2023.04.18 更新 2021.07.06 公開

住宅ローン控除と築年数の関係とは?|古い物件でも控除を受ける方法

住宅ローン控除 築年数 アイキャッチ

※本記事に掲載している住宅ローン減税制度の概要・要件等は、2023年度時点の情報です

 

「築年数が古い物件だと、住宅ローン控除は受けられないと聞いたけれど本当?」
「住宅ローン控除の対象になるのは昭和57年以降に建築された物件とのことだけれど、それ以上古い物件でも控除を受けられる方法はない?」

住宅ローンを組んで中古住宅を購入したために、そんな疑問を持っている人も多いのではないでしょうか。

たしかに住宅ローン控除の対象は、基本的には昭和57年以降に建築された物件と決められています。

しかし、実は築年数が古い物件でも、住宅ローン控除を受ける方法はあるのです。

具体的には、

・耐震基準適合証明書を取得する
・既存住宅性能評価書を取得する
・既存住宅売買瑕疵保険に加入する

のいずれかを行えば、昭和57年以前に建築されていても控除の対象になります。

そこでこの記事では、築年数が古い物件でも住宅ローン控除を受けられる方法について、くわしく掘り下げていきます。

<本記事のポイント>

  • 住宅ローン控除を受けられる物件の築年数についての決まり
  • 築年数要件が対象外でも「現行の耐震基準」を満たせば対象になる
  • 「現行の耐震基準」を満たすことを証明する具体的な方法

最後まで読めば、築年数が古い物件でも住宅ローン控除を受ける方法がよくわかるはずです。

この記事で、あなたが住宅ローン控除を受けられるよう願っています!

Advisor

【監修】ファイナンシャルプランナー茂木禄人

[監修] ファイナンシャルプランナー

茂木 禄人

株式会社Mapフィナンシャル において、独立系アドバイザーとして活動。詳細プロフィールはこちら

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“【著者】ゼロリノベ編集部"

[著者]

ゼロリノベ編集部

元銀行員・宅地建物取引士・一級建築士が在籍して「住宅ローンサポート・不動産仲介・リノベーション設計・施工」をワンストップで手がけるゼロリノベ(株式会社groove agent)。著者の詳しいプロフィール

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住宅ローン控除を受けられる物件の築年数とは

住宅ローン控除を受けるには、さまざまな条件がありますが、その中のひとつに建物の築年数についての事項があります。
その条件は、以下のいずれかに該当することです。

  • 昭和57(1982)年以降に建築された住宅(新耐震基準適合住宅)
  • 上記に回答しない場合は以下のいずれかであること
  1. 「耐震基準適合証明書」を取得している
  2. 「既存住宅性能評価書」による耐震等級評価が等級1~3である
  3. 「既存住宅売買瑕疵保険」に加入している

2022年の住宅税制の改正によって、住宅ローン控除における築年数の要件は大幅に緩和されました。

以前は、築20年以内であること(耐火建築物の場合は築25年以内であること)が条件だったため、控除の対象となる中古物件の幅は格段に広がったと言えるでしょう。

では早速、次からは詳細を説明していきます。

1-1.「現行の耐震基準」を満たす物件は築何年でも住宅ローン控除の対象になる

結論からいえば、中古物件は築何年であっても、「現行の耐震基準」を満たしていれば住宅ローンの対象になります。

そもそも耐震基準は、これまで以下のように改正されてきました。

制定年 基準
旧耐震基準 1950年~ 震度5強程度の中規模地震でも建物が大きな被害を受けないこと
新耐震基準 1981年~ 震度6強~7程度の大地震でも建物が倒壊しないこと
現行の耐震基準 2000年~ 新耐震基準+地盤調査の義務化

この中で、現行の耐震基準を満たしているもの=2000年以降の住宅は、基本的には住宅ローン控除の対象になるわけです。

しかし、1999年以前の住宅でも、以下のいずれかの要件を満たせば住宅ローン控除を受けることができるのです。

  1. 「耐震基準適合証明書」を取得している
  2. 「既存住宅性能評価書」による耐震等級評価が等級1~3である
  3. 「既存住宅売買瑕疵保険」に加入している

実は、以前は住宅ローン控除の要件にこの条項はなく、築20年(耐火建築物は築25年)を過ぎた住宅はすべて控除の対象外でした。

2005年に税制改正があり、現行の耐震基準を満たしている建物に関しては、築年数による制限が撤廃されたのです(前述のとおり、2022年にはさらに築年数の要件が緩和されました)。
そして、現行の耐震基準を満たしていることを証明するのが、上記の3要件だというわけです。

この3つの要件については、次章以降でさらにくわしく説明しますので、かならず読んでください。

1-2.昭和57(1982)年以降に建築された物件は住宅ローン控除の対象

前項では、築年数の古い住宅について説明しました。
一方で現行の耐震基準に従って建てられた新しい住宅であれば、基本的に住宅ローン控除の対象です。

その築年数の条件は、「昭和57(1982)年以降に建築された物件であること」です。
厳密には「昭和57(1982)年1月1日以後に建築されたものであること」と定められています。

ちなみに、築年数だけでなく、中古住宅で住宅ローン控除を受ける際の適用条件は以下の通りです。

【中古住宅で住宅ローン控除を受ける際の適用条件】

(1)建築後使用されたことのある家屋で次のいずれかに該当すること。

  1.  昭和57年1月1日以後に建築されたものであること。
  2. (1)以外の場合は、次のいずれかに該当すること。

イ 取得の日前2年以内に、地震に対する安全上必要な構造方法に関する技術的基準に適合するものであると証明されたもの(耐震住宅)であること。

ロ 上記(1)および(2)イに該当しない一定の住宅(要耐震改修住宅)のうち、その取得の日までに耐震改修を行うことについて申請をし、かつ、居住の用に供した日までにその耐震改修(租税特別措置法41条の19の2(既存住宅の耐震改修をした場合の所得税額の特別控除)第1項または41条の19の3(既存住宅に係る特定の改修工事をした場合の所得税額の特別控除)第6項もしくは第8項の適用を受けるものを除きます。)により家屋が耐震基準に適合することにつき証明がされたものであること。

(2) 取得日から6ヵ月以内に入居し、控除を受ける年の12月31日まで住み続けていること。

(3) 控除を受ける年の合計所得金額が2,000万円以下であること。

(4) 取得した住宅の床面積が50㎡以上で、その2分の1以上の部分が居住用であること。

(5) 住宅ローンの借入期間が10年以上であること。

※国税庁「No.1214 中古住宅を取得した場合(住宅借入金等特別控除)」より抜粋・要約
※国税庁「No.1211-3 中古住宅を取得し、令和4年以降に居住の用に供した場合(住宅借入金等特別控除)」より抜粋・要約

1-3.「耐火建築物」の場合も「昭和57(1982)年以降に建築」に統一

先ほども少し触れましたが、2022年改正前の制度では、中古住宅で住宅ローン控除を受ける際の適用条件は「家屋が建築された日からその取得の日までの期間が20年(マンションなどの耐火建築物の建物の場合には25年)以下であること」とされていました。

つまり、マンションなどの「耐火建築物」であれば築25年までの住宅が、やはり
◎「耐震基準適合証明書」
◎「既存住宅性能評価書」
◎「既存住宅売買瑕疵保険」
が必要なく住宅ローン控除の対象になるというわけです。

では、「耐火建築物」に該当するのはどんな建物でしょうか?
具体的に挙げると、

◎建物の主な材料が、石造、れんが造、コンクリートブロック造、鉄骨造(軽量鉄骨造は含まない)、鉄筋コンクリート造、鉄骨鉄筋コンクリート造のもの

なので、中古住宅の場合はマンションなどが多く含まれるわけです。

「自分の購入した物件は耐火建築物に該当するのか?」と疑問があれば、購入した不動産会社や仲介業者に確認してみましょう。

ちなみに建築基準法では、耐火建築物を、
・主要構造部(柱、壁、床、屋根、梁、階段)が耐火構造になっている
・開口部(窓、ドア、出入り口など)が防火設備になっている
ものと定めています。
条文は以下の通りです。

【建築基準法】

第二条 九の二 耐火建築物

次に掲げる基準に適合する建築物をいう。
イ その主要構造部が(1)又は(2)のいずれかに該当すること。
(1) 耐火構造であること。
(2) 次に掲げる性能(外壁以外の主要構造部にあつては、(i)に掲げる性能に限る。)に関して政令で定める技術的基準に適合するものであること。
(i) 当該建築物の構造、建築設備及び用途に応じて屋内において発生が予測される火災による火熱に当該火災が終了するまで耐えること。
(ii) 当該建築物の周囲において発生する通常の火災による火熱に当該火災が終了するまで耐えること。
ロ その外壁の開口部で延焼のおそれのある部分に、防火戸その他の政令で定める防火設備(その構造が遮炎性能(通常の火災時における火炎を有効に遮るために防火設備に必要とされる性能をいう。第二十七条第一項において同じ。)に関して政令で定める技術的基準に適合するもので、国土交通大臣が定めた構造方法を用いるもの又は国土交通大臣の認定を受けたものに限る。)を有すること。

しかし、現行の制度では、耐火建築物であるか否かに関わらず「昭和57(1982)年以降に建築されたもの」であれば、住宅ローン控除の対象となります。

「現行の耐震基準」を満たすことを証明するための方法

前述したように、現行の耐震基準は2000年に制定されたものです。
築年数の条件に当てはまらない建物が住宅ローン控除を受けるには、

現行の耐震基準=震度6強~7程度の大地震でも建物が倒壊しないこと+地盤調査の義務化

を満たすことを証明しなければなりません。

その方法は、前述したように以下3つの要件のいずれかを満たすことです。

  • 「耐震基準適合証明書」を取得している
  • 「既存住宅性能評価書」による耐震等級評価が等級1~3である
  • 「既存住宅売買瑕疵保険」に加入している

この3つの概要を表にまとめましたので、以下を見てください。

耐震基準適合証明書 既存住宅性能評価書 既存住宅売買瑕疵保険
申請者 ・建物の引渡し前に申請する場合:建物の売主
・建物の引渡し前に仮申請する場合:建物の買主
・基本は買主
・売主(不動産業者、ハウスメーカー含む)が申請することも可能
・売主が不動産会社の場合:売主=不動産会社
・売主が個人の場合:検査事業者
申請先 ・建築士(建築事務所)
・指定確認検査機関
・登録住宅性能評価機関
・住宅瑕疵担保責任保険法人
国土交通大臣が登録した第三者機関「登録住宅性能評価機関」 住宅瑕疵担保責任保険法人
費用 ・証明書の取得費用:3万~5万円程度
・耐震診断の費用:10万~15万円程度
数万~数十万円 ・保険料:住宅の床面積や保険金額によって異なる
・検査料:3~7万円程度
・「保険付保証明書」の発行:無料
期間 早くても1ヶ月以上 1ヶ月程度 保険に加入できれば、住宅ローン控除に必要な「保険付保証明書」の発行は1週間程度
注意点 ・補強工事が必要となるケースが多い
・建物の引渡し前に売主が耐震基準適合証明書の発行を受けなければいけない
・費用が数十万円という高額になる場合がある ・旧耐震基準の住宅の場合、耐震基準適合証明書を取得しなければならない
→その時点で住宅ローン控除の対象になる
・住宅引渡し前に保険契約しなければならない
・売主が協力してくれなければ保険加入できない
・費用は買主が負担することが多いが、売主が負担したり、買主と売主で折半することもある

では、それぞれどのようにすれば要件を満たせるのかを、次章からくわしく解説していきましょう。

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耐震基準適合証明書を取得する

まず、「耐震基準適合証明書」というものを取得する方法があります。

これは、建物の耐震性が建築基準法の定める現行耐震基準を満たしていることを証明する書類です。

建物が建てば自動的に発行されるものではなく、建物の持ち主が「証明書を取得したい」と希望した場合に、建築士や指定性能評価機関などに建物の耐震診断を依頼して、実際の診断を経て発行されるものです。

3-1.耐震基準適合証明書の取得方法

証明書についての詳細や取得のしかたは、以下の表にまとめましたので、確認してください。

証明書を申請できる人 ・建物の引渡し前に申請する場合:建物の売主
・建物の引渡し前に仮申請する場合:建物の買主
→中古物件の耐震基準適合証明書は、原則として建物の引渡し前に売主が発行を受けなければいけません。
それが難しい場合は、引渡し前に買主が仮申請をする方法もあります。
※詳細は後述
申請できる建物の条件 申請できる建物の条件
・登記事項証明書の床面積が50㎡以上である
・居宅として登記されている家屋である
証明書を発行できる者
=申請先
・建築士(建築事務所)
・指定確認検査機関
・登録住宅性能評価機関
・住宅瑕疵担保責任保険法人
申請時期 建物の引渡しより前
必要書類 ・台帳記載事項証明書、または検査済証の写し
・検査登記事項証明書の写し、または建物登記事項証明書の写し
・物件状況等報告書
・販売図面(間取り図)
取得費用 ・証明書の取得費用:3万~5万円程度
・耐震診断の費用:10万~15万円程度
※証明書の申請先機関によって異なります。
申請から取得までの期間 早くても1ヶ月以上
→実際に建物を調査するため時間がかかります。
証明書で受けられる控除 ・住宅ローン控除
・登録免許税の軽減
・不動産取得税の軽減
・固定資産税の減税
・住宅取得等資金贈与の特例
・マイホーム取得資金の相続時精算課税の特例

3-2.耐震基準適合証明書を取得する際の注意点

耐震基準適合証明書を取得するには、いくつか注意点があります。

3-2-1.現行耐震基準を満たすために補強工事が必要となるケースが多い

中古住宅で耐震基準適合証明書を取得するためには、建築士などによる耐震診断が必要ですが、この診断の結果、現行の耐震基準には適合しないとされる住宅が多くあります。
そのため、耐震基準適合証明書を発行してもらうには、現行耐震基準を満たすように補強工事・改修工事を行わなければならないケースが多いのです。

最初から工事をする予定で購入を決めた場合や、診断結果を知って「耐震補強工事をしたい」と希望する場合は問題ありませんが、「工事の予定はなかったが、住宅ローン控除を受けるために工事をして耐震基準適合証明書をもらう」というのは本末転倒です。

住宅ローン控除の控除額は最大でも10年間で210万円ですから、場合によっては工事費用のほうが上回ってしまうかもしれません。

そもそも工事のために入居が大幅に遅れるなど、住宅購入の計画が狂ってしまいます。

その場合は、耐震基準適合証明書による住宅ローン控除ではなく、次章から紹介する別の方法を選ぶのが得策でしょう。

3-2-2.建物の引渡し前に売主が耐震基準適合証明書の発行を受けなければいけない

耐震基準適合証明書によって住宅ローン控除を受けるためには、建物の引渡し前に売主が証明書の発行を受けなければいけません。

中古住宅の購入後に買主が申請して証明書を取得しても、住宅ローン控除は受けられないのです。

そのため、次項のような流れで申請・取得しましょう。

3-3.耐震基準適合証明書を取得する流れ

耐震基準適合証明書を取得して住宅ローン控除を受け取るには、通常は以下のような流れで手続きを行います。

<通常の流れ>

1)住宅の売買契約
2)耐震診断
3)耐震補強工事
4)耐震基準適合証明書の申請→発行
5)住宅の引渡し
6)住宅ローン控除の手続き(確定申告)

ただし、売主が証明書の取得に協力してくれないなどの事情で事前の取得が難しい場合は、引渡し前に買主が仮申請を行うこともできます。
その場合は以下のような流れで行ってください。

<買主が仮申請する流れ>

1)住宅の売買契約
2)耐震診断
3)耐震基準適合証明書の仮申請
4)住宅の引渡し
5)耐震補強工事
6)耐震基準適合証明書の発行
7)住宅ローン控除の手続き(確定申告)

既存住宅性能評価書を取得する

次に、「既存住宅性能評価書」というものを取得する方法もあります。
これは、中古住宅の性能を法律に基づいた10分野のチェックポイントに沿って点検・評価し、その結果を記載した書面です。

住宅の買主、または売主などが、国土交通大臣の登録を受けた第三者機関「登録住宅性能評価機関」に「建設住宅性能評価(既存住宅)」という評価を依頼して取得するもので、その評価結果は等級1から等級5までの5段階で表示されます。

この評価結果のうち耐震等級の評価が等級1~3であれば、住宅ローン控除の対象になります。

4-1.既存住宅性能評価書の取得方法

既存住宅性能評価書についての詳細や取得のしかたは、以下の表にまとめましたので、確認してください。

評価書を申請できる人 買主が申請することが多いが、売主(不動産業者、ハウスメーカー含む)が申請することも可能
申請できる建物の条件 工事完了から1年以上の住宅
※1年未満の場合でも、人が居住したものは申請可能です。
評価書を発行できる者
=申請先
国土交通大臣が登録した第三者機関「登録住宅性能評価機関」
→一般社団法人 住宅性能評価・表示協会のホームページで検索できます。
申請時期 いつでも
必要書類 ・建設住宅性能評価申請書(既存住宅)第八号様式
・建設住宅性能評価申請書(既存住宅)別紙
・委任状
・同意書
・申告書(住宅に関する基本的な事項を確認するための書類)
・設計図書など(案内図、平面図など)
・見取り図
・新築時に建設住宅性能評価を受けた場合はその評価書、またはその写しおよび添付図書   など
取得費用 数万~数十万円
※評価機関と評価項目によって異なります。
申請から取得までの期間 1ヶ月程度
→実際に建物を調査するため時間がかかります。
評価書で受けられる控除 ・住宅ローン控除
・すまい給付金
・贈与税の非課税枠拡大
・地震保険料の割引

4-2.既存住宅性能評価書を取得する際の注意点

既存住宅性能評価書を取得する際には、以下の点に注意してください。

4-2-1.費用が比較的高額

既存住宅性能評価を受けるには、数万~数十万円の費用が掛かります。
その金額は、検査の内容によっても異なりますし、依頼する登録住宅性能評価機関によっても差があります。

場合によっては高額な費用が発生するので、事前に評価機関によく確認する必要があるでしょう。

4-3.既存住宅性能評価書を取得する流れ

既存住宅性能評価書は、以下のような流れで取得します。

1)登録住宅性能評価機関に「建設住宅性能評価(既存住宅)」を申請
2)建設住宅性能評価(既存住宅)の検査
3)既存住宅性能評価書の交付

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既存住宅売買瑕疵保険に加入する

3つ目の方法は、「既存住宅売買瑕疵保険」という保険に加入することです。
この保険の「保険付保証明書」があれば、住宅ローン控除を受けられます。

この保険は中古住宅を売買した際に、もし瑕疵=不具合が見つかればその補修費用を補償する保険で、加入するには建物の検査を受ける必要があります

その中に、耐震基準に関する検査もあるので、この保険に加入できるということは現行の耐震基準を満たしている、とみなされ、住宅ローン控除の対象となるのです。

5-1.既存住宅売買瑕疵保険の加入方法

既存住宅売買瑕疵保険の詳細と加入のしかた、付保証明書の取得のしかたも表にまとめましたので、以下を見てください。

加入申請できる人
=被保険者
・売主が不動産会社の場合:売主=不動産会社
・売主が個人の場合:検査事業者
加入できる建物の条件 中古住宅で、
・検査事業者による建物の現場検査
・保険会社による書類審査
に合格したもの
加入時期 証明書の取得、保険契約ともに住宅の引き渡し前
保険の費用
=保険料+検査料
・保険料:住宅の床面積や保険金額によって異なる
・検査料:3~7万円程度
※この費用は、買主が負担することが多いようですが、売主が負担したり、買主と売主で折半することもあります。
保険契約の必要書類 保険契約の必要書類
・保険証券発行申請書
・契約内容の重要項目確認シート
・売買契約書の写し
・保証書の写し   など
証明書を発行する人 住宅瑕疵担保責任保険法人
証明書の取得費用 無料
証明書取得までの期間 1週間程度
証明書で受けられる控除 ・住宅ローン控除
・すまい給付金

5-2.既存住宅売買瑕疵保険に加入する際の注意点

この保険に加入する際には、以下のことに注意してください。

5-2-1.住宅引渡し前に保険契約しなければならない

既存住宅売買瑕疵保険の付保証明書を用いて住宅ローン控除を受ける場合には、住宅の引渡しより前に保険契約を済ませておかなければいけません。

保険契約までのスケジュールは、「5-3.既存住宅売買瑕疵保険に加入する流れ」に記載してありますので、それを踏まえて余裕を持ったスケジュールを組んでください。

5-2-2.旧耐震基準の住宅の場合、耐震基準適合証明書を取得しなければならない

この章の冒頭でも説明しましたが、建物の耐震基準は、1981年以前は「旧耐震基準」をもとにしていました。

現行耐震基準が導入された現在では、既存住宅売買瑕疵保険に加入するためには、前述した「耐震基準適合証明書」を取得しなければなりません。

耐震基準適合証明書を取得した時点で住宅ローン控除の対象になります。ということは、もし住宅ローン控除を受けることだけが目的であれば、あえて瑕疵保険に加入しなくてもいいわけです。

それ以外に保険加入する必要があるかないか、よく検討してください。

5-2-3.売主が協力してくれなければ保険加入できない

前述したように、既存住宅売買瑕疵保険に加入するには、建物の引渡しより前に検査事業者による検査を受けなければなりません。

つまり、まだ建物が売主の持ち物であるときに検査が入るわけで、当然売主の同意が必要です。

そのため、もし売主が協力してくれなければ、保険に加入することができなくなってしまいます。事前に売主の同意を得ることを忘れないでください。

5-3.既存住宅売買瑕疵保険に加入する流れ

既存住宅売買瑕疵保険に加入して住宅ローン控除を受けるには、以下のような流れで手続きをしてください。

1)検査事業者に検査と既存住宅売買瑕疵保険への加入を依頼
2)検査事業者が保険会社に保険申し込み
3)検査事業者による住宅の現場検査
4)保険会社による書類審査
5)「指摘事項」(=保険に加入するために必要な修理箇所)があれば、改修工事
6)検査と書類審査に合格すれば、保険会社が検査事業者に保険証券を発行
7)検査事業者が買主に付保証明書を交付
8)住宅ローン控除の手続き(確定申告)

まとめ

いかがでしたか?
住宅ローン控除での築年数に関する決まりと、古い物件で住宅ローン控除を受ける方法がわかったかと思います。

では最後に、あらためて記事の内容を振り返ってみましょう。

◎住宅ローンを受けられる物件は、

  • 昭和57(1982)年以降に建築されたものであること
  • 上記のいずれも該当しない場合は以下のいずれかであること
  1. 「耐震基準適合証明書」を取得している
  2. 「建設住宅性能評価書」による耐震等級評価が等級1~3である
  3. 「既存住宅売買瑕疵保険」に加入している

これらを踏まえて、あなたが無事に住宅ローン控除を受けられるよう願っています!

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