2023.03.09 更新 2020.11.05 公開
マンション最上階は本当におすすめ?メリット・デメリットをくわしく解説

- 不動産会社からマンションの最上階を勧められたが、本当にそんなにいいことづくめなの?
- 最上階の購を検討しているが、何かデメリットがないかと考えると踏み切れない…
そんな疑問や不安を感じている人はいませんか?
マンションの最上階の部屋は、セレブ感もあってイメージがいいですよね。
ですが、実際に住んでいる人の声を聞くと、「夏はものすごく暑い!」「エレベーターの待ち時間が長くて、出不精になった」など、マイナス面もあるようです。
最上階の部屋は低層階の部屋に比べて分譲価格も賃貸料も高い場合が多いですから、ネガティブな意見を聞くと住むのをためらってしまいます。
そこでこの記事では、マンションの最上階に住むことのメリットとデメリットを多角的に調べてみました。
その結果、以下のような項目が挙げられました。
マンションの最上階に住むメリットは6つ
- 騒音が少ない
- プライバシーが保たれる
- 防犯性が高い
- 日当たりや眺望がいい
- ルーフバルコニーやサンルームなど特別なスペースが付属している場合がある
- 資産価値が高い
マンションの最上階に住むデメリットは7つ
- 夏は暑い
- 地震や火災の際にはリスクが高い
- エレベーターの待ち時間が長い
- 家賃・分譲価格が高い
- 最上階ならではの騒音がある
- 屋上から空き巣に侵入されるリスクがある
- 虫害・鳥害の可能性もゼロではない
記事の中ではこれらについてくわしく説明します。
さらに、「デメリットがあっても最上階に住みたい!」という人のために、デメリットを解消・解決する方法も提案していますので、参考にしてください
最後まで読めば、あなたが憧れのマンション最上階に住むべきかやめるべきか、判断できるはずです。
この記事が、あなたの役に立つよう願っています。
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マンションの最上階のメリット6つ
マンションの最上階といえば、「開放的で住み心地がいい」「上からの音が気にならない」「セレブ感がある」などいいイメージがありますよね。
ですが、実際のところはどうでしょう? イメージ通りいいことづくめの良物件なのでしょうか?
まずは、「マンションの最上階に住むメリット」を6つ挙げてみましょう。
1-1. 騒音のリスクが低い
マンション最上階の第一の特徴は、上階がないことです。
そのため上階からの騒音に悩まされる恐れがありません。
というのも、マンション住まいで多くの人が悩まされるのが“騒音問題”です。
特に中層階は上の階、下の階、左隣、右隣と四方から音が漏れ伝わるので、マンションの中でももっとも音害にさらされやすいといえるでしょう。
中でも上階の音はもっとも気になりやすく、足音、ものを落とす音、家電を作動させたときのモーターの振動などさまざまな音が伝わってきます。
上階が早起きの家庭だと、子どもの走り回る音で安眠を妨げられる……といった迷惑をこうむる恐れもあるのです。
最上階も、左右と下階からの音は伝わる可能性がありますが、もっとも気になる上階からの騒音ストレスがないことは、大きなメリットと言えるでしょう。
1-2. プライバシーが保たれる
マンションの最上階となると、まわりに同じ高さの建物が少なく、どこかから見られる心配が少ないのも利点です。
下層階だと通行人から室内が見えてしまったり、向かいのマンションの人と目が合ったりしますが、そんなことはなくプライバシーを保つことができるのです。
1-3. 防犯面で安心感が高い
マンションの場合、低層階よりも高層階のほうが防犯の面で安全性が高いのも大きなメリットです。
以下のデータを見てください。
警察庁による統計で、侵入窃盗、つまり空き巣がどんな場所に入ったかの割合をグラフにしたものです。
これによると、共同住宅が空き巣被害にあった件数を3階以下と4階以上で比較すると、
- 3階建て以下:10.7%
- 4階建て以上:4.1%
と、2.5倍以上の差があることがわかります。
つまり、同じマンションでも階数が高いほうが空き巣に入られにくいというわけです。
出典:警察庁ホームページ「住まいる110番【侵入窃盗データ】」より
高い階層の中でも最上階は、マンションによっては特に防犯設備も厳重である場合があります。
タワーマンションなどでは、エントランスに入る際にセキュリティシステムがあるだけでなく、最上階に上がるエレベーターや、最上階に到着した際にももうひとつセキュリティを通過しなければフロアに入れない、というものもあり、より防犯性を高めています。
ただ、最上階が絶対に安全だとは言い切れません。
もちろん確率は低くても、空き巣などに侵入されるリスクはゼロではなく、それについては次章の「2-6. 屋上から侵入されやすい」で説明しますので、注意してください。
1-4. 日当たり、見晴らしがいい
最上階はまわりに視界を遮る建物が少ないため、日当たりも見晴らしもよく、開放感にあふれているのが魅力でもあります。
日中は朝から夕方までずっと日光が差し込むので、低層階にありがちな「午前中は隣のマンションの影になるのでキッチンが薄暗い」「洗濯物を干しても、日陰になってしまう時間が長くてなかなか乾きにくい」といった悩みは無用です。
特に冬場は低層階に比べて暖かく、心地よく過ごせるでしょう。
また、眺望もよく遠くまで見張らせるので、「天気がいい日は富士山が見える」「大好きな海をいつでも見られる」など、低層階では味わえない醍醐味もあります。
場所によっては「大混雑する人気の花火大会を、特等席でゆったり見物できる」「ロマンティックな夜景を毎晩独り占めできる」といった非日常的な感動を、自宅に居ながら独り占めすることもできるのです。
1-5. 特別なスペースがついている場合もある
マンションによっては、最上階だけに特別なスペースや施設が付属している場合があります。
例えば広々とした屋上テラス、サンルームなどです。
また、最上階だけ間取りが広くつくられていたり、天井が高くなっていたりするケースもあります。
最上階には1戸しかない、という場合などは、マンションの四面すべてに窓がある四面採光も可能なので、ますます日当たりに恵まれ住み心地よく過ごせるでしょう。
1-6. 資産価値が高い
マンション最上階の部屋にはこのようなさまざまなメリットがあるため、資産価値も高くなっています。
一般財団法人 資産評価システム研究センター「固定資産税制度に関する調査研究」(2016年)によると、新築タワーマンションの最上階の価値は、最下階を100とした場合に平均145.9、つまり1.5倍近いとのことです。
したがって売却する場合も比較的高く、早く売れることが多いようで、そのため投資用として最上階を所有する人もいます。
また、年数を経ても、低層階に比べて資産価値が下がりにくいのも特徴です。
「分譲マンションにしばらく住んでから、売却して別のマンションに住み替える」という場合、低層階だと築年数によっては購入時の2分の1、3分の1の価格でしか売れないことがあるのに対して、最上階はそこまで価格を下げなくても買い手がつくことが多いようです。
マンションの資産価値についてもっとくわしく知りたい場合は、別記事「資産価値の高いマンションとは?価値が落ちにくい物件を選ぶ14のポイント」も読んでみてください。
【コラム】マンションの最上階はなぜ高価格なのか?
分譲マンションの価格は、階数が上がるほどたかくなり、通常は最上階がもっとも高価格となっています。これはなぜでしょうか?理由はいくつかあります。
- イメージがよく人気が高い
- 眺望や日当たりがよい、プライバシーやセキュリティが保たれるなどメリットが多い
- 資産価値が高いので投資物件としても売買される
などです。
端的に言えば、最上階を購入したいという人が多いため、価格も高く設定されるというわけです。
マンションの最上階・7つのデメリット
マンションの最上階にはさまざまなメリットがありました。しかし一方で、もちろんマイナス面や注意すべき点もあります。この章ではそのデメリットについても解説しておきましょう。
2-1. 暑い
日当たりがよく冬はぽかぽか暖かい最上階ですが、反面、夏になると暑さに苦しめられる物件もあります。
一日中日光を遮るものがないため熱が集まるだけでなく、屋根のコンクリートが熱をため込んで室内に伝えやすく、広いルーフバルコニーがあればそこからの照り返しも考えられます。
場合によっては、エアコンをかけてもなかなか涼しくならないこともあるといいます。
そのため最近は、屋根との間に断熱素材を入れたり、窓ガラスを遮熱性の高いものにしたりといった暑さ対策を施した物件もあります。
最上階の物件を検討する際には、暑さ対策がどの程度なされているかはかならず確認しましょう。
2-2. 地震や火災のときリスクが高い
マンションは、耐震構造であっても高層階になるほどやはり地震の揺れを感じやすい傾向があります。
また、もし実際に地震や火災などの災害にあった場合は、外へ逃げるのにも下層階より時間がかかるというのが難点です。
そこまで深刻な災害でなくても、少しの揺れを感知したらエレベーターが止まるように設定されている場合も多く、そうなると復旧するまで待つか、長い階段を上り下りしなければならないというデメリットもあります。
2-3. エレベーターの待ち時間が長くて不便
エレベーターについては、災害時に限らず日常から待ち時間が長くて不便を感じるかもしれません。
最上階専用エレベーターがあるとか、下層階用と上層階用に分かれているという場合はよいのですが、全フロアに止まるエレベーターしかないマンションでは、外出のたびに1階から最上階まで上がってくるのを待たなければならず、待ち時間が長くなってしまいます。
しかも途中で乗り降りする人があれば、何分間も待たされることもあるでしょう。
そのため最上階の住人の中には、「外出するのが面倒」と感じる人もいるようです。
2-4. 家賃・分譲価格が高い
最上階はマンションの中でも人気があるため、分譲価格もそのマンション内でもっとも高く設定されています。
賃貸の場合も、同じ間取りであっても下層階の家賃は安く、最上階は高い場合があるので要注意です。
ただ、前述したようにメリットも多いので、自分にとっての利点を差額分と比較して、納得できればこの項目は気にしなくてよいでしょう。
2-5. 最上階ならではの騒音リスクもある
最上階では上の階からの騒音がないかわりに、別の騒音に悩まされることもあります。
壁の防音が十分でない場合は隣からの音漏れが気になるかもしれませんし、下の階の音が上に響くというケースもあるでしょう。
中でも最上階ならではの騒音リスクとして懸念されるのが、
- 屋上にエアコンの室外機がまとめて設置されていて、その駆動音がうるさい
- 屋上にアンテナなどが設置されていて、強風が吹くとそれが揺れてガタガタ音をたてる
- 窓が広い・数が多いため、台風などのときに音や揺れが激しい
などです。
まわりが静かな分、余計にそれらの音が気になる恐れもあるので、事前にチェックが必要です。
2-6. 屋上から侵入されやすい
最上階は低層階に比べて防犯性に優れていますが、空き巣などの被害はゼロではありません。
最近では、屋上に上がってそこから最上階の部屋のバルコニーに降り、窓を破って侵入する、といった手口も出てきているといいます。
警察庁の統計から、空き巣がどこから侵入するのかを見てみましょう。
3階建以下の低層マンションと4階建以上のマンションを比較した場合、3階以下の場合は半数は窓からの侵入です。
一方4階以上の場合はもっとも多いのは表玄関で半数以上を占めますが、窓からの侵入も約3割に及んでいます。
この中にはおそらく、屋上から降りてきての侵入も含まれるのではないでしょうか。
いずれにしろ、最上階でも低層階と同様に、玄関や窓の防犯には注意をしなければならない、といえるでしょう。
出典:警察庁ホームページ「住まいる110番【手口で見る侵入犯罪の脅威】」より
2-7. 虫害・鳥害のリスクもゼロではない
「高層階だと蚊やゴキブリなどの虫に悩まされることはない」「鳥も飛んでこないのでフン害にもあわない」という人もいますが、かならずしもそうは言い切れません。
もちろん低層階よりも遭遇する確率は低くなりますが、
- ゴキブリなどは、エレベーターや配管などを移動手段にして上がってくることもある
- 蚊などは、よほどの高層階でない限り、窓から入ってくることもある
- その他の虫が、観葉植物などを媒介に侵入することがある
- ハトなどは、高層階になるほど人の出入りが少ないため安全と判断して、むしろ高層階に集まるといったリスクもあるのです。
虫や鳥の害を避けたいなら、やはり清潔を心掛け、日ごろから虫よけ、鳥よけ対策をとっておく必要があるでしょう。
マンション最上階のデメリットを解決する方法
マンションの最上階には、メリットもデメリットもあることがわかりました。
では、デメリットを解消することができれば、最上階はより快適で誰もが住みたい部屋になるはずですよね。
そこでこの章では、前述したデメリットを解消する方法を提案しておきましょう。
3-1. 暑さ対策
まず、最上階の部屋を購入・賃貸する前に、暑さ対策が十分なされているかを不動産会社や先住者に確認しましょう。
チェックポイントは以下です。
- 屋上と天井の間に遮熱材、断熱材が入っているかまたは、屋上のコンクリート部分に遮熱効果のある塗装がなされているか
- 窓ガラスが遮熱性のあるものになっているか
できるだけこれらを満たしている物件を選ぶといいでしょう。
また、自分でできる暑さ対策もありますので、以下に挙げておきます。
窓に遮光カーテンやすだれ、グリーンカーテンを設置する
まず、窓から差し込む日光をできるだけ遮りましょう。
遮光カーテンやグリーンカーテンもいいですが、室内をあまり暗くしたくなければすだれがおすすめです。
隙間から適度に明かりも漏れ込みつつ、熱を遮ってくれます。
窓を開放し、サーキュレーターで熱気を外に出す
室内に熱気がこもらないようにすることも大切です。
定期的に窓を開け、サーキュレーターを外に向けることで、室内の暑い空気を外の空気を入れ替えることができます。
屋上にグリーンを配置する
コンクリートは蓄熱性が高いため、屋根の熱気をため込み室内に伝えてしまいます。
それを遮るためには、屋上にグリーンをたくさん置くといいでしょう。
ただ、たいていのマンションでは屋上は共有部分ですので、グリーンを置くにも管理者の許可が必要です。
3-2. 災害対策
地震の際、高層階は揺れを強く感じやすいため、家具なども下層階に比べて揺れたり倒れたりする危険があります。
そこで、家具を固定する器具やすべり止めなどを利用して、動かないようにしておきましょう。
また、火災に備えた消火器なども用意し、日ごろから使い方をイメージトレーニングするといいでしょう。
そしてもっとも大切なのは、避難経路を確認しておくことです。
非常階段の位置、ベランダから下の階へ降りる方法などいろいろなルートを想定して、可能であれば実際に一度通ってみれば、いざというとき安心です。
3-3. 騒音対策
騒音については、暑さ対策同様、購入・賃貸する前に確認してください。
チェックポイントは以下です。
- 不動産会社か管理会社に「騒音問題はないか」を聞く
- 隣からの騒音がないか、壁の厚さを確認する→壁が200㎜以上あれば、遮音性は高いと言われています。
- 屋上など部屋の周辺に、エアコンの室外機がたくさん設置されていないか見る
- その他周辺に音のするものが設置されていないか見る
- マンションの掲示板を見る(※1)
(※1)「音に気を付けてください」などの貼り紙があれば、騒音問題があることがわかります。
これらをチェックした上で、問題がない物件を選ぶといいでしょう。
3-4. 防犯対策
防犯については、最上階だからと気を抜かず、マンション1階や戸建てと同様の対策をしておきましょう。
たとえば、
- 玄関やバルコニーに防犯カメラを設置する
- 鍵の数を増やせるのであれば増やす
- 暗証番号は推察されないものにする
- ドアや窓に、振動に反応して大きな音を出す防犯アラームをつける
- 窓に防犯フィルムを貼って簡単に破られないようにする
- 窓枠に補助錠をつけて、クレセント錠を開けられても窓が開かないようにする
などです。
また、不審者が侵入したらすぐわかるよう、日ごろから同じマンションに住んでいる人たちとコミュニケーションをとっておくことも必要でしょう。
3-5. 虫害・鳥害対策
ゴキブリなどの虫対策には、まず第一に清潔を保つことです。
また、外から虫や卵を持ち込まないよう、観葉植物などの持ち込みには注意を払ってください。
ハトなど鳥に対しては、まずエサになりそうなものを外に出しておかない、水がたまった場所をつくらない(水飲み場にされないよう)、エアコン室外機の裏など巣を作りやすいものかげを常にチェックしてきれいにしておく、といった事前対策が必要です。
それでも鳥が出入りするようであれば、バルコニーに鳥よけネットを張りましょう。
遠目に見るとネットが見えないようなものもありますので、景観を乱したくない人にはおすすめです。
まとめ
いかがでしたか?
マンションの最上階に住むことのメリット、デメリットについてリアルなイメージが湧いたでしょう。
では最後にもう一度、そのメリットとデメリットを挙げておきましょう。
マンションの最上階に住むメリットは6つ
- 騒音が少ない
- プライバシーが保たれる
- 防犯性が高い
- 日当たりや眺望がいい
- ルーフバルコニーやサンルームなど特別なスペースが付属している場合がある
- 資産価値が高い
マンションの最上階に住むデメリットは7つ
- 夏は暑い
- 地震や火災の際にはリスクが高い
- エレベーターの待ち時間が長い
- 家賃・分譲価格が高い
- 最上階ならではの騒音がある
- 屋上から空き巣に侵入されるリスクがある
- 虫害・鳥害の可能性もゼロではない
これらを比較して、自分にとってはメリットが大きいのか、またはデメリットのほうが見過ごせないのか、よく考えてください。
その上で、あなたが納得したマンション選びをできるよう願っています!
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