更新:2022.07.04

限界マンションとは?築年数や立地などから見分ける方法|対処法付き

限界マンション

限界マンションとは、建物が老朽化し、維持や管理ができない状態にあるマンションのことです。

自宅が限界マンションになると、建物や設備に不安な点がいくつも出てきて、ほぼ確実に住みにくさを感じるでしょう。さらに資産価値が大きく下がるため、住み替えや売却がスムーズに進まないことが考えられます。

しかし、限界マンションはある特定のマンションだけに起こりうる問題ではありません。

適切な維持や管理がなされていなければ、どのマンションでも限界マンション化するリスクはあるのです。

購入したマンションは大切な資産です。その資産を守るためには、限界マンションについての正しい知識を身に付け、適切に対処することが欠かせません。

そこで本記事では、限界マンションの特徴から見分け方まで丁寧に解説していきます。

本記事のポイント

  • 限界マンションがどのようなものか理解できる
  • 限界マンションのリスクが分かる
  • 限界マンションを見分けるポイントを解説

[監修]宅地建物取引士

市野瀬 裕樹

中古マンション売買仲介を累計1200件以上監督。株式会社groove agentにおいて不動産売買の業務に3年従事。買い手をサポートしてきた経験を活かし、どうすれば高く売れるのか?を、買い手目線で不動産売却仲介のアドバイスを行う。

目次

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    1. 限界マンションとは

    はじめに、「限界マンション」とはどのようなマンションなのかを理解していきましょう。

    1-1.管理や建物の状態が限界に達したマンションのこと

    冒頭で触れたように、限界マンションは管理や建物の状態が限界に達したマンションのことです。

    • マンションの管理ができない
    • マンションの修繕ができない

    この2つを満たしたマンションが限界マンションとなります。

    管理も修繕もできないマンションは、廃墟化を食い止められません。

    廃墟化したマンションは、防災・防犯の観点からもリスクが高くなり、住民の生活を脅かします。

    1-1.築年数だけで判断できない理由

    限界マンションかどうかを築年数だけで判断することはできません。

    なぜなら、築年数の古いマンションであっても、管理や修繕がしっかり行われていれば、限界マンションにはならないからです。

    築30年弱で限界マンションとなるものもあれば、築50年以上であっても高価格で売買されるマンションもあるのです。

    この違いは、立地環境ではなく、管理・修繕の差によるものです。

    限界マンションかどうかを判断するには、築年数よりも、

    • 老朽化が放置されていないか
    • 管理が破綻していないか

    の2つをチェックしましょう。

    1-2.分譲マンションの寿命は何年?

    分譲マンションの寿命は明確に定義されていません。なぜなら、立地環境や適切な修繕を行っているかどうかでマンションの寿命は異なるからです。

    国土交通省が発表した「『中古住宅流通促進・活用に関する研究会』報告書取りまとめ後の取組紹介」によると、鉄筋コンクリート造の建物の寿命は117年と推定されていますが、実際には、国内に築100年以上の鉄筋コンクリート造のマンションはまだ例がありません。

    1-3.限界マンションに多く見られる特徴

    限界マンションと呼ばれるマンションに多く見られる特徴は以下のとおりです。

    • マンションが老朽化している
    • 建物のメンテナンスや修繕が行き届いていない
    • 入居者が高齢化している
    • 立地条件が良くない
    • 空室が増加している
    • 管理組合が機能していない
    • 相場よりも低い金額で賃貸・販売されている

    上記に該当する項目が多いほど、限界マンションである可能性が高いので注意しましょう。

    2. 限界マンションになる5つの原因

    次に限界マンションになる原因を押さえておきましょう。

    限界マンションになる原因は以下の5つです。

    1. 建物の老朽化
    2. 維持・管理費用の不足
    3. 住民の質の低下
    4. 管理組合が機能していない
    5. 建て替えが進まない

    順番に解説していきます。

    2-1.建物の老朽化

    1つ目の原因は「建物の老朽化」です。

    どんなマンションでも必ず経年とともに劣化します。一般的には築10年程度で劣化が現れてくるようです。

    マンションの劣化とは、以下に該当するようなものです。

    • 外装の浮きや剥がれ
    • 外装のひび割れ
    • 鉄筋の露出
    • 給水配管の腐食 など

    これらの劣化を放置すると、雨漏りや排水管のつまりなどの被害が出るだけでなく、建物の老朽化が進む原因になってしまうため、適切な修繕を行う必要があるのです。

    2-2.維持・管理費用の不足

    2つ目の原因は「維持・管理費用の不足」です。

    マンションが老朽化し、住環境にマイナス面があると、売却や賃貸に出す人が増えます。老朽化したマンションは見た目も悪くなるため、新しい入居者が入りにくくなります。居住者が減少してしまうと、当然、維持・管理費用が集まりません。

    このほかの維持・管理費用が不足する原因として、次の3つが挙げられます。

    • 維持・管理費用を低く設定していた
    • 計画の見積もりが甘く、予想以上の費用が発生した
    • 管理組合や理事などによる横領が発生した

    いずれにせよ、維持や管理にかけられるお金が十分にないと、適切な修繕や対処ができないため、限界マンション化してしまう要因になります。

    2-3.住民のマナーの低下

    3つ目の原因は「住民のマナーの低下」です。

    老朽化したマンションは住民を確保するため、相場よりも安い賃料で賃貸に出されることが多くなります。

    賃貸で入居している人にとっては「借りている部屋」なので、マンションへの思い入れは薄いでしょう。しかし、購入者にとっては「終の棲家」「資産」なので、マンションの将来について真剣に考える必要があります。この意識の違いが将来に大きな影響を及ぼす可能性があるのです。

    同じマンションの住民の中で賃貸派が多くなると、マンションの維持や管理に無関心になりやすく、マナーやルールに対してずさんになる傾向にあります。

    2-4.管理組合が機能していない

    4つ目の原因は「管理組合が機能していない」です。

    管理組合は分譲マンションの購入者が結成する住民組織で、マンションの維持・管理を行います。マンション内の清掃や修繕は外部業者である「管理会社」に委託するケースがほとんどですが、管理組合が機能していないと以下のようなデメリットが生じます。

    • マンションの管理に関する意見の取りまとめが難しい
    • 必要な情報が共有されない
    • 管理会社にすべてが丸投げになる
    • 大規模修繕の計画が立てられない

    住民の減少や賃貸住民の増加などで、管理組合に参加する人が少なくなると、管理組合が機能不全に陥ります。

    2-5.建て替えが進まない

    5つ目の原因は「建て替えが進まない」です。

    マンションの建て替えが進まないのは、住民の4/5以上の合意だけでなく、建て替えにかかる費用の負担が必要だからです。

    容積率の低いマンションの場合は、建て替え時に戸数を増やすことが可能です。このように建て増しで増えた部屋を売却することで、建て替え費用を捻出できるケースもありますが、これはかなり幸運なケースです。

    一方、建て替えで部屋が増やせないマンションの場合は、建て替え費用が住民の負担となる可能性があります。建て替えにかかる費用はマンションの資産価値や広さなどによって異なりますが、一般的には1戸あたり1,000万円程度といわれています。

    引っ越し費用や仮住まいの賃貸料を考えると、さらにお金がかかるため、建て替えの合意を得るのは非常に困難になります。

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    3. 限界マンション化に危機感を持つべき理由

    限界マンションになると、具体的にどのような状態になるのでしょうか。

    ここでは、限界マンション化に危機感を持つべき理由をお話ししていきます。

    3-1.資産価値が大きく下がる

    限界マンション化すると、資産価値が大きく下がります。

    空室を埋めるために、周辺の同等マンションよりも安く売り出されたり、貸し出されたりするようになるからです。

    資産価値が大きく下がると、

    • 希望額で売却できない
    • 価格を下げても、買い手がなかなか見つからない

    ことが懸念されます。売却が進まないと引っ越しができず、ずっと限界マンションに住み続けることになるかもしれません。

    3-2.スラム化し、治安が悪化する可能性がある

    限界マンションのように、管理が行き届いていない建物はスラム化の危険があります。

    入居者が少なく管理がしっかりしていないマンションは、不良や犯罪者のたまり場になりやすいからです。マンションだけでなく、周辺の治安を悪化させる恐れもあります。

    また、限界マンション化した建物は、不審者の侵入に気づきにくいです。そのため、空き巣や強盗などの犯罪被害に遭うリスクも高くなります。

    3-3.建て替えは困難

    先ほどお話ししたように、限界マンションの建て替えは困難であるといえます。

    国土交通省のデータでは、工事完了済みの件数は全国で263件、建て替え実施中は32件に止まっています(2021年4月時点)。

    やはりネックとなっているのは、住民の合意と建て替えの費用負担です。

    「マンションを終の棲家にしたい」という人にとっては、かなり厳しい状況といえるでしょう。

    4. 限界マンションを見分ける3つのポイント

    限界マンションについて理解が深まると、「このマンションは大丈夫?」と不安になってきますよね。

    ここでは、限界マンションを見分ける3つのポイントを解説します。限界マンションかどうか見分けられれば、「購入すべきか」「売却すべきか」の判断が容易になります。

    4-1.ポイント①管理状態

    限界マンションになるかどうかは、管理状態にかかっているといっても過言ではありません。管理が行き届いていれば、建物の劣化スピードを遅らせるだけでなく、築古マンションでも高い価値を付与できるからです。

    管理状態をチェックするポイントは以下の3つになります。

    • 共有部分に清潔感がある
    • 破損や故障などが放置されていない
    • 管理組合が機能している

    共有部分は、エレベーターや廊下、ゴミ捨て場、駐輪場などを見てみましょう。ゴミはないか、整理整頓されているかで、管理状態を判断します。

    また、切れた電球がそのままになっていたり、ドアの開閉がスムーズでなかったりする場合は、管理に問題があるといえます。住民が安心して暮らせる環境が整っているとは思えないからです。

    管理組合が機能しているかどうかは、掲示板と管理組合の総会資料で確認できます。

    掲示板に貼られている管理組合からのお知らせが定期的に入れ替わっているか、必要な情報がきちんとシェアされているかをチェックします。

    加えて、管理組合の総会資料を見せてもらうといいでしょう。定期的に総会が行われていると安心です。

    4-2.ポイント②立地環境

    限界マンションになるかは、立地環境にもよります。

    というのも、人気のある街のマンションは入居希望者が多いため、限界マンション化しにくいからです。

    築年数が古くても値段を落とさず販売されているマンションのほとんどは、立地環境に優れています。以下に該当するマンションは、人気の高い立地環境にあるといえます。

    • 交通の便が良い
    • 利便性が高い
    • 人気の街、子育てしやすい街などにランクインしている
    • 周辺環境や治安が良い
    • 最寄り駅が近い

    マンションの立地環境は、個人的な好みではなく、第三者の視点で魅力があるかを考えましょう。マンションのセールスマンになったつもりで「20年や30年後も人気があるか」「人気が続く理由」を考えると、冷静な判断ができるはずです。

    4-3.ポイント③大規模修繕の履歴

    どんなマンションでも、年月とともに劣化するものです。国土交通省のデータでは、築11~15年で1回目の大規模修繕を行うマンションが最多となっています。

    大規模修繕の履歴

    出典:マンション大規模修繕工事に関する実態調査|国土交通省

    マンションの大規模修繕を行う時期や周期に決まりはありません。

    修繕の周期は立地環境や細かいメンテナンス状況などによって異なるため、マンションごとに計画を立てて進めていきます。

    ▼大規模修繕工事の回数と築年数の目安

    • 1回目:築13~16年前後
    • 2回目:築26~33年前後
    • 3回目:築37~45年前後

    参考:マンション大規模修繕工事に関する実態調査|国土交通省

    明確な理由もなく、上記時期に大規模修繕工事を行っていない場合は、限界マンションになるリスクが高くなります。築20年以上経過しているのに、一度も大規模修繕を行っていないマンションは要注意です

    購入を検討中のマンションの大規模修繕履歴や修繕計画を確認したい場合は、不動産仲介会社に伝えましょう。マンションの管理会社や管理組合から必要な書類を取り寄せてくれます。

    入居中のマンションの修繕履歴を確認したい場合は、管理組合の理事などに声をかけて、総会の資料などを見せてもらいましょう。

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    5. 限界マンションにしないための対策

    マンションを限界マンション化させないためにできる対策は以下の2つしかありません。

    • 管理組合を機能させる
    • 都市計画法で建て替えを検討する

    詳しく解説していきます。

    5-1.管理組合を機能させる

    マンションの管理は、住民個人でどうにかできる問題ではありません。

    マンションの管理については、管理組合を機能させて、住民の意見を取りまとめていく必要があります。

    管理組合が機能していれば、限界マンションにならないようにさまざまな対策が打てます。

    マンションは少しずつ劣化していくものです。劣化が目立ってから対策を考えるのではなく、こまめにメンテナンスを行うことで、マンションの寿命を延ばすことができます。

    大規模修繕計画や建て替えについても、早いうちから話し合い、積立を行っていると、いざという時に対応することができるでしょう。

    管理組合は分譲マンションの住民による団体です。健全に機能させるためには、住民全員が自分たちのマンションに対して当事者意識を持つことが重要になります。

    5-2.都市計画法で建て替えを検討する

    マンションの管理や維持が限界に近づき、修繕が難しい場合は、やはり建て替えを行うしか道はありません。

    これまでお話ししてきた通り、老朽化マンションの建て替えは非常に困難ですが、諦める前に都市計画法の市街地再開発事業に該当しないか確認しましょう。

    都市計画法に該当すると、住民の2/3以上の合意で建て替えが可能です。通常の4/5以上の合意よりも建て替え条件が軽くなります。

    修繕が不可能なマンションも、建て替えることで新たな価値を生み出すことができます。長く住み続けたいと考えるなら、建て替える道を模索してもいいでしょう。

    参考:「老朽化マンションの建替え等の促進」について|国土交通省住宅局

    6. まとめ

    限界マンションとは、建物の維持や管理ができず、どうにもできない状態になっているマンションのことです。

    限界マンションに多く見られる特徴は以下のとおりです。

    • マンションが老朽化している
    • 建物のメンテナンスや修繕が行き届いていない
    • 入居者が高齢化している
    • 立地条件が良くない
    • 空室が増加している
    • 管理組合が機能していない
    • 相場よりも低い金額で賃貸・販売されている

    すべてのマンションは経年とともに劣化します。そのため、適切に管理・維持していないマンションは、築年数にかかわらず限界マンションになる可能性があるのです。

    限界マンション化に危機感を持つべき理由は次の4つです。

    • 資産価値が大きく下がる
    • スラム化し、治安が悪化する可能性がある
    • 建て替えは困難
    • 限界マンション化は他人事ではない

    限界マンションになると、住み心地が悪いだけでなく、資産価値も下がるため、売却や住み替えが難しくなります。そのため、限界マンションかどうかを見極めて、適切に対処することが必要です。

    限界マンションを見分けるには、

    1. 管理状態
    2. 立地環境
    3. 大規模修繕の履歴

    を確認しましょう。

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