更新:2023.06.16

【北向きの部屋】7つの意外な魅力と快適に暮らすリノベアイデア

北向き物件の意外なメリット

中古物件を探す際「住むなら日当たりのいい南向きがいいな」と思っている人は多いでしょう。

しかし、例えば希望するエリアで、

  1. 目の前の建物に視界を遮られた南向きの住戸
  2. 見晴らしのいい北向きの住戸

といった2つの物件に出合ったら、どちらを選ぶでしょう……?

物件の状況には周辺環境も大きく影響するので、「南向きだから日当たりがよくて明るい」とは限りません。

「北向きは暗そうだし、寒そう」といったイメージや不安が先行しがちですが、北向きの部屋は、他の向きにはない光の特徴や、北向きならではの付加価値がついているケースがあるなど、見過ごしがちなメリットが実はたくさんあります。

そこでこの記事では「北向き」の住戸について深掘りし、

  • 北向き物件の意外なメリット
  • 北向き物件のデメリットと解消法
  • 北向きを活かすリノベーションのアイデア

などについて詳しく解説します。

住戸からの見晴らしや明るさといった物件のリアルな状況を確認することができるのは、中古マンションならではの大きなメリットです。

北向きに関する多角的な知識を得ることで、今まで無意識に外してしまっていた宝石物件に出合えるかもしれませんよ。

目次

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    1.北向き物件の7つの意外なメリット

    北向き物件の良さって何でしょう?

    すぐに思いつくのは、北向きだと価格が安いんじゃない?というところでしょうか。ではそのほかには?

    実は北向きの良さは、そのほかにもたくさんあるのです。ここでは北向き物件の7つのメリットを挙げてみました。

    • 「付加価値」のついた物件に出合える
    • 北側の視界が開けている
    • 南向きより景色がきれいに見える
    • 柔らかく心地よい光が長く続く
    • お気に入りの家具や本が傷まない
    • グリーンを育てやすい
    • 価格が割安なケースが多い

    以下、解説していきましょう。

    1-1「付加価値」のついた物件に出合える

    北向き住戸は、そもそも物件数がほかの向きよりも少なめです。

    一般に南向きなどを好む人が多いということでしょう。それだけ売れにくいと見られている北向き住戸は、何らかの付加価値をつけているケースも多いのです。

    例えば大きなルーフバルコニーがついた物件は北向き物件に多かったりします。

    どうして北向き物件にルーフバルコニーがあるかというと、隣地への日照確保のために、北側斜線制限という法律があるためです。一定の角度の斜線内に建物を収めなければならないという決まりで、その斜線対応のためにルーフバルコニーを設けるケースがあるのです。

    北側斜線の説明図

    広いルーフバルコニーがあれば、ガーデニングも楽しめますし、リビングの延長として空間を広く見せてくれる効果も期待できます。

    そのほかの付加価値としては、2方向、3方向に窓がある開放的なリビングがある北向き物件もあります。この場合、バルコニーこそ北側ですが、東または西、あるいは両方からの日差しが得られるため、日当たりの問題はクリアできるでしょう。

    このように北向きというだけで避けなければ、思わぬ付加価値のある物件が見つかることも少なくありません。

    1-2.北側の視界が開けている

    住戸にとってまわりの環境は重要です。

    いくら南向きでも高い建物に遮られては、十分な日照も景観も得られません。物件にもよりますが、北向き住戸は比較的視界が開けた良い環境にあることも。

    実際に見ることができるという、中古マンションならではのメリットを活かし、これはという気になる物件があったらぜひ内覧を希望して、確かめてみましょう。

    晴れた日なら北向き特有の光も実感できると思います。

    1-3.南向きより景色がきれいに見える

    北向きの美しい景色

    逆光と順光という言葉がありますが、写真を撮るときには気になりますよね。逆光で撮ると、暗い影ができます。一方、順光は撮る人の側から被写体に向かって照らす光なので、影がなくきれいに撮れます。

    北向きのリビングから外を見る状態は、順光で写真を撮るのと同じ。まぶしさもムラもなく、まんべんなく光に照らされて、景色がきれいに見えます。

    北向きの部屋の内覧時には、窓から見える景色も判断のポイントにするとよいでしょう。

    1-4.柔らかく心地よい光が長く続く

    天気の良い日には南向き住戸には確かにあふれんばかりの日差しが入りますが、この南からの日差しは非常に強く、明るいところと暗いところの強弱がはっきりするのも特徴です。

    光と影のコントラストが強いため、影になるところは逆に暗く感じられます。

    一方、北向きの部屋では、日差しは入りませんが、やわらかい安定した光が部屋を満たします。実は外にある建物に当たった日差しが、反射して北向きの部屋に光をもたらしてくれるのです。

    建物によって遮られることがなければ、北向きだから暗くなるということはありません。

    強い日差しをあまり好まないという人は、北向きも選択肢に入れてみるとよいでしょう。

    1-5.お気に入りの家具や本が傷まない

    木製の家具は直射日光に弱いです。むく材は日に焼けたり、乾燥して収縮や割れ、反りを起こすことがあります。

    家具を大事にしている人にとっては、日差しは大敵なのです。

    本も窓際の日当たりのよいところに置いておくと、変色し、劣化することがあります。CDやレコードもあまり直射日光には当てたくないですよね。

    北向きの部屋の場合、そういった心配はありません。安心して窓際いっぱいに、本などを置くことができますし、大切な家具も傷みにくいといえるでしょう。

    部屋のスペースを窓際まで有効に目一杯使えるのも、北向きのよさの一つですね。

    1-6.グリーンを育てやすい

    グリーンを育てやすい

    部屋に置いて気分をなごませてくれる観葉植物ですが、実は直射日光に弱いものもあるのをご存知でしょうか。

    たっぷりと日差しを浴びるのを好む植物もありますが、やわらかい光を好む植物もあります。

    そういった植物は、日に当てると葉焼けしてしまいます。日陰でも育つ植物なら安心できますし、時々、外に出して日光浴させるぐらいでちょうどよい植物もあるのです。

    北側とはいえ広いバルコニーがあれば、十分な光が期待できます。光を好む盆栽などを楽しむのもいいですね。

    1-7.価格が割安なケースが多い

    北向きのマンションはほかの方位に比べて、価格が安いことが多いです。

    新築時の販売価格では、南向きを基準とすると、北向きマンションの価格は約5%~13%安いという調査データもあります。(マーキュリーリアルテックイノベーター調べ、首都圏2009年~2018年に供給された新築物件

    仮に10%安いとしたら、南向きなら3,000万円で売られるマンションは北向きなら2,700万円で売られるということになります。

    もちろん中古の場合は、築年数などほかの条件を加味して考えなければなりませんが、割安で売られているケースが多いといえるでしょう。

    安い分をリノベーション費用にまわして、好みの住空間をつくることができますね。

    2.北向きの3つのデメリットと解消法

    北向き物件を選ぶ場合、注意しなければいけないのはどういうところなのかデメリットとその解消法を見ていきましょう。

    2-1.日差しが入る時間が短い

    日当たりとは直射日光のことを指し、真北を向いた部屋は日中ほぼ日が当たりません。しかし、多少でも東や西にふれていれば、朝や午後の日差しが期待できます。

    また、日当たりが良くないとはいっても、光が部屋に入らないわけではありません。まわりが開けていれば、北向きの部屋でも間接光などによって意外と明るいものです。

    要はその光を、住戸全体にどう行き渡らせるか。リノベプランにかかっているといえそうです。

    日差しと明るさは別物! 間取りの工夫で明るさを確保しましょう。

    明るさを行き渡らせるには、なるべく仕切りの少ない間取りがポイントです。3章で紹介する実例を参考にしてください。

    2-2.結露やカビが発生しやすい

    北向きの部屋で悩まされがちなのが、結露を原因とするカビです。

    結露は外気との温度差によって、壁や窓についた部屋の中の水蒸気が水滴に変わる現象。これを防止するためには、壁や窓の断熱が有効です。

    外気に接する壁には内側に断熱材を装填、窓は内窓の設置で対応します。断熱材は外気とのワンクッションになるもので、内壁が外気の影響で冷えるのを和らげます。

    また、内窓を設置すると外窓との間に空気層ができるため、外気の影響でガラスやサッシが冷えるのを防止します。

    いずれの方法も壁や窓を冷えにくくすることで水蒸気が水滴になるのを防止するため、結露防止としては大変有効です。

    もう一つの方法は、調湿効果のある内装材を用いることです。代表的な素材である漆喰や珪藻土は、調湿効果によって水分を調節し、部屋に湿気をためないので結露防止の効果が期待できます。

    2-3.洗濯物が乾きにくい

    北向き物件は洗濯物が乾きにくいのでは?と心配する声もよく聞きます。

    確かに北向き物件は日差しが入らないため、洗濯物を外に干したい人には不利な条件といえるでしょう。まわりに建物が密集しているようなところでは、風通しも悪くなりますので、室内干しを前提としたスペースを確保するなどの検討が必要となります。

    しかし、大きめのバルコニーのある北向き物件であれば、別方向からの日当たりや風通しも期待できるため、洗濯物が乾きにくいという問題はクリアできます。

    3.【実例で解説】北向き物件で快適に暮らすリノベアイデア

    北向き物件のリノベアイデア

    ここからは、実際に北向きの中古物件を選び、快適空間にリノベーションした実例を元に、快適に過ごすためのリノベアイデアを紹介します。

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    3-1.仕切りの少ない間取り変更で光が巡る仕掛けを

    北向き物件のリノベの間取図BeforeAfter
    北向きの間取図

    部屋の仕切りを整理することで、室内に明るさを取り戻すことは可能です。

    この物件は北側に大きなルーフバルコニーのある中古物件。

    以前の間取りはいわゆる田の字型で仕切りが多く、せっかくのルーフバルコニーに面した部分も暗い印象で、窓が多いという物件のメリットもあまり活かされていませんでした。

    ルーフバルコニーに面した2部屋の間仕切りを撤去し、広々としたLDKにリノベーション。寝室・子ども部屋はカーテンで仕切り、窓から入った光を全体に巡らせることで、室内全体が明るく感じますね。

    3-2.白壁&黒のアクセントでより明るい印象に

    黒アイアンのアクセント

    明るさを演出するためには、内装の色も大切です。より明るく感じさせるポイントは、白壁をベースに黒のアクセントを室内に取り入れること。

    白い壁は、全体を明るい雰囲気にしてくれますが、室内の色が白だけだとぼんやりしてしまいます。

    建具の枠、照明のレールなど、ポイントで黒を取り入れることで、白と黒の対比で、より引き締まった明るい印象になりますよ。

     3-3.壁に断熱を施し、結露を防ぐ

    「2-2.結露やカビが発生しやすい」で解説したとおり、北向きの物件の場合、北側が結露しやすくなるため、壁や窓の断熱も視野に入れる必要があります。購入の際には物件の断熱状況を確認しましょう。

    事例の物件では元々壁に断熱が施されていたため、ビニールクロスを剥がして断熱する必要がありませんでした。

    そのため、ビニールクロスの上から塗れるタイプの漆喰を使用し結露対策を強化しています。漆喰には調湿効果があるため、水蒸気の出やすいガスヒーターを使用する場合にも適しています。

    断熱と調湿性の高い素材を用いることで、北向きだからといって、日常的に結露とカビに悩まされることはなくなります。

    3-4.ルーフバルコニーを部屋の一部に

    北向き物件のルーフバルコニー

    もし広いルーフバルコニーのある物件であれば、持て余すことなく有効に使いたいものです。

    事例では、ルーフバルコニーにすのこを敷き、家具を置いてアウトドアリビングの趣に。バルコニーをリビングの延長のように使うことで、室内を実際よりも広く感じることができます。子どもの遊び場にしたり、植物を育てたり、広めのバルコニーは暮らしを豊かにしてくれそうですね。

    4.まとめ

    この記事では、

    • 「付加価値」のついた物件に出合える
    • 北側の視界が開けている
    • 南向きより景色がきれいに見える
    • 柔らかく心地よい光が長く続く
    • お気に入りの家具や本が傷まない
    • グリーンを育てやすい
    • 価格が割安なケースが多い

    といった北向き物件の意外なメリットと、デメリットを解消しながら快適に過ごすためのリノベアイデアを紹介してきました。

    「日当たりが悪い」=住みづらいというイメージが先行する北向き物件ですが、日当たりと明るさは必ずしも比例するものではなく、室内の明るさは間取りの工夫によってもコントロールすることが可能です。

    売り出されている北向き物件の数は、他の方角の物件に比べるとそれほど多くはありません。実際に見てみたら、眺望が素敵、大きなルーフバルコニーがあるから広く感じる、など思わぬ魅力に出合えるかもしれません。

    中古物件は一点物ですので、「北向き」というだけで条件から外さずに、幅広い選択肢の中から理想の住まいを見つけてください。

    スムナラでは、建築士監修のもと、中古物件を買う前に知っておきたい注意点や、中古を買ってリノベする際のポイントやアイデアを紹介しています。リノベーションに構造や管理規約の制約はつきもの。制約を味方につけ、アイデアの幅を広げましょう。

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