2023.03.28 更新 2020.11.06 公開

【2023年最新版】中古住宅で住宅ローン控除を受けるには?適用条件&必要書類まとめ

住宅ローン控除の図

中古物件で住宅ローン控除は使えるの?
使えるならば、住宅ローン控除の上限額はいくらだろう?
必要書類と申請手順は?

と気になっていませんか。

中古戸建ても、中古マンションも、条件を満たせば住宅ローン控除の対象となります。

2023年度の中古物件の住宅ローン控除は、以下のとおりです。

  • 個人売主の中古物件は住宅ローン控除の最大控除額が年間21万円
  • 法人売主(再販物件)の中古物件は住宅ローン控除の最大控除額が年間35万円

その他、持ち家をリフォームした場合や、中古物件を購入しリノベーションをした場合の費用も、条件を満たせば住宅ローン控除の対象となります。

ただし、住宅ローン控除の対象条件を気にして物件を探しすぎると、住宅の選択肢が減ってしまいます。家探しの優先度を再確認しながら、住宅ローン控除が使える条件をチェックしておきましょう。

この記事では、
・中古物件で住宅ローン控除の対象になる条件
・中古物件の住宅ローン控除上限額
・住宅ローン控除の申請手順と必要書類
についてお伝えします。

読み終わるころには、中古物件の購入で住宅ローン控除を活用する方法が理解できていることでしょう。
ぜひこの記事をお役立てください。

Advisor

【監修】ファイナンシャルプランナー茂木禄人

[監修] ファイナンシャルプランナー

茂木 禄人

株式会社Mapフィナンシャル において、独立系アドバイザーとして活動。詳細プロフィールはこちら

Author

“【著者】ゼロリノベ編集部"

[著者]

ゼロリノベ編集部

元銀行員・宅地建物取引士・一級建築士が在籍して「住宅ローンサポート・不動産仲介・リノベーション設計・施工」をワンストップで手がけるゼロリノベ(株式会社groove agent)。著者の詳しいプロフィール

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住宅ローン控除(減税)は中古物件でも利用できる

住宅ローン控除(減税)は、中古物件の購入でも条件を満たせば対象となります。住宅ローン控除とは、個人が住居用のマイホームを購入する際に住宅ローンを利用した場合、所得税・住民税から税額控除を受けることができる制度です。

住宅ローン控除額の計算方法は、

年末の住宅ローン残高×0.7%

で計算されます。

売主が個人または法人の場合や、住宅性能の基準によって適用される控除金額は異なるため、事前に以下を確認しておきましょう。

<住宅ローン控除期間>※令和5年1月1日以降に入居した場合
法人売主の場合(買取再販物件):13年間
個人売主の場合:10年間

<中古物件で住宅ローン控除(減税)を利用する場合は売主によって控除上限額が異なる>
・法人売主の場合(買取再販物件)は年間35万円まで
・個人売主の場合は年間21万円まで

1-1.住宅ローン控除の計算例 (年間)

年末の住宅ローン残高が3,000万円・手取り年収400万円(配偶者なし)をモデルケースとした場合は、
・所得税控除9万円+住民税控除9万7,500円=18万7,500円が控除の限度額
・最終的な納税額は、一般的な中古住宅の場合は14万円、認定住宅等の場合は9万2,500円
となります。

住宅ローン控除の図※手取り年収400万円(配偶者なし)をモデルケースとした場合の目安

住宅ローン控除額は年々減っていく
住宅ローン控除額は、年末の住宅ローン残高によって決定します。毎月住宅ローンの返済を続けていくため、住宅ローン残高は毎年減ります。年末の住宅ローン残高×0.7%が住宅ローン控除可能額となるため、住宅ローン控除額も年々減っていくことになります。

所得に応じた納税額よりも住宅ローン控除額が多い場合は、控除枠を使いきることができない
住宅ローン控除は所得に応じた所得税・住民税から差し引くことで節税できる制度であるため、納税額が住宅ローン控除可能額よりも少ない場合には、控除枠を使いきることができません。実際の納税額がどの程度なのか事前に把握した上で、住宅ローンの借入額を検討することも重要です。

1-2.住宅ローン控除はリフォームでも利用可能

住宅購入だけではなく、リフォームでも、条件を満たせば住宅ローン控除を利用することができます。

以下は主な条件です。

(1)いずれかに該当する改修工事であること
・大規模な修繕又は大規模の模様替えの工事(増築、改築、建築基準法の規定による)
・マンションなど区分所有部分の床、階段又は壁の過半について行う一定の修繕・模様替えの工事
・家屋やマンションの居室、キッチン、浴室、便所、洗面所、納戸、玄関又は廊下の一室の床、または壁の全部について行う修繕・模様替えの工事
・耐震改修工事
・一定のバリアフリー改修工事
・一定の省エネ改修工事
(2)対象となる改修工事費用から補助金等の額(平成23年6月30日以後契約分から)を控除した後の金額が100万円超であること
(3)居住部分の工事費が、改修工事全体の費用の1/2以上であること
(4)住宅の引渡し又は工事の完了から6ヶ月以内に、自身が居住すること
(5)リフォーム工事費が100万円を超える
(6)リフォーム工事後の床面積が50㎡以上であること
(7)住宅ローンの返済期間が10年以上であること
(8)年収が2,000万円以下であること

以上8点を満たしていれば、住宅ローンを利用してリフォームを行なった場合、住宅ローン控除の対象となります。

住宅購入時と同じく、

  • 年末の住宅ローン残高の0.7%が住宅ローン控除額
  • 控除限度額は年間21万円(一般的な中古住宅の場合は14万円)まで

となります。

中古物件で住宅ローン控除が使える12の条件

中古物件でも住宅ローン控除を利用することはできますが、新築物件よりも満たすべき条件が多くなります。中古物件を購入する場合は、次の条件を満たしているかどうかチェックしておきましょう。

中古物件の住宅ローン控除の条件※1
※給与所得=給与収入-給与所得控除
※事業所得、不動産所得等も含む
※株式等又は不動産等の売却によって申告分離課税される所得も加算

※2
譲渡所得の課税の特例
1.居住用財産を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例
2.居住用財産の譲渡所得の特別控除(3,000万円の特別控除)
(被相続人の居住用財産に係る譲渡所得の特別控除を除く)
3.居住用財産の買換え・交換をした場合の長期譲渡所得の課税の特例
4.既成市街地等内にある土地等の中高層耐火建築物等の建設のための買換え・交換の場合の譲渡所得の課税の特例

(出典)住宅ローン減税(国土交通省)

築年数が昭和56年12月31日以前に建築された中古物件を購入した場合でも、耐震基準適合証明書等の書類を用意することで住宅ローン減税の適用を受けることは可能です。

また、ZEH水準省エネ住宅・省エネ基準適合住宅を新築又は取得した場合の借入限度額の上乗せ措置の適用を受けるには、住宅省エネルギー性能証明書等の書類を用意する必要があるため押さえておきましょう。

2-1.中古物件の築年数条件は購入時のみクリアできればずっと控除適用となります

中古物件の住宅ローン控除適用条件である築年数は、
・昭和57年以降に建築された住宅(新耐震基準適合住宅)
であれば、所得した年から10年間控除を受けることができます。

中古住宅の購入は築年数が懸念点となりやすいですが、規定の築年数を満たしていれば住宅ローン控除を長期間活用することができます。

2-2.全額現金で中古物件を購入した場合は住宅ローン控除の対象外

住宅を全額現金で購入した場合は、住宅ローンを利用しないため控除の対象外となります。
住宅を購入する際は、貯金が多くある場合にも、できるだけ手元に現金を残して住宅ローンを利用することがおすすめです。

例えば、
・会社のリストラ、給料の減額
・自分自身、または家族の病気
・老後もらえると想定していた年金が支給されない
などの出来事があった場合、現金が多く手元に残っていれば、選択肢を多く持つことができます。

万が一の事態にも備えるために住宅ローンを活用して、「住宅ローン控除」で減税することも賢い選択肢といえるでしょう。

その上で資金に余裕ができた場合や、住宅ローン控除期間を終えた後で繰り上げ返済をし、利息支払額を抑えることも有効になります。これらを踏まえて、現在の低金利では特に、毎月の返済額を抑えるためにできるだけ長期的に住宅ローンを利用することをおすすめします。

住宅ローンの考え方については、「住宅ローンが不安な方に贈るシンプルな考え方」も参考にしてください。

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住宅ローン控除「新築と中古の違いは控除上限額」

住宅ローン控除を利用する際に新築物件と中古物件で異なる点は、中古物件の場合は売主によって住宅ローン控除の上限額が変わることです。

新築物件の場合、住宅ローン控除の上限額は年間35万円となりますが、中古物件の場合は控除上限額が年間35万円の場合と21万円(認定住宅等の場合。一般的な中古住宅の場合は14万円)になる場合とがあります。

具体的には、
・マイホームを購入した個人が不動産を仲介して販売している中古物件は、年間の控除上限額が21万円
・法人が購入した物件をリノベーションするなどして販売している買取再販の中古物件は、年間の控除上限額が35万円
となります。

検討している物件がどちらに当てはまるのか確認しましょう。以下、具体的な控除額について解説します。

3-1.売主が個人の場合の控除額

一般的な中古住宅を購入し、住宅ローン控除の最大控除額が年間14万円、10年間となります。2,200万円の住宅ローンを組んだ場合の控除内訳をイメージしてみましょう。

住宅ローン2,200万円×0.7%=15.4万円
→最大控除額が年間14万円のため、1年目の控除額の目安は14万円となります。

住宅ローンの返済によって住宅ローン残高が減ると、図のように控除額も減っていきます。

中古物件の住宅ローン控除控除(売主が法人の場合)

控除対象の借入限度額が2,000万円のため、住宅ローン残高が2,000万円以上の1年目~3年目は満額の14万円が控除されます。年末の住宅ローン残高が2,000万円を下回ると、住宅ローン控除額も減っていきます。

3-2.売主が法人の場合の控除額

一般的な住宅基準の買取再販を購入した場合、住宅ローン控除の最大控除額が年間21万円、13年間となります。4,000万円の住宅ローンを組んだ場合の控除内訳をイメージしてみましょう。

住宅ローン4,000万円×0.7%=28万円
→最大控除額が年間21万円のため、1年目の控除額の目安は21万円となります。

住宅ローンの返済によって住宅ローン残高が減ると、図のように控除額も減っていきます。

中古物件の住宅ローン控除控除(売主が個人の場合)

控除対象の借入限度額が3,000万円のため、1〜10年間は満額の21万円が控除されます。11年目以降は住宅ローンの返済によって年末の住宅ローン残高が3,000万円を下回るため、住宅ローン控除額も減っていきます。

3-3.個人売買で中古住宅を買ってリノベもした場合の控除

個人売買の中古住宅を1,500万円で購入し、1,500万円のリノベーションをして住宅ローンを組んだ場合の控除内訳をイメージしてみましょう。

中古物件とリノベーションを合わせて住宅ローンを組んだ場合も、条件を満たせば控除の対象になります。

中古住宅1,500万円+リノベーション1,500万円=住宅ローン3,000万円×0.7%=21万円

住宅ローン控除の借入限度額は2,000万円となり、1年目の控除額の目安は満額の14万円となります。

住宅ローンの合計額が3,000万円の場合は、10年目の住宅ローン残高も2,000万円を下回ることがないため、住宅ローン控除額は満額の14万円×10年間で140万円となります。

中古住宅の購入で住宅ローン控除を申請する際の必要書類と申請手順

4-1.初年度(新築物件・中古物件共通)

住宅ローン控除の申請は、初年度の提出物が多いことが特徴です。
まずは、新築物件・中古物件共通で必要となる書類をチェックしていきましょう。

住宅ローン控除の必要書類と入手方法

リノベーションの場合は以下の提出も必要となります。

4-2.2年目以降(会社員・公務員の場合)

2年目以降は、会社員・公務員の場合は年末調整のみで住宅ローン控除の申請手続きを完了できます。

住宅ローン控除2年目の提出物

また、築年数が昭和56年12月31日以前に建築された中古物件を購入して、住宅ローン控除を受ける場合は、耐震基準適合証明書等の書類の用意が必要です。

4-3.2年目以降(フリーランス等の場合)

フリーランス等の場合は、確定申告時に住宅借入金等特別控除額の計算明細書とローン残高証明書を合わせて提出することで、住宅ローン控除の申請を完了できます。

自営業の場合に二年以降で必要となる書類

(出典)国土交通省「住宅ローン減税の申請方法

4-4.Webサイトで作成できる住宅ローン控除申請書類

確定申告書、住宅借入金等特別控除額の計算明細書は、国税庁のWebサイトで作成することもできます。

確定申告書

(特定増改築等)住宅借入金等特別控除額の計算明細書

初年度のみ必要書類が多く手間がかかりますが、2年目以降は楽になります。初年度は早めに必要書類の準備を進めておきましょう。

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ペアローンの住宅ローン控除

「ペアローン」は、一つの物件に対して2人がそれぞれ住宅ローンを組むものです。
2人ともに債務者となり、お互いの連帯保証人となります。

一つの物件に支払う2人の住宅ローンの割合は、
・5対5
・8対2
・3対7
など自由に決めることができます。

ペアローンの場合の住宅ローン控除「ペアローン」は住宅ローン控除をダブルで受けられることが最大のメリットで、住宅ローン6,000万円をペアローンで組む場合には、2人で年間最大28万円の控除を受けることができます。

詳しくは以下の記事も参考にしてみてください。
関連:ペアローンについて詳しく解説している記事

住宅ローン控除に縛られて物件を探しすぎると選択肢が減るので注意

家探しの優先順位を見直しましょう
中古住宅の購入でも住宅ローン控除を利用することはできますが、対象となる物件には条件があります。

住宅ローン控除を活用することで効果的に節税できますが、住宅ローン控除の対象になるかどうかを気にして物件を探しすぎると、住宅の選択肢が減ってしまいます。

どのような物件が住宅ローン控除の対象になるのかを頭に入れた上で、ご自身にとって大切にしたいと思っている家探しの優先順位を見直しておくことをおすすめします。

控除枠を余らせず、無理のない返済プランを
住宅ローンの借入額が増えることによって控除額が増えても、所得に応じた納税額が住宅ローン控除可能額よりも少ない場合には、控除枠を余らせてしまいます。

住宅ローンの借入額を決める際には、納税額がどの程度なのか事前に把握し、無理のない返済プランを計画しましょう。

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まとめ

住宅ローン控除の図住宅ローン控除は中古物件の購入時にも条件を満たせば利用することができます。中古物件の築年数条件は購入時のみクリアできれば10年間、または13年間控除が続きます。

築年数がクリアできない場合でも、耐震基準適合証明書・既存住宅性能評価書または既存住宅売買瑕疵保険の付保証明書を取得できれば、住宅ローン控除の対象となります。

中古物件の住宅ローン控除の条件中古物件の住宅ローン控除申請では、初年度のみ必要書類が多いため、早めに申請準備を進めておきましょう。

住宅ローン控除に必要な書類と入手方法住宅ローン控除 初年度の追加提出物住宅ローン控除2年目の提出物自営業で2年目以降に必要となる書類

住宅ローン控除額が増えても、所得に応じた納税額が住宅ローン控除可能額よりも少ない場合には、控除枠を使いきることができません。物件探しの際には、住宅ローン控除の対象になるかを気にしすぎず、優先順位を整理しながら理想の住宅を見つけてください。

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