2023.08.15 更新

リノベーションで撤去できる壁・できない壁の見分け方【費用一覧付】

「リノベーションする場合、どの壁が撤去できるんだろう?」
「費用はどのくらいかかるのだろう…」

リノベーションで間取り変更を考えている場合、どの壁が動かせるのか、費用はどれくらいかかるのかわからないことが多いと思います。

リノベーションで壁を撤去する計画をスムーズにすすめるには、事前に撤去できる壁とできない壁を理解しておくことが大切です。

一般的に撤去できる壁は「内壁」、撤去できない壁は「構造壁」と言いますが、専門的な視点がないと撤去できる壁を正確に把握することは難しいものです。

なぜなら、家の構造を正確に把握した上で、建物の築年数や壁内部の状態を総合的に判断する必要があるためです。

ただ、撤去できる壁の目安を事前に把握しておくことは可能です。

そのためこの記事では、

  • リノベーションで撤去できる壁・できない壁
  • リノベーションで撤去できる壁を素人が完全に見分けるのは不可能
  • リノベーションの壁撤去にかかる費用
  • リノベーションで壁を撤去した実際の事例3つ
  • リノベーションで壁を撤去する際に注意するべき3つのこと

の順番に詳しく解説していきます。

住まいの壁を撤去するリノベーションを今後検討している方はぜひ参考に読み進めてみて下さいね。


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リノベーションで撤去できる壁・できない壁

リノベーションで壁を撤去できるかどうかは、その壁が構造に影響を与える壁かどうかです。
影響を与える壁は、「構造壁」と言い、こちらは撤去できません。

一方で構造に影響しない壁は「内壁」と言い、こちらは撤去可能です。

「構造壁」「内壁」がどういったものなのか、それぞれの特徴について解説していきましょう。

1-1.撤去できない壁は「構造壁」

構造壁は家の構造に関係していて、建物の強度を保つために必要不可欠な壁です。
それがなくなると家の耐震性や耐久性に影響を与えるとても重要な壁なので、撤去はできません。

ではどういう場合に家の中に構造壁があるのかというと、以下のように家の造りが面で支える構造になっている場合です。

こちらは一部屋分の構造になりますが、このように壁である面で家を支える構造の場合、壁が家の構造に関係しているため、撤去ができません。

家全体の構造を見た場合の図は、以下のようになります。

このように、面である壁はすべて構造壁で、当然家の中の壁も構造壁であるため撤去ができないことが分かります。

1-2.撤去できる壁は「内壁(内装壁)」

リノベーションで撤去できる壁は「内壁」や「内装壁」と呼ばれている壁です。
基本的には、内壁と内装壁は同じ意味で使われます。

この内壁は、以下のように柱や梁で支えて造られた家の内部に存在します。

このように柱や梁で家を支えている場合、重要なのはこの柱と梁なので、それらに関係しない壁部分は、以下の図のように撤去ができます。これが内壁、内装壁と呼ばれる壁です。

このような柱と梁で支えられた家全体の構造は、以下のようになります。

この図からも、柱や梁で支えられた家の場合、撤去できる内壁が多く存在することが分かります。

ちなみにこの内壁は、軽量な素材でできているという特徴があるので、壁の一面全体を手でノックした時に「コンコン」という軽い音なら、内壁の可能性が高いです。

逆に「ゴンゴン」という重い音なら、構造壁の可能性が高くなります。

あくまで目安ですが、このようにノックする音で、簡易的に確認する方法もあります。

1-3.撤去できない内壁も存在する

戸建ての場合、内壁であっても、筋交いや太い木材で柱や梁を補強している場合、構造上重要な壁になるので撤去ができません。

筋交いは、垂直や水平に組まれた骨組みに対して、対角線上に斜めに入れた以下のような補強材のことで戸建ての耐震補強として用いられます。

また、元の柱を木材で補強している場合は、以下の状態になります。

このように筋交いが入っている場合や、木材で柱を補強している場合、その箇所を構造上強化する目的があります。
そのため、内壁であっても構造壁の役割を担っているので、撤去することができません。

どうしても撤去がしたい場合、その筋交いや補強柱だけを残して、それ以外の壁部分を撤去するという方法もあります。

この場合、筋交いや柱を残しても違和感がないようなデザイン性が求められます。そのため、筋交いをデザインとして取り入れた事例を見て、リノベーション会社とイメージを共有しておくとよいでしょう。

リノベーションで撤去できる壁を素人が完全に見分けるのは不可能

リノベーションで撤去できる壁は、専門的な知識がないと完全に見分けることはできません。

なぜなら撤去できる壁と撤去できない壁については前章で解説しましたが、それら以外の例外が多く存在するからです。

例えば構造壁であっても、壁内部の素材が軽鉄やボードのような軽い素材で出来ていて、撤去しても大丈夫な場合もあります。

一方、内壁であっても1-3.撤去できない内壁も存在するでお伝えしたように撤去できないケースもあります。

ただ家の造りを知っておくことで、自分の家に撤去できる壁があるのかどうかの目安はわかります。

方法としては、中古物件であれば仲介会社を通して物件の工法を確認したり、自宅であれば設計した建築会社や施工会社に工法を確認するなどの方法です。

例えば、柱や梁で支える構造になっている「木造軸組工法」または「ラーメン構造」と言われた場合、家の内部にある壁は内壁の可能性が高く、撤去できる可能性があります。

一方で面で支える構造になっている「2×4(ツーバイフォー)工法」または「壁式構造」と言われた場合、壁の多くは構造壁であるケースが多いため、、家内部の壁の撤去には大きな制限があると考えておくべきでしょう。

このように、厳密にどの壁を撤去できるのか把握するには、リノベーション会社に実際に来てもらい、直接確認してもらうのが一番の近道と言えるでしょう。

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リノベーションの壁撤去にかかる費用

この章ではリノベーションで壁を撤去する際にどのくらいの費用がかかるのかお伝えします。

壁を撤去するときにかかる費用はどのくらいになるのか、実際に工事を開始する前に相場を把握しておくことで、適正な価格の業者を選びやすくなります。

3-1.壁撤去だけの費用は5万円〜6万円

壁を撤去する作業のみでは、人件費と作業の材料費を合わせて平均相場は5万〜6万ほどになります。

純粋な撤去作業に加え、壁が撤去された場所と周りの床や天井とのバランスを取ったり、綺麗するために、

  • 補修作業(8万~23万)
  • ハウスクリーニング(2万)

を一緒に行うことが多く、その場合は合計で15万〜31万ほどに費用になります。

補修作業は、床や天井への補修に使う材料費によって金額に差が出るため、素材を出来るだけコストダウンすることで費用を抑えることは可能です。

3-2.電気配線工事もする場合の費用は8万円〜10万円

撤去する壁の内部に電気配線が入っている場合、電気配線を変更するための電気工事が必要になります。
こちらの電気工事費用は、3万〜4万ほどです。

そのため壁のみの撤去費用と合わせると、合計で8万〜10万ほど、壁撤去後の補修作業とハウスクリーニングも一緒に行うと、合計で23万〜41万円になります。

電気工事が必要かどうかは、壁に電気コンセント口があれば確実に配線があり必要だと分かりますが、そのようなコンセントがない場合でも壁内部に配線があり工事が必要な可能性もあります。

その場合、業者が使用する専用機器を使うと壁撤去前に壁の外側から配線があるかどうかの確認ができます。
実際に工事を行う前に、専門会社に確認を依頼しましょう。

リノベーションで壁を撤去した実際の事例3つ

どの壁が撤去できるのかは、住宅ごとに異なります。
実際に壁を撤去した場合にどのような間取りが実現できるのか、実際の事例を見ていきましょう。

4-1.和室と寝室の壁を撤去した例

こちらは元々、リビング・和室・寝室の3部屋だった2LDKの間取りを、寝室と和室の壁を撤去し、キッチンの位置を変えることで、広々とした1Kの間取りにリノベーションしています。

この場合、寝室と和室の壁が内壁であるため撤去ができています。

またこちらは壁の撤去に加えて、和室のフローリングへの変更とキッチンの位置を変えているため、壁撤去だけの工事よりも費用がかかります。

こちらのより詳しいリノベーション情報についてはこちらからご確認下さい。

4-2.和室と洋室の一部の壁を撤去した例

こちらは、リビング・和室2部屋・洋室の3LDKだった間取りを、和室と洋室の一部の壁を撤去し、キッチンとトイレの水回りの位置を変更することで、広いリビングメインの1Kの間取りへリノベーションしています。

撤去した壁は上記の赤丸部分で、こちらは内壁なので撤去できています。
一方、上記オレンジの丸部分である、洋室の壁の一部と浴室の壁は撤去せずに残した箇所です。こちらは構造壁のために撤去ができないので残しています。

この場合、浴室の構造壁を残しても間取りの空間バランスが取れるように、浴室の構造壁につながるように新たに内壁を加えて、新しい浴室空間を造っています。

こちらのより詳しいリノベーション情報についてはこちらからご覧下さい。

4-3.和室と洋室の一部の壁と浴室とトイレの壁を撤去した例

こちらもリビング・和室2部屋・洋室の3LDKのお部屋ですが、和室の壁と洋室・和室の一部の壁、そしてトイレと浴室の壁を撤去して、リビングの広い1LDKにリノベーションしています。

上記の赤丸部分が壁を撤去した箇所、オレンジ部分が壁を残した箇所になります。
この物件が工夫している点は、洋室の構造壁をすべて撤去できないので、部分的に撤去しているところです。

このように、本来撤去が出来ない構造壁であっても、施工会社によっては構造に影響を与えないように工夫をして部分的な撤去を行い、理想の間取りを実現できます。

こちらのより詳しいリノベーション情報についてはこちらからご覧下さい。

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リノベーションで壁を撤去する際に注意するべき3つのこと

壁を撤去する際のイメージが固まってきたところで、では実際に壁を撤去する際には次の3点を業者に確認しながらリノベーションを進めていきましょう。

  • マンションの場合は、管理規約を確認
  • 壁撤去後の耐震性を確認
  • 家電の配置を想定しておく

それぞれの注意点を具体的に確認していきましょう。

5-1.マンションの場合は、管理規約を確認

戸建てで購入した住宅の壁を撤去する場合は、1-1.撤去できない壁は「構造壁」でお伝えした構造壁でなければ撤去できます。

ただマンションの場合、それぞれのマンションに管理規約があり、そちらの内容によってはリノベーションが制限されたり、場合によってはできない場合もあります。

例えば、マンションが指定した素材を使わなければいけなかったり、水回りの配管移動が禁止されていたり、騒音が何日以上続く工事はできないなど、マンションごとに規約項目は異なります。

実際に工事を開始してから、管理規定により中止しなければならなくなった、ということがないように事前に施工会社に管理規約を確認してもらうようにしましょう。

5-2.戸建ての場合は、築年数から耐震性を確認

構造壁でなければ、撤去しても問題ないことはこれまでもお伝えしてきましたが、戸建ての場合、築年数が40年以上経過している住宅の内壁撤去を行う場合は、施工会社に耐震性を確認しておきましょう。

これは築年数の古い内壁を撤去すると、物件によっては倒壊の危険があるためです。

建物の耐性基準は以下のように年代により変化してきました。

そのため、1981年以前に旧耐性基準で建てられた住宅は、現在と耐震基準が異なるため、内壁であっても撤去により耐震性が低くなる可能性があります。

自分の住宅は、内壁を撤去しても耐震性がしっかり保たれるのか、施工会社に確認してから壁撤去の工事計画を進めていきましょう。

5-3.家電の配置を想定しておく

壁撤去後の部屋のレイアウトや家電の配置も事前に想定しておきましょう。

撤去する壁内部に電気配線があった場合、配線位置を変更するので今までとは違う位置にコンセントプラグが設置されます。

その場合、家電が今までと違う配置にしなければいけなくなる可能性があり、使い勝手が悪くならないか事前に確認しておく必要があります。

例えば、キッチンスペースの場合、「キッチン・トライアングル」という、以下のような使い勝手の良いフォーメーションというものがあります。

これが壁撤去により、このフォーメーションが崩れてしまわないか、もし家電を移動させる場合でもこの形を維持できる方法はないかなど、事前に配置のシミュレーションをしておくことが大切です。

そうすることで壁撤去の工事で間取りが変わった後も、快適にキッチンスペースを使用できます。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

リノベーションで撤去できる壁の目安を知るためには、購入したい中古物件を仲介している不動産会社や、家を建てた建築会社や施工会社に、家の構造を確認しておくと良いでしょう。

柱や梁で支える造りになっている場合は、家内部の内壁は撤去できる可能性があります。
一方で面で支える造りの場合は、内壁が家の構造に関係するため、撤去できない可能性が高いです。

ただ判断するには、専門的な目線が不可欠なため依頼するリフォーム・リノベーション会社に直接家に来てもらい、確認を依頼しましょう。

また、壁撤去の費用は補修工事やハウスクリーニングを合わせると、15万〜31万ほどかかります。

費用のかかる工事なので、実際に行う前に施工会社とよく話し合い、どのような間取りを実現したいのか、家の安全性は維持できるのか、気になる点や要望を具体的に伝えておくことが大切です。

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