マンション売却の「成功の秘訣」大全|売却の流れや注意点を徹底解説

「マンションを売却する予定だけれど、何から着手すればよいのか全く分からない…。」
マンションを売却する機会というのは、長い人生の中でも滅多にあるものではないので、何をすべきなのか戸惑うのは当然のことです。
マンションを少しでも高く・なるべくスムーズに売却する、つまり、マンション売却を成功させるためには、マンション売却の全体像(流れや手順など)をしっかり理解し、適切な準備を進めていくことが極めて重要です。
そこで本記事では、マンション売却の全体像をご紹介したうえで、マンション売却における成功の秘訣を、流れ・手順に沿って詳細に解説していきます。
本記事をお読みになれば、マンション売却の流れ・手順を明確に理解できると共に、マンション売却を成功させる方法を知ることができるでしょう。
住み替え・離婚・相続など、経緯・状況に応じた成功の秘訣もご紹介しますので、是非参考になさってくださいね。
[監修]宅地建物取引士
市野瀬 裕樹
中古マンション売買仲介を累計1200件以上監督。株式会社groove agentにおいて不動産売買の業務に3年従事。買い手をサポートしてきた経験を活かし、どうすれば高く売れるのか?を、買い手目線で不動産売却仲介のアドバイスを行う。
目次
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1.マンション売却の全体像(流れ・手順)
それでは早速、マンション売却の全体像をご紹介しましょう。
マンション売却の流れ・手順をまとめると、下記の図のようになります。
これから、上記の流れ・手順に沿って、マンション売却の成功の秘訣をご紹介していきます。
なお、「マンション売却において、失敗だけは絶対に避けたい…」という方は、マンション売却の失敗実例や、それを防ぐための対策方法についてまとめたこちらの記事をご参照ください。
2.【成功の秘訣①】「マンション売却の準備」の段階で行うべき8つのこと
マンションを売却するにあたり、1番最初に着手すべきなのは「マンション売却の準備」。
この段階で行うべき成功の秘訣は計8つありますが、これらは
- 身に付けるべき基礎知識3つ
- 確認すべきマンションの現況2つ
- 進めていくべき実務的な準備3つ
に分類することができます。それぞれ見ていきましょう。
2-1.身に付けるべき基礎知識3つ
まず、身に付けるべき基礎知識を3つ、ご紹介します。
2-1-1.売却にかかる期間を頭に入れる
マンションを希望どおりの価格で売却するためには、時間的なゆとりをもって売却活動を行うことが重要になります。
これは、時間的ゆとりがなく売り急いでしまうと、値下げを余儀なくされる可能性があるため。
そこで、マンション売却にかかる期間をきっちり頭に入れておくことが大切です。
上記の図のとおり、マンションを売却することになって準備を始めてから、買主が決定し、引渡しが完了するまでには、平均して3~6ヵ月の期間がかかるのが一般的。
つまり、4月から始まる新生活に備え、2~3月までにマンションを売却したいという場合、前年の8~9月には動き出す必要があるという訳です。
「面倒だし、まだ動き出さなくても良いかな…」などと思わずに、早め早めに行動することを心がけてください。
2-1-2.マンションの売り時を知る
特にマンションの売却時期が決まっていない・急いでいないという方は、マンションの売り時を把握しておきましょう。
2022年は、マンションは売りどきであるといえます。
過去13年間における不動産売却価格の推移を示した下記の図をご覧ください。
出典:国土交通省
「住宅地」や「戸建住宅」の売却価格はほぼ横ばいであるのに対し、「マンション」の売却価格は上昇傾向であることが分かります。
今後、横ばいもしくは下降に転じる可能性も否めませんので、高水準な売却価格を安定して保っている2022年は、マンションの売り時であるといってよいでしょう。
更に、不動産の売却価格には築年数が影響し、下記の図のとおり、マンションに関しても、築年数が浅いほど高値で取引されていることが分かります。
出典:REINS TOPIC
これらのことから、「“特に急いでいないけれど、そのうちマンションを売りたいと思っている”という方であっても、なるべく早く売却することが、マンションを高く売るカギとなる」と言うことができるのです。
更に知識を深めたいという方は、
の記事もあわせてご参照いただければと思いますが、1つ注意していただきたいケースがあります。
それは、取得後5年以内のマンションを売却する場合です。
その理由には税金が絡んでくるため、詳しくは「7-4.譲渡所得税及び住民税の支払い額をシミュレーションする」にて後述します。
2-1-3.売却で支払うことになるお金(費用・税金)を理解する
また、マンションを売却すると支払うべきお金が発生する、ということを理解するのも重要です。
例えばマンションの売却価格が3000万円だったとしても、これが満額手元に残る訳ではありません。
一般的には、売却価格の5~7%程度のお金を支払う必要があり、このお金は「費用」と「税金」に分類されるのです。
まずは費用について見てみましょう。
マンション売却によって発生する費用は、主に以下の3種類です。
この中で最も高額なのが、不動産会社への報酬金にあたる仲介手数料。
上記の図のとおり、仲介手数料は法律で上限が定められており、上限額で請求されるのが一般的になっています。
続いて税金について見てみましょう。
マンション売却によって発生する税金は、主に以下の3種類です。
この中で最も特徴的なのは、売却によって利益が出た場合にのみ発生する「譲渡所得税・住民税」でしょう。
これは仕組みが少々複雑なため、「7.【成功の秘訣⑥】「確定申告」の段階で行うべき5つのこと」にて改めて詳細に解説致します。
こういったマンション売却にかかる費用や税金についての知識をしっかり深めたい方は、
マンション売却における手取りについてまとめられたこちらの記事
マンション売却で発生する費用について書かれたこちらの記事
マンション売却における仲介手数料について書かれたこちらの記事
不動産売買における仲介手数料の交渉について書かれたこちらの記事
マンション売却で発生する税金について書かれたこちらの記事
等をあわせてご参照いただくのがおすすめです。
2-2.確認すべきマンションの現況2つ
基礎知識を身に付けたら、次は、売却予定のマンションの現況を確認しましょう。
確認すべきポイントを2つ、ご紹介します。
2-2-1.住宅ローン残高を確認する
まずは、売却するマンションに住宅ローンが残っているか、そして、残っている場合はその残高を確認しましょう。
なぜなら、住宅ローンが残っている物件には、金融機関による担保権にあたる「抵当権」が付いたままになっており、原則として売却することができないからです。
不動産に抵当権が残っているということは、当該不動産に売主側のローン返済義務が残っていることと同義です。
仮にこのような不動産を売却すると、「所有権が買主に移った後でも、売主がローン返済を怠ったという理由で、抵当権を持つ金融機関によってマンションを差し押さえられる可能性」という大きすぎるリスクを買主に背負わせることになりますし、そもそもこのような不動産を好んで購入する人はいない、というのが、抵当権付きの不動産が原則売却不可である理由です。
そこで、マンション売却前に、住宅ローン残高が、マンションの売却による収益で一括返済できる範囲内か確認しておくことが極めて重要。
そして、もし売却収益で一括返済できなさそうな場合には、
- 残債を自己工面したお金で一括返済する
- 住み替えローンを利用する(詳しく知りたい方は、住み替えローンについて書かれたこちらの記事をご参照ください。)
など、他の返済ルートを考えておく必要があります。
住宅ローン残高は、金融機関からもらった返済予定表や残高証明書などの書類や、インターネットバンキングなどで調べることが可能。
分からない方は、金融機関の窓口に足を運べば、残高証明書を発行してもらうことが可能です。
更に詳しく知りたい方は、マンション売却における住宅ローン残債について書かれたこちらの記事をあわせてご参照ください。
なお、何らかの理由で「どうしても住宅ローンが残った状態のままマンションを売却したい…」という方向けに、「任意売却」という選択肢も用意されています。
詳しくは、任意売却について書かれたこちらの記事をあわせてご参照ください。
2-2-2.マンションの売却相場を確認する
「住宅ローンをマンション売却の収益で返済できるか確認するためには、マンションがどれくらいの価格で売れるのかを知る必要があるけれど、どうすればいいの?」
このように思われた方もいらっしゃると思いますが、マンションの売却相場は、ご自身で簡単にリサーチすることが可能。
具体的には、以下の3つの方法で調べることができます。
以下のとおり、いずれもWEBサイトを使って調べることが可能です。
- 地価
→「土地総合情報システム」で検索可能
- 過去の取引価格
→「レインズマーケットインフォメーション」「土地総合情報システム」で検索可能
- 売出価格
→「SUUMO」「ホームズ」など、不動産情報ポータルサイトで検索可能
※レインズマーケットインフォメーションとは何かについて詳しく知りたい方は、レインズについて書かれたこちらの記事をご参照ください。
マンションの売却相場を確認しておくことは、マンションを適切な価格で売り出すなど、スムーズな売却を目指すうえでも非常に重要。
マンションがどのくらいの価格で売却できるかを把握することで、新居の購入資金にいくら充てられるかなどといったプランニングもしやすくなりますので、事前に調べるようにしましょう。
更に詳しく知りたい方は、マンション売却の相場について書かれたこちらの記事をご参照ください。
2-3.進めていくべき実務的な準備3つ
売却予定のマンションの現況を確認したら、いよいよ実務的な準備に移ります。
進めるべき準備を3つ、ご紹介しましょう。
2-3-1.「仲介」にするか「買取」にするかを決める
まずは、マンションの売却方法を決めていきます。
マンションの売却方法には、主に
- 不動産会社に依頼して「仲介」してもらう
- 不動産会社に依頼して「買取」してもらう
という2つの方法があり、どちらを選ぶかで売却のスピードや価格が大幅に変わってきます。
そこで、下記の図に示した「仲介」と「買取」の違いを理解し、どちらを選ぶか検討しましょう。
上記の図のとおり、「仲介」は不動産会社に買主を探してもらう方法である一方、「買取」は不動産会社に直接マンションを買い取ってもらう方法となっており、それぞれ以下のようなメリット・デメリットがあります。
このように買取は、短期間で売れる分、マンションの売却価格が安くなってしまう売却方法。
よって、「時間的なゆとりがないから、とにかくスピードを重視したい!」という方以外、まずは仲介を選んでおくのがマンションを高く売るための秘訣と言えるでしょう。
本記事でもこれ以降、不動産会社に仲介してもらうことを前提に解説を進めていきますが、買取について知りたい方は、不動産買取について書かれたこちらの記事をご参照ください。
なお、「不動産会社に支払う仲介手数料を節約したい」という理由で、不動産会社に頼らず、自力でマンションを売却したいという方もまれに見受けられますが、不動産売却には煩雑な手続きが絡むこともあり、あまりおすすめできません。
自力での売却方法について詳しく知りたい方は、不動産の個人売買について書かれたこちらの記事をご参照ください。
2-3-2.必要書類を揃え始める
マンション売却には、多数の書類が必要になります。
ある程度手続きが進んでから「あの書類が無い!」などといった事態に直面すると、手続きが滞ってしまう可能性も否めません。
そこで、マンション売却をスムーズに進めるためには、
- 必要書類を早い段階から集め始めること
- 見当たらない書類があれば、不動産会社に相談したり、代替措置を検討したりといった対策を前もって講じておくこと
上記2点を心がけることが極めて重要です。
では具体的にどんな書類が必要なのかですが、個々のケースによって異なるものの、以下の図の記載された書類は、ほぼ100%必要になります。
特に、「媒介契約時に必要」となっている書類は、不動産会社と契約(=媒介契約)を締結する際に使うものなので、この段階で確実に揃えておくと安心です。
更に詳しく知りたい方は、マンション売却における必要書類について書かれたこちらの記事をご参照ください。
2-3-3.ハウスクリーニングを検討する
また、築浅の物件で比較的きれいな状態の場合は、プロによるハウスクリーニングを受けるというのも、マンションを高くスムーズに売却するためのポイントの1つです。
当然ながら、マンションの室内が綺麗であればあるほど、不動産会社や、内覧に来た購入希望者からの評価は上がります。
ハウスクリーニングを受けておけば、素人では落としきれなかったり見落としがちな汚れまで、しっかり落としてもらうことが可能です。
ハウスクリーニングをすべきかどうかは、物件の状態や売り方にも関わりますので、不動産会社と相談して決めるのがよいでしょう。
なお、ハウスクリーニングはおすすめですが、原則的にリフォームまで行う必要はありません。
高くても10万円程度で行えるハウスクリーニングと異なり、リフォームでは100万円以上かかるケースも多く、リフォーム費用を回収しきれず、結果として損をしてしまう可能性が極めて高いためです。
更に詳しく知りたい方は、マンション売却時のハウスクリーニングについて書かれたこちらの記事や、マンション売却時のリフォームについて書かれたこちらの記事をご参照ください。
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3.【成功の秘訣②】「不動産会社の選定」の段階で行うべき3つのこと
マンション売却の準備が整ったら、次は「不動産会社の選定」を行います。
信頼できて実力のある不動産会社を選ぶことは、マンションを高くスムーズに売却するための1番の近道です。
この段階で行うべき成功の秘訣は計3つありますので、1つずつ見ていきましょう。
3-1.査定の種類を知る
不動産会社を選定する前に、不動産会社の査定を受ける必要がありますが、査定にも種類があるので、まずはこの部分をしっかり理解しておきましょう。
マンションの査定方法は、主に以下の2種類です。
特にマンションの場合、室内の状態の他、共用部分の管理状況等も査定額に影響するため、正確な査定を受けるには訪問査定が必須。
しかし、「いきなりマンションに来てもらうのには抵抗がある…」という方は、手始めに簡易(机上)査定を受けてみるなど、うまく使い分けるようにしましょう。
更に詳しく知りたい方は、マンション売却における査定について書かれたこちらの記事や不動産の簡易査定について書かれたこちらの記事、そして、不動産の訪問査定について書かれたこちらの記事をあわせてご参照ください。
3-2.複数の不動産会社から査定を受ける
また、不動産会社の査定は1社から受けただけで満足してはいけません。
必ず、複数の不動産会社から受けるようにしましょう。
なぜなら、複数の不動産会社から査定を受けることで
- 査定額
- 対応力
- 知識力
など、様々な観点から不動産会社を比較することができ、優秀な不動産会社を選ぶカギとなるからです。
複数の不動産会社から査定を受けるにあたっておすすめなのが、
- 一括査定サービスなどを活用し、多数の不動産会社から簡易(机上)査定を受ける
- 信頼できる不動産会社に訪問査定を依頼する
という流れ。
信頼できる不動産会社をどうやって見極めれば良いかはこの後解説しますが、一括査定サービスについて詳しく知りたい方は、マンション売却における一括査定について書かれたこちらの記事をご参照ください。
3-3.信頼できる不動産会社を選定する
では、信頼できる不動産会社をどのように見極めれば良いのか。
そのポイントは、以下の3点です。
不動産会社は、マンションの魅力を買主に伝えてくれる架け橋的存在。
どんなに魅力的なマンションでも、架け橋がしっかりしていなければ、高くスムーズに売却することは不可能です。
実力が十分で信頼できる不動産会社はどこなのか、しっかり見極め、多くても2~3社まで絞るようにしましょう。
更に詳しく知りたい方は不動産仲介業者の選び方について書かれたこちらの記事を、おすすめの不動産会社を知りたい方は仲介を行っている不動産会社のランキングについて書かれたこちらの記事を、それぞれご参照ください。
4.【成功の秘訣③】「媒介契約の締結」の段階で行うべき3つのこと
不動産会社の選定を行い、最大2~3社まで絞ったら、次は「媒介契約の締結」を行います。
媒介契約とは、仲介を依頼する不動産会社と結ぶ契約のこと。
この段階で行うべき成功の秘訣は計3つありますので、1つずつ見ていきましょう。
4-1.媒介契約の種類と違いを知る
媒介契約は、以下のとおり全3種類。
- 専任媒介契約
- 専属専任媒介契約
- 一般媒介契約
マンションをスムーズに売却するためには、自分の状況に合った媒介契約を締結することが重要なので、下記の図に示した各媒介契約の違いを明確に理解しておく必要があります。
「専任媒介契約」や「専属専任媒介契約」では1つの不動産会社としか契約が締結できない分、当該不動産会社に対し、不動産流通機構への登録義務や売主への定期的な活動報告義務が課せられる一方、複数社と契約できる「一般媒介契約」は、そういった規定が緩い契約形態であるということがお分かりいただけるのではないでしょうか。
こういった違いによって、どのようなメリット・デメリットが生じるかは以下のとおり。
「専任媒介契約」や「専属専任媒介契約」の場合、不動産会社は、マンションの売却が成功すれば必ず仲介手数料を得ることができるため、積極的な売却活動が期待できます。
しかしその分、選んだ不動産会社がそもそも実力不足だと、売却活動がうまくいかない可能性も否めません。
一方、「一般媒介契約」を見てみると、仲介手数料を得られるのは、媒介契約を締結した複数の不動産会社のうち、実際に買主を見つけ出した1社のみ。
売却中のマンションの情報が拡散されやすいというメリットがある一方、不動産会社は確実に仲介手数料を得ることができる専任媒介契約等の案件を優先する傾向があるため、売却活動に力を入れてもらえないリスクもあります。
更に詳しく知りたい方は、
マンション売却における媒介契約全般に関するこちらの記事
専任媒介契約について書かれたこちらの記事
専属専任媒介契約について書かれたこちらの記事
一般媒介契約について書かれたこちらの記事
両手仲介の手数料の仕組みについて書かれたこちらの記事
等をあわせてご参照ください。
4-2.適切な媒介契約を締結する
では、3種類のうちどの媒介契約を締結すれば良いのでしょうか。
それは、状況によって異なりますが、下記の図を参考に検討すると良いでしょう。
一例ですが、交通の便が悪い・築年数が古いなどの理由で、売却活動を積極的に行ってもらわないとマンションが売れない可能性がある場合は、信頼できる不動産会社と「専任媒介契約」もしくは「専属専任媒介契約」を結ぶのがおすすめ。
一方、好条件のマンションを売却予定の方は、「一般媒介契約」を締結し、複数の不動産会社にマンション情報を拡散してもらうことで、よりスピーディな取引が可能になるかもしれません。
なお、公益財団法人不動産流通推進センターの調査によれば、「一般媒介契約」より「専任媒介契約」もしくは「専属専任媒介契約」を選ぶ人の方が多く、おおよそ1.5倍に及ぶとのこと。
このように、しっかり考えたうえで自分に合った媒介契約を締結することが、マンション売却成功に向けたポイントの1つになります。
媒介契約書の記載内容等について詳しく知りたい方は、媒介契約書について書かれたこちらの記事をご参照ください。
4-3.「付帯設備表」と「物件状況報告書」の書式をもらう
媒介契約を締結したら、不動産会社から「付帯設備表」と「物件状況報告書」の書式を受け取りましょう。
これらは「売却するマンションの状態」を示すもので、売主が作成すべき書類。
具体的には、以下のような事項を記入することになります。
この後、実際に売却活動がスタートすると、ほとんどのケースにおいて買主による内覧が行われますが、この際、「買主が家具や家電などの設備が備わった状態の室内を見ることになる」というのが、中古物件売却時ならではの特徴です。
そうすると、例えば売主側としては「エアコンは引渡し前に取り外して、新居で再利用しよう」と考えているのにもかかわらず、買主側が「エアコン付きの物件なんだ!」と勘違いしてしまう可能性が生じます。
付帯設備表や物件状況報告書は、こういった売主と買主の認識の齟齬が起こらないようにするために役立つ書類で、売買契約締結時に買主に渡すもの。
中には売買契約締結の直前になってから売主に書式を渡してくる不動産会社もありますが、1つ1つの設備の状態を確認して書類を作成するには時間がかかりますので、媒介契約を締結次第、速やかに書式を受け取り、作成を進めておくと後が楽ですよ。
詳しく知りたい方は、付帯設備表について書かれたこちらの記事や、物件状況等報告書について書かれたこちらの記事をあわせてご参照ください。
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5.【成功の秘訣④】「売却活動」の段階で行うべき4つのこと
媒介契約を締結したら、いよいよ「売却活動」に移ります。
仲介の場合、売却活動のほとんどは不動産会社が行ってくれますが、高くスムーズな売却を目指すためには、任せきりはNGです。
この段階で行うべき成功の秘訣は計4つあります。
- マンションの売り出し価格を適切に決める
- マンションの室内を綺麗な状態にする
- 購入希望者の内覧には丁寧に対応する
- 売れなかった場合は積極的に対策を講じる
1つずつ見ていきましょう。
5-1.マンションの売り出し価格を適切に決める
売却活動を行うにあたり、まず初めにすべきことは、マンションの売り出し価格を決めることです。
実は、マンションの売り出し価格を決めるのは不動産会社ではありません。
- 自分で調べた売却相場
- 不動産会社の査定額
などを考慮し、最終的には売主自身が決める必要があります。
ここで重要なのが、スムーズに売却するためには高すぎない価格に設定することが重要である一方、低すぎる価格に設定すると高く売れなくなってしまうという点。
つまり、「高すぎず低すぎない」適切な売り出し価格を決めることが、マンション売却の成功のカギを握るということになります。
では、適切な売り出し価格とはいくらなのかというと、相場や査定額より1割程度高い価格に設定するのがおすすめ。
これは、中古マンション市場では値引き交渉が多く行われることもあり、東日本不動産流通機構の調査において、「売り出し価格より成約価格が1割低くなる傾向がある」という結果が出ているためです。
1割程度であれば「高すぎる」訳ではなく、スムーズな売却を妨げることはありませんし、少し高めな価格で売り出すことで、「値引き交渉などによって、結果として相場や査定額より安く売ることになってしまった」という事態を最大限防ぐことが可能になります。
5-2.マンションの室内を綺麗な状態にする
マンションを売り出すと、購入希望者から実際に物件の状態を見たいという要望、つまり「内覧したい」という要望が入るようになります。
内覧時、購入希望者の購買意欲を高めるためには、マンションをとにかく綺麗な状態にし、好印象を与えることが重要。
特に、マンションに住んだままの状態で売却活動を行っている場合、
- 部屋が散らかっている
- 室内が物で溢れかえっている
など、生活感むき出しの状態で内覧を受けてしまうと、それだけで購入希望者のテンションを下げてしまうので注意が必要です。
そこで、
- 家じゅうの掃除を行う(特に玄関・バルコニー・水回りには力を入れる)
- 家の物をなるべく減らす
- 残っているものは収納するなどして、部屋をすっきり見せる
- 臭いにも気を遣う
などのポイントを踏まえ、マンションの室内を綺麗にしておきましょう。
「2-3-3.ハウスクリーニングを検討する」で述べたとおり、この時点でプロにハウスクリーニングを依頼する手段も有効ですので、検討してみてください。
なお、一般的にマンションは空室の方が売れやすいと言われているので、可能な方はマンションの清掃が完了後、売却活動が終了するまで実家に移り住むなどの対策をするのもおすすめですよ。
5-3.購入希望者の内覧には丁寧に対応する
「実家などに移り住んで、マンションを空室にしておくのは困難…」
そんな方は、在宅時に購入希望者の内覧を受ける、つまり、内覧に自分自身が立ち会う形となります。
ここで成功のカギを握るのが、「購入希望者に、いかに好印象を持ってもらえるか」ということ。
そのためには、とにかく丁寧に、大切なお客様をもてなすようなイメージで内覧に対応することが重要です。
具体的には、
- 照明をつけたりカーテンを開けたりして、部屋を明るくしておく
- 空調を調整し、室内を快適な温度にしておく
- 綺麗なスリッパを用意しておく
- 子供やペットがいる場合、外出させる・預けるなどし、ゆっくり内覧してもらえる環境を作っておく
上記のようなポイントに気を付ければ、購入希望者が気持ちよく内覧を行うことができるでしょう。
なお、内覧は購入希望者にマンションの魅力を直接伝えるチャンスでもあります。
立地など、誰が見ても分かるような魅力だけでなく、
- 近くのスーパーは安くて品ぞろえが豊富
- 近所にはこんな人が住んでいる(プライバシーを害さない程度に)
など、実際に住んでいるからこそ知っている魅力を伝え、マンションに付加価値を付けてあげれば、購入意欲を大幅にアップさせることができるはずです。
一方で、特にマンションが築浅である場合、「何か問題があるから引っ越すのだろうか…」と不安を抱いている買主も少なくありません。
そのような場合には、売却に至った理由を伝えて買主を安心させてあげることも有効ですよ。
更に詳しく知りたい方は、マンション売却時の内覧について書かれたこちらの記事や、マンションの売却理由について書かれたこちらの記事をあわせてご参照ください。
5-4.売れなかった場合は積極的に対策を講じる
一方、「マンションを売り出したはいいものの、中々売れない…」という事態に陥ると、
- 顧客の目に留まりにくくなる
- 顧客に売れ残っている印象を与える
などの理由で、更に売れにくくなってしまうため、対策を講じる必要があります。
では、具体的にどれくらいの期間売れなかった場合に対策を行う必要があるのでしょうか。
ここで、既出の表を改めて見てみましょう。
上記のとおり、媒介契約締結後にマンションを売り出してから売却に至るまでの一般的な期間は1~3ヵ月程度。
どんなに長くても6ヵ月以内には成約になるケースがほとんどであるため、6ヵ月経っても売却出来ない場合、以下のような対策を行うのがおすすめです。
- 売り出し価格を見直し、必要があれば値下げする
- 不動産会社の売却戦略を見直す
- 内覧時の印象をさらに良くする
特に、不動産会社の売却戦略を見直すことは大変重要。
不動産会社に任せきりにするのではなく、
- マンションの情報をより多くの住宅情報サイトに掲載してもらう
- ポスティングの量・配布エリアを見直してもらう
- 住宅情報サイトに掲載する写真や情報の量を増やしてもらう
など、不十分だと感じる部分に関しては、改善して欲しい旨を積極的に伝えるようにしましょう。
対応に疑問を感じる場合には、不動産会社の変更を検討するのも1つの手段になりますよ。
更に詳しく知りたい方は、
マンションが売れない理由・対策について書かれたこちらの記事
売却中のマンションの値下げについて書かれたこちらの記事
マンション売却中、内覧に中々来てもらえない場合の対応について書かれたこちらの記事
等をあわせてご参照ください。
6.【成功の秘訣⑤】「買主の決定・引渡し」の段階で行うべき4つのこと
売却活動が成功すると、「買主の決定」を経て、「マンションの引渡し」を行うことになります。
マンション売却の手続きもいよいよ終盤ですが、最後まで気を抜かないことが成功のコツ。
この段階で行うべき成功の秘訣は計4つあります
- 売買契約書の内容を精査する
- 住宅ローン特約の存在を知っておく
- 住宅ローンの一括返済手続きを行う
- 売買契約書で取り決めた内容を順守し、マンションを引き渡す
1つずつ見ていきましょう。
6-1.売買契約書の内容を精査する
買主が決定すると、買主との間で締結することになるのが「売買契約書」。
詳細は不動産の売買契約書について書かれたこちらの記事をご参照いただければと思いますが、端的に言うと、売買契約書とは、マンションの売却価格や引渡し日、買主との間の決め事など、マンション売却に関する様々な情報が明記された極めて重要な書類で、原則として不動産会社が作成するものです。
しかし、「不動産会社が作ったものだから問題ないだろう」と信じ込み、内容を確認しないまま署名捺印してしまうのは絶対にNG。
買主とのトラブルを避け、最後まで気持ちよく取引を行うためには、事前に売買契約書の内容を精査し、誤りや不足している情報が無いかをチェックしておくことが重要になります。
特に確認した方が良いのは、以下の2点です。
- 買主と口頭で約束した事柄が盛り込まれているか
- 契約不適合責任の範囲が明記されているか
契約不適合責任とは、マンションを引き渡した後に見つかった問題について、売主が買主に対して負う責任のこと。
一例ですが、買主側から「問題無く稼働すると聞いていた給湯器が壊れていた」などの申し出があった場合、給湯器の修理代を支払うなど、売主は買主に対し何等かの形で責任を負う必要が生じるのです。
このように、契約不適合責任は売主側にリスクがある規定であると言えるため、以下のような文言を売買契約書に明記し、範囲を限定しておくのが一般的になっています。
更に詳しく知りたい方は、契約不適合責任について書かれたこちらの記事をご参照ください。
また、「4-3.「付帯設備表」と「物件状況報告書」の書式をもらう」にてご紹介した2種類の書類も、売買契約書締結時、買主側へ渡すものになります。
不備が無いかしっかり確認しておくようにしましょう。
6-2.住宅ローン特約の存在を知っておく
無事に売買契約書の締結が済んだ後は、一般的に、以下のような流れで手続きが進んでいくことになります。
ここで注意したいのが、「買主から支払われた手付金(先行して支払われる売却代金の一部)を、すぐに使ってはいけない」ということです。
その理由を理解するためには「住宅ローン特約」の存在を知っておく必要があります。
住宅ローン特約とは、万が一買主の住宅ローン審査が通らなかった場合に、違約金無しで売買契約を解除できる特約のことで、この特約が適用されると、当然ながら手付金を買主へ全額返済しなければなりません。
手付金というまとまったお金が手に入ることで、何かに使いたいという気持ちになるかもしれませんが、万が一返済の必要が生じたときに「もう使ってしまったから返せない…」という事態に陥ると、ここまでマンション売却成功のために尽くしてきた過程が台無しになってしまいます。
「手付金を使うのは、買主の住宅ローン審査の結果が出た後」
ということを念頭におきましょう。
更に詳しく知りたい方は、マンション売却における手付金について書かれたこちらの記事や、住宅ローン特約について書かれたこちらの記事をあわせてご参照ください。
6-3.住宅ローンの一括返済手続きを行う
マンション引渡しにあたり、売主が行う必要があるのが、住宅ローンの一括返済手続きです。
「2-2-1.住宅ローン残高を確認する」にて述べたとおり、売却したマンションに住宅ローンが残っている場合、当該ローンを完済しておく必要がありますが、ほとんどの方は「マンション売却の収益を活用して住宅ローンを完済しよう」とお考えでしょう。
上記の図にあるとおり、売却代金が全額手元に入るのは、マンションの引渡し当日。
よって、マンション引渡しと同じ日に住宅ローン残高を完済するというのが一般的な形となりますが、事前に準備すべき書類等があり、準備に2~3週間かかるため、マンション売却が決まった時点で、金融機関に住宅ローンの一括返済を予定している旨を伝えておくことが重要です。
また、住宅ローンの一括返済手続きと同時に行わなければならないのが、マンションに付いた抵当権の抹消手続き。
抵当権の抹消手続きは売主個人で行うこともできますが、
- 法律が絡む重要な手続きであること
- 所有権を売主から買主に移す手続きも平行して行う必要があること
等の事情を加味し、間違いなく遂行できるよう、司法書士に依頼するケースが多いです。
不動産会社が提携している司法書士を紹介してくれる可能性もありますので、不動産会社に相談してみるのも良いでしょう。
更に詳しく知りたい方は、マンション売却における抵当権抹消手続きについて書かれたこちらの記事をご参照ください。
6-4.売買契約書で取り決めた内容を順守し、マンションを引き渡す
ここまで対策ができたら、後は引渡しに向け、マンション室内の整理を進めていくだけです。
- 引渡し日までに準備が間に合わなかった
- マンションと一緒に引き渡すことになっていた設備や備品を、誤って回収してしまった
- 回収しておくべき設備を、室内に残したままにしてしまった
など、売買契約書の取り決めに反してしまうと、買主との間で「約束が違うじゃないか!」などのトラブルが起こりかねません。
売買契約書で取り決めた内容を順守し、余計なことをせずにそれに基づいた行動をすること。
これこそが、最後までスムーズな取引を行うための秘訣になります。
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7.【成功の秘訣⑥】「確定申告」の段階で行うべき5つのこと
マンションの引渡しが完了すると、誰もがホッと一息つきたくなるところですが、最後の最後に待ち受けているのが「確定申告」です。
この段階で行うべき成功の秘訣は計5つありますので、1つずつ見ていきましょう。
7-1.確定申告を必ず行うべき人とそうでない人の違いを理解する
まず、マンション売却をした人全員が確定申告をしなければならないのかと言うと、そういう訳ではありません。
そこで、自分が確定申告を必ず行うべきなのか否かというのをしっかり理解する必要があります。
以下の図をご覧ください。
上記の図のとおり、マンション売却によって利益が出た方は、その利益にかかる税金の支払い義務があるため、必ず確定申告を行わなければなりません。
一方で、損失があった方は、確定申告を行わなくてもOKですが、特定の条件を満たす場合、確定申告を行った方がお得になる可能性があります。
該当する方は、マンションを売却した翌年の2月16日~3月15日の間に確定申告を行う必要があることを、しっかり頭に刻んでおきましょう。
7-2.マンション売却によって利益(=譲渡所得)が出たかを確認する
「自分はマンションを○○万円で売却したから、確定申告の義務があるんだ。」
と思われた方もいらっしゃると思いますが、実はそうとも限りません。
ここで理解すべきは、「マンションの売却価格=利益ではない」ということ。
では、「マンション売却によって出た利益」とは一体何なのかというと、以下の方法にて算出することが可能です。
上記のとおり、マンション売却によって出た利益は「譲渡所得」と呼ばれ、「マンションの売却価格」から「取得費」と「譲渡費用」を控除した額のことを指します。
では、「取得費」と「譲渡費用」とは何のことなのかというと、以下のとおりです。
特に取得費に関しては、ただでさえ分かりにくいうえに、建物の取得費については減価償却をしなければならないなど、計算方法も少々複雑になっています。
これらの計算方法についてより詳しく知りたい方は、譲渡所得について書かれたこちらの記事をあわせてご参照ください。
7-3.使える特例の有無を確認する
このようにして算出した譲渡所得に対して税金が発生するため、マンション売却で利益が出ると確定申告が必要になる訳なのですが、実は、この税金を軽減させたり将来に繰り延べたりできる特例が3つ存在します。
そこで、次に記載する3つの特例の内容を理解し、使える特例が無いかを確認することも重要です。
- 3000万円の特別控除の特例(参考:国税庁サイト)
→譲渡所得から最高3000万円の控除を受けることができる特例
- マイホームを売ったときの軽減税率特例(参考:国税庁サイト)
→10年を超えて所有した物件を売却したとき、税額を通常の長期譲渡所得よりも低い税率で計算できる特例
- 特定居住用財産の買い替え特例(参考:国税庁サイト)
→譲渡所得に対する課税を将来に繰り延べることができる特例
上記特例を活用するにはそれぞれ条件があり、また活用した場合には確定申告時に書類を添付するなどの必要がありますので、詳しくは、マンション売却における確定申告について書かれたこちらの記事をご参照ください。
なお、上記特例のうち特に着目すべきなのは、「3000万円の特別控除の特例」です。
簡潔に説明すると、こちらの特例を活用すれば、下記のとおり譲渡所得から最大3000万円(マイホームの場合)を控除することが可能。
こうすることで、譲渡所得がゼロまたはマイナスになれば、税金を支払う必要が無くなるという、大変ありがたい特例になっています。
こちらの特例の内容についてより詳しく知りたい方は3000万円控除について書かれたこちらの記事を、特例の全体的な仕組みについての知識を深めたい方は譲渡所得の特別控除について書かれたこちらの記事をご参照ください。
7-4.譲渡所得税及び住民税の支払い額をシミュレーションする
譲渡所得額を算出し、使える特例の有無を確認したら、税金の支払い額がどれくらいになるかをシミュレーションし、支払いに備えましょう。
譲渡所得にかかる税金の種類は、
- 譲渡所得税
- 住民税
の2種類で、それぞれの税率は、以下のとおりマンションの所有期間によって異なります。
上記の図から、「取得後5年以内にマンションを売却する場合、5年より長い期間が経過したマンションを売却する場合と比べ、2倍近い譲渡所得税及び住民税がかかってくる」ということがお分かりいただけるのではないでしょうか。
実は、「2-1-2.マンションの売り時を知る」にて「取得後5年以内にマンションを売却する場合は注意が必要」と述べたのはこのため。
該当する方は、結果として税金によって損をする心配が無いかを試算したうえでマンション売却に踏み切ることが重要です。
更に詳しく知りたい方は、取得後5年以内にマンションを売却する場合について書かれたこちらの記事をあわせてご参照ください。
7-5.損失があった場合、確定申告するか否かを検討する
ここまで、「マンション売却によって利益が生じたため、確定申告しなければならないケース」について解説してきましたが、損失があった場合はどうなるのでしょうか。
結論を申し上げると、前述したとおり、損失があった場合は確定申告を行わなくてもOK。
但し、特定の条件を満たした場合、「売却損を他の所得から控除する特例」を活用することで納める税金を安く済ませることができ、この特例を活用する場合には確定申告を行う必要があります。
つまり、損失があった場合には、確定申告を行うか否か、自分で検討することになるのです。
では、「売却損を他の所得から控除する特例」とはどんなものなのかと言うと2つあり、国税庁サイトの下記ページにてそれぞれ詳細が解説されています。
上記のページや特定居住用財産の譲渡損失の損益通算及び繰越控除ついて書かれたこちらの記事を参考に、自分が条件を満たすか否かをチェックし、満たす方は確定申告を行って節税すると大変お得。
なお、「条件には当てはまるけど、そもそも譲渡損失が少なくて、確定申告をしてもそこまで節税にならない」という場合には、確定申告を行う手間を考慮し、あえて何もしない選択をする方もいらっしゃいます。
8.【経緯・状況別】マンション売却の成功の秘訣
ここまで、マンション売却成功の秘訣を、マンション売却の流れに沿って詳細に解説してきました。
これらの成功の秘訣は、マンション売却を行う予定の全ての方に当てはまるものですが、一方で「マンション売却に至った経緯や状況」は人によって異なるものです。
そこで、本記事の締めくくりとして、「経緯や状況に応じて知っておきたいマンション売却成功の秘訣」を、上記の図のとおり6つご紹介していきます。
8-1.住み替え(買い替え)でマンションを売却する場合
住み替え(買い替え)のためにマンションを売却する場合の成功の秘訣は、マンション売却を先に行う「売り先行」にするか、新居の購入を先に行う「買い先行」にするかということを、状況に応じてしっかり判断することです。
「売り先行」にする最大のメリットは、マンション売却による収益を新居の購入資金に充てられること。
但し、マンションを売却してから新居を探すとなると、一度仮住まいに引越しをしなければならず、引越し資金が2重にかかることになるため、マンション売却と新居購入のタイミングを合わせられるのが理想と言えるでしょう。
一方「買い先行」のメリットとしては、新居探しをじっくり行うことができることや、仮住まいが不要であることから引越しが1回で済むことなどが挙げられます。
しかし、マンション売却による収益を新居の購入資金に充てることはできないため、「買い先行」を選ぶことができるのは、以下の条件に当てはまる方のみ。
- 売却対象のマンションの住宅ローンを完済している方
- 経済的にゆとりがあって住み替えローンを組むことができる方
選択を誤ると、経済面がかなり厳しい状態になりかねませんので、くれぐれも注意しましょう。
更に詳しく知りたい方は、住み替えでマンション売却をする場合について書かれたこちらの記事をご参照ください。
8-2.転勤(転職)でマンションを売却する場合
転勤(転職)のためにマンションを売却する場合の成功の秘訣は、売却にかかる期間を考慮することです。
じっくり時間が取れる方は良いのですが、中には「急に転勤(転職)が決まったため、急いでマンションを売却しなければならない」という方もいらっしゃるでしょう。
しかし、「2-1-1.売却にかかる期間を頭に入れる」にて解説したとおり、一般的に、仲介によるマンション売却には3~6ヵ月程度の期間がかかります。
もし「売却までの期間が1~2ヵ月程度しか無い」という場合には、以下のような仲介以外の売却方法を検討してみるのもおすすめです。
- 期間が1ヵ月程度しか無い方
→売却価格が少し安くなるが、その分スピーディにマンションが売れる「買取」
- 期間が2ヵ月程度しか無い方
→仲介で一定期間売却できなかった場合、買取に切り替える「買取保証」
仲介と買取の違いについては、「2-3-1.「仲介」にするか「買取」にするかを決める」にて解説しておりますので、ご参照ください。
8-3.離婚でマンションを売却する場合
離婚のためにマンションを売却する場合の成功の秘訣は、そもそも売却すべきか否かを含め、生活の状況に合った最良の選択をすることです。
婚姻期間中に2人で力を合わせて購入したマンションは、例え名義が夫婦のうちどちらか1人のものになっていたとしても、離婚時に財産分与の対象となります。
離婚後、夫婦のどちらも当該マンションに住み続けるつもりが無いということであれば、「マンションを売却して現金化し、それを折半する」というのが、最も手軽な財産分与の方法です。
しかし、「ひとりがマンションに住み続け、もうひとりが家の価値の半分にあたる現金を受け取る」という方法もあるなど、離婚におけるマンションの処理方法には多数の選択肢があります。
- 子供を転校させたくない
- 住み慣れた場所に住み続けたい
などの理由で、マンションを所有し続けることを望むのか、
- 2人の思い出が詰まったマンションを所有し続けるのは苦しい
- 離婚すると住宅ローンの支払いが厳しい
などの理由で、マンションを手放すことを望むのか。
状況に応じた最良の選択をして、夫婦間で揉め事になるなどのトラブルを回避するようにしましょう。
詳しく知りたい方は、離婚時のマンションの処理について書かれたこちらの記事や、家を財産分与する方法について書かれたこちらの記事をあわせてご参照ください。
8-4.相続でマンションを売却する場合
相続したマンションを売却する場合の成功の秘訣は、まず相続時の手続きを確実に行うこと、そして、手続きが完了次第なるべく早く売却することです。
大前提として、故人からマンションを相続するためには、
- 遺言書の有無・内容を確認する
- 法定相続人の間で、遺産の分け方を話し合う
などのステップを経たうえで、マンションの名義を変更する手続きを行う必要があります。
相続後、当該マンションを売却予定だという場合でも、「売却活動ができるのは名義人のみ」という決まりがあるため、名義変更の手続きは必須です。
「いつまでに名義変更しなければならない」というルールはありませんが、名義変更後に行うことになる相続税の申告が「相続が発生した日から10ヵ月以内に行わなければならない」と定められているため、これらの手続きはなるべく迅速に行うべきと言えるでしょう。
そして、マンションの相続が完了次第、なるべく早く売却すべきである理由は、以下の3つ。
- マンションは築年数が浅い方が高く売れるから
- マンションを無駄に所有し続けることは、無駄な管理費を払い続けることと同義だから
- 相続税の申告から3年以内に売却することで「取得費加算の特例(参考:国税庁サイト)」が適用され、譲渡所得にかかる税金が安くなるから
更に詳しく知りたい方は、家の相続について書かれたこちらの記事や、取得費加算の特例について書かれたこちらの記事をあわせてご参照ください。
8-5.遠方のマンションを売却する場合
遠方のマンションを売却する場合の成功の秘訣は、自分が現地に出向かなくてもマンションを売却する方法があることを知っておくということです。
マンションを売却するにあたり、売買契約締結時や引渡し時には売主本人が立ち会うのが鉄則。
しかし、売却したいマンションが遠方にある場合、「出向くのが大変だから」という理由で、中々売却に踏み切れないという方もいらっしゃるのではないでしょうか。
ここで知っておきたいのが、自分が現地に出向かなくてもマンションを売却する方法が、下記のとおり3つあるということ。
- 「持ち回り契約」を選択する
→不動産会社に売主・買主双方の所へ出向いてもらう・郵送するなどの方法で、売買契約書に記名押印し、売買契約を締結する方法。
- 代理人を立てる
→売却予定のマンションの近所に信頼できる親族などがいる場合、代理権委任状を作成して売買契約締結を一任する方法。
- 司法書士に依頼する
→信頼できる司法書士に売買契約の代理権を付与する方法。但し、司法書士報酬等を負担する必要が生じる。
マンション売却には多額のお金が絡みますので、例え遠方であっても、可能であれば売主自身が足を運んで確実に手続きを進める形が1番理想です。
しかし、それができないからと言って売却を後回しにすることは、いたずらにマンションの価値を下げることと同義。
そのような場合は、ご紹介した「自分が現地に出向かなくてもマンションを売却する方法」を活用し、迅速に売却活動を進めるようにしましょう。
また、当該マンションがある地域に詳しい、地元密着型の不動産会社を選ぶというのもおすすめですよ。
8-6.共有名義のマンションを売却する場合
共有名義のマンションを売却する場合の成功の秘訣は、共有者全員の同意を取り付けてから売却活動を行うということです。
マンションの名義人が複数いる場合、全ての名義人(=共有者)の同意を得ないと売却活動を進めることができません。
共有者の同意を取り付ける方法は、以下の2つ。
- 共有者全員に売却活動に参加してもらう
- 共有者全員の委任状を取り付ける
そこで、上記いずれの方法を取るのか、売却活動の準備の段階で決めておくようにしましょう。
なお、委任状を取り付ける方法を選択した場合には、委任状の他、共有者の実印及び印鑑証明書・住民票・本人確認書類などもあわせて取り付けなければなりませんので、注意が必要です。
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9.まとめ
本記事の内容をまとめます。
マンションを少しでも高く・なるべくスムーズに売却する、つまり、マンション売却を成功させるためには、マンション売却の全体像(流れや手順)をしっかり理解し、適切な準備を進めていくことが大切です。
では、マンション売却の全体像とはどんなものなのかと言うと、下記の図のとおり。
上記の図に記載された流れ・手順に沿って、マンション売却成功の秘訣を確認していくと、以下のようになります。
【「マンション売却の準備の段階」における成功の秘訣】
■基礎知識を身に付ける
- 売却にかかる期間を頭に入れる
- マンションの売り時を知る
- 売却で支払うことになるお金(費用・税金)を理解する
■マンションの現況を確認する
- 住宅ローン残高を確認する
- マンションの売却相場を確認する
■実務的な準備を進める
- 「仲介」にするか「買取」にするかを決める
- 必要書類を揃え始める
- ハウスクリーニングを検討する
【「不動産会社の選定の段階」における成功の秘訣】
- 査定の種類を知る
- 複数の不動産会社から査定を受ける
- 信頼できる不動産会社を選定する
【「媒介契約の締結の段階」における成功の秘訣】
- 媒介契約の種類と違いを知る
- 適切な媒介契約を締結する
- 「付帯設備表」と「物件状況報告書」の書式をもらう
【「売却活動の段階」における成功の秘訣】
- マンションの売り出し価格を適切に決める
- マンションの室内を綺麗な状態にする
- 購入希望者の内覧には丁寧に対応する
- 売れなかった場合は積極的に対策を講じる
【「買主の決定・引渡しの段階」における成功の秘訣】
- 売買契約書の内容を精査する
- 住宅ローン特約の存在を知っておく
- 住宅ローンの一括返済手続きを行う
- 売買契約書で取り決めた内容を順守し、マンションを引き渡す
【「確定申告の段階」における成功の秘訣】
- 確定申告を必ず行うべき人とそうでない人の違いを理解する
- マンション売却によって利益(=譲渡所得)が出たかを確認する
- 使える特例の有無を確認する
- 譲渡所得税及び住民税の支払額をシミュレーションする
- 損失があった場合、確定申告をするか否かを検討する
また、上記の図に記載された6つの経緯・状況別に見たマンション売却成功の秘訣は、以下のとおりです。
- 住み替え(買い替え)でマンションを売却する場合
→マンション売却を先に行う「売り先行」にするか、新居の購入を先に行う「買い先行」にするかということを、状況に応じてしっかり判断する
- 転勤(転職)でマンションを売却する場合
→売却にかかる期間を考慮する
- 離婚でマンションを売却する場合
→そもそも売却すべきか否かを含め、生活の状況に合った最良の選択をする
- 相続でマンションを売却する場合
→まずは相続時の手続きを確実に行い、手続きが完了次第なるべく早く売却する
- 遠方のマンションを売却する場合
→自分が現地に出向かなくてもマンションを売却する方法があることを知っておく
- 共有名義のマンションを売却する場合
→共有者全員の同意を取り付けてから売却活動を行う
マンション売却時、本記事の内容をお役立ていただけましたら幸いです。
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