2022.04.25 更新 2022.04.25 公開
住んでいる古い家をリノベーションする魅力や注意点、事例【事例解説付き】

「両親が建てた古い家に住み続けたいけど、リノベーションってどうなんだろう?」
「古い家をリノベーションするときのリスクを知りたい」
リノベーションを施し、古い家に長く住み続けたいと考えていませんか。
この記事では、次の内容をご紹介していきます。
- 古い家をリノベーションする3つの魅力
- 古い家をリノベーションする際に知っておきたい注意点
- 古い家のリノベーション事例2選
あなたの住まいをリノベーションするかどうか検討する際に、この記事が参考になりましたら幸いです。
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[著者]
ゼロリノベ編集部
元銀行員・宅地建物取引士・一級建築士が在籍して「住宅ローンサポート・不動産仲介・リノベーション設計・施工」をワンストップで手がけるゼロリノベ(株式会社groove agent)。著者の詳しいプロフィール
現在住んでいる古い家をリノベーションする魅力
現在住んでいる古い家をリノベーションすることには、3つの魅力があります。
- 生活環境を変えずに済む
- 固定資産税が上がりにくい
- 申請手続きの手間が少ない
順番に解説します。
1-1.生活環境を変えずに済む
現在住んでいる古い家をリノベーションする大きな魅力は、生活環境を変えずに済むことです。
家を新築する場合、今とは違う場所に引っ越さなければなりません。知らない土地で新しい生活をスタートするのも悪くはありませんが、どんな土地柄で、周りにどんな人が住んでいるのかわからないのは不安ですよね。
その点、現在住んでいる古い家をリノベーションするのであれば、周辺の環境や生活の雰囲気もわかっているので何の心配もありません。
愛着や思い入れのある家を、より暮らしやすい家にして、現状の住環境のまま暮らせることが、古い持ち家をリノベーションするメリットです。
1-2.固定資産税が上がりにくい
古い家をリノベーションすると、固定資産税が上がりにくいのも魅力です。
固定資産税とは、毎年1月1日時点に所有している家や土地などの固定資産に対して課される地方税です。固定資産税は、不動産の価値に応じて評価額が決まり、3年ごとに見直されます。これを「評価替え」といいます。
土地については、評価替えの時の路線価(道路に面した土地の価格)によって評価額が決まります。建物については、評価する時点で、まったく同じ家を新築すると仮定してかかる建築費(再建築価格)に、建築後の経年劣化などを考慮して評価額が決められます。
そのため戸建ての固定資産税は新築時に一番評価額が高く、あとはだんだん下がっていき、15年から20年で安定してくるのが一般的です。
新築時のような高い固定資産税を払わなくて良いことも、古い家をリノベーションするメリットです。
1-3.申請手続きの手間が少ない
用意する書類や手続きにかかる手間が、新築の購入や建て替えを行う場合よりも少なくて済むのも、古い家をリノベーションする魅力のひとつです。
基本的に自宅のリノベーションでは、リフォームローンを組むのが一般的です。リフォームローンは、住宅ローンを契約するときほどの煩雑な審査や手続きがありません。自宅を担保にする必要もないので登記手続きも不要です。
また、延べ床面積が500㎡以下の2階建て以下の一般的な木造住宅(4号建築物)であれば、基本的には建築確認申請する必要もありません。
ただし、以下のようなケースではいろいろな手続きが必要になることがあります。
- 居宅から店舗など、用途変更を行う場合
- 増築や減築で建物の面積が変わる場合
- 住宅ローンを借り換えてリフォーム費用を工面する場合
どのようなリフォームだと何の手続きが必要になるのかは、リノベーション会社が把握しているので、事前に確認すると良いでしょう。
現在住んでいる古い家をリノベーションする際の注意点
現在住んでいる古い家をリノベーションするときには、以下のような注意点もあります。
- ハード面の補修箇所が多いと高額になる
- 設計図や完了検査済証がない場合がある
- 仮住まいが必要になる
どのような内容か、順番に確認しましょう。
2-1.ハード面の補修箇所が多いと高額になる
既存の家の状態によっては、予定よりも高額なリノベーション費用になる可能性がある点には注意が必要です。
築数十年もたつような古い家は、基礎や土台、柱、梁などの構造部分が劣化している可能性があります。
例えば基礎がヒビ割れていたり、柱や梁の大部分が白アリ被害にあったりしているようなケースでは、いくら壁紙などの内装や外壁などの外装をきれいにしても、安心して暮らすことはできません。
そのような構造部分からやり直すとなると、工事が大がかりになり、費用は高額になりがちです。
また、現行の建築基準法に沿わない場合、耐震補強や耐震工事などが必要になることも。現行の建築基準法は2000年(平成12年)に改正されているので、それ以前に建築された古い家は、壁や接合部などが規定にあっていない可能性があります。
とくに1981年(昭和56年)6月以前に建てられた家は、新耐震基準を満たしていないので、より大がかりな耐震工事が必要になるかもしれません。
構造部分の改修は、抜本的な工事になるため、内装のみの場合などに比べて費用や工期がかかります。場合によっては「新築したほうが安くついた」という結果になることもあります。
そうならないためには、古い家のリノベーションをする前に、耐震診断やインスペクション*を受けるなどして、現在の家の状況を確認することが大切です。
*インスペクション:建築家など住宅の専門家(インスペクター)が行う住宅診断のこと
また、耐震補強を目的としたリフォームをする場合には、所得税の減税制度などを利用できることもあります。たとえば持ち家の耐震リフォームであれば所得税が最大62.5万円、固定資産税は半額になる可能性があります。
すこしでもコストを下げるためには、活用できる制度がないか調べておくと良いでしょう。
【出典】「令和4年度税制改正の大綱(6〜8頁)」 (財務省)
【出典】「令和4年度 国土交通省税制改正概要(22頁)」(国土交通省)
2-2.設計図面や完了検査済証がない場合がある
増築工事や改修工事を行うときには、現在の家の設計図面や完了検査済証が必要になります。
これらは、今の家が当時の建築基準法に沿って建てられたことを証明する書類です。もし設計図面や完了検査済証がない場合には、できることや費用が大きく変わってしまうため注意が必要です。
親や祖父母から相続して住んでいるような古い家は、当時の書類が残っていなかったり、そもそも完了検査済証が発行されていなかったりするケースも少なくありません。
そのため、完了検査済証がない場合には、以下のいずれかの方法で合法性を証明する必要があります。
① 建築計画概要書の写しや建築確認台帳記載証明を確認する
完了検査済証を紛失した場合、建築計画概要書の写しまたは建築確認台帳記載証明を物件のある自治体の役場で取得します。
② 建築基準法適合状況調査を受ける
とくに2005年以前の戸建て住宅では、そもそも完了検査済証が発行されていないことが珍しくありません。その場合、建築士などに依頼し、建築基準法適合状況調査を受ける必要があります。
完了検査済証がない場合には、まずはリノベーションを依頼する会社に相談するのがおすすめです。
出典:国土交通省|「検査済証のない建築物に係る指定確認検査機関等を活用した建築基準法適合状況調査のためのガイドライン」について
2-3.仮住まいが必要になる
リノベーションするときには、仮住まいが必要になることにも注意しましょう。
戸建て住宅のリノベーションは、建物の老朽化の度合いや工事内容によって違いますが、4か月前後かかるのが一般的です。
その前後1〜2週間を含む期間は、ウィークリーやマンスリーの賃貸マンションなどに仮住まいが必要になります。そのため予算を検討するときには、工事費用だけでなく、仮住まいにかかる家賃も見込んでおかなければなりません。
戸建て住宅は家財道具が多いので、使用しないものはトランクルームを借りて保管し、家族が最低限暮らせる程度の広さの賃貸マンションに住めば、コストを抑えられるでしょう。
古い家のリノベーション事例
ここからは、実際に古い家をリノベーションした施工事例を2つご紹介します。
3-1.キッチンを中心とした、家族の空気を感じる空間にリノベーション
▼Before
▼After
▼間取り図 Before&After
部屋の隅に設置されていた壁付きキッチンを、料理中も家族で楽しくコミュニケーションを取れるようにリビングの真ん中に移動。シンクとコンロを二列に配置するII型キッチンに交換したため、夫婦で料理しても動線が気になることがありません。
古い和室もライフスタイルに合わせるため撤廃。リビングと一体化させ、全面フローリングに統一することで、開放的で広々としたLDKへとイメージチェンジしました。キッチン奥には広いパントリーを配置したので、キッチンが真ん中にあってもゴチャゴチャして見えません。
2階は天井の傾斜と梁を活かし、秘密基地のような造作ロフトに仕上げているのもおしゃれです。
3-2.和室を完全撤去して、白が眩しいワンフロアのオープンスペースを実現
▼Before
▼After
▼間取り図 Before&After
LDKと和室に区切られていた1階を、和室を完全に撤去することで広々としたワンフロアのオープンスペースにリノベーション。水回りを見直し、脱衣所と洗面所を分けることで利便性を向上させました。
トイレの前はあえて壁を残し、インターホンや配線などを集約してスッキリさせたうえで目隠しにしています。フロア全体を白でまとめたため、インテリアが映えるデザイン性の高い空間に仕上がりました。
2階に上がる階段は、アイアンの手すりをつけてお部屋のアクセントに。壁を取りのぞくことで、家から帰ってきてそのまま2階に上がるときも、家族の空気を感じられるようになっています。
まとめ
この記事では、古い家のリノベーションについて解説してきました。最後に概要をまとめます。
◎現在住んでいる古い家をリノベーションする魅力
- 住み慣れた住環境にそのまま住める
- 愛着のある家を手放さなくていい
- 固定資産税が上がりにくい
◎現在住んでいる古い家をリノベーションする際の注意点
- 大がかりな耐震補強が必要になり、リフォーム費用が高額になる可能性がある
- 事前にインスペクションを受けたうえで、リフォーム会社に相談することが大切
なおゼロリノベでは、すでに所有している古い家のリノベーションをサポートする「ご自宅をリノベーション」のプランを提供しています。
今後のライフプランを考慮した予算計画を立てるところから設計、工事の現場監督に至るまで、理想の家づくりをワンストップで実現いたします。「こんなに古い家でもリノベーションできるのかな」といった不安やお悩みに寄り添って、お客様と一緒に解決策を考えますのでまずはご相談ください。