更新:2024.04.15

住宅ローン返済中でも家は売却できる!残債状況別に5つの方法を解説

住宅ローン 売却

「住宅ローンの返済中でも、家の売却はできるのだろうか?」

この記事を読んでいる方は、このような疑問を持っているのではないでしょうか。

結論からいうと、住宅ローンの返済中でも家は売却できます。

ただし、詳しくは後述しますが残りの住宅ローンは売った家を買主に引き渡すまでに完済しなければなりません。

このため、まずは次の3点を行い、残りの住宅ローンを完済して家を売却していく必要があります。

住宅ローン返済中の家の売却ですべきこと

この記事は、住宅ローン返済中でも家を売却したい方が知っておくと良い以下の知識をまとめています。

・住宅ローン返済中の家を売却するときの条件
・住宅ローン返済中の家の売却を考えたらやるべきこと
・【残債状況別】住宅ローン返済中の家を売却する方法
・住宅ローン返済中の家の売却において注意したいこと
・住宅ローン返済中の家の売却を損なく成功させるポイント

読んでいただくことによって、次のようなことをお分かりいただけるようになります。

◎住宅ローン返済中でも問題なく家を売却するにはどうしたら良いか
◎住宅ローン返済中の家を売却するときに注意すべきことは何か
◎住宅ローン返済中でも損を出さずに家を売却するにはどうすべきか

住宅ローン返済中でも家を売却する方法とそのポイントを知るためにも、ぜひ最後までご覧ください。

[監修]宅地建物取引士

市野瀬 裕樹

中古マンション売買仲介を累計1200件以上監督。株式会社groove agentにおいて不動産売買の業務に3年従事。買い手をサポートしてきた経験を活かし、どうすれば高く売れるのか?を、買い手目線で不動産売却仲介のアドバイスを行う。

目次

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    1. 住宅ローン返済中の家は売却できるが「引き渡しまでに完済しなければならない」

    冒頭でも説明した通り、住宅ローン返済中でも家は売却できます。

    ただし、残りの住宅ローンは、売却した家を買いたい人が現れたとき、その買主に引き渡しをするまでに完済しなければなりません。

    買主に家を引き渡すまでに残りの住宅ローンを完済しなければならないのは、住宅ローンを利用して購入した家には「抵当権(ていとうけん)」が付けられているからです。

    抵当権というのは、金融機関が家に担保をかける権利のことです。住宅ローンを借りた人が住宅ローンの返済を滞納し続けていると、金融機関はこの抵当権を実行し、家を競売にかけ、その競売で得たお金を回収していきます。

    抵当権は通常、住宅ローンを完済して指定の手続きをすると消滅します。しかし、住宅ローンの返済中に家を売却すると、その抵当権は付与されたままです。

    抵当権が付与されたままの家を売却し買主へ引き渡しすると、買主が家を失うリスクを背負うことになります。売主が残りの住宅ローンを滞りなく返済して完済すれば問題ないのですが、万が一売主が返済を滞納して完済できないとなると、家が競売にかけられるからです。家が競売にかけられると、所有者は強制的に家から出ていかなければなりません。

    このため、住宅ローン返済中でも家は売却できるものの、買主が家を失わないよう抵当権を消滅させるためにも、引き渡しまでには住宅ローンを完済しなければならないのです。

    2. 住宅ローン返済中の家の売却を考えたらやるべきこと3つ

    住宅ローン返済中の家を売却することを考えたら、やるべきことが3つあります。

    住宅ローン返済中の家の売却ですべきこと

    1つずつ説明していきましょう。

    2-1. 残りの住宅ローン額を知る

    1つ目は、残りの住宅ローン額を知ることです。残りの住宅ローン額を調べることで、家の売却金で住宅ローンを完済できそうかを確認できます。

    残りの住宅ローン額は、次の3つの方法で知ることが可能です。

    ①金融機関から毎年10月頃に郵送される「年末残高証明書」
    ②金融機関の窓口で確認できる「残高証明書」
    ③金融機関の住宅ローン関連のWebサイトにある「残高照会」

    家を売却する時期が10月以降である場合は①年末残高証明書で確認できますが、それ以外の時期は②残高証明書、もしくは借りている住宅ローンの現状が分かるマイページなどが金融機関から提供されていれば③残高照会で確認できるでしょう。

    ただ、金融機関によって残りの住宅ローン額を確認できる方法は異なるため、まずは住宅ローンを借りている金融機関に問い合わせすることをおすすめします。

    なお、残りの住宅ローン額を調べるときは、利子も含めて確認するようにしてください。

    2-2. 家の売却額を査定してもらう

    2つ目は、残りの住宅ローン額を確認したら、不動産会社に家の売却額を査定してもらうことです。

    不動産会社に家の売却額を査定してもらうことで、調べた残りの住宅ローン額を売却金で完済できそうかを判断できます。

    不動産会社による家の売却額の査定は、主に次の2点が考慮されて、その不動産会社の査定方法に基づいて行われます。

    1. 家の状態
    2. 周辺の家の金額相場

    売却したい家の査定は、売買業務を担っている不動産会社に依頼できます。不動産会社へ直接問い合わせしたり、以下のような不動産一括査定サイトを通じて何社かまとめて問い合わせたりする方法があります。

    【不動産一括査定サイトの例】

    ・イエウール
    ・すまいステップ
    ・SUUMO(スーモ)不動産売却・不動産査定

    査定の依頼は1社ではなく、複数の不動産会社に依頼するのがおすすめです。その理由については、家を損することなく売却するポイントとして「6-1. 家の売却額の査定は複数の不動産会社に依頼する」で説明していますのでご覧ください。

    ただし、不動産会社に査定してもらった家の売却額は、そのまま売却金になるとは限らないことは注意しなければなりません。実際にどのくらいで売れるかどうかは、買主が希望する購入金額との交渉で決まるからです。

    このため、不動産会社に査定してもらった家の売却額はおおよその金額と捉えるようにすることが大切になります。

    2-3. 残りの住宅ローンを完済する方法を考える

    3つ目は、不動産会社による家の売却額の査定でおおよその売却額が分かったら、残りの住宅ローンを完済する方法を考えることです。

    売却した家の住宅ローンは、その家の抵当権を消滅させるために買主への引き渡しまでに完済しなければならないことは、「1. 住宅ローン返済中の家は売却できるが「引き渡しまでに完済しなければならない」」で説明した通りです。

    家の売却金で残りの住宅ローンを完済できれば問題ありませんが、不可能な場合は完済するためのお金を用意しなければなりません。すぐに買主が現れるとは限りませんが、住宅ローンは多額であるため、完済方法によっては準備までに時間を要する恐れがあります。

    このため、残りの住宅ローンをどのように完済していくか、その方法を家の売却額が分かり次第考えることは非常に重要です。

    残りの住宅ローンを完済する主な方法としては、次の5つがあります。

    1. 家の売却金で完済する
    2. 住み替えローンと一緒に返済する
    3. 貯蓄で完済する
    4. 借りたお金で完済する
    5. 家を任意売却して返済する

    ただし、上記の方法であればどれを選んでも良いというわけではありません。

    残りの住宅ローンを完済する方法は、残債状況と家の売却金額を踏まえて決めるのが最もおすすめです。この方法で決めれば、残りの住宅ローンを問題なく完済でき、家を売却できます。

    次の章から住宅ローンの残債状況別に、残りの住宅ローンを完済し家を売却する方法を説明していきましょう。

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    3. 【残債状況別】住宅ローン返済中の家を売却する方法

    住宅ローン返済中に家を売却する方法は、残りの住宅ローン額によって異なります。

    【残債額が売却金を下回る場合】

    家の売却金で完済して売却

    【残債額が売却金を上回る場合】

    • 1. 住み替えローンと一緒に返済して売却
    • 2. 貯蓄で完済して売却
    • 3. 借りたお金で完済して売却
    • 4. 任意売却

    では、住宅ローンの残債状況別に見ていきましょう。

    3-1. 残債額が売却金を下回る場合

    住宅ローンの残債額が家の売却金を下回る場合は、家の売却金で残りの住宅ローンを完済して売却するのがおすすめです。

    たとえば、住宅ローンの残債額が1,000万円であったとします。家の売却金が1,500万円と査定されれば、その売却金を使えば残りの住宅ローンを完済して売却が可能です。

    この方法で残りの住宅ローンを完済して売却すれば、以下のように精神的にも経済的にも負担をかけることがありません。

    ・住宅関連の借金がなくなる
    ・貯蓄がある場合は、その貯蓄を残しておくことができる
    ・新しい家を買う場合でも、その住宅ローンだけ支払っていけば良い

    家の売却金で残りの住宅ローンを完済し、売却するまでの流れは以下の通りです。

    1. 不動産会社と媒介契約を結んで、買主の募集をする

    2. 買主が現れたら、売買金などの交渉を得て売買契約をする

    3. 司法書士による「登記申請書類」の確認が行われる

    4. 売主の銀行口座などに売却金が振り込まれる

    5. 売却金で残りの住宅ローンを完済する

    6. 抵当権を消滅させる(抵当権抹消登記の手続きを行う)

    7. 家が買主のものになり、売却が成立する

    家の売買が成立したら売却金が銀行口座などに振り込まれるため、その売却金で金融機関に残りの住宅ローンを完済していきます。

    3-1-1. 家の売却金で完済して売却するときの注意点

    家の売却金で残りの住宅ローンを完済して売却するときに注意したいことがあります。

    それは、残りの住宅ローンを完済しさえすれば抵当権が自動的に消滅し、売却が成立となるわけではないことです。売却金で残りの住宅ローンを完済したら、抵当権を消滅させる「抵当権抹消登記」という手続きを行う必要があります。

    抵当権抹消登記は売主自身、もしくは司法書士によって行いますが、不動産会社を通して家を売却した場合はその不動産会社が司法書士を手配してくれることが多いため、売主自身が手続きを行うことはあまりありません。

    抵当権抹消登記のために金融機関から必要な書類が売主に送られてくるので、その書類を不動産会社が手配してくれた司法書士に渡し、抵当権抹消登記の手続きを行ってもらいましょう。抵当権抹消登記が完了したら、売却が成立します。

    3-2. 残債額が売却金を上回る場合

    ・住宅ローンの残債額が2,000万円
    ・家の売却金が1,800万円

    というように住宅ローンの残債額が家の売却金を上回る場合は、家の売却金に加えて以下4つのいずれかの方法で、残りの住宅ローンを完済し売却することを考えていきます。

    1. 住み替えローンと一緒に返済して売却
    2. 貯蓄で完済して売却
    3. 借りたお金で完済して売却
    4. 任意売却

    順に説明していきましょう。

    3-2-1. 住み替えローンと一緒に返済して売却

    1つ目は、住み替えローンと一緒に返済して売却する方法です。

    この方法は、以下のような暮らしの変化に合わせて新しい家を購入して住み替え、今の家を売却したい場合に有効な方法になります。

    ・家族構成が変わった
    (例:夫婦2人だったが子供が生まれた/両親と同居することになった など)

    ・収入が変化した
    (例:転職により収入が増加した、あるいは減少した など)

    「住み替えローン」というのは、新しい家を購入して住み替えるとき、今の家を売却しても住宅ローンが残る場合に活用できる住宅ローンのことです。

    通常、今の家に残っている住宅ローンを完済して売却しなければ、新しい家を住宅ローンを組んで買うことはできません。

    しかし、住み替えローンを活用すれば、新しい家の住宅ローンを組みながら、今の家の住宅ローンを並行して返済していき、売却することが可能になります。

    住み替えローンの住宅ローン返済と売却例

    上記を見てお分かりいただけるように、住み替えローンというのは次の2つが一本化されたローンになります。

    1. 今の家に残っている住宅ローン
    2. 新しい家の住宅ローン

    二重ローンではないため複雑になりませんし、今の家に残っている住宅ローンを貯蓄や借りたお金で完済していく必要もありません。

    ただし、以下のようなデメリットがあるため、今の経済状況や家の売却活動の進行次第では、活用が難しい場合があることは注意が必要です。

    ・今の家の残っている住宅ローンと新しい住宅ローンを返済していくため、返済額が増える
    ・一般的な住宅ローンと比べると金利が高い
    ・今の家を売却して買主に引き渡す日と、新しい家を購入する決済日を同じにしなければならない

    また、住み替えローンは審査が厳しいことで知られています。詳しくは「5-2. 住み替えローンは審査が厳しい場合がある」で説明しているのでご覧ください。

    とはいえ、新しい家を購入して住み替えるために今の家を売却したいけれど、売却する家の住宅ローンの残債が売却金を下回る場合は検討するのが有効な手段ではあります。

    住み替えローンを利用するときの流れは、以下の通りです。

    1. 住み替えローンを取り扱っている金融機関に相談をする

    【金融機関の例】

    ・みずほ銀行「みずほ買い替えローン」
    ・三井住友銀行「WEB申込専用住み替えローン」
    ・りそな銀行「りそな住みかえローン」
    ※金融機関によって住み替えローンの名称が異なります

    2. 不動産会社を通じて売却活動をする

    3. 新しい家を探す

    4. 買主が現れたら売買契約を結び、家を引き渡す+新しい家を購入する

    5. 売却した住宅ローンの残りと新しい家の住宅ローンを毎月返済していく

    新しい家に住み替えることを考えており、住み替えローンを利用したい場合は、まずは住み替えローンを提供している金融機関の公式サイトで詳細を確認することをおすすめします。

    住み替えローンと一緒に返済し売却する

    3-2-2. 貯蓄で完済して売却

    2つ目は、貯蓄で完済して売却する方法です。

    家の売却金と貯蓄が、残りの住宅ローンを完済できる金額である場合に有効な方法になります。

    ・銀行口座に預金していたお金
    ・定期預金で貯めていたお金
    ・積立預金で貯めていたお金
    ・投資信託で貯めていたお金

    など今の貯蓄額を確認し、家の売却金と合わせて残りの住宅ローンを完済できるようであれば、この方法で対応するのが良いでしょう。お金を借りる必要がありませんし、貯蓄を使っても余裕があれば将来のために残しておくことが可能になります。

    定期預金など貯蓄の貯め方によっては引き出せない場合もあるかもしれませんが、途中解約をして引き出せることもあるので金融機関に相談することをおすすめします。

    ただし、以下のような後々使うことになる費用分も考慮して、貯蓄を使って完済できるかどうかを確認することが重要です。

    ◎売却時に現金で支払うべき諸費用

     【例】

    ・仲介手数料
    ・抵当権抹消登記費用 など

    ◎将来のために残しておくべき費用

    【例】

    ・賃貸への住み替えであれば初期費用
    (時期や家族構成、引っ越し先により異なるが約30万円)
    ・引っ越し代
    (時期や家族構成、引っ越し先により異なるが約40万円~60万円) など

    必要なときにお金がないと、そのときに調達することが難しくなってしまいます。

    家を売却するときに現金で支払うべき諸費用については、「5-3. 家の売却には諸費用が発生する」で詳しく説明しているのでご覧ください。

    家の売却金と後々使う費用を考慮しても貯蓄で残りの住宅ローンを完済できるのであれば、この方法を選ぶのがおすすめです。

    貯蓄で完済して売却するメリットデメリット

    3-2-3. 借りたお金で完済して売却

    3つ目は、借りたお金で完済して売却する方法です。

    ・家の売却金と貯蓄を合わせても残りの住宅ローンを完済できそうにない
    ・貯蓄のいくらかは後々使うことになる費用のために取っておきたい
    ・親族や親しい知人など身近な人に相談すればお金を借りられそう
    ・借りた人に返済可能なことを必ず約束できる

    といったようなときに選択すると良い方法になります。

    金融機関から新たにお金を借りる方法もありますが、こちらはおすすめできません。

    金融機関からお金を借りても住宅ローンは完済できるかもしれませんが、今度はその借りたお金を返済しなければならないからです。金融機関から借りたお金は利子を付けて返済する必要もあり、総額にすると元金を上回ることになります。

    もちろん、親族や親しい知人に借りたお金も返さなければなりませんし、場合によっては利子を付けて返済することもあるでしょう。

    しかし、相手の好意によっては利子なしで返済できることもあるため、金融機関と比べると負担は減らせるといえます。

    借りたお金で残りの住宅ローンを完済した後、家計の見直しなど家庭の経済状況を整理すれば借りたお金を返していくことができると明確に言えるようであれば、足りない分はお金を借りて残りの住宅ローンを完済し、家を売却していくと良いでしょう。

    借りたお金で完済して売却するメリットデメリット

    3-2-4. 任意売却

    4つ目は、任意売却をする方法です。

    任意売却は、これまで説明してきた売却方法では解決できそうにない場合、最終手段として活用すると良い方法になります。具体的にいうと、家の売却金、もしくは売却金と他の手段で残りの住宅ローンを完済できないときに取られる売却方法です。

    住宅ローンを貸してくれている金融機関の合意を得て、残りの住宅ローンを分割で払いながら家を売っていくのが任意売却です。メリットとしては、主に以下が挙げられます。

    ・買主へ引き渡すまでに残りの住宅ローンを完済する必要がない
    ・相場に近い価格で家を売却できる場合がある
    ・新しい家への引っ越しに必要な費用の一部が売却金から控除される場合がある

    相場に近い価格で家を売却できることがあるため、納得できる金額で取引できる可能性が高くなります。

    また、家を売却したら新しい家に引っ越さねばなりませんが、その引っ越し費用が売却金の一部からもらえることもあります。金銭的な負担を減らせるのが、任意売却です。

    ここで「今の家に残っている住宅ローンを分割で払える手段であれば、最初から任意売却を選んでも良いのでは?」と思われた方もいるかもしれません。

    確かにそうなのですが、任意売却には次のようなデメリットもあるため、最終手段として活用することが推奨されています。

    ・住宅ローンを借りている金融機関の合意を得なければならない
    ・売却したい物件が市場価値のあるものでなければならない
    ・希望する売却価格を決められない
    ・売却活動期間が決まっており、その期間を越えると競売にかけられる

    つまり、任意売却は誰でも活用できるわけではないのです。

    金融機関から合意を得られても売主が希望する金額で売却することは難しく、売却活動期間内に買主が現れなければ競売にかけられてしまいます。競売にかけられると、家が安価で落札される恐れもあることは念頭に置かねばなりません。

    とはいえ、任意売却はうまくいけば売却したい家に残っている住宅ローンを分割で返済しながら売却できる手段ではあります。経済的理由や家庭の事情によって買主への引き渡しまでにどうしても残りの住宅ローンを完済できそうにない場合は、活用を検討するのが良いです。

    任意売却の流れは以下の通りです。

    1. 住宅ローンを借りている金融機関に相談し、任意売却の了承を得る

    2. 不動産会社を通じて売却活動をする

    3. 買主が現れたら売買契約を結び、引き渡す

    4. 売却した家に残っている住宅ローンの毎月の返済額を金融機関と相談しながら決める

    5. 売却した家に残っている住宅ローンを毎月返済していく

    任意売却を検討したら、まずは金融機関に相談し、合意を得ることから始めていきましょう。

    任意売却のメリットデメリット

    4. 住宅ローン返済中の家を売却する方法の比較表

    ここで、これまで説明してきた住宅ローン返済中の家を売却する方法をまとめます。

    住宅ローン返済中の家を売却する方法の比較表

    住宅ローンの残債額が売却金を下回り、売却金で完済できるようであればその方法が最も有効な売却方法になります。

    住宅ローンの残債額が売却金を上回る場合は、貯蓄の額次第で売却方法を選ぶと良いでしょう。

    貯蓄で残りの住宅ローン返済と諸費用をカバーできるようであれば、貯蓄で完済して売却するのがおすすめです。暮らしの変化により新しい家に住み替える場合は、住み替えローンを使って完済を目指して売却していけば、出費を抑えられます。

    貯蓄で残りの住宅ローン返済と諸費用をカバーするのが難しい場合は、借りたお金で完済して売却するか、どうしても完済できない場合は任意売却を選ぶと良いといえます。

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    5. 住宅ローン返済中の家の売却において注意したいこと5つ

    ここまで紹介してきた家の売却方法の中で、検討したい方法を見つけていただけたら幸いです。

    ただ、実際に住宅ローン返済中の家を売却することを考えたときに注意しておきたいことがあるため、説明していきます。それが、次の5つです。

    1. 家を売却するのがベストかを再度考える

    2. 住み替えローンは審査が厳しい場合がある

    3. 家の売却には諸費用が発生する

    4. 借りたお金で返済して売却するときは借用書を残す

    5. 任意売却する場合は競売にかけられる前に手続きを行う

    1つずつ見ていきましょう。

    5-1. 家を売却するのがベストかを再度考える

    1つ目は、家を売却するのがベストかを再度考えることです。

    これは、家を売却する理由が「住宅ローンを払えないこと」である場合に該当します。住宅ローンを払えない問題を解消する方法は、家の売却以外にもあるからです。

    住宅ローンの返済に問題を抱えている場合は、以下のような方法で対処できることがあります。

    ・住宅ローンを借りている金融機関に相談して、返済条件を変えてもらう
    (例:返済期間を延長し毎月の返済額を減らす など)

    ・「団体信用生命保険」の適用手続きをする
    (住宅ローンを借りている人が死亡したり、高度な障害状態になったりした場合)

    ・今の住宅ローンより低い金利の住宅ローンに借り換える

    ・個人再生の手続きをする
    (住宅ローン以外の借金によって、住宅ローンを払えない場合)

    ・今住んでいる家を担保にしてお金を借りられる「リバースモーゲージ」に借り換える

    家を売却してしまうと、住み慣れた家から離れなければなりません。

    以下のような暮らしの変化により売却する場合は別ですが、もし今の家に住み続けたいけど、住宅ローンを払えないが故に家を売却するしかないと思っているのであれば、対処法もあることは知っておいた方が良いです。

    ・新しい家に住み替えたい
    ・生まれ故郷に帰って実家に住む

    より詳しくは、住宅ローンを払えないときの対処法について書かれたこちらの記事をご覧ください。家の売却以外でご自身に合う住宅ローンの返済方法を見つけられる手助けとなれば幸いです。

    5-2. 住み替えローンは審査が厳しい場合がある

    2つ目は、住み替えローンは審査が厳しい場合があることです。

    住み替えローンは、新しい家を購入して住み替えるとき、今の家を売却しても住宅ローンが残る場合に有効な住宅ローンであることは「3-2-1. 住み替えローンと一緒に返済して売却」で説明しました。

    しかし、金融機関からすると貸すお金が増えることになるため、返済できるかどうか見極めるための審査が厳しくなるのは注意しなければなりません。

    住み替えローンで審査されるのは、金融機関によって異なりますが以下のような内容です。

    ・お金を借りる人の年収
    ・お金を借りる人の過去5年以内のローン返済情報(住宅ローン以外のローンも含む)
    ・今の家に残っている住宅ローン額
    ・新しく買う家の価格

    上記は全て、住み替えローンを利用する人の返済能力を判断するために設けられている審査項目です。

    審査の項目や通るための基準は金融機関によって異なるため、どのような条件を満たしていれば住み替えローンを利用できるというのは明確にできません。

    住み替えローンは次の状況に該当すれば必ず活用できるとは限らないということを念頭において、利用するかを決めることをおすすめします。

    ・新しい家を購入して住み替えたい
    ・今の家を売却しても住宅ローンが残る

    5-3. 家の売却には諸費用が発生する

    3つ目は、家の売却には諸費用が発生することです。

    家を売るときに住宅ローンが残っている場合、その住宅ローン額に注目しがちになりますが、以下のような家の売却関連の諸費用が発生することも忘れてはなりません。

    ・不動産会社への仲介手数料
    ・売買契約書の印紙税
    ・抵当権抹消登記費用

    家の売却時に発生する諸費用は、基本的には現金で用意する必要があります。今の家に残っている住宅ローンが売却金で完済できるのであれば、これらの諸費用は売却金に余裕があればそのお金、貯蓄があればその貯蓄でカバーできるでしょう。

    残りの住宅ローンが売却金で完済できない場合は、注意が必要です。貯蓄があれば、その貯蓄を全て残りの住宅ローン返済に充てるのではなく、諸費用の支払い用に残しておく必要があります。お金を借りる場合も同様です。

    以下が、家を売却するときに一般的に発生する諸費用とおおよその金額になります。

    家を売却発生する諸費用

    参考:
    宅地建物取引業者が宅地又は建物の売買等に関して受けることができる報酬の額|国土交通省

    上記はあくまで目安のためこの通りの金額になるとは限りませんが、参考にしていただき、家を売却するときにこれらの諸費用を現金で支払えるように用意しておくことをおすすめします。

    5-4. 借りたお金で完済して売却するときは借用書を残す

    4つ目は、借りたお金で完済して売却するときは借用書を残すことです。

    「借用書」というのは、お金の貸し借りを証明する以下のような証明書を指します。

    借用書

    親族や親しい人からお金を借りる場合、その関係性から口頭とお金のやり取りだけで借りられるかもしれません。

    しかし、親しい間柄でも借用書は残しておくべきです。借用書を用意することで、返済の意思を明確に示せるため、金銭トラブルを防ぐことが可能になります。

    また、親族からお金を借りる場合、借用書がないと「贈与されたお金」と見なされて贈与税が発生してしまうことも注意しなければなりません。

    贈与税は、1月1日から12月31日までの一年間にもらったお金の合計から基礎控除額110万円を引いた残りのお金に対してかかります。残りのお金の額によっては、控除額が追加されます。

    贈与税の計算と税率

    ※No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)|国税庁を元に作表

    たとえば、両親から200万円借りた場合、90万円分に贈与税が発生します。借りたお金が110万円以下であれば贈与税はかかりません。

    贈与税はお金をもらった側が支払わなければならないため、経済的に余裕がない場合は負担がかかることになります。

    お金の貸し借りによってトラブルが生じてしまうと、お金を貸してくれた人とのその後の関係性に悪影響を与えることになります。良好な関係を続けるためにも、残りの住宅ローンを完済するためにお金を借りたら借用書は残しておくことをおすすめします。

    5-5. 任意売却する場合は競売にかけられる前に手続きを行う

    5つ目は、任意売却をする場合は家が競売にかけられる前に手続きを行うことです。

    任意売却は活用したいと思った時点で手続きし、金融機関の合意を得られたら実行できる売却方法です。買主の募集をしている間、残りの住宅ローンを払えないために滞納をし続けていると競売にかけられてしまいます。

    では、残りの住宅ローンをどのくらい滞納していると競売の手続きが進んでしまうかというと、おおよそではありますが9ヶ月です。

    住宅ローン滞納で起きることの流れ

    家が競売にかけられて入札が開始されてしまうと、任意売却の手続きは行えません。競売は、任意売却と比べるとデメリットが多いため避けたい売却方法です。

    【競売のデメリット】

    ・相場より安価で落札される恐れがある
    ・残りの住宅ローンを一括返済しなければならない
    ・裁判所による強制的な現地調査が行われ、立ち退きを申し立てられる
    ・競売物件として新聞やインターネットといった媒体に開示される

    たとえ家を売却したお金や他の手段で残りの住宅ローンを買主へ引き渡すまでに完済できないと分かっても、滞納せずに早めに任意売却の手続きをして金融機関の合意を得られれば競売にかけられることはなく、そのデメリットを受けることもありません。

    任意売却は、競売の入札が開始される前であれば可能です。手続きから成立までに最大で3ヶ月程度かかる場合があるため、もしご自身にとって任意売却が最適な方法と思ったら残りの住宅ローンは滞納せず、早めに手続きをとることをおすすめします。

    6. 住宅ローン返済中の家の売却を損なく成功させるポイント3つ

    住宅ローン返済中の家を売却するとき、行動次第では損してしまい、手元に必要なお金を残しにくくなってしまうことがあります。

    最後に、住宅ローン返済中の家の売却を損なく成功させるためのポイントとして、

    1. 家の売却額の査定は複数の不動産会社に依頼する
    2. 税金の控除制度を利用する
    3. 住み替える場合は売却を先に行う

    の3つを説明していきます。家の売却活動をするときにご参考ください。

    6-1. 家の売却額の査定は複数の不動産会社に依頼する

    1つ目のポイントは、複数の不動産会社に家の売却額の査定を依頼することです。

    「2-2. 家の売却額を査定してもらう」でも説明した通り、不動産会社による家の売却額は次の2点が考慮されて、その不動産会社の査定方法に基づいて査定されます。

    1. 家の状態
    2. 周辺の家の金額相場

    1社に査定を依頼して、その金額に納得できたらそのまま仲介を依頼するのも悪いことではないのですが、査定金額は周辺の家の金額相場でない場合もあります。

    他の不動産会社にも査定してもらっていたら、予想以上に高く売却できると分かることもあり、そこで適切な相場を知ることが可能になります。

    たとえば、同じ家でも以下のように不動産会社によって売却額に数百万円の差が生じることがあります。

    ・A社…2,000万円
    ・B社…2,350万円
    ・C社…2,400万円

    上記の場合、B社とC社が50万円の差で近い金額ですが、A社と比べると350万円~400万円の差があるため、A社は相場より低いのではと判断できるようになるのです。

    このため、1社よりも複数の不動産会社に査定してもらった方が、損することなく家を売却できます。

    査定を依頼する社数は、企業のプレスリリースを配信しているPR TIMESによると、不動産一括サイトを提供している「イエウール」の調査では、不動産を売却した人は平均して3社以上に査定を依頼していたそうです。

    もちろん、この依頼社数は平均なのであくまで参考程度にしていただき、より納得できる金額で家を売却したい場合は多くの不動産会社に査定を依頼することは問題ではありません。何社に依頼すると良いのか判断がつかない場合は、3社を目安に不動産会社に査定を依頼してみると良いでしょう。

    6-2. 税金の控除制度を利用する

    2つ目のポイントは、税金の控除制度を利用することです。

    家を売却するときは、動く金額が大きいため税金の控除制度が備わっています。控除制度を有効活用すれば節税ができ、手元にお金が残りやすくなります。

    家の売却における税金の控除制度としては、主に次の2つがあります。

    住宅売却の控除制度

    ①は家を所有していた期間を問わず、売却時に得た所得から3,000万円の控除を受けられます。譲渡所得が3,000万円以下であれば、この特別控除を利用すれば譲渡所得はなかったことになり、非課税対象になるため利用するのがおすすめです。

    ②は家を売却して大きな損失が出たときに利用したい制度になります。家を売却した年の翌年から3年間は所得がなかったことになり、所得税や住民税は支払わなくて良いことになります。

    利用するには以下の条件がありますが、該当する場合は積極的に利用することをおすすめします。

    住宅売却の控除制度の利用条件

    上記2つの特別控除について詳しくは、国税庁の公式ページをご確認ください。

    ①居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例
    ②マイホームを買い換えた場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例

    6-3. 住み替える場合は売却を先に行う

    3つ目のポイントは、住み替える場合は売却を先に行うことです。

    住宅ローン返済中の家を売却して、新しい家に住み替える場合は次のようなことを思われるかもしれません。

    ・次に住む家を探して確保してから家を売却した方が安心
    ・新しい家が見つからない場合は仮住まいしなければならず、手間と費用が発生して無駄

    もちろん、新しい家を先に買うのも悪いことではありませんが、住宅ローン返済中の家を売却する場合、家を先に買うと以下のように金銭的な損が大きくなるリスクがあります。

    ・今の家の住宅ローンと新しい家の住宅ローンが二重になる
    ・不動産会社の「買い取り保証」により、売却期限を越えると査定額より低い金額で買い取られてしまうことがある

    住宅ローン返済中で残債があるときこそ、売却活動を先に行えば家の売却金が残りの住宅ローン返済に充てられますし、住宅ローン額を増やすことがなくなります。

    残債を大きくして損しないためにも、住み替える場合は売却を先に行うことをおすすめします。

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    7. まとめ

    住宅ローンの返済中でも家は売却できますが、残りの住宅ローンは売った家を買主に引き渡すまでに完済しなければならないのが条件です。

    住宅ローン返済中の家の売却を考えたらやるべきことは、次の3つです。

    1. 残りの住宅ローン額を知る
    2. 家の売却額を査定してもらう
    3. 残りの住宅ローンを完済する方法を考える

    住宅ローン返済中の家を売却する方法は、残債の状況別に見ると次の通りです。

    【残債額が売却金を下回る場合】

    家の売却金で完済して売却

    【残債額が売却金を上回る場合】

    1. 住み替えローンと一緒に返済して売却
    2. 貯蓄で完済して売却
    3. 借りたお金で完済して売却
    4. 任意売却

    住宅ローン返済中の家を売却するときに注意したいことは、次の5つです。

    1. 家を売却するのがベストかを再度考える

    2. 住み替えローンは審査が厳しい場合がある

    3. 家の売却には諸費用が発生する

    4. 借りたお金で返済して売却するときは借用書を残す

    5. 任意売却する場合は競売にかけられる前に手続きを行う

    住宅ローン返済中の家を損することなく売却するポイントは、次の3つです。

    1. 家の売却査定は複数の不動産会社に依頼する

    2. 税金の控除制度を利用する

    3. 住み替える場合は売却を先に行う

    この記事を参考にしていただき、ご自身に合う家の売却方法を選んでくださいね。

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