2023.04.28 更新

中古マンションの内覧は変えられない部分を確認すべき!66チェックリスト付き

中古マンションの内見箇所

「家は高い買い物だから絶対に失敗したくない」
「売主・不動産屋にどこまで聞いていいものか分からない」
「欠点を見逃して住んでから後悔したくない」

みなさんも、こんな風に不安を感じてはいませんか?

人生最大の買い物なだけに確認不足があるのではないかと不安になるのは当然です。しかし、インターネットで検索しても「壁紙の汚れを確認しよう」「日当たりを確認しよう」などすぐに思いつく内容ばかりで不安を払拭できません。

あなたが本当に知りたいことは、「自分では気づけなかったり、売りたい営業担当が隠したがるポイント」だと思います。

そこで本記事では「中古マンションの内覧で後悔しないための66チェックポイント(PDFあり)」を中心に、以下の内容についても解説していきます。

  • 中古マンション内覧の時間・回数・持ち物
  • 居住中物件の内覧で交渉を有利するコツ(注意点・服装・手土産)

なお、今回は内覧時に焦点を当てているため、中古マンション購入の全体を知りたい場合は次の記事をご覧ください。

関連:【図解】中古マンション購入の流れ8ステップと必要書類・お金一覧
関連:中古物件に暮らす仲介のプロ秘伝の中古マンション注意点209個
関連:中古マンションリノベーション!賢い住宅予算でオシャレに暮らす

Advisor

一級建築士 アドバイザー 西村 一宏

[監修]一級建築士

西村 一宏

リノベーション・オブ・ザ・イヤーを受賞した設計・施工部門の責任者としてゼロリノベ建築を担う。著者の詳しいプロフィール

Author

“【著者】ゼロリノベ編集部"

[著者]

ゼロリノベ編集部

元銀行員・宅地建物取引士・一級建築士が在籍して「住宅ローンサポート・不動産仲介・リノベーション設計・施工」をワンストップで手がけるゼロリノベ(株式会社groove agent)。著者の詳しいプロフィール



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中古マンションの内覧は「個人で変えられない部分」を主に確認すべき

変えられない部分

  • 建物の構造(耐震性)
  • コンクリートの状況(耐久性)
  • 住んでいる人(隣人)
  • 管理や修繕積立金の計画
  • 眺望や周辺環境…etc

変えられる部分

  • 室内(専有部分)

買ってから後悔しないマンションを選ぶには、「変えられない部分」に注目しましょう。なぜなら、内装などの「変えられる部分」は、最悪お金で解決できるからです。

しかし「変えられない部分」は、個人でいくら頑張ってもどうにもなりません。

事実、中古マンションを購入して後悔する人はパターンが決まっています。購入時(内見時)に室内の設備や間取りなど「変えられる部分」に惚れて購入を決断して「個人で変えられない部分」を見ていないパターンです。

この場合、”100年も耐えられない建物だった” ”修繕積立金が高額になった”…など、あとで後悔することになるので要注意です。

つまり、マンションを購入(内覧)する際は、見た目の綺麗さや見える部分だけで判断しないことがポイントです。特に新しめのマンションは綺麗さに目を奪われがちですが、これもあと20年もすれば、普通の中古マンションなのですから。

よって、大切なのは「個人では変えられない部分」です。

さっそく次章では、中古マンションの内覧時にチェックすべき「変えられない部分」をご紹介します。

なお、後悔しない中古マンション購入については以下の記事もあわせてご覧ください。
関連:中古マンション購入における後悔を防ぐための「4つの失敗事例」を紹介している記事

【変えられない部分】中古マンション内覧チェックリスト48

お金では解決できない「変えれられない部分」を内覧時に確認しましょう。なぜなら、住み始めてから欠点が発覚したところで個人では対処できないからです。一方で「変えられる部分」は最悪お金で解決できます。

そのため、内覧の際は「変えられない部分」をしっかり調査するようにしましょう。

また、「変えれられない部分」は素人では見極められないポイントだったり、プロでなければ調査できないポイントも多いものです。頼れる不動産仲介の担当者を味方につけて、協力しながら確認していくのが賢いやり方です。

中古マンションの内見箇所(個人で変えられない部分1)

中古マンションの内見箇所(個人で変えられない部分2)

チェックすべき「変えられない部分」は、次の6グループに分けられます。

  1. 建物の耐久性
  2. 環境の安心性
  3. 管理の状況
  4. 改修性
  5. 居住性
  6. 売却の理由

それぞれ見ていきましょう。

1-1.建物の耐久性

外壁に大きく目立つひび割れはないか?

亀裂やひび割れを「クラック」と呼びます。ひび割れが塗膜やコンクリート表面に留まっている浅い「ヘアークラック」であれば、上から塗装するのみで塞がれるため問題ありません。

ひび割れがコンクリートや外壁下地材の深部に及ぶ「構造クラック」の場合は、修繕計画があるかの確認をおすすめします。

内部鉄筋が露出していないか?

躯体内の鉄筋にサビが発生することで鉄筋の体積が膨張し、鉄筋周辺のコンクリート片が押し出される現象です。サビた鉄筋は、躯体強度の低下に繋がり、耐震性の低下にもつながります。どのような修繕計画があるかの確認が必要です。

赤サビが流れ出た箇所がないか?

何らかの原因により躯体に雨水が入ってしまい、水分が内部の鉄部をサビさせることでその錆水の出口になっています。雨水の入口を散水などで確かめる必要があり、その入口部の防水処理が必要です。この場合は、修繕計画の有無を確認しましょう。

バルコニーの手すりや非常階段などの鉄部がサビていたり、ぼろぼろになっていないか?

マンションの各鉄部は、材質によって錆の度合いは異なるものですが、錆を防止し部材を長持ちさせるためには適切な塗装が必要です。また、美観を維持・回復させてマンションの資産価値を保護する目的もあります。

目立つようなサビが散見される場合は修繕計画の有無を確認しましょう。

1981年6月以降に建築確認を受けた物件か?

昭和56年(1981)6月1日から適用されている耐震基準を「新耐震基準」と呼び、それ以前を「旧耐震基準」と呼びます。新耐震基準を満たしていないからといってはじくのは早計です。

東日本大震災のマンションの被害をまとめた、東京カンテイのデータによると、新耐震と旧耐震での倒壊の比率はほぼ変わらないという結論でくくられています。しかし客観的データがそうであったとしても、感情的に心配な方はチェックしておくと良いでしょう。

1階が駐車場(ピロティ)ではないか?

主に2階以上の建物において、1階部分全体、または一部分を柱のみとして上階の重みを支えた建築における、柱のみの部分をピロティと呼びます。一般的にピロティ部分は駐車場などとして活用されます。

ピロティ部分には壁がないため、耐震の面において他のマンションより少し弱いとされていますが、決してダメなわけではありません。他と比較して弱いだけです。とはいえ、耐震が最重要な人は確認項目の1つです。

1-2.セキュリティの安心性

【防犯面】住人同士のつながりはあるか?

住民同士が挨拶をし合っているかも重要な確認ポイントです。なぜなら、防犯面において、住民同志の関係性はオートロック有無よりも実はセキュリティに大きな影響を及ぼすからです。

警視庁の調べでも、犯罪者が犯罪を諦めるのは住民の目であったり、住民から声を掛けられたことなどが要因となるとのこと。情報交換が活発かどうか、掲示板等をチェックすると良いでしょう。

【防犯面】バルコニーは侵入されやすい位置にないか?防止措置を行えるか?

窓からの侵入は、マンションの場合はベランダ(バルコニー)から入られるケースが多くなります。

したがって、ベランダが周りからよく見えるマンションは狙われにくい傾向が高いといえます。逆に死角が多く、ベランダなどが見えづらい物件は要注意です。夜間の照明が暗すぎないかもチェックしましょう。また、防犯グッズで対応できることも多いので確認することをおすすめします。

【防犯面】ドアの防犯性能(二重鍵やチェーン)は?鍵の取り替えはできるか?

昔からあるギザギザの溝が刻まれた「ディスクシリンダー」などはピッキングで破られる危険性が高くなります。それに対し、最近主流の「ディンプルキー」と呼ばれる鍵は耐ピッキング性能が高く、メーカー名と番号さえ知られなければ複製されにくいという利点もあります。

現状が「ディスクシリンダー」の場合は、引っ越ししたらそのタイミングで鍵を交換できるのかを確認しましょう。

【防犯面】エレベーター、エレベーターホールに防犯カメラは設置されているか?

防犯カメラが設置されているか確認しましょう。なぜなら、犯罪の抑止力になるからです。もちろん防犯カメラがないからダメなマンションなわけでもありません。

しかし、その場合は、住人同士のつながりがあるマンションの方が住人の目があるので空き巣などの防止につながります。

セキュリティについて詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
関連:警視庁データで見るマンション購入注意点と防犯対策&グッズについて解説している記事

1-3.建物管理の状況

エントランスや階段など共用部分の清掃状況は確認したか?

清掃状況は管理意識のバロメーターです。マンション内にゴミが落ちていないか、階段に落書きなどがないか、管理スタッフの勤務形態はどうなっているか等々を確認しましょう。

集合ポストは整理整頓されているか?

集合ポストを見たときに、チラシが溜まっているポストが多い、チラシが床に落ちているか、を確認することでマンションの管理レベルをチェックできます。

より管理が行き届いているマンションは、ポスティング禁止等もが徹底されており、不要なチラシを捨てる場所も用意されているため、溜まっていたり散らかったりということがありません。

ゴミ置き場は整理整頓されているか?

ゴミ置き場の状況は、マンションの管理状況はもちろん、そのマンションに住む「住人のマナー」を確認しやすい部分です。

掃除が行き届いているかどうか、ゴミ出しのマナーが守られているかどうか、ゴミカレンダー等の掲示物があるかどうかを確認しておくべきです。

自転車置き場・駐車場は整理整頓されているか?

駐輪場と駐車場は、ゴミ置き場と同様に、マンションの管理状況と住人の特徴を確認しやすい部分です。

自転車や車の利用を考えていない場合でも、掃除が行き届いているかどうか、駐輪・駐車のマナーが守られているかどうか、使っていないような自転車が放置されていないかどうかを確認しておくと良いでしょう。

廊下や階段の電気など壊れたままのものはないか?

共用部分の電気が壊れていたり、電球が切れていたりが散見するマンションは注意が必要です。なぜなら、管理意識のバロメーターの1つだからです。電球が切れているのにそのままという状況は管理意識が低いと言えます。

掲示板に古い掲示物が貼りっぱなしではないか?

掲示板なども、管理のバロメーターになります。掲示板に騒音やペット、共用施設の使い方などトラブルに関する注意書きなどが多くある場合は冷静に判断すべきです。特に貼り紙には隣人関係などのトラブルやマナーの状況などがにじみ出やすいので要チェック。

過去の修繕履歴が一覧であるか?

大規模修繕履歴とは、その建物の新築時から今現在に至るまでに行ってきた、大規模な修繕の履歴を記した書類をいい、物件によっては、ただの「修繕履歴」としているケースもあります。

どういう管理を行ってきたかが分かるので、安心性のある建物かどうかの判断材料になります。

長期修繕計画が組まれているか?

長期修繕計画とは、マンションの性能を維持し老朽化を防止するために、管理組合が作成する長期的な修繕計画のことです。この計画の有無はマンションの管理意識の指標の1つです。意識が高いマンションは長期修繕計画があります。

とはいえ、無いからダメではありません。これから準備する予定の場合もあります。よって「長期修繕計画あり」または「長期修繕計画の準備予定」だと安心感があります。

管理費・修繕積立金の額は妥当か?

「管理費・修繕積立金」の金額があまりに安い場合は、工事の直前に徴収があったり、年々値上がりする可能性があります。

目安となるのは、合計額2万円〜3万円前後です。しかし、極端に戸数の少ないマンションだと、この枠に収まらない可能性があります。その場合は、長期修繕計画を確認して今後も負担金額が上昇するのかを確認すると良いでしょう。

議事録を閲覧できるか?

購入するまで議事録を閲覧できないマンションもありますが、もし議事録を見られるならチェックしておきましょう。なぜなら、議事録には建替予定や現在マンションで問題になっていることがうかがえるからです。

管理は管理会社に委託しているか?自主管理か?

管理会社が入っている場合は、修繕積立金や大規模修繕の頻度など面で比較的に安心感があります。一方、自主管理の場合は、大規模修繕自体が行われていなかったり、修繕積立金が足りなかったりすることがあるので注意が必要です。

とはいえ、しっかり管理が行き届いている自主管理もあります。よってパートナーである仲介会社と管理状況の良し悪しを確認しましょう。

1-4.改修性(リフォーム・リノベーション)

追い炊き可能か?

追い炊き機能が現状の状態でついていないマンションは、リフォームやリノベーションをする際、構造的に新たに追い炊き機能をつけることがほとんどの場合できません。よって、どうしても追い焚きが必要な人は確認必須です。

「ラーメン構造」か「壁構造」か

リフォームやリノベーションをする際の自由度が違います。なぜなら建物のつくり方が異なるからです。

ラーメン構造は、中にある専有部の壁は全て取り壊し、自由に間取りを設計することができます。逆に、壁構造は、壁自体が構造体になっている部分もあるので、そこは手を付けられません。

間取りの大幅な変更を期待している場合は、ラーメン構造のマンションがおすすめです。とはいえ、どちらが優れているかという話ではありません。もちろん壁構造でもリノベーションは可能です。

二重床か直床か

直床の場合は注意しましょう。古いマンションの直床の場合、配管が下のコンクリートスラブに埋め込まれているケースもあります。

その場合は、リフォームやリノベーション時の間取り変更に制限があったり、そもそも配管を新しく交換できないケースがあります。直床の場合は配管状況を確認しましょう。

フローリングは可能か?

稀ではありますが、管理規約でフローリングを禁止しているマンションもあります。リフォーム・リノベーションで無垢材フローリング等にしたい人はあらかじめ管理規約の禁止事項を確認するとよいです。

アスベストはないか?

事前に100%正確な調査はできないですが、内覧時にチェックしましょう。ちなみに、古いS造(鉄骨造)マンションはRC・SRCよりアスベストを使っている確率は少し上がります。

小規模の場合はリフォーム・リノベーションで直ぐに処理できるのでさほど問題ではありません。一方で、大規模なアスベストが発見されて処理する場合は、相当な額を覚悟しておいた方がよいでしょう。

水回りの移動やお風呂のサイズの変更は可能か?

稀ではありますが、管理規約で水回りの移動やお風呂のサイズの変更を許可しないマンションもあります。リフォーム・リノベーションしたい人はあらかじめ管理規約の禁止事項を確認するとよいです。

竣工図面があるか?

竣工図とは、建築前に作った設計図とは違い、工事中に発生した設計変更などをもとに設計図を修正して、実際に作られた仕様などを正確に反映した図面。竣工図面があるとリフォーム・リノベーション時における調査の手間が省けてコストダウンに繋がります。

リフォーム・リノベーションについて詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
関連:【費用・デザイン・期間・流れ】リフォーム・リノベーションの違いについて解説している記事

1-5.居住性

【室内】電気容量は十分か?(40A以上か、オール電化の場合60A以上)

中古マンションには、電気の契約容量が30アンペア以下の物件が少なくありません。家族構成にもよりますが、快適に暮らすには少なくとも40アンペア、IHクッキングヒーターや電気式床暖房を導入し食洗機等も使うなら60アンペアは確保したいところです。

しかし、マンションは建物全体の電気の供給量が決まっているため、余裕がないと契約容量をアップすることができません。

現在の電気容量を確認し、不足しているようなら容量アップが可能かどうか不動産仲介会社を通じて問い合わせてみましょう。

【室内】防音の具合は確認したか?(窓の開閉差で確認)

外の音がどのくらい聞こえるかを、窓を開けた状態と締めた状態で確認しましょう。また、両隣や上階の住人の生活音がどのくらい聞こえてくるかも確認したいところです。物件の防音性や入居者の性格次第ですが、人によっては大きなストレスになります。

【室内】ドアや窓の閉まり具合を確認したか?

ドアや窓の開閉がスムーズに行えるかを確認しましょう。なぜなら、ドアや窓はマンション共有部分であり、自分で自由に交換できるものではないからです。

【室内】天井の高さは確認したか?(住宅金融支援機構の融資基準は、2.3m以上)

自分たちの今住んでいる物件で高さをはかり、どの程度の高さを必要としているのか確認しておきましょう。

なお、上階の床の裏面(天井スラブ)から吊り金具などで下地枠を吊り下げてつくる二重天井の場合は、現状よりも天井を高くすることが可能です。天井を叩いてみて響くような音がしたら取り除ける天井だと思っていいでしょう。

【室内】採光(窓の数と位置)は確認したか?

室内の明るさは方角よりも窓の数と位置が大きく影響します。また、マンションの場合は窓は共有部分であるため、必要ないからといって取ったり、好きな場所に新たに設置することができません。よって光が入る位置に窓があるかなど採光を確認するとよいです。

【室内】眺望をチェックしたか?

窓からの眺めはその物件の資産価値を左右する大切なポイントのひとつ。工場や娯楽施設、墓地などの嫌悪施設が目に入らないか?前面に建つ建物との距離はどれぐらいか?をチェックしましょう。

【室内】眺望側にまとまった空き地や駐車場はないか?

工場跡や駐車場、空き地スペースには、新たなマンションなどが建設される場合もあります。気になる場合は、現時点の計画有無を確認しておくとよいです。

【室内】窓を開けて異臭はないか?または近くにその原因となる施設はないか?

異臭があるか否かもチェックすべきです。室内の場合はリフォームやリノベーションで改善できるケースが多いです。

しかし、窓を開けた際に異臭がある場合はは外部要因の可能性があるので改善できないケースもあります。それが自分の許容範囲かを確認しましょう。

【室内】バルコニーに物干しや室外機を置くことは可能か?

管理規約でベランダやバルコニーに物干し竿や室外機を置くことを禁止しているマンションも存在します。主な理由は外観からの見た目を統一して資産価値を保つためです。よってあらかじめチェックしておくと安心です。

【室内】ペットを飼うことはできるか?

ペットを飼うことができるか、またどんな動物はOKか…など管理規約に記載されています。あらかじめ確認しておきましょう。

【住人】修繕積立金の滞納が少ないマンションか?

管理費や修繕積立金の滞納状況も確認したいところです。とくに大規模なマンションでは、数件の払い忘れはあるものですが、長期滞納が何件も放置されているのは考えものです。なぜなら、滞納が多いマンションはトラブルが通常より多い傾向にあるからです。

1-6.重要なヒントが隠されている「売却理由」

中古マンションが売りに出される理由の多くは、子供が成長して手狭になった・転勤することになった・介護のため帰郷して実家で暮らすことになった・相続による財産整理といった、ライフスタイルの変化に関するものです。こうした理由で売られるマンションなら特に問題視する必要はありません。

気をつけなくてはならないのは隠された本当の理由がある場合です。マンション内トラブルや欠陥建築など…こうした問題点を抱えている物件を買ってしまうと、後々、自分にもトラブルが降りかかってくる可能性が高まります。

【売却理由】権利や金銭面のトラブル?

売主の個人的な理由のため、買主には影響はありません。よって気にすることはないです。

【売却理由】マンション内のトラブル?

トラブルがマンション住人に関係するか否かをチェックしましょう。上下左右との騒音トラブルのケースも少なくありません。そのトラブルが許容できる範囲かを確認するとよいです。

【売却理由】マンション周囲のトラブル?

どんなトラブルがマンション周囲にあるかをチェックして、許容できる範囲かを確認しましょう。

【売却理由】マンション構造に大きな欠陥?

どんな欠陥があるのかを詳しく確認すべきです。そして改善する余地があるのか、また修繕計画があるのかをチェックしましょう。

【売却理由】目の前に建物が立つ予定?

立つ予定の建物の種類や階数を確認しましょう。なぜなら、施設によっては周辺環境が変わるケースもあるからです。また、階数によっては室内からの眺望に大きな影響があります。

【売却理由】自殺等の事故があった?

気になる人もいますし、気にならない人もいます。その内容が許容できる範囲かを確認しましょう。

1-7.その他

 住宅ローン減税が使える物件か?

築25年以内、登記簿上の面積が50㎡以上、耐震適合証明が発行可能…等々、住宅ローン減税対象にはいつくかの条件があります。不動産仲介会社に確認しましょう。

ただし、住宅ローン減税の対象になりたいからといって該当物件を無理やり買うものではありません。大切なのは予算内でおさまるかどうかです。なぜなら、予算オーバーして減税分より高くなっては本末転倒だからです。

 ハザードマップを確認したか?

マンションは堅牢なので戸建てのように地盤を気にする必要はありません。しかし、避難経路の確認としてハザードマップをチェックしておくと良いでしょう。

リノベーション済み物件では見えないところを確認したか?

内装などの見た目はとても綺麗なリノベーション済みマンション。いっけん問題ないように思いますが、床下や天井裏など見えないところの注意が必要です。

実際に「入居して1年後に水漏れが発生。調べてみると、配管がかなり劣化していたことが判明…わかっていたら購入しなかったのに!」といったケースも少なくありません。

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【変えられる部分】中古マンション内覧チェックリスト18

中古マンションの内見箇所(個人で変えられる部分)

中古マンションの内覧では「変えられる部分」は「変えられない部分」ほど重要ではありません。なぜなら、個人の意思で対処できるため最悪お金で解決できるからです。

たとえば、壁紙の汚れなら壁紙の貼り替えで綺麗になります。部屋の湿気もリノベーションで間取りに回遊性を持たせることで風通りが良くなって湿気が解消されます。

そのためスケルトンリノベーションを検討されている方は、変えられる部分のチェックは最小限です。

一方で、中古マンションを購入してそのまま住む場合は「あとで改善できる」という観点で各箇所をチェックすると良いでしょう。

  • キッチンは使いやすい高さか?
  • 冷蔵庫を置くスペースは十分か?
  • 水まわりにカビが発生していないか?
  • 水漏れの跡やカビ、クロスのゆがみ等が発生していないか?
  • フローリングや畳に傷はないか、手入れがされているか?
  • 床に傾きやきしみはないか?
  • コンセントの数と位置は十分か?
  • お風呂に浴室乾燥機はついているか?
  • 今使っている洗濯機はそのまま使えるか?
  • テレビを置く位置に十分な配線はきているか?
  • 電話回線は便利な位置にあるか?
  • 大型の家具や家電が通せる広さがあるか?
  • 窓まわりに結露の跡はないか?
  • 窓を閉めたとき隙間風や冷気が入ってこないか?
  • 風通しがよく、空気が循環する造りになっているか?
  • 壁が取れる(叩いて軽い音がする)かチェックしたか?
  • 給湯器の更新はいつ行われたか?
  • インターネットや携帯電話の回線状況はどうか?

なお、設備が古い、間取りが合わない…等の中古マンションの「変えられる部分」の弱みは、リノベーションで強みに変えることができます。より詳しく知りたい方は、以下の記事をあわせてお読みください。
関連:中古マンションを買ってリノベーション!賢い住宅予算でオシャレに暮らす方法について解説した記事

内覧で気に入ったら不動産買付証明書を出して調査開始

不動産買付証明書は、買い手側が売り主に対して購入意思を示すためのものです。法的拘束力は無いため、提出した後に購入を取りやめても問題にはなりません。

ピンときた物件があれば問題が見つからない限りは購入するつもりで、なるべく早く不動産買付証明書を提出することをおすすめします。

なぜなら、二つの目的を叶えるためです。

一つ目は、住宅ローンを使う購入者同士の場合に限れば「早いもの勝ち」というケースは一般的ですので、誰が一番最初にその物件に対して購入意思を見せたのかを、売り主側がしっかり管理しておくためです。

二つ目は、購入したいと思っているので、物件についていろいろと情報を出して欲しいという意味合いがあります。売主側の中には購入意思も見せない人には、情報提供はしませんという人もいます。

よって、逃すと後悔が大きくなりますので、「これぞ」と思う物件に関しては不動産買付証明書を提出すべきです。費用もかかりません。

ただし、複数の物件にいくつも申し込んだり、冷やかしで不動産買付証明書を出すのは控えましょう。売り主や不動産仲介会社にとって迷惑になり、積極的な協力を得られなくなります。

不動産買付証明書についての詳しくは、以下の記事もあわせてご参考ください。
関連:買付証明書(買付申込書)について解説している記事

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そのほか重要な中古マンション内覧ポイント4選

ここまで内覧時のチェックポイントについて解説してきましたが、最後に事前の心構えや準備についてもご紹介します。

5-1.不動産仲介会社を選んでから内覧する物件を探すべき

理由は主に2つあります。それぞれ解説していきましょう。

【理由1】「顧客視点」ではなく「会社視点」の不動産会社が多いから

不動産仲介会社は、基本的に「いかに高い物件をスピーディーに仲介できるか」のスタンスです。というのも、高額な物件を仲介するほど報酬も大きくなるからです。

また、物件検索サイトに掲載されている物件は、基本的に「どこの不動産会社」でも取り扱えます。掲載ページにある問い合わせ会社だけではありません。つまり、気になる物件があったら、どこの不動産会社に依頼してもいいのです。

それならば「顧客視点」の会社を選んでから、物件探しをスタートさせると安心です。

【理由2】希望物件を買える可能性が高くなるから

もし、中古マンションを買って、リフォーム・リノベーションを考えている場合は、ワンストップリノベーション会社に不動産仲介を依頼しましょう。

なぜなら、ローンの手続きをしている金融機関ににリノベーション会社(施工会社)が提出しなければならない書類があるからです。

中古物件を買ってリノベーションする人は増えています。その場合のほとんどが「一体型住宅ローン (物件代金と工事費用をまとめて融資) 」を利用します。

不動産仲介会社も社内で抱えているワンストップ・リノベーション会社は、連携がスムーズです。必要書類もすぐに準備できます。そのため、気に入った物件を買える可能性が高くなります。

一方、「不動産仲介会社」と「工事をする施工会社」が別々の場合、連携が取れずに提出書類の準備に時間がかかることも少なくありません。そうこうしているうちに、他の人に気に入った物件を契約されてしまうケースが多々あります。

よって、中古マンションを購入してリフォームやリノベーションを検討されている方は、不動産仲介会社も社内で抱えているワンストップ・リノベーション会社に依頼しましょう。

不動産仲介会社選びについての詳しくは、以下の記事もあわせてご参考ください。
関連:【図解】中古マンション購入の流れ8ステップと必要書類・お金一覧について書かれた記事(【STEP2】不動産仲介会社選び)

また、中古を買ってリノベーションを検討されている方は、以下の記事もおすすめです。
関連:リノベーションの流れが一目瞭然!4ステップでやるべきことを徹底解説した記事(物件探しはリノベ会社に任せるべき5つの理由)

5-2.中古マンション内覧の時間は30分・回数は1回・持ち物はスマホでOK

内覧当日に持参するものは以下の2つです。

  • スマートフォン
  • 認印

一般的に、内覧時にあった方が良いと言われる持ち物は、スリッパ・販売図面・メジャー・コンパス・カメラ・認印と言われています。

しかし、通常「スリッパ・販売図面・メジャー」は不動産仲介担当者が用意してくれます。また「コンパス・カメラ」は、スマートフォンで十分です。

認印は、不動産買付証明書を書く場合だけ必要になります。

よって、中古マンション内覧の当日は、スマートフォンと認印を持参しましょう。

内覧時間の目安は30-60分ぐらい

不動産仲介会社担当者の都合、居住中の売主の都合、物件が「空き家」か「居住中」か状況により内覧時間もまちまちですが、30-60分ぐらいのケースが多いです。

また、判断資料として内覧の際は写真を撮っておくと良いです。ただし、内覧時間も限られているので、あらかじめ撮影リストを用意しておくと便利です。

  • リビング
  • 眺望
  • キッチン全体
  • ガスコンロ
  • 冷蔵庫置き場
  • 食器棚、または、置くスペース
  • 各お部屋
  • 廊下
  • 洗面台
  • 洗濯機置き場
  • 浴室
  • その他、必要なもの

なお、撮影する際は必ず許可をとってからにしましょう。なぜなら、勝手に写真を撮られることで不快に思う人もいるからです。

同じ物件の内覧は2回以上しない

同じ物件を何度も内覧すべきではありません。特に居住中物件の場合は避けましょう。

なぜなら、わざわざ相手側を時間拘束するので「またか」と迷惑がられるからです。結局は人対人の取引なので、印象が悪くなると売主との交渉が難航したり、仲介担当から協力を得られなくなるケースも少なくありません。

内覧は公共交通機関での移動がおすすめ

不動産仲介会社の車で移動するケースが多いですが、出来るだけ公共交通機関で移動しましょう。
なぜなら、実際の生活をイメージしながら確認できるからです。

「実際に歩いてみると坂道が辛かった」「実際に歩いてみると商店街が活気あって元気になった」「実際に歩いてみると必要なお店が帰り道にあって便利そうだった」といったように、生活のイメージが湧きます。

よって、電車やバスで移動しながら中古マンションを内覧しましょう。

5-3.居住中物件の内覧で交渉を有利するコツ(注意点・服装・手土産)

売主の気持ちを考えて内覧しましょう。なぜなら、売主も人間ですから「せっかくなら良い人に買ってもらいたい」という思いがあるからです。

そのため、内覧時の心象次第でその後の契約がスムーズに行えるかどうかの変わり目となってしまう場合もあります。

  • 誠実で清潔感のある服装で内覧する
  • 笑顔できちんと挨拶をする
  • 素足で部屋に上がらない
  • 居室のドアや収納の扉は勝手に開けない
  • 暴れ盛りの子供との内覧は避ける
  • 非常識に長居はせず30-60分で終わらせる
  • 何度も日程調整させないように内覧は一回にする
  • 売主に対して直接その場で価格交渉をしない

最低限のマナーを守って内覧することをおすすめします。

また、手土産は必要ありません。とはいえ「気持ちとして持っていきたい」という場合は、仲介担当者に相談すると良いでしょう。

5-4.本当に欲しい物件なら値引き交渉は慎重に検討すべき

「値引き交渉するだけならお金はかからない」という感覚で、理由なく値切るのは賢明ではありません。

なぜなら「売る・売らない」の決定権は売主側が持っているからです。買主側が欲しいと言っても、売主側が売らないと言えば買うことはできません。

もし、値引き交渉によって売主側に「横柄な人だな」と嫌われてしまったら、”本当に欲しい物件”を買えなくなる可能性も大いにあります。

そうなってしまったら、人生という大きな枠で考えたとき「あの物件を普通に購入すべきだった…」と後悔するのではないでしょうか。

逆に言えば、売主側に「値引きする相応の理由」がある場合は、交渉の余地があります。

すなわち、値引き交渉のコツは「自分が売る側だったらどう思うか?」です。

ちなみに、誰がみても良い物件だった場合は、わざわざ値引きせずとも売れます。それを値引きしようとする人の印象が悪くなるのは想像に難くありません。

値引き交渉についての詳しくは以下の記事をご覧ください。
関連:中古マンションを値引きできた!不動産投資家の交渉術とセリフ集を紹介している記事

満点の物件はない!70点なら買い物件の有力候補

自分の中で70点ぐらいの物件なら購入を検討すべきです。なぜなら、すべてを満たす物件はないからです。そして、価格バランスも含めて70点を超える物件はあまりないからです。

もし「すべてを満たす物件が出るまで待つ」というスタンスであるならば、3,000万円の予算で6,000万円の物件を狙っているのと同じことです。現実的に考えてそんな物件はありません。

仮に、パッと見で「すべてを満たす物件」があったとしても、きっとそれは売れ残りです。何かしらの大きな欠点があります。それを知らずに、不動産屋さんに買わされてしまう人も少なくありません。

とはいえ、70点でも安心してください。リフォーム・リノベーションによって点数をあげることができます。

よって、自分の中で70点ぐらいの物件なら購入検討することをおすすめします。

そもそも物件が出るまで待っている期間は、無駄な家賃がかかっています。そのお金も勿体ないです。リフォーム・リノベーション費用に充てて加点し、80点・90点…の住まいにしていきましょう。

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まとめ

買ってから後悔しない中古マンションを選ぶには、内覧時に「変えられない部分」に注目しましょう。

なぜなら、内装などの「変えられる部分」は、最悪お金で解決できるからです。一方で「変えられない部分」は、個人でいくら頑張ってもどうにもなりません。

「変えられる部分」は目につきやすいので注目しがちです。しかし、購入時(内見時)に室内の設備や間取りなど「変えられる部分」に惚れて購入を決断して、住み始めてから「個人で変えられない部分」の欠点を見つけて後悔する人がとても多いです。

よって、中古マンション内覧時は「個人で変えられる部分」だけではなく、「個人で変えられない部分」もチェックしていきましょう。

中古マンションの内見箇所(個人で変えられない部分1)

中古マンションの内見箇所(個人で変えられない部分2)

中古マンションの内見箇所(個人で変えられる部分)

なお、PDFファイルで「中古マンションのチェックリスト」をご用意しました。ぜひ、ご活用ください。

そのほか本記事では、「中古マンション内覧の時間・回数・持ち物」「居住中物件の内覧で交渉を有利するコツ(注意点・服装・手土産)」についてもお伝えしました。ぜひ、参考にしてください。

あなたと家族の暮らしが豊かになる、そんな中古マンション購入に向けての内覧になれば嬉しいです。

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