求していきたいですね。

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