更新:2024.04.15

不動産売買における仲介手数料とは?上限や支払いタイミングを解説

不動産 仲介 手数料

不動産売買における仲介手数料とは、不動産の売買を業者へ依頼して成約した際に業者へ支払う手数料のことです。

不動産売買における仲介手数料

もう少し詳しく説明すると、仲介手数料は法律に定めのある不動産仲介業者が受け取れる仲介の成功報酬で、上限は以下のとおり定められていますが、下限の定めはありません。

成功報酬の上限

なお、仲介手数料の相場も上記の上限額と同じです。

先ほども述べましたが、仲介手数料には上限しか定めがないため、割引や無料にすることができます。

そのため、相場より仲介手数料が安い業者や無料の業者も存在しますが、割引・無料にできる理由を確認することなく安易に契約すると、かえって損をする結果になりかねません。

リスクを避けながら賢く仲介手数料を抑えるには、仲介手数料の仕組みや注意点を知ることが必要です。

こで今回は、リスクを避けてスムーズに不動産売買を進めるため、知っておくべき不動産仲介手数料のポイントをわかりやすく解説します。

  • 仲介手数料とは
  • 相場や支払いタイミング
  • 仲介手数料の計算方法
  • 仲介手数料の注意点
  • 仲介手数料以外の不動産売買時の費用

上記のポイントを押さえることで、必要な予算額や適切な業者選びの方法がわかるようになります。

まずは当記事を参考に、仲介手数料についての「わからない」を解決することで、余計な出費を抑えて満足のいく不動産売買を実現しましょう。

[監修]宅地建物取引士

市野瀬 裕樹

中古マンション売買仲介を累計1200件以上監督。株式会社groove agentにおいて不動産売買の業務に3年従事。買い手をサポートしてきた経験を活かし、どうすれば高く売れるのか?を、買い手目線で不動産売却仲介のアドバイスを行う。

目次

    \簡単30秒で査定依頼完了/

    1.不動産売買における仲介手数料とは

    冒頭でも述べたとおり、仲介手数料とは不動産業者が売買を仲介し成約した場合に発生する成功報酬で、売買価格の数%を支払うのが一般的です。

    不動産売買における仲介手数料とは

    例えば、仲介手数料が「売買価格(税抜)の3%+6万円+消費税」という業者に物件の売却を依頼して2,000万円(税抜)で売れた場合、支払う仲介手数料は66万円になります。

    【仲介手数料が「売買価格(税抜)の3%+6万円+消費税」で売却価格2,000万円(税抜)の場合】

    2,000万円 × 3%+6万円+ 消費税(10%)= 72万6,000円

    仲介手数料は仲介の結果売買が成立した場合に支払う手数料であるため、仲介していない場合や仲介が成功していない場合は仲介手数料を支払う必要はありません。

    仲介していない・仲介が成功していない場合とは、例えば次のような場合です。

    • 売主と買主が直接取引をした
    • 仲介を依頼したものの、売買の成約はしなかった

    また、詳しくは次章で説明しますが、仲介手数料には法律で決められた上限額があります。

    上限額を超える仲介手数料を提示する業者とは、契約しないようにしましょう。

    2.不動産売買の仲介手数料の計算方法

    不動産売買の仲介手数料の上限とその計算方法は、法律で以下のように決まっています。

    不動産売買の仲介手数料の計算方法

    ただし、売却する物件が400万円以下の土地または建物である場合のみ、以下の特例の対象となるため、計算方法が変わることに注意が必要です。

    400万円以下の土地または建物である場合

    なお、不動産売買の仲介手数料相場は、上記の上限額と同じです。

    以下では、具体的にどのような計算式になるのか・実際に計算した売買価格ごとの仲介手数料額はいくらになるのかを解説します。

    2-1.仲介手数料の計算式

    冒頭で説明した基準をもとにすると、仲介手数料の計算式は次のとおりになります。

    仲介手数料の計算式

    例えば売買価格が2,000万円(消費税抜き)なら、以下のように計算します。

    【売買価格が2,000万円(消費税抜き)の場合の仲介手数料】

    200万円 × 5.5 % = 11万円

    200万円 × 4.4 % = 8.8万円

    (2,000万円 - 400万円)× 3.3 % = 52.8万円

    11万円 + 8.8万円 + 52.8万円 = 72.6万円

    上記のとおり、条件をそのまま当てはめて計算しようとすると、かなり煩雑です。

    そこで次章では、簡単に使える速算式を紹介します。

    2-2.簡易的に出すなら速算式で計算する

    売買価格が400万円を超える場合であれば、以下の速算式で計算できます。

    簡易的に出すなら速算式で計算する

    上記の速算式を使うと、売買価格が2,000万円(税抜)の場合、仲介手数料は72万6,000円であることがわかります。

    2,000万円(売買価格) × 3% + 6万円 + 消費税 = 72万6,000円

    注意したいのは、不動産仲介手数料には消費税がかかるため、次のような影響がある点です。

    • 増税など消費税率の変動によって、仲介手数料も変動する
    • 仲介手数料が高くなるほど、税金による増加額も増える

    消費税が増税となるタイミングでは、税率が上がる前に契約したり、少しでも仲介手数料の割引がある業者と契約することによって、税率変動の影響を抑えられるため覚えておきましょう。

    なお、仲介手数料には自動計算サイトがあります。

    「不動産 仲介 手数料 自動計算」で検索すると見つけられるため、「自分で計算するのはちょっと…」という場合は活用してみてください。

    2-3.【売買価格別】不動産の仲介手数料早見表

    これまでに説明した計算方法をもとに算定すると、売買価格ごとの仲介手数料は次のとおりです。

    不動産の仲介手数料早見表

    400万円以下の土地または建物を売却する場合のみ、特例として、仲介手数料の上限額は「18万円+消費税」になるため注意が必要です。不動産を購入する場合は、特例の適用はありません

    \簡単30秒で査定依頼完了/

    3.法律で定められている不動産仲介手数料の上限より多くは請求されない

    冒頭でも述べたとおり不動産仲介手数料には、以下のとおり法律で定められた上限があり、上限を超える額を請求することはできません。

    法律で定められている不動産仲介手数料の上限より多くは請求されない

    参考:宅地建物取引業者が宅地又は建物の売買等に関して受けることができる報酬の額 第二 売買又は交換の媒介に関する報酬の額より作成

    また、売却する物件が400万円以下の土地または建物である場合のみ、以下の特例の対象となり上限が変わります。

    売却する物件が400万円以下の土地または建物である場合のみ

    上記の上限額を上回る仲介手数料は、法律に違反しています。上限額を超える仲介手数料を提示する業者とは、そのまま契約してしまわないよう注意しましょう。

    4.相場は不動産仲介手数料の上限金額が基本

    不動産売買の仲介手数料相場は、法律に定められた上限額となっています。

    仲介手数料の下限についての決まりはないので、仲介手数料の割引や無料は可能です。

    そのため、仲介手数料の安さをアピールする不動産業者もあります。しかし、大多数の業者は商取引上の慣習から、上限額を仲介手数料額として設定しているのが現状です。

    詳しくは、仲介手数料の相場について書かれたこちらの記事をご確認ください。

    \簡単30秒で査定依頼完了/

    5.不動産売買の仲介手数料の支払いタイミング

    不動産仲介手数料の支払いタイミングは、

    • 売買契約の締結時
    • 物件の引き渡し時

    の2回としている場合が多い状況です。

    不動産売買の仲介手数料の支払いタイミング

    実際の不動産売買の流れの中で、支払いタイミングを確認しておきましょう。

    まずは、不動産を売却する場合です。

    支払いタイミング

    次に、不動産を購入する場合も見てみましょう。

    不動産を購入する場合

    支払い時期や支払い方法は、業者によって異なる場合や、両者の合意によって変更が可能な場合があります。契約する業者が決まったら、必ず事前に仲介手数料の支払い時期や方法を確認しておいてください。

    せっかく仲介手数料の費用感を理解しても、いつまでに準備すればよいのかわからなければ片手落ちになってしまいます。相場と支払い時期は、必ずセットで覚えておきましょう。

    6.不動産売買の仲介手数料の値引きは可能

    仲介手数料の値下げ交渉は、次の2つの理由から可能です。

    • 宅地建物取引業法では上限だけ定められ、下限はない(法律上は無料でも問題ない)
    • 国土交通省も、仲介手数料は業者と依頼者の交渉で決める事項との見解を出している

    相場が上限額になっている仲介手数料においては、値下げ交渉に挑戦してみるのも選択肢の1つでしょう。ただし、値下げ交渉には次のようなリスクもあります。

    • 広告宣伝費が削られる
    • 売買の営業活動における優先順位が下がる
    • 囲い込みによって、高い価格で売却できなくなる可能性がある

    仲介手数料は不動産業者の代表的な収益源の1つです。

    そこを敢えて削るとなると、減った利益の埋め合わせとして、上記のようなデメリットがあり得ます。

    仲介手数料の値下げ交渉は可能ですが、値下げのメリットを上回るデメリットが発生しないよう、慎重に行うようにしましょう。

    より詳しくは、仲介手数料の交渉について書かれたこちらの記事をご確認ください。

    \簡単30秒で査定依頼完了/

    7.不動産売買の仲介手数料の注意点

    不動産売買の仲介手数料については、次の2つに注意が必要です。

    不動産売買の仲介手数料の注意点

    仲介手数料は不動産業者の主な収益源の1つであるため、仲介手数料を無料にするとなると、その分をどこかで補う必要が出てきます。しわ寄せが依頼者にくるように設定される場合もあるため、注意が必要です。

    また囲い込みをすることで、仲介業者は不動産の売主・買主両方から仲介手数料をもらえる一方で、売主は物件を早く高く売ることができなくなってしまいます。

    ここでは、仲介手数料に関する上記の注意点について詳しく解説しますので、ご確認ください。

    7-1.仲介手数料が無料のところには気をつける

    仲介手数料が無料の場合、業者は手数料収入がなくなった分を補うために、

    • 不要なオプション経費を上乗せする

    などという形で仲介手数料無料分を超える額の余分な経費が上乗せされている場合もあり、結果として損をしてしまう危険性があるため、気をつける必要があります。

    仲介手数料無料のメリットを上回るデメリットがあるリスクは、複数社を比較することなく仲介手数料が無料というだけの理由で契約してしまっては避けることができません。

    複数の不動産会社から見積もりを取って、物件価格や費用の細かい内訳を比べることで、デメリットがないかどうかの確認が可能です。

    仲介手数料の安さだけにとらわれず、必ず複数社を比較し、他の諸経費や物件の売買価格・購入価格も含めてメリットの多い会社を選ぶよう注意しましょう。

    詳しくは、仲介手数料が無料になる不動産会社について書かれたこちらの記事をご確認ください。

    7-2.囲い込みされていないか必ずチェックする

    不動産売買の仲介を依頼する際は、仲介手数料を多く取る目的で業者に「囲い込み」をされていないか、必ずチェックする必要があります。

    囲い込みとは、不動産の売却を請け負った仲介業者が自社で買い手を見つけて、買主からも仲介手数料を得るために、他社から問い合わせがあっても物件を紹介しない行為です。

    囲い込みされていないか必ずチェックする

    囲い込みをされてしまうと物件は狭い範囲でしか流通できず、売却価格の下落や売却期間の長期化につながり、売主にとって大きなデメリットとなります。

    囲い込みの弊害

    特に、売却開始から1ヶ月程度経過しても

    • 何の問い合わせもない
    • 早い段階から何度も値下げを要求される

    場合などは、囲い込みの可能性を疑ってもよいでしょう。

    囲い込みの有無は、他の仲介業者にレインズで自分の売却物件の状況を確認してもらうことでわかります。仲介手数料が安い業者の場合は、「おかしいな」と思ったら必ずチェックしましょう。

    不動産会社が売主・買主の双方から仲介手数料をもらう取引方法について、詳しくは両手取引について書かれたこちらの記事をご確認ください。

    8.仲介手数料以外の不動産売買時にかかる費用一覧

    仲介手数料以外にも、次のような諸経費がかかります。

    仲介手数料以外の不動産売買時にかかる費用一覧

    いざ手続きに入ってから「え、こんな費用もかかるの?」と困惑しないためにも、前もって諸費用の種類と相場感を押さえておきましょう。

    8-1.不動産を売却する場合

    不動産を売却する際に仲介手数料以外の諸経費として発生するのが、印紙税と抵当権抹消登記費用の2つです。以下のとおり、2つ合わせて約3~6万円かかります。

    不動産を売却する場合

    印紙税とは、売買契約書の作成時に貼る必要のある印紙の費用です。売買契約額に応じて変わりますが、5,000~1万円を見込んでおけばよいでしょう。

    抵当権抹消登記費用は、少しわかりにくいですよね。

    住宅ローンを借りる際、金融機関は担保として、不動産に抵当権を設定し登記をします。万一、借主がローンを返済できない場合、金融機関は抵当権を設定した不動産から未払い分を返してもらうことができるからです。不動産を売却する際は、この抵当権を消しておかなければ売ることができません。

    そこで必要になるのが、抵当権を消すための手続きである抵当権抹消登記です。抹消登記費用は不動産1件あたり1,000円ですが、司法書士費用を合わせると大体2万~5万円程度になります。

    より詳しくは、抵当権の抹消登記費用について書かれたこちらの記事もあわせてご確認ください。

    上記に加え必要に応じて、引っ越し費用や家の解体費用などが発生します。

    売却に合わせて住宅ローンを繰り上げ返済する場合、繰り上げ返済手数料が数万円かかるケースがあるため注意が必要です。借入先金融機関に必ず確認しておきましょう。

    より詳しくは、不動産売却時の住宅ローンの取扱いについて書かれたこちらの記事もご確認ください。

    8-2.不動産を購入する場合

    不動産を購入する場合は、売却の場合より多くの諸費用がかかります。

    代表的なものは、印紙税・登記費用・不動産取得税などです。

    不動産を購入する場合

    印紙税は、売買契約書を作成する時に貼る必要のある印紙の費用です。売買契約額に応じて変わりますが、5,000~1万円を見込んでおけば大丈夫です。

    登記費用とは、購入した不動産の所有権を売主から買主に移転するために必要な登記にかかる費用で、不動産の固定資産税評価額によって異なります。例えば固定資産税評価額2,000万円の物件の場合、所有権移転登記費用は40万円かかる計算です。

    ただし2022年3月31日までに自分が住むための家を買った場合は、税率が0.3%に軽減される場合があります。軽減税率なら、固定資産税評価額2,000万円の物件の場合、所有権移転登記費用は6万円です。

    不動産取得税は、不動産を購入すると賦課される地方税です。固定資産税評価額によって金額は異なります。例えば固定資産税評価額2,000万円の物件の場合の不動産取得税は、2024年3月31日までは60万円です。

    上記のほかに、住宅ローンを借りる際は、ローン関係費用が数十万円かかります。

    不動産を購入する場合は、関係費用が総額でどれくらいかかるのか確実に把握しておましょう。

    より詳しくは、所有権移転登記の費用について書かれたこちらの記事をあわせてご確認ください。

    \簡単30秒で査定依頼完了/

    9.まとめ

    今回は、トラブルなくスムーズに不動産売買を進めるために知っておくべき不動産仲介手数料のポイントを解説しました。

    • 仲介手数料とは

    仲介手数料とは、不動産業者が売買を仲介し成約した場合に発生する成功報酬です。

    宅地建物取引業法に上限が定められています。なお、下限に決まりはありません。

    • 相場や支払いタイミング

    不動産売買の仲介手数料相場は、国の定めた上限額となっています。

    不動産仲介手数料の支払いタイミングは、売買契約の締結時と物件の引き渡し時の2回としているケースが多い状況です。

    相場や支払いタイミング

    ただし業者によって異なる場合があるため、業者を決める際は必ず確認してくださいね。

    • 仲介手数料の計算方法

    仲介手数料を計算するには、以下の速算式を活用しましょう。

    仲介手数料の計算方法

    また、自動計算サイトを利用すると簡単に概算額を知ることができます。

    • 仲介手数料の注意点

    不動産売買の仲介手数料が安い業者を選ぶ際は、次の2つに注意しましょう。

    仲介手数料の注意点

    • 仲介手数料以外の不動産売買時の費用

    仲介手数料以外の費用も知っておくことで精度の高い予算が立てやすくなり、手続き上のリスクも軽減できます。

    不動産を売却する際は、一般的に以下のような費用が発生します。

    仲介手数料以外の不動産売買時の費用

    購入の場合は、以下の費用に注意しましょう。

    購入の場合

    前もって必要な予算額を的確に把握し、費用を安く抑えるために適切な方法をとることができるようになれば、驚くほどスムーズに不動産取引を進めることができるようになります。

    トラブルなく本当に満足できる不動産取引を実現するために、当記事で解説したポイントを参考にしてくださいね。

    早く・無駄なお金をかけずマンションを売るならsumnaraで。

    【1】中古マンション売却を現状のママで高く、早期に売却できる。

    【2】プロライターが物件取材して隠れた魅力を引き出すから、早く・無駄なお金をかけずに売れる。

    【3】しつこい営業電話などセールスがないから、安心して売却相談ができる。

    無料相談をご希望の方は、お気軽にお問い合わせください。

    \簡単30秒で査定依頼完了/

    TOP