お金を把握 2020.11.07 更新 | 2020.11.05 公開
そのペアローン待った!元銀行員が仕組みと2つのリスクを完全解説

ペアローンだといくらまで借りられるんだろう?
利用してみたいけどリスクはないだろうか?
と考えていませんか?
気になる物件があっても1人では手が届かない場合に、夫婦で住宅ローンを組むペアローンという選択肢によって叶えることもできます。
ペアローンは1つの物件に対し、夫婦それぞれが住宅ローンを組むため、世帯の収入によっては今の2倍ほどの融資も可能になり魅力的です。
しかし、非常に大きなデメリットが2つあります。
・想定外でローン破綻
・離婚時、離婚後もお金の不幸がついてまわる
以上のことから、特殊な事情がない限りはペアローンはオススメしていません。
ただし、借りたい事情もあるかと思います。
借りていい基準は、仕事が好きで生涯ずっと2人とも働くことを前提とした場合です。
実際にお客様に質問された場合も、同じように答え、理由を説明しています。
ペアローンの全体像を把握するためにも
この記事では、
・ペアローンの特徴とメリット
・ペアローンが危険な理由
・離婚した場合にどうなる?
・借りる場合の安全な目安とは
・収入合算との違い
・ペアローンを組むステップ
などについて解説していきます。
5分ほどの記事ですが、読み終わるころにはペアローンがどういったものか理解し、
自分たちに必要なものかどうかがはっきりするでしょう。
ぜひこの記事を住宅購入にお役立てください。
目次
- 1 ペアローンは1つの住まいを2人でそれぞれローン契約するもの
- 2 ペアローンの良さは借入総額アップと住宅ローン控除適用が2人になること
- 3 ペアローンをオススメしない2つの大きな理由
- 4 その他の後悔するデメリット
- 5 ペアローンを借りてもいいのは2人とも生涯働き続ける場合
- 6 ペアローンの借入金額の目安はパートナーの収入を半分に想定
- 7 ペアローンと似ている収入合算(連帯保証型と連帯債務型)の住宅ローン
- 8 ペアローンを組むステップは通常の住宅ローンと同じ
- 9 ペアローン(住宅ローン)は基本正規雇用が求められる
- 10 ペアローンの借り換えは難易度が高い
- 11 単独ローンからペアローンへ借り換えは困難かつ控除は対象外
- 12 まとめ
ペアローンは1つの住まいを2人でそれぞれローン契約するもの
通常の住宅ローンは、1人が1つの契約を金融機関と行い、金融機関から融資されたお金で住まいの購入を行います。そのため、パートナーは住まいに対して契約は何も持ちません。
一方ペアローンは、1つの住まい(建物・土地)に対して2人でそれぞれ住宅ローンの契約を行います。
例えば上の図ように5,000万円の住まいに対して3,000万円を夫のローン、残り2,000万円を妻のローンとして契約します。
そのため、夫も妻も住宅ローンの審査があり、契約をすれば債務者となり、お互いがお互いの連帯保証人になります。
ペアローンもひとつの金融機関で2人とも契約することになります。しかし、ローン契約はそれぞれのため、片方を固定金利、もう片方が変動金利や、30年と10年など、金利や返済期間をそれぞれで設定することができる金融機関もあります。
連帯保証人とは
連帯保証人とは、住宅ローン契約者が万が一滞納してしまった場合、金融機関の求めに応じてローンを返済する責任を負う役割のことです。
ペアローンの良さは借入総額アップと住宅ローン控除適用が2人になること
ペアローンのメリットは以下の2つです。
・1人のときより2人のため借入総額がアップすること
・住宅ローン控除の適用が2人になる
それぞれ解説します。
2-1.借入総額アップで希望の住まい購入も可能に
ペアローンは、1人で住宅ローンを組むときよりも、2人になるため借入金額を増やすことができます。よって、1人では手が届かない条件の住まいでも購入対象に入れることができます。
例えば、年収500万円の住宅ローンの借入限度額は最大で4,330万円程度までです(安心金額は2,280万円)。そのため、5,500万円の物件が購入候補の場合、単独では住宅ローン審査が通りません。
しかし、ペアローンならば、3,000万円と2,500万円などに金額を分けてそれぞれ住宅ローン審査をするため、審査の突破が可能になります。
様々な事情により、1人で組むのでは通らない物件の購入をしたい場合にペアローンは大きな助けともなります。
年収ごとの借入金額の目安については、元銀行員が教える!住宅ローンの年収別目安と返済額を抑えるコツ5選【チェックリスト付】をご確認ください。
2-2.住宅ローン控除が2人とも適用される
ペアローンの場合、条件に合致していれば、それぞれ住宅ローン控除が適応されます。
住宅ローン控除とは、その年の住宅ローン残高の1%が所得税等から控除されるもので、10年の期間で合計最大400万円(個人間売買の場合最大200万円)の控除まで可能です。(消費税10%で住宅を取得、2019年10月~2020年12月末日までに入居すれば控除期間は13年)
ペアで組む場合2人とも適応されることで400万円×2人=800万円か200万円×2人=400万円までの控除が可能となります。
ペアローンと似た収入合算の住宅ローンでは住宅ローン控除は1つのため、ペアローンのメリットと言えます。
ただし、大幅な控除がされるほど所得税を納めていなければ、控除される金額も少なくなります。また、控除の対象となる家にも条件があるため注意しましょう。
ペアローンをオススメしない2つの大きな理由
ペアローンは2つの大きなリスクがあるためオススメできません。
1つ目は、収入減少などの想定外をカバーしきれず破綻するリスク
2つ目は、離婚時・離婚後までお金の不幸がついてまわるリスク
それぞれ解説していきます。
3-1.収入減少や想定外の出費で破綻、カバーしきれない可能性あり
では1人で住宅ローンを組むのに比べ、減収した場合に対処方法が見当たらない理由ですが、例えば、住宅ローンを一人で組み、妻が専業主婦だった場合と比べるとわかりやすいでしょう。
1人で組んだ住宅ローンの場合は補填がしやすい
1人で住宅ローンを組んで、数年後に年収が120万円下がってしまったとします。12ヶ月で割るとおおまかにですが、月々10万円下がった計算です。月々10万円下がると今までの生活を続けながら、ローンの支払いを行うのは難しくなるでしょう。貯蓄を切り崩していくのにも限界があります。
こうなった場合に妻はパートに出るなどで下がった年収分をカバーすることができます。年間133万円以下までは扶養控除の対象ともなり、月々10万円程度を目安にパートに出て下がった年収分をカバーすることができます。
また、無理な住宅ローンの借入をしていない前提ですが、共働きの場合も、パートナーの余剰分から補填することが可能でしょう。
ペアローンの場合は補填がしにくい(破綻可能性あり)
一方ペアローンの場合はそもそも2人とも住宅ローンを組んでいます。この場合、片方の年収が下がったとしても長期的にずっとカバーしていくためには、転職などで年収を上げる必要があります。
ペアローンは、それぞれが住宅ローンを組むため、片方の年収が下がった場合に支払いを長期的にカバーすることが難しくなります。
最終的には、競売や任意売却、自己破産など、住まいを手放すルートも有り得ます。また、そこで不動産の値段が低ければ、家を手放したあとも住宅ローンの支払いが続き、いつまでもストレスが消えない生活となってしまいます。
これがペアローンを組むことをオススメしないひとつ目の理由です。
それでもペアローンを組む場合の金額目安については6章をご確認ください。
3-2.離婚時・離婚後までお金の不幸がついてまわるリスク
ペアローンを組んで離婚の場合、離婚時、離婚後も問題が続く可能性があります。互いに住まいの所有権を持っており、支払い義務とお互いがお互いの連帯保証人になっているためです。
日本の離婚率は、厚生労働省の平成27年人口動態統計によると、およそ35,6%であることがわかります。3組に1組以上が離婚しており、人ごととは言えない数字になっています。なお、不動産業界では、ペアローンは離婚で揉めるからオススメしないというのが通説です。
ローン契約と離婚は別物
前提として、離婚をした場合も婚姻関係と住宅ローンの契約は別ものであるため、そのままでいれば互いに住宅ローンの支払いは継続されます。
売却を検討し、ローン残債より物件の売値が高ければ、得られた利益を財産分与することで決着します。しかし、売ろうとしてもローンが残る場合、一括返済を求められ現金が必要になります。
また、すでに支払い遅延をしている場合は競売により売値が下がるためより大変になります。ローンの支払いを続ける場合や、ローン残債が発生する場合、離婚時も離婚後も問題が続き精神的にも窮屈な思いをすることが多くなるでしょう。
離婚時の揉め事で離婚自体進まない
離婚時は「この家をどうするか?」という点で話し合う必要があります。円満離婚の場合は冷静に話が進む可能性もありますが、多くの場合話が進まず離婚自体に時間がかかる結果となるでしょう。財産分与や慰謝料、養育費など、様々に決定すべきことがある中で問題がひとつ増えることとなります。
離婚後もお金面で縛られて続ける可能性がある
売却ができなかった場合、離婚後にも問題は続きます。
家を出る方は住んでいない家のローンをかかえて賃貸の暮らしとなり生活も大変で、支払いのモチベーション維持も大変です。また、住宅ローンは1つしか契約ができないため、新規で住宅ローンを組むことができません。
家に残る方も、出た方が支払いを続けてくれるかずっと心配し続けることになります。
支払いの延滞は個人信用情報に記載される
支払いが滞ると連帯保証人である自分のところに相手分の支払いの催促がくることになります。
支払いができず延滞や遅延となると個人信用情報に記載されます。また、競売で物件を差し押さえられローンが残ったまま住む場所を失う可能性もあります。
ペアローンは離婚時・離婚後に揉めたりお金の面で不幸になることが多いため、オススメしません。これが2つ目の理由です。
その他の後悔するデメリット
さきほどは減収や離婚時のリスクについてお伝えしましたが、その他にもペアローンのデメリットはあります。こちらもぜひ確認しておきましょう。
・契約が2つで手数料などの諸費用が増える
・死別でも自分のローン分は残る
それぞれ解説します。
4-1.契約が2つで手数料などの諸費用が増える
ペアローンは住宅ローンを2人とも契約することになるため、契約にかかる手数料や登記費用などの諸費用が増える傾向にあり、単純に出費が増えます。
また、ペアローンを扱う金融機関によっては、諸費用の計算方法が「借入額×何%」というタイプもあります。
この場合は、借入額が基準のため、6,000万円×1つの住宅ローンも、4,000万円+2,000万円の2つの住宅ローンも必要な費用は同じになります。
諸費用は、金融機関によっても名称や計算方法が異なり、サービス内容も変わっていくため、個々に試算しましょう。
4-2.死別でも自分のローン分は残る
ペアローンの場合、パートナーと死別しても、自分が組んだ住宅ローンは消えません。1人で組んだ住宅ローンで自分が亡くなった場合は、団体信用生命保険から保険金が支払われ、住宅ローンが清算されます。
そのため、残された家族には住まいが残り、住宅ローンの支払いはありません。
しかし、ペアローンの場合は、それぞれが団体信用生命保険に加入することとなるため、パートナーが組んでいる分の住宅ローンは保険金で清算されますが、自分が組んでいる分の住宅ローンは支払い終わるまではなくなりません。
ペアローンを借りてもいいのは2人とも生涯働き続ける場合
あくまでもオススメはしないという前提ではありますが、強いて言えば、ペアローンを借りてもいい条件は、2人とも生涯働き続ける意思があるときです。
仕事が好きでバリバリとずっと働いていきたいといったライフスタイルでないと、ローンを組んだ期間をずっと働いていくことは難しいのではないでしょうか。
ペアローンを組むとどうしても、働き続けることが必須になってしまいます。
また、途中で片方の収入が上がり、1人でも返済可能となり、自分では組んでいないパートナー分の支払いをもう片方が行なった場合、贈与と判断されることもあるため注意が必要です。
自分、あるいは相手がずっと働いていきたいかどうかをしっかり確認してからペアローンを組むかどうかを検討しましょう。
ペアローンの借入金額の目安はパートナーの収入を半分に想定
ペアローンのリスクやデメリットについてお伝えしてきましたが、それでも事情によりペアローンを利用したいという場合の目安についてお伝えします。
ペアローン利用の目安ですが、パートナーの年収を半分と想定して全体の借入金額を決定しましょう。
パートナーの年収が400万円であれば、200万円と想定するイメージです。
こうすることで、想定外(減収、病気やケガの治療費や一時的に収入ゼロなど)にも対応することができます。
貯蓄の余剰分から繰り上げ返済も可能
余剰分の貯蓄から繰り上げ返済をすることで、住宅ローンの支払い総額を減らすこともできます。実際、貸し倒れを防ぐためにパートナーの収入を半分と想定する金融機関もあります。
想定外のことが起き対応するためにも、片方は収入を半分と想定してローンの金額を決めましょう。
ペアローンと似ている収入合算(連帯保証型と連帯債務型)の住宅ローン
よくペアローンと比較される住宅ローンに収入合算というものがあります。
収入合算も1人で組むよりも多く借入ができる方法です。ペアローンとの違いは、契約が1つであることです。あくまでも、住宅ローンは1つであり、収入を合算し、住宅ローンを組むというものです。
収入合算には2つあります。
・連帯保証型
・連帯債務型
ただし、連帯債務型の取扱金融機関は少なく、利用はフラット35を利用する場合がほとんどです。
一般の金融機関で住宅ローンを組む場合はほぼペアローンか連帯保証型となり、連帯債務型はフラット35やごく限られた金融機関となります。
下記にそれぞれの特徴をまとめます。
7-1.ペアローンは借入額が1番多い
ペアローンは収入合算に比べ多くの借入が可能なことが特徴です。上限が2億円に設定されている金融機関もあります。
また、連帯債務型でフラット35利用の場合は借入上限が8,000万円であり、銀行等と比べると金利が高い傾向にあります。
そのため、8,000万円以上の借入をしたい場合や、金利をなるべく有利にしたい場合などはペアローンをオススメします。
7-2.連帯債務型の住宅ローンは審査や団信にメリット
連帯債務型とは
連帯債務型は「ローンを2人で協力して返済していく」というのが特徴です。親子や夫婦などのどちらか一人が、住宅ローンの主債務者となって住宅ローンを借入れ、もう一人は連帯債務者として同じく、その住宅ローンを借入れます。連帯債務者は主債務者と同等の返済義務を負うことになります。
連帯債務では夫か妻どちらかを主債務者として、夫妻で1本の住宅ローンを組みます。
夫も妻も債務者になりますがその債務はどちらも同額であり、また、随時どちらも金融機関からの返還請求を受ける可能性が出てきます。
よく使われるケース
主にフラット35を利用する場合の選択肢として利用されます。一部金融機関でも取扱がありますが、ごくわずかです。
フラット35は一般の金融機関よりも審査対象が広く、一般金融機関でペアローンの審査が通らなそうな場合の選択肢としても上がってきます。
また、金利を上乗せし、夫婦どちらも団体信用生命保険に加入すれば、片方が死亡ないし高度の障害状態になった場合、借り入れた住宅ローンを全額保証してくれます。(親子のペアローンの場合片方しか加入できません)
全額の保証となるのがペアローンとのおおきな違いです。ペアローンは片方が組んだローン分のみが保証となるため、自分が組んだ分は変わらず返済が続きます。
審査に不利な条件であったり、金利を上乗せして団信を手厚くしたい場合などにオススメです。
パートナーも審査あり
収入合算をするパートナーも雇用状態や年収など様々な審査があります。フラット35の場合は、パートや非正規でも審査対象されます。
団体信用生命保険はフラット35は加入可能
団体信用生命保険の取り扱いは金融機関によって異なりますが、フラット35の場合は金利の上乗せをすることで合算するパートナーも保険の加入が可能です。加入をしておけば、いずれかが死亡や高度な障害状態となった場合、ローンが全額保証されます。
住宅ローン控除も対象
パートナーも住宅ローン控除の対象となりますが、対象となるのは自分の持分のみです。なお、持分については自由に決められますが、支払い割合と持分に差がある場合は贈与となる場合もあるため、注意しましょう。詳しくは担当の税務署にご確認ください。
7-3.連帯保証型の住宅ローンは少額の借入に
連帯保証型とは
連帯保証型の住宅ローンは、夫婦のうち一人が債務者となり住宅ローンの返済義務を負い、もう一人がその連帯保証人となって債務者が住宅ローンを返済できなくなったときに代わりに返済義務を負うというものです。
連帯保証人は、債務者の返済が滞った場合に保証する契約は交わしますが、住宅ローンの契約は行わないため、家の持分はなく、毎月の支払い義務もありません。
よく使われるケース
よく使われるケースでは、夫の収入だけではローンの全額の融資とならず、減額されてしまった場合です。この場合、「妻が収入合算をすれば全額の融資となりそうだがどうするか?」という流れで収入合算を選ぶこともあります。
そのため、借りたい金額に少し足りなそう、といった場合にオススメです。
合算は年収の半分
連帯保証型の収入合算は、パートナーの収入を100%とはみなさず、50%ほどが審査対象となるのが一般的です。金融機関によってはパートや非正規雇用でも収入合算が可能です。
パートナーは住宅ローン控除や団信加入はできない
連帯保証人は直接債務を負っているわけではないため、住宅ローン控除を利用することはできません。また団体信用生命保険に加入することもできません。
ペアローンを組むステップは通常の住宅ローンと同じ
ペアローンを利用するステップは通常の住宅ローンを組む場合の流れと同じです。
最初にWEB等で簡易的な仮審査(事前審査)を行い、それに通ると本審査となります。異なるのは、2人とも住宅ローンの審査を受けるため、本審査の書類は2つになるという点です。それ以外については基本的な流れは同じです。
借入金額と持分割合が異なると贈与税の課税可能性あり
それぞれの借入金額と持分割合の比率が異なると、贈与税が発生する可能性があります。持分割合とは家などの所有権の割合を指します。
例えば、4,000万円の物件に対し、夫2,000万円、妻2,000万円の借入で、持分割合が1:1ならば借入と割合比率が同じため贈与税はありません。しかし、夫2,500万円、妻1,500万円の借入で持分割合を1:1にしたい場合、借入が5:3の割合となるため、この場合は夫から妻へ500万円の贈与とみなされる可能性があります。
ペアローン(住宅ローン)は基本正規雇用が求められる
ペアローンや一般の住宅ローンの審査条件は金融機関によって異なり、一般に公開されておりません。
そのため、国土交通省「令和元年度民間住宅ローンの実態に関する調査結果報告書」内の金融機関に対してのアンケートから、一般的に住宅ローン審査に関係の深い条件をご紹介します。これらの条件などを総合的に判断して審査の可否が決定されます。
借入年齢・返済時年齢
例えば新生銀行の場合、「20歳以上65歳以下、完済時年齢が80歳未満」などの条件が明記されています。
下は成人、上は死亡・返済リスクを加味した条件であると予測されます。どの程度の期間でローンを組むかについて詳しくは、住宅ローンは55歳からでも組める「年収・年齢別の返済プラン目安」をご確認ください。
健康状態
フラット35を除き、住宅ローンを組むときには団体信用生命保険への加入が必要となります。
団体信用生命保険は健康状態に問題があった場合審査が通らず、住宅ローンを組むことができないため注意が必要です。ペアローンの場合、2人ともが団体信用生命保険に加入することになるため、2人とも健康であることが条件となります。
団体信用生命保険について詳しくは、団信の告知義務違反はバレる?健康不安があるときの正しい対処法をご確認ください。
担保評価
金融機関が住宅ローンなどの融資をするときには、借り手が返済できなくなった場合に資金回収ができるよう、不動産の担保をとるのが一般的です。
その担保物件に融資額に見合う価値があるかどうかを評価するのが「担保評価」です。そのため、借りる人の条件は問題なくとも、物件の価値が低いと判断されると融資されないこともあります。
年収
最低年収は100~300万円と金融機関によってばらつきがあります。また個人事業主の場合は所得が審査対象となり、過去3年間を遡りその平均所得を年収として計算するのが一般的です。
赤字の場合は確定申告のし直しも可能です。年収の目安について詳しくは、元銀行員が教える!住宅ローンの年収別目安と返済額を抑えるコツ5選【チェックリスト付】をご確認ください。
勤続年数
勤続年数1~3年が審査要件となっている金融機関が一般的です。ただしフラット35などは勤続年数の要件がなく、転職1ヶ月でも審査対象となります。
個人信用情報
個人信用情報とは、クレジットカードや消費者金融などの借入情報、また遅延情報などが登録されているものです。住宅ローンの審査にも使われ、遅延などマイナス情報があった場合には審査が通らない可能性が高まります。
ペアローンの借り換えは難易度が高い
ペアローンを借り換えて単独のローンに変更することがあります。
これは主に離婚時や、パートナーが働けなくなった場合などに行われますが、難易度が高い傾向にあります。
というのも、1人の負担では借りられない金額だからこそのペアローンのはずであり、加えて、所有権が変更となるため、贈与など税務署とのやりとりも発生するからです。
また、借り換えが難しい場合、売却により一括返済をするという方法も考えられますが、どういった選択肢が実現可能かについては、まずは現在ペアローンを組んでいる金融機関に相談をしましょう。
単独ローンからペアローンへ借り換えは困難かつ控除は対象外
住宅ローン控除を2人分にしたいという要望で、1人で組んだ住宅ローンからペアローンへ変更の検討をされるケースがありますが、困難かつ、住宅ローン控除の対象とはならないため注意しましょう。
単独ローンからペアローンになる場合、物件の所有権の変更となり、持分の売買などが起きるため、まずは税理士さんへと相談されることになります。
また、住宅ローン控除を受ける条件ですが、国税庁へ問い合わせ確認を行なったところ、以下の理由により、住宅ローン控除の対象とはならないと回答をいただきました。
・取得時と取得後を通じて、整形をいちにする親族からの取得した住宅は対象とならない。
・贈与により、取得した住宅も対象とならない。
住宅ローン控除の詳しい条件については、国税庁のサイトでご確認ください。
以上の理由から単独ローンからペアローンへの借り換えはメリットがないと言えるでしょう。
まとめ
ペアローンは、1人で住宅ローンを組むときよりも、2人になるため借入金額を増やすことができます。よって、1人では手が届かない条件の住まいでも購入対象に入れることができます。
また、条件に合致していれば、それぞれ住宅ローン控除が適応されます。ペアで組む場合2人とも適応されることで400万円×2人=800万円か200万円×2人=400万円までの控除が可能となります。
ただし、ペアローンは2つの大きなリスクがあるためオススメできません。
借りたい場合は、2人ともずっと働きたいといったライフスタイルであることが望ましいでしょう。
ペアローン利用の場合は、パートナーの年収を半分と想定して全体の借入金額を決定しましょう。こうすることで、想定外(減収、一時的に収入ゼロなど)にも対応することができます。
ペアローンと比較される住宅ローンに収入合算というものがあります。
収入合算も1人で組むよりも多く借入ができる方法です。ペアローンとの違いは、契約が1つであることです。あくまでも、住宅ローンは1つであり、収入を合算し、住宅ローンを組むというものです。
借入額と金利優先ならペアローン、審査や死亡時の保証なら連帯債務型(フラット35)、金利をそのままで少額の上乗せなら連帯保証型がオススメです。
ペアローンの審査の流れは通常の住宅ローンと同じです。ただし、提出書類はそれぞれ必要となり、諸費用なども2倍の費用となります。
審査の基準はブラックボックスですが、ペアローンは互いに正規雇用を求められる傾向にあります。その他の主な審査の基準としては、借入年齢・返済時年齢、健康状態、物件の担保評価、年収などがあります。
一度ペアローンを組むと単独ローンへの借り換えは、返済額や所有権の点で困難のため注意しましょう。
また、住宅ローン控除は単独ローンからペアローンに変更されても対象とならないため、注意しましょう。
ペアローンは大きなデメリットがあるため、基本的にはオススメしませんが、どうしてもという場合はパートナーの年収を半分に想定し、極力リスクを下げて組みましょう。
あくまでも住宅は幸せになるためのツールです。しっかりと計算して負担の少ない住宅購入を目指しましょう。
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