そこは
「剣と魔法の世界」
マンションのごく普通の玄関ドアが、実は異世界への入り口。踏み入ればいきなり、中世の城の回廊のような廊下の演出に出くわす。石積みを模したクロスの壁には大小の剣や杖のレプリカが飾られ、その精緻なレリーフをアンティーク風のウォールランプが照らし出す、といった具合。
「ファンタジーです。剣と魔法の世界」
楽しげにそう話すMさん夫妻。2人に共通の趣味、という以上の不可欠でコアな嗜好、いわゆる偏愛が、こんなリノベーションを生み出した。
長い壁伝いに造作した飾り棚には、ファンタジーな小道具たち——小箱や瓶、紋章、巻物、ペン等々、物語の背景となる中世ヨーロッパ的、かつ妖しげで魅力的なモノがひしめき合う。
「いくつかは以前の住まいでも飾っていたものですが、今の家のこの空間に置いてみると、それこそ魔法がかかったように摩訶不思議な存在感を放つようになりました」