2022.05.30 更新

アイランドキッチンのリノベーション事例|メリットと費用の相場は?

台所設備の耐用年数は15~25年。「そろそろキッチンのリノベーションを」というときに、選択肢のひとつとしてあがるのがアイランドキッチンです。

ただ、アイランドキッチンへリノベーションするとなると、

「アイランドキッチンってよさそうだけど、実際はどうなの?」
「今住んでいるのがマンションだけどリノベーションできるの?」
「間取り的に大丈夫?」

などの疑問もあると思います。

アイランドキッチンへリノベーションするにあたり、一番重要なのは、

  • アイランドキッチンへリノベーションできるかどうかを確認すること
  • 信頼のおけるリノベーション会社を選ぶこと

以上の2点です。この2つを押さえておかないと、納得できるかたちでアイランドキッチンを実現できない可能性があります。

そこで今回は、アイランドキッチンへリノベーションする際に知っておきたい基礎知識から、リノベーション前のチェックポイント、リノベーション会社選びまで詳しく紹介していきます。

◎この記事で分かること

  • アイランドキッチンの基礎知識
  • アイランドキッチンリノベーション前のチェックポイント
  • リノベーション会社選定
  • アイランドキッチンリノベーションの成功事例

アイランドキッチンについて深く理解することは、使い勝手やデザインなどを決める上でも必要です。

本記事を読み終えるころには、アイランドキッチンへのリノベーションの理解が深まり、どのようなリノベーションにしようか具体的にイメージできた上で、自分に合うリノベーション会社選びができるようになるはずです。

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“【著者】ゼロリノベ編集部"

[著者]

ゼロリノベ編集部

「住宅ローンサポート・不動産仲介・リノベーション設計・施工」をワンストップで手がけるゼロリノベ(株式会社groove agent)。著者の詳しいプロフィール


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アイランドキッチンにリノベーションする際に知っておきたい基礎知識

一般的に、キッチン配置は「クローズキッチン」と「オープンキッチン」の2種類に大別されます。

さらに「オープンキッチン」は「アイランド型」「ペニンシュラ型」に分けられており、アイランドキッチンはオープンキッチンの種類のひとつです。

そこで、この章では、まずアイランドキッチンにリノベーションするにあたり知っておきたい基礎知識として、

  • アイランドキッチンのメリットとデメリット
  • 費用相場
  • 工事期間
  • アイランドキッチンのレイアウトタイプ

について紹介します。

リノベーション前に正しい知識を得ることで、キッチンのリノベーション後の失敗を防ぎ、より理想的なアイランドキッチンを実現させましょう。

上記の内容についてすでに理解できている人や、アイランドキッチンへリノベーションできるかどうかを早く知りたいという人は、「2. アイランドキッチンへリノベーションする前に確認すべきチェックポイント」へお進みください。

1-1. アイランドキッチンへリノベーションすることで得られる5つのメリット

アイランドキッチンは壁から完全に独立しているタイプのキッチンであるため、他のキッチンにはないメリットがあります。

アイランドキッチンへリノベーションすることで得られる主なメリットは、以下の5つです。

1-1-1. 開放感のあるLDK空間を実現できる

アイランドキッチンの大きなメリットは、開放的なLDK空間を実現できることです。部屋の中央に位置してもキッチンまわりにゆとりがあり、空間を隔てるモノがないため、開放的な気分で料理や家事を行えます。

◎キッチンの4方向にスペースがある
キッチンは、アイランド型以外に、ペニンシュラ型(キッチン本体の左右いずれか一方が壁と接しているタイプ)や、ウォール型(キッチン本体の背面が壁に接しているタイプ)がありますが、いずれもキッチンの一部が壁にくっついています。

一方、アイランドキッチンは壁から独立したキッチンで、4方向すべてにスペースがあるため、料理や家事をしているときも開放的な空間で作業ができます。

◎空間を隔てる吊戸棚や仕切りがない
アイランドキッチンは、キッチン本体の上部に吊戸棚を設けないケースが一般的であることも、開放感のあるLDK空間を実現できる理由です。

以下の画像をご覧ください。

吊戸棚を設けると、リビングダイニングから見たときに空間を隔てる壁ができます。

そのため、キッチンスペースが独立した空間のように見えてしまいますが、アイランドキッチンは、吊戸棚を設けないケースが主流なので、キッチンとリビングダイニングのあいだを隔てる壁がありません。

天井部分が一続きの空間となっていることでLDK空間の一体感が生まれやすく、キッチンから見てもリビングダイニングから見ても視界が開けているため、吊戸棚や壁のあるキッチンよりも広々とした印象を感じることができます。

1-1-2. 家事動線に優れ、360°どこからでもアクセスできる

アイランドキッチンは回遊性に優れており、効率よく調理や家事を行うことができます。360°どこからでもアクセスできるのは、アイランドキッチン最大の特徴です。

アイランドキッチンは、リビングダイニングと向かい合うように設置されることから「対面式キッチン(対面キッチン、カウンターキッチン)」に分類されています。

対面式キッチンは、アイランドキッチンのほかにペニンシュラキッチンがありますが、ペニンシュラキッチンは左右いずれか一方からしか出入りができません。

しかし、アイランドキッチンは4方向に通路があるので、LDK空間のどこからでもまっすぐキッチンにアクセスすることができます。

例えば、以下の事例のようにキッチンのまわりに洗濯機や洗面台といった水まわりの設備をまとめて配置すれば、調理とその他の家事を効率的に行うことが可能です。

忙しい朝の時間も、キッチンで調理や配膳をしながら洗面スペースで洗濯をしたり、身支度を整えたりなど、効率的に動くことができます。

詳しい間取りやレイアウトはこちらをチェックしてください!

施工事例:SUBAKOハウス〈神奈川県〉78㎡

1-1-3. 家族とコミュニケーションを取りながら料理や家事ができる

アイランドキッチンは、以下の図のようにキッチンに立つと自然にリビングダイニングが視界に入るため、どのような作業をしていても家族とコミュニケーションを図ることができます。

キッチン奥側が壁にくっついたウォール型(壁付け型)の場合、調理や家事の最中に話しかけられても、顔を見てコミュニケーションが取れません。視線を合わせて会話をしようとすると、どうしても作業を中断して振り返る必要がありますよね。

しかし、アイランドキッチンならどのような作業をしていてもリビングダイニングのほうを向いているので、調理や家事の途中でも作業を続けながら、会話を楽しむことが可能です。

1-1-4. 家族が家事に参加しやすい

アイランドキッチンを採用することで、家族が家事に参加しやすい空間を作ることができるのもメリットのひとつです。

なぜアイランドキッチンにすると、家族が家事に参加しやすくなるのか?その理由は2つあります。

◎家事協力を促しやすい環境
アイランドキッチンは、キッチンからリビングダイニングの様子が伺えるだけでなく、リビングダイニングからもキッチンの様子がよく見えるため、お互いに声をかけやすい環境です。

例えば、調理中、両手がふさがっているときなどに、「ちょっと手伝って」とリビングにいる家族にヘルプを求めることができます。逆にキッチンで忙しくしている姿を見て、リビングダイニングにいる家族のほうからが「手伝おうか?」と声をかけてくれるかもしれません。

このように、LDK空間の中央に位置するアイランドキッチンは、料理や家事をしている人だけでなく、家族の家事に対する関心も高めることができることから、家族の家事協力を促しやすいと言えるでしょう。

◎複数人でも作業しやすい
アイランドキッチンは360°からキッチンを囲むことができるので、向かい合うように作業をしたり、1人が作業スペース、もう1人は通路側に立って作業をしたりすることができます。

旭化成ホームズ株式会社が平成26年に行った「いまどき30代夫の家事参加の実態と意識~25年間の調査を踏まえて~」によると、夫が家事参加していない理由として「キッチンが入りづらくて狭い」ことが5位にランクインしている状況です。

例えば、ペニンシュラキッチンも同じ対面式ですが、ペニンシュラキッチンはキッチン本体の左右いずれか一方が壁に接しているため、作業スペースやキッチンの出入りは固定されてしまいますよね。

しかし、回遊性に優れたアイランドキッチンは、左右どちらからもキッチンの出入り可能です。誰かが作業をしていて通りづらくても、反対側の通路から出入りすればストレスを感じにく、複数人でもスムーズな移動と作業を実現できます。

このことから、「キッチンに入りづらくて狭い」という問題を解消できるため、アイランドキッチンは他のキッチンタイプよりも家族が家事に参加しやすい環境を作ることができると言えます。

1-1-5. ライフスタイルや好みに合わせて自由に空間設計できる

アイランドキッチンまわりのスペースを活用してテーブルや家具などの配置換えができ、ライフスタイルの変化や好みに合わせ、自由に空間設計が可能です。

例えば、ダイニングテーブルの置き場所1つをとっても、アイランドキッチンはバリエーションが豊富です。以下の事例では、キッチンの横にテーブルを配置していますが、テーブルの場所をキッチンの背面に変えれば部屋の印象やスペースの使い方もがらりと変わりますよね。

ウォール型やペニンシュラ型はキッチンの本体が壁に接しているため、どうしてもダイニングテーブルを置く位置や向きのパターンは限られてしまいます。

しかし、アイランド型はダイニングテーブルを置くスペースさえあれば、キッチン本体の左右や背面側など、状況に合わせて自由に配置換えができます。

1-2. アイランドキッチンへリノベーションすることで生じる5つのデメリット

メリットの多いアイランドキッチンですが、デメリットもあります。

憧れだけでアイランドキッチンへリノベーションしてしまい、後々後悔したというケースが少なくないため、デメリットについてもしっかりと理解しておくことが大切です。

アイランドキッチンへリノベーションすることで生じる主なデメリットとしては、

以上の5つがあげられます。1つずつ見ていきましょう。

1-2-1. キッチンが丸見えになる

アイランドキッチンは周囲に壁がない分、他のキッチンタイプと比べると全角度からキッチン内が丸見えとなりやすいので、いつでもきれいな状態を保てるかどうかはひとつのポイントとなります。

見た目にこだわったアイランドキッチンを採用しても、洗剤のボトルや調味料などが並んでいるとどうしても生活感が出てしまいます。少しの汚れや作業スペースにモノが並んでいるだけでも散らかった印象を与えやすいため、常に整理整頓を心がけなければなりません。

そのため、こまめに掃除したり、整理整頓をしたりするのが苦手という人にとっては、キッチン内が丸見えになってしまう部分が大きなデメリットと言えるでしょう。

1-2-2. におい・煙や油はね・水はねなどで部屋が汚れやすい

空間を遮る壁のないアイランドキッチンは、他のキッチンと比べるとにおいの拡散や汚れの飛び散りにより、部屋が汚れやすいと言えます。

◎におい・煙
換気扇が排気し切れなかったにおいや混じった油を含んだ煙が、天井などをつたって部屋中に広がっていくため、天井まわりに仕切りのないアイランドキッチンは、他のタイプのキッチンよりも油煙やにおいが広がりやすい状況です。

ただし、対策次第で環境は変えられます。においや煙が気になる場合は、排気パワーの強い換気システムや煙の量を自動で検知して排気パワーを調節してくれる高機能なレンジフードなどを採用しましょう。

◎油はね・水はね
調理中の油はね、食器や手洗い時の水はねは、どのキッチンタイプでも起こり得ることですが、アイランドキッチンの場合は汚れを遮るものがないので、その分、他のキッチンよりも油汚れなどで床が汚れやすいと言えます。

油はね・水はねについては、以下の画像のようなキッチンの奥側に仕切りやパネルを設置したり、コンロやシンクまわりに広めの余白スペースを設けたりする対策が有効です。

床への飛び散りが気になる人は、自分の好みに合う対策で部屋の汚れを軽減しましょう。

1-2-3. モノが増えたとき収納に困りやすい

アイランドキッチンは、キッチン本体上部に吊戸棚を設けないケースが一般的であるため、吊戸棚とセットで設置するのが一般的なウォール型と比べると、収納スペースが限られます。

また、アイランドキッチンの魅力である開放感を重視し、以下の画像のように壁に設置する収納棚も圧迫感のないデザインとなることが主流であるため、他のキッチンタイプと比べると収納容量は少なくなる傾向にあります。

そのため、食器類や調理家電などのモノが増えやすい人は、

  • キッチンまわりで必要な収納スペースが確保できるか
  • モノが増えたときに断捨離できるか

といった点も考慮した上で、アイランドキッチンのリノベーションを検討するようにしましょう。

1-2-4. 間取りによっては部屋が狭くなる

アイランドキッチンの設置には広いスペースが必要という点もデメリットと言えます。

以下は、キッチンタイプ別に、設置に必要なスペースを比較した図です。いずれのタイプも、キッチン本体の間口(横幅)サイズは同じ(180cm)の場合、どのくらいスペースに差があるのかを表しています。

ウォール型やペニンシュラ型のキッチンタイプは、キッチン本体の一部が壁に接している分コンパクトなスペースで設置できますが、アイランドキッチンはキッチン本体のまわりに通路を設けるため、横に広いスペースが必要です。

そのため、ペニンシュラ型やウォール型からアイランド型へリノベーションする場合、「キッチンの間口サイズ+通路分のスペースが確保できるか」をよく検討することが大切です。

また、アイランドキッチンを設置できたとしても部屋が狭くなってしまうと、アイランドキッチンの魅力である開放感が損なわれてしまいます。

  • アイランドキッチンを採用することで部屋が狭くならないか
  • 狭い印象にならないか

という点についても、よく検討するようにしましょう。

1-2-5. 他のキッチンよりもコストがかかりやすい

アイランドキッチンが他のキッチンタイプよりもコストがかかる理由は、「見た目への配慮」「デメリットを考慮した対策」「レイアウト変更による工事費用」の3つが関係しています。

以下に、どのようなケースにコストがかかるのか、具体例をまとめているので参考にしてください。

【他のキッチンより費用がかかるケース】

◎見た目に配慮した素材を選ぶ

  • 調理や下ごしらえをする天板部分(ワークトップ)を汚れに強い素材にする
  • キッチン本体の側面や収納の扉など、見た目や掃除のしやすさなどに配慮した化粧材(材料)にする◎においや汚れを考慮した設備や対策をする
  • においの広がりを考慮して、1サイズ大きめ、排気性能の高い換気システムを導入する
  • 油はねや水はね対策のため、一般的なサイズよりも奥行のあるワークトップを採用する

◎大きなレイアウト変更をする

  • ウォール型からアイランド型へレイアウトを変える
  • 開放感のあるアイランドキッチンを実現するため、部屋の壁を取り払う

今あげたのは、アイランドキッチンならではの具体例です。

壁からキッチン本体が独立していることはアイランドキッチン最大の特徴であり、個性でもありますが、ウォール型やペニンシュラ型よりも見た目やデメリットを考慮した対策が必要です。工事もレイアウト変更をともなうケースが多いため、他のキッチンタイプよりもコストが高くなりやすい傾向があります。

1-3. アイランドキッチンへリノベーションする場合の費用相場

アイランドキッチンへリノベーションする場合の費用総額は、約130~240万円が相場です。

アイランドキッチンのリノベーション工事費用の内訳は、大きく分けると「キッチン本体費用」と「設置工事費用」の2つに分かれます。

先ほど述べた通り、アイランドキッチンは他のキッチンタイプと比べるとコストはやや高い傾向があります。キッチン本体価格や工事費用について、見ていきましょう。

1-3-1. アイランドキッチン本体価格の相場

アイランドキッチンの本体価格は、100~200万円が相場です。そのため、アイランドキッチンへのリノベーションを考えている人は、最低でも100万円程度の予算は必要になります。

アイランドキッチンの本体価格に含まれる主な費用は、以下の通りです。

<本体価格に含まれるモノ>

  • ワークトップ(作業スペースの天板)
  • シンク(流し)
  • コンロ(調理機器)
  • 水栓(浄水器を含む)
  • レンジフード(換気扇)
  • 各収納(上部収納、下部収納)
  • 搬送と組み立て工事費用

「1-2-5.他のキッチンよりもコストがかかりやすい」でお話しした通り、アイランドキッチンはLDK空間の中央に位置し、キッチンとリビングダイニングを隔てる壁もないため、

  • ワークトップや各収納部分の化粧材で見た目に配慮した素材を選ぶ必要がある
  • アイランドキッチンならではのにおいや汚れを考慮した設備や対策が必要になる

以上のアイランドキッチンならではの理由から、本体価格自体がウォール型やペニンシュラ型よりも高くなっています。

ただし、LIXILやクリナップなどのシステムキッチンは、大きく分けると

  • シンプル:必要最低限の仕様が備わった商品
  • ベーシック:一般的に取り入れやすい設備を搭載した商品
  • ハイグレード:デザイン・性能・機能性に優れた高級感のある商品

以上の3つにランク分けされており、選ぶグレードによって価格帯も変わってきます。水栓やレンジフードなどの性能によっても金額に差が出るため、アイランドキッチン本体価格を抑えたいときは、商品のモデルやグレード、設備面を見直してみましょう。

1-3-2. アイランドキッチン工事費用の相場

アイランドキッチンのリノベーションでは、キッチン本体価格に加え、工事費用も必要です。工事費用は、工事の規模や範囲によって変わってきますが、約30~40万円が相場となっています。

その費用に含まれる主な工事は、以下の通りです。

<リノベーションにともなう主な工事費用>

  • 仮設工事(養生・工事後のクリーニング費用など)
  • 解体工事(既存キッチンの解体・撤去など)
  • 付帯工事(設置周辺の補修・補強工事など)
    木工事、電気工事、設備工事、内装工事

上記の工事費用に加え、現場管理費用や交通費などの諸費用が必要になるケースが一般的です。以下に、各工事の内容や費用相場をまとめているので、参考にしてください。

相場はあくまでも目安です。間取りやレイアウトを大きく変更する場合、相場以上の工事費用が掛かるケースもあるため、いくつかのリノベーション会社へ見積もりを取り、費用的に納得できる会社へ依頼するようにしましょう。

リノベーション会社を選び方については、「3. 憧れのアイランドキッチンを実現するリノベーション会社の種類と選び方」をご確認ください。

1-3-3. アイランドキッチンと他のキッチンとの費用相場の差

以下は、キッチン本体価格の費用相場をキッチンタイプ別にまとめたものです。

アイランドキッチンは、100~200万円が相場となっており、最もお手頃なウォール型の50~90万円と比べると最大で約4倍もの差があります。それぞれの金額に約30~40万円の工事費用がプラスされるとアイランドキッチンは最低でも130万円程度の予算を見ておく必要があるでしょう。

アイランドキッチンのリノベーション費用については、アイランドキッチンの価格について説明したこちらの記事で詳しく紹介しているので、気になる人はぜひチェックしてみてください。

1-4. アイランドキッチンへリノベーションする際の工事期間

実際にアイランドキッチンへリノベーションしようと思ったときに、気になるのが工事期間でしょう。

工事内容によっても変わってきますが、リノベーション会社への初回相談から引き渡しまでの期間は、約1~2か月が目安です。

以下に、相談から引き渡しまでの一般的な流れをまとめています。

「⑥本体交換・解体作業のみ」にあるように、キッチン本体だけを取り換えるだけであれば、工事期間は2~3日程度です。

壁紙や床の工事もともなう工事や、配管・配線工事などを行う必要があるレイアウトを大きく変更する「⑥+⑦ 床・壁紙変更」のケースでは、1~3週間ほどの期間が目安です。

キッチンタイプによる工事期間の差はほとんどありませんが、アイランドキッチンの場合、ウォール型やペニンシュラ型など、壁に接したキッチンから大きくレイアウト変更するケースが見られます。

レイアウト変更すると、どうしても移設工事が必要になるため、他のキッチンタイプと比べるとやや工事期間が長くなる傾向です。

完成目標の2か月前にはリノベーション会社への初回相談をスタートしておくようにしましょう。

1-5. LDK空間におけるアイランドキッチンのレイアウトタイプ

アイランドキッチンは、大きく「I型」と「Ⅱ型」「L型」に分けることができます。

それぞれの特徴について見ていきましょう。

1-5-1. コンロとシンクが横並びになった「I型」

コンロからシンクまでが横一直線に並んだ「I型」は最も一般的なレイアウトです。

◆メリット

  • どの作業をしていても視界にリビングダイニングが入ってくるため、家族や客人とコミュニケーションを図りやすい

◆デメリット

  • 間口サイズ(横幅)が長いため、広いスペースが必要
  • コンロからシンクまでの移動距離が長くなるため、Ⅱ型に比べると家事動線の効率が悪い

このことから、

◎間取りに制約がない
◎リビングダイニングとの対面を重視した利用シーン(ホームパーティーや料理教室など)を想定してい

以上にあてはまる人は、I型のアイランドキッチンがおすすめです。

間口サイズ(横幅)の確保が難しい状況でI型を採用すると、通路やキッチン本体のサイズを小さくしなければならず、使い勝手が悪くなってしまいます。横幅スペースの確保が難しい場合は、次に紹介するⅡ型のアイランドキッチンを検討しましょう。

1-5-2. コンロとシンクが分かれた「Ⅱ型」

「Ⅱ型」は、キッチン本体をコンロとシンクの機能ごとに分離させたセパレートタイプのキッチンです。

上の図のように、シンクとコンロが向き合うように設置されるのが一般的です。

◆メリット

  • 体の向きを変えるだけで効率的に作業できる
  • I型よりも間口サイズをコンパクトにできるので、間取りの制約があるケースでも設置しやすい
  • 2箇所にわけることで作業台のスペースが広くなる
  • コンロ台を壁側に配置すると、煙やにおい、油はねによる部屋の汚れを軽減できる

◆デメリット

  • 一部の作業時にリビングに背を向けることになる
  • I型よりも奥行(縦幅)が必要になる

このことから、

◎間口サイズ(横幅)を確保するのが難しい
◎効率的に調理したい
◎広い作業スペースがほしい
◎煙やにおい、油はね対策をしたい

以上にあてはまる人は、Ⅱ型のアイランドキッチンが向いています。

1-5-3. コンロとシンクが90度で向き合う「L型」

「L型」は、キッチン本体が「L」の形になっているタイプです。L型というと、一般的には壁に向かって据え付けられているイメージがありますが、L型のアイランドキッチンは、壁からも離れているのが特徴です。

◆メリット

  • シンクスペースとコンロスペースが近く動線が短い
  • 調理スペースがたっぷりと確保されて家事がはかどる
  • コンロスペースとダイニング・リビングに距離ができてにおいや音が軽減できる
  • ホームパーティなど複数での調理がしやすい
  • キッチン本体の収納が増える

◆デメリット

  • I型、Ⅱ型よりもキッチン全体の空間が必要になる
  • 設置するときにレイアウトが難しい

このことから、

◎効率的に調理したい
◎広い作業スペースがほしい
◎煙やにおい、油はね対策をしたい
◎収納量がほしい

以上にあてはまる人は、L型のアイランドキッチンが向いています。

アイランドキッチンへリノベーションする前に確認すべきチェックポイント

アイランドキッチンへリノベーションすることを決意したものの、「マンション住まいだけどアイランドキッチンリノベーションはできる?」「間取り的にアイランドキッチンはできるのだろうか?」「一戸建てだと動線が悪くならない?」という不安や悩みを抱えている人も多いと思います。

そこで、この章では住まいタイプ別に、アイランドキッチンへリノベーションする前に確認しておきたいチェックポイントを紹介します。

2-1. 戸建てにおけるアイランドキッチンリノベーション前のチェックポイント

戸建ての人がアイランドキッチンへリノベーションする場合、次の2つについて確認するようにしましょう。

①間取り変更の可否
②電気の供給量

戸建ては、マンションに比べるとキッチンリノベーションにおける自由度は高いですが、建物の構造的にできないこともあります。特に、キッチンリノベーション前には、お住いの基本構造について確認しておくことをおすすめします。

2-1-1. 間取り変更の可否

もともとの間取りが、キッチンとリビングダイニングが一続きとなったワンフロアであれば、キッチンを移設するだけですが、キッチンとダイニングそれぞれが部屋として独立しているなどの場合、壁を壊す必要があります。

下の写真は、独立型のキッチンの壁を壊しアイランドキッチンにした事例のビフォーアフターです。

しかし、戸建てでも構造によっては、間取り変更をともなうアイランドキッチンの設置は難しいことがあるため、

  • 手元にある設計図、建築確認申請書などの書類やハウスメーカーの商品名を確認する
  • 手元で確認できない場合は、リノベーション会社が行う無料の現地調査サービスなどを活用する

などの方法で、お住いの物件がリノベーションできる構造なのかを確認するようにしましょう。

木造や鉄骨造の場合は間取りの制約が少なく、壁を取り外しての間取り変更をできるケースが多いですが、以下に該当する場合は、耐震性などの関係で壁を壊したり、位置を動かしたりできないことがあります。

【間取り変更が難しい構造】

  • 壁全体で支えるタイプ(2×4工法、枠組壁工法など)
  • コンクリート系の建築工法(例えば、梁や壁で支える鉄筋コンクリート造壁式構造など)

【確認ポイント①】

  • 設計図:設計図の端などにある「構造」に関する記載が上記にあてはまるか
  • 建築確認申請書:建築確認申請書の「構造」の項目が上記にあてはまるか
  • ハウスメーカーの商品名:各商品のカタログに記載された「構造」が上記にあてはまるか

 <建築確認申請書とは>
建築確認申請書とは、住宅の新築や増築時に家主が受けるもので、建築基準法や自治体などが定める各種条例に沿って建物が建てられているかを審査するための書類です。申請書は正本と副本の2部を作成し、正本を自治体もしくは民間の検査機関へ、副本は完成時に建築会社から建築主へ引き渡されます。

書類には、工事種別(新築や改築など)や床面積など、建築物に関する情報が記されています。その中にある「構造」の項目を見ることで、お住いの物件の構造を把握できます。

2-1-2. 電気の供給量

アイランドキッチンへリノベーションするタイミングで、ガスコンロからIHクッキングヒーターへ変更したり、新しく食器洗い乾燥機などを導入したりする場合、電気容量的に問題がないかもチェックしておきましょう。

ガスからIHクッキングヒーターへ変えた場合に必要になる電力量の目安は以下の通りです。

IHクッキングヒーター(200V):20~30A(最大使用時58A)

※1A(アンペア)は100W、10Aは1,000W(1kW)とお考え下さい。

参考:東京電力ホールディングス株式会社「主な電気機器のアンペアの目安」

電気の供給量については、

【確認ポイント②】

  • 分電盤(それぞれの部屋へ電気を分配している機械)
  • 毎月の検針票(電気ご使用量のお知らせ)

で確認できます。アイランドキッチンへリノベーションするにあたり、新たに電力を必要とする機器を採用する場合は、電力量に見合った契約アンペア数になっているかを確認しましょう。

電気の供給量が不足する場合は、幹線(引き込み線)の対応が必要になります。

2-2.マンションにおけるアイランドキッチンのリノベーション前チェックポイント

マンション住まいの人は、アイランドキッチンへのリノベーションする前に次の4つの項目を確認しましょう。

  1. リノベーション可能範囲
  2. 配管の位置や構造
  3. 間取り変更の可否
  4. 電気の供給量

マンションは他の住戸へもあり、戸建てよりも自由度が低い傾向です。マンションによってできること、できないことも大きく変わってくるため、これから紹介する項目は、リノベーションを検討を始めた段階で早めに確認しましょう。

2-2-1. リノベーション可能範囲

マンションには共用部分と専有部分があります。住戸(住居)内は、ほとんどが専有部分です。

購入したマンションの専有部分は所有者の所有物となるため、原則的にリノベーションが可能です。

ただし、防音性や耐震性の問題から専有部分のリノベーションや間取り変更に制約が設けられていたり、リノベーションの材質が決められていたりすることがあります。

後々のトラブルを防ぐためにも、リノベーション前に必ず

  • マンションの管理規約
  • リノベーション可能範囲

を確認しましょう。

【確認ポイント①】

  • マンションの管理規約:アイランドキッチンへリノベーションする際に申請が必要か(床の張り替えを行う場合など)、間取り変更、材料の制約はないか
  • リノベーション可能範囲:専有部分の工事が可能か、共用部分の工事がある場合は可能か

リノベーション前によく確認し、分からないことがあれば管理会社などへ問い合わせるようにしましょう。

2-2-2. 配管の位置や構造

キッチンの移設が必要な場合、配置場所に合わせて排水管やダクトを設置することになります。

排水管を移設するには基本的に床下スペースが必要になるのですが、マンションの構造によっては床下すぐにコンクリートが敷き詰められていたり、排水管が壁に固定されたりして移設するのが難しいケースがあります。

マンションの配管構造は大きく分けると3種類あります。

床下に配管用のスペースが設けられているケース1は、アイランドキッチンの設置における制約はほとんどありませんが、ほかの2つのケースでは配管の位置変更が難しい場合があります。

以下を確認しましょう。

【確認ポイント②】

  • 手元にある竣工図(しゅんこうず)で配管の位置や構造を確認する
  • 手元にない場合はマンションを管理する不動産会社へ問い合わせる

 ※竣工図とは

竣工図とは、完成した建物の構造や配線などを正確に記した図面です。竣工図では、実際の工事中に発生した設計変更なども反映されているため、配管の位置などを正確に把握することができます。

竣工図には複数の種類がありますが、配管については、一般的に以下の図面に記載されているケースが多く見られます。

  • 平面図:間取りを示した図面
  • 断面図:建物を縦切りし、高さ関係などを示した図面
  • 設備図:電気系統や機械系統の配線などを示した図面

万が一、以下の2つのケースにあてはまる場合は対策、検討が必要です。

◎ケース2:床下に配管があり、コンクリートで固められている

床を上げて配管用のスペースを作ります。ただし、床を上げれば、その分天井高が低くなるため、注意が必要です。

せっかく開放感のあるアイランドキッチンを採用しても、窮屈に感じてしまう可能性があるので、床を上げる必要がある場合は、完成後の天井高がどれくらいになるのかを踏まえてアイランドキッチンにするかどうか検討するようにしましょう。

◎ケース3:配管が壁に直結している

キッチンシンクなどで利用するための排水管が壁に固定されるため、アイランドキッチンの設置が難しい状況です。

Ⅱ型のアイランドキッチンを採用し、シンクの位置はそのままに、コンロ台をアイランド型にするなどのレイアウトを検討しましょう。

2-2-3. 間取り変更の可否

戸建て同様、マンションも構造上の問題で壁を取り外しが難しいケースがあります。リノベーションのプランを相談する際に、

  • 竣工図
  • マンション管理規約

などを確認するようにしましょう。

柱と梁で支える構造(ラーメン構造)は、壁の取り壊しに関する制限が少ないですが、床・天井・壁の3つで建物を支えるような構造(壁式構造)の場合は、壁を取り壊せないケースがあります。

【確認ポイント③】

  • 竣工図:構造が上記にあてはるか
  • マンション管理規約:構造が上記にあてはまるか
  • マンション管理規約:リノベーション可能範囲(壁の取り壊し可否など)の指定があるか

壁を取り外さないとアイランドキッチンが設置できないようなケースでは、Ⅱ型や小さめの間取りサイズを検討しましょう。

2-2-4. 電気の供給量

マンションの場合、各住戸に供給する電気容量が決められていることもあるため、電気供給量の変更ができないケースがあります。

マンションの建物全体における電気供給量に余裕がなければ、契約アンペア数は増やせないため、アイランドキッチンへリノベーションする際に、

  • ガスコンロからIHクッキングヒーターへ変更する
  • 食器洗い乾燥機を採用する

といったケースでは、まず電気の供給量的に問題ないかを確認するようにしましょう。

電気の供給量については、「2-1. 戸建てにおけるアイランドキッチンリノベーション前のチェックポイント」でもお話しした通り、以下で確認できます。

【確認ポイント④】

  • 分電盤(それぞれの部屋へ電気を分配している機械)
  • 毎月の検針票(電気ご使用量のお知らせ)

ガスからIHクッキングヒーターへ変えた場合に必要になる電力量の目安は以下の通りです。

IHクッキングヒーター(200V):20~30A(最大使用時58A)

※1A(アンペア)は100W、10Aは1,000W(1kW)とお考え下さい。

参考:東京電力ホールディングス株式会社「主な電気機器のアンペアの目安」

現在の契約アンペア数を確認し、電気供給量が不足しているのであれば、契約アンペア数のアップが可能かを不動産会社に問い合わせるようにしましょう。

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リノベーション会社の選び方と信頼できる業者を見極めるためのチェックポイント

ここまで紹介したアイランドキッチンのメリット・デメリットやリノベーション前のチェックポイントを踏まえ、「アイランドキッチンへリノベーションしよう!」と意思が固まったら、次は憧れのアイランドキッチンを実現するためのリノベーション会社を選びましょう。

ただ、リノベーション会社と言っても種類はさまざまで、何を基準に選ぶべきか分からないという人も多いでしょう。

リノベーション会社選びにおいて、まず知っておきたいのが種類です。以下に、アイランドキッチンのリノベーションに対応している主な会社の種類をまとめています。

採用する会社によって得意・不得意も変わってくるので、種類を把握して自分が求める理想を実現してくれる会社を選ぶことがポイントとなってきます。

そこで、この章では、ここまで紹介したリノベーション会社の中から実際にアイランドキッチンリノベーションを依頼する会社の選び方と信頼できる会社を見極めるためのチェックポイントを解説します。

なお、リノベーション会社の種類については、別記事「リノベーション会社はコンセプトと質が大事!選び方のポイントを解説」で詳しく紹介しています。会社についてもう少し詳しく知りたいという人は、ぜひチェックしてください。

3-1. アイランドキッチンのリノベーション会社の選び方

まずは、実際にキッチンリノベーションを依頼する会社を決めるまでの一般的な流れについて見ていきましょう。

3-1-1. ①目的・イメージを決定する

アイランドキッチンへリノベーションする目的や実現したいアイランドキッチンのイメージは、リノベーション会社選びの決め手となる非常に重要な要素です。

アイランドキッチンのリノベーションを依頼する会社を選ぶ際、「自身のリノベーションの目的と会社の得意分野が一致しているか」が最終的な決め手となります。

自分の中で目的やイメージが定まっていなければ、会社を判断する基準がぶれてしまいますが、指針となる目的やイメージがはっきりとしていれば、複数の候補があっても自分の目的やイメージに合う会社を厳選することができます。

3-1-2. ②リノベーション予算を設定する

無理のない資金計画を立て、それに見合う会社を選ぶためには、リノベーション予算の設定が欠かせません。

なぜなら、自分が決定した目的やイメージに合う会社が見つかっても、予算オーバーでは、将来の教育資金、老後資金などにまでしわ寄せがきてしまう場合があるからです。

「1-3. アイランドキッチンへリノベーションする場合の費用相場」で触れたとおり、アイランドキッチンは他のキッチンタイプと比べるとキッチン本体価格が高くなる傾向があります。

リノベーション内容、予算を決めずに話を進めてしまうと、後から設備や機能を追加することになり、余計なコストがかかってしまっている可能性もあります。

費用面において冷静な判断ができるよう、目的やイメージを決定した段階で費用を検討し、リノベーション予算の上限を設定しておくようにしましょう。

3-1-3. ③複数社で見積もりを取る

リノベーション費用が妥当かどうか、自分のケースの費用相場などを把握するためにも、複数のリノベーション会社へ費用の見積もりを依頼しましょう。

「1-3. アイランドキッチンへリノベーションする場合の費用相場」で、アイランドキッチンへリノベーションする場合の費用相場は、約130~240万円とお話ししました。しかし、金額はあくまでも目安です。1社しか見積もりを取っていなければ、妥当な金額なのかを判断できませんよね。

複数社に見積もり依頼しておけば比較検討ができ、極端に高い会社や低い会社を見つけることもできます。各社の見積もり内容の違いから、本当に必要な設備や機能かどうかなどを見直すきっかけにもなるので、最低でも3社程度は見積もりを取ることをおすすめします。

3-1-4. ④リノベーション会社を決定する

ここまで紹介した「目的・イメージを決定する」「予算を設定する」「複数社で見積もりを取る」の3つを踏まえ、リノベーション会社を決定していきます。

目的によって選ぶべきリノベーション会社が違ってきますが、例えば、アイランドキッチンのある空間デザインを重視したいのであれば、デザイン力が高い建築事務所や設計事務所でもあるオールワンストップのリノベーション会社がおすすめです。

配置換えなどの大がかりな工事が見込まれるようなケースでは、施工実績の多いリノベーション専門会社や地方工務店を選んでおくと無難です。

信頼できるリノベーション会社かどうかの見極め方については、この後お話しします。

3-2 会社の信頼性を見極める5つのチェックポイント・注意点

理想とするアイランドキッチンを実現できるかは、リノベーション会社選びで左右されると言っても過言ではありません。そのため、以下の5つのチェックポイントを確認し、信頼できるリノベーション会社を選ぶことが大切です。

3-2-1. ①プランの提案が具体的か

プランの提案内容が的確で、どのような質問にも具体的に答えてくれる会社は、リノベーションに関する知識が豊富で信頼して任せられる会社だと言えます。また、追加工事が発生する可能性など、不測の事態に備えた情報もきちんと説明してくれる会社も安心感があります。

理想を叶えるため、自分の要望はしっかりと聞いてほしいものですが、要望を聞き入れるだけで工事を進めてしまうリノベーション会社には要注意です。経験豊富なプロが見れば、一部には受け入れるべきではない要望もあるものだからです。

「よりよいアイランドキッチンを!」と考えているのであれば、要望通りのプランを提案する会社よりも、状況に応じて「AのケースではプランBのほうが安心です」など、プロの経験を活かした助言をしてくれる会社を選ぶようにしましょう。

3-2-2. ②費用と品質のバランスは問題ないか

他のキッチンと比べると、キッチン本体の価格がやや高額なアイランドキッチン。リノベーションする人にとっては、費用は安いほどうれしいものですが、あまりにも安いリノベーション会社には注意しましょう。

極端に費用が安いケースの中には、コストを抑えるために手抜き工事をしていたり、あえて安い見積もりを伝えて追加工事と称して後から高額な費用を請求してきたりする悪質なケースがあります。

安いものには理由があります。価格だけで決めるのではなく、複数社の見積もり書の内容を比較し、費用と品質のバランスがよいリノベーション会社を選ぶことをおすすめします。

3-2-3. ③担当者の対応は適切で相性が良いか

スムーズかつ理想のキッチンを実現するためには、担当者の対応や相性にも注目しましょう。

アイランドキッチンは、素材選びやデザイン、設置位置など、打ち合わせしなければならないことがたくさんあります。

特に、アイランドキッチンに採用するシステムやデザインなどを話し合う際、担当者と意思疎通ができていなければ、要望を伝えにくくなりますよね。具体的なイメージのすり合わせができていないと、完成後に「思っていた仕上がりと違う」という事態を招きかねません。

また、「1-4. アイランドキッチンへリノベーションする際の工事期間」でも触れた通り、アイランドキッチンのリノベーションは、相談から取付工事までで約2週間~1か月、解体工事から引き回しまでに約2日~3週間かかります。

長い期間、担当者とやり取りする必要もあるため、信頼できるリノベーション会社選びについては、担当者の対応や相性も考慮することをおすすめします。

3-2-4. ④アフターフォローや保証内容が充実しているか

アイランドキッチンのリノベーションは決して安くないため、万が一に備えた保証やアフターケアなどに対応しているリノベーション会社は安心感や信頼感があります。

リノベーション会社にもよりますが、例えば、

【保証事例】

  • 設備に対する保証(一般的には1~2年だが、10年保証を標準とするケースもある)
  • 24時間電話サポート(日常生活における万が一のトラブルも専門サポートデスクが24時間対応)
  • 無償の定期点検、定期診断の実施

以上のようなアフターフォローや保証内容などがあります。

保証が付くことで費用が多少高くなってしまう場合があるため、予算に余裕がある際に検討したいものですが、施工後に万が一トラブルが発生しても迅速に対応してくれるので、リノベーション会社選びの際には注目したいポイントです。

アフターフォローや保証がある場合は、

  • 万一のトラブルや不具合に対する保証期間
  • 修理などが必要だった場合の無償、有償の範囲

を確認するようにしましょう。

3-2-5. ⑤リノベーションや建築に関する業界団体に加入しているか

リノベーションや建築関連の業界団体に加入しているリノベーション会社は、業界団体に加入するための一定の基準をクリアしていることから、質の高い工事を提供していると考えられます。

例えば、

  • リノベーション住宅推進協議会
  • 住宅推進協議会
  • 日本住宅産業リノベーション協会

といった業界団体があげられます。

ただし、業界団体に加入しているリノベーション会社がすべてではありません。未加入の会社の中にも優良企業は存在しているため、あくまでもリノベーション会社選びのひとつの参考程度に考えるようにしましょう。

アイランドキッチンをスタイリッシュでオシャレな雰囲気にするコツ

この章では、アイランドキッチンを住空間の中でスタイリッシュに魅せるポイントをご紹介します。

  • 調理台の下と後ろの壁が重要な収納スペース
  • 見せる収納と目隠しを工夫する
  • 生活感の出にくいデザインにする

一つずつ、詳しく紹介していきます。

4-1.調理台の下と後ろの壁に十分な収納スペースをつくる


アイランドキッチンをオシャレな雰囲気にするには、余計なものをキッチンの上に出さないことがポイントです。本体の調理台の下の収納スペースが広いキッチンを選ぶことで、使った調理器具をすぐに収納することができます。

キッチンストレージを利用して高低差をなくし、整理整頓しながら収納量をアップさせる工夫をしましょう。少しの工夫で想像以上に収納量がかわります。

背面の壁にカップホードを設置して、使う頻度ごとにキッチン本体側に収納するものと、カップボード側に収納するもので分けると効率的に作業ができるでしょう。カトラリーなどを収納しやすく取り出しやすいようにすると家事効率もアップします。背面の壁収納次第で、収納量も大きく変わります。

キッチンのリノベーションと併せて、パントリーの造作もおすすめです。

普段使わない調理器具や買い置きの食品などをストックすることができ、収納力がUPします。キッチンまわりの雑多なものをパントリー収納が納めてくれます。

4-2.見せる収納と目隠しを工夫する


こだわりの調理器具や頻繁に使う器具は、リノベーションであえて「オシャレに見せる」ことでデザインと作業効率を両立できます。色やデザインを統一する、吊るしてお店のようにディスプレイするなど陳列も工夫してみましょう。

「オシャレなディスプレイに自信がない」という方には、隠してしまうのもおすすめです。のれんやパーティションで普段使いのものを見えなくしてしまったり、棚の上に統一された箱を並べて、細かいものは中に収納したり、雰囲気を壊さないキッチンの使い方もあります。

キッチンの作業台を隠したい場合は、手元を隠せるように壁を20cmほど立ち上げるのもよいでしょう。隠しすぎるとアイランドキッチンのオープンな雰囲気が半減してしまいますから、どの程度隠れてもよいのか事前に検討することが大切です。

4-3.生活感の出にくいデザインのキッチンを選ぶ

アイランドキッチンを置き家具のようにインテリアの一部となるようなデザインにすれば、生活感を感じさせず空間と一体となったオシャレなキッチンまわりになります。

どんなデザインがよいかは、住まいのスタイルにもよりますが、ステンレス製のキッチンならシャープでキリリとした印象のインテリアになりますし、生活感は出にくいでしょう。

キッチン本体とともに背面収納なども統一してデザインすれば、よりスタイリッシュな空間になります。さまざまなインテリア家具とも馴染みやすい白、黒、灰色を基調とすることで、人気の高いシンプルモダンなキッチンスタイルになります。

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友人にも自慢できる!アイランドキッチンリノベーションの成功実例4選

これまでアイランドキッチンへリノベーションする際に知っておきたい基礎知識やリノベーション前のチェックポイントを紹介し、実際にリノベーションを依頼する会社の選び方、見極め方を紹介しました。

アイランドキッチンのリノベーションについて理解が深まり、自分に合った信頼できるリノベーション会社を見つける方法についてもイメージできるようになったと思います。

ここからは、実際にアイランドキッチンへリノベーションした4つの成功事例を紹介していきます。

「どのようなアイランドキッチンへリノベーションしようか」
「どのようなレイアウトにすると使い心地がよいのか」

そんな疑問のヒントを見つけ、アイランドキッチンのある暮らしを具体的にイメージする手助けになれば幸いです。

5-1. LDK空間を広げることでアイランドキッチンを採用した2つの事例

これから紹介する2つの事例は、間取りやレイアウトを大きく変更している事例です。

「子どもが大きくなって必要な部屋数が減った」「LDKを中心とした暮らしを叶えたい」など、ライフスタイルに合わせたアイランドキッチンリノベーションを考えている人に向いています。

5-1-1. 部屋の壁を取り払ったLDK空間にアイランドキッチンを実現した事例

こちらの事例は、もともと部屋だった部分の壁を取り払い、広々としたLDK空間にリノベーションすることでアイランドキッチンを採用した事例です。

◎間取り

もともとのLDK空間では、I型とⅡ型いずれのアイランドキッチンも設置が難しいですが、空間を広げることでスペースの問題を解消。広がったLDK空間の中央にI型のアイランドキッチンを配置しています。

◎デザイン
アイランドキッチン本体の背面に設けた立ち上がりの壁にブルータイルを設置。存在感の出やすいアイランドキッチンですが、さわやかなブルーを基調としたデザインを採用することで、LDK空間におけるインテリアのひとつとして空間に上手になじませています。

◎収納
壁面にアイランドキッチンではあまり見かけない吊戸棚を設置して収納を確保。棚の大きさを小さめにし、ブルーの補色(反対色)にあたるイエローカラーにすることで、明るさをプラスし、棚の圧迫感をやわらげています。吊戸棚を設けたいという人は、この事例の大きさや色みをぜひ参考にしてみてください。

詳しい間取りやレイアウトはこちらをチェックしてください!

▶施工事例:お酒とパーティーと優雅な暮らし〈東京都〉63㎡

5-1-2. 部屋の仕切りをなくしてキッチンの位置を大きく変更した事例

こちらの事例も、隣接する部屋をなくしてLDK空間を広げ、ウォール型のキッチンをアイランドキッチンへ変更しています。

◎間取り

48㎡というコンパクトなおうちでも、ベッドルーム以外を1つの部屋にしてしまうことで広々としたLDK空間を実現できるので、その空間のメインにアイランドキッチンを配置しても圧迫感はありません。

また、間取りを大きく変えることで窓の近くにアイランドキッチンを持ってくることができたところもこの事例のポイントです。以前の間取りは閉鎖的な空間でしたが、窓がある空間へキッチンを移設することで明るさも確保でき、アイランドキッチンの特徴である開放感をより魅力的に見せています。

◎デザイン
この事例では、システムキッチンではなく、オーダーメイドのアイランドキッチンを採用。コンロやシンク下の収納もない、シンプルなデザインにすることで、こだわりのキッチンを実現しながらもコストを抑えています。

リビングダイニングから丸見えになるので、整理整頓や掃除は欠かせませんが、こだわりのアイランドキッチンへリノベーションしたいと考えている人は、参考にした事例ですね。

詳しい間取りやレイアウトはこちらをチェックしてください!

▶施工事例:コンパクトアーバンハウス〈東京〉 48㎡

5-2. アイランドキッチンの回遊性を活かした家事動線と収納アイデアが参考になる事例

アイランドキッチンの回遊性を活かした間取りへリノベーションした事例です。

◎間取り

ペニンシュラ型をアイランド型へリノベーションしていますが、キッチンの位置自体はほとんど変わっていません。もともとのLDKの広さを活かし、リビングダイニングと向き合う位置にアイランドキッチンを配置しています。

◎デザイン
白を基調とした空間に合わせ、オーダーメイドのアイランドキッチンを採用。奥行のあるワークトップを採用し、コンロの奥側に透明のパネルを設置することで、油はねや水はねによる部屋の汚れを防いでいます。フルフラットのアイランドキッチンを考えている人は、とても参考になるマネしたい対策ですね。

◎収納
アイランドキッチンの開放感を損ねないよう、収納棚はシンプルなデザインで統一。リビングダイニングから見える部分は、見せる収納を採用しています。また、キッチンの隣に壁のあるスペースを設けることで、収納不足をカバー。生活感の出やすい冷蔵庫をその中に配置すれば、アイランドキッチンのおしゃれな印象も邪魔しません。

詳しい間取りやレイアウトはこちらをチェックしてください!

▶施工事例:キューブと団らん〈東京〉 78㎡

5-3. キッチンの位置を動かせない人がマネしたい床下に段差を設けた事例

こちらの事例は、キッチンの位置自体は大きく変えず、Ⅱ型アイランドキッチンや床上げをすることで間取りの制約をクリアした事例です。

◎間取り

間取り図を比べてみれば分かる通り、キッチンの位置はほぼ同じ場所にあります。

「2-2. マンションにおけるアイランドキッチンリノベーション前のチェックポイント」でも触れた通り、マンションの場合は、アイランドキッチンにしようと思っても、ダクトや排水管の位置などを動かせないケースがあります。そのような場合には、この事例のようにⅡ型のアイランドキッチンや、キッチン下の床を上げることで排水管の問題をクリアできます。

この事例では、より開放感のある空間にするため、隣接する部屋の壁を取り除いていますが、もともと広さのあるLDK空間であれば、キッチンのリノベーションだけでも充分です。特に、コンパクトなⅡ型を採用すれば、圧迫感を和らげつつ、憧れのアイランドキッチンを実現できるでしょう。

詳しい間取りやレイアウトはこちらをチェックしてください!

▶施工事例:CAMP HOUSE〈埼玉県〉72㎡

まとめ

いかがでしたでしょうか?

漠然としていたアイランドキッチンのリノベーションが、具体的にイメージできるようになったと思います。

それでは最後にもう一度アイランドキッチンのリノベーションについておさらいしていきましょう。

◎アイランドキッチンにリノベーションすることで得られるメリットは、次の5つです。

◎アイランドキッチンにリノベーションすることで生じるデメリットは、次の5つです。

メリットだけでなく、デメリットも理解した上で、アイランドキッチンのリノベーションを検討することが大切です。

◎アイランドキッチンリノベーションの工事期間の目安は以下の通りです。

最低でも2週間、長いと2か月程度かかるため、「いつまでに」という目標があるのであれば、その日から逆算して早めに行動するようにしましょう。

◎リノベーション会社は、以下の手順で選んでいきます。

特に、「①目的・イメージを決定する」「②リノベーション予算の設定する」は、最終的にリノベーション会社を決定したり、資金計画を立てたりする上で重要になるため、よく検討しておきましょう。

◎信頼できるリノベーション会社を見極めるチェックポイントは5つあります。

本記事を参考に、アイランドキッチンのリノベーションを検討すれば、きっと理想的なアイランドキッチンのある暮らしやそれを叶えてくれる会社が見つかるはずです。

なお、ゼロリノベではリノベーション用の物件探しから、リノベーションプランのご提案、施工からアフターフォローまでオールワンストップで行っています。リノベーションにありがちな大幅な予算オーバーを防ぐため、最適で明瞭なわかりやすい料金プランをご用意しています。

追加予算を心配しながら工事を進める必要がないため、自分たちの希望を設計者に素直に伝えることができます。数々のリノベーション物件を経験してきた確かな技術力で、デザインも機能も充実した付加価値のあるリノベーションをご提案します。リノベーションを検討されている方はぜひお気軽にご相談ください。

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